イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

イワシ

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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.5

ピアノを吊るす紐、連結器、執拗な引っ張り、充実した宙吊りの状況。何度も逃亡を図ったヘイリー・アトウェルがトム・クルーズにしがみつく可笑しみ。手で掴むことは殺しと相反する行為であり、それ故にイーサイ・モ>>続きを読む

王と鳥(1980年製作の映画)

3.8

流れ星のような鳥の垂直降下が凄い。巨大ロボットによる城の大破壊は宮崎駿が巨神兵やロボット兵の大暴れとして参照してるけど、ポール・グリモーはあくまでアームによる物理的破壊に徹底して留めている。操縦者がい>>続きを読む

京都鬼市場・千年シアター(1987年製作の映画)

4.0

稲を作り、映画を作り、映画館を作り、祭りを作る。『1000年刻みの日時計 牧野村物語』の為に、土と藁と葦と丸太で出来た映画館があった87年夏についての18分の記録。映画が終わり、映画館が終わり、祭りが>>続きを読む

1000年刻みの日時計 牧野村物語(1987年製作の映画)

4.3

道祖神のエピソードでどっかんどっかん大爆笑。ぶっちゃけ男根なんだけど本人に当時を再現させた演出は演技とは何ぞやと思わざるを得ない。「素晴らしいな〜」と事あるごとに口にし、道祖神を縁の下に隠してから現在>>続きを読む

日本解放戦線 三里塚の夏(1968年製作の映画)

3.5

農民の女性たちがスクラムを組んだときのあの掛け声の素晴らしさ。終盤で抵抗運動に参加した農民の女性の活気的な淀みない喋り、西瓜や玉蜀黍や茄子といった農作物の近接ショットから空撮に切り替わる挑発的なカメラ>>続きを読む

水俣一揆-一生を問う人々-(1973年製作の映画)

3.5

熊本地裁からチッソ本社のある東京へ、社内の鉄格子が取り外され、直接交渉の場はだんたん狭い部屋になり、机は接近し、ついに川本輝夫が机上から迫る。殺意に満ちた眼と怨嗟の声が満ちる。チッソ幹部の背後のカメラ>>続きを読む

不知火海(1975年製作の映画)

5.0

胎児性患者の少女と医師との海辺の会話。同じ胎児性患者の車椅子の少年と縄を巻かれた印象的なシルエットの岩を背景に治癒の望みない手術について会話が交わされる、カメラはパンすると桟橋の少年と停泊する漁船を捉>>続きを読む

回想 川本輝夫 ミナマタ 井戸を掘ったひと(1999年製作の映画)

3.0

かつて未認定患者であり同じような人々に申請を勧め、チッソとの直接交渉の先頭に立った氏の回想録。過去作かの抜粋により70〜90年代までの氏の活動と達成が示されるが、晩年に送られた土本宛の年賀状に書かれた>>続きを読む

水俣の図 物語(1981年製作の映画)

3.5

障壁画にカメラがトラックアップし、描かれた顔に向かってティルトアップするカメラワークの奇妙な感覚。土本典昭は生きた顔と共に死んだ顔も撮るが、これはその極み。とはいえ最良の場面は胎児性患者の女性の肖像画>>続きを読む

三里塚 辺田部落(1973年製作の映画)

4.6

完璧なフレーミングで撮られる86歳のお婆ちゃんの昔話、田村正穀映画と写真のカメラの区別がつかず遺影の撮影のつもりで用意した紫色の座布団と松の木、画面下端のマイクをまるきり無視した縦横に動く語り、背後の>>続きを読む

パルチザン前史(1969年製作の映画)

4.3

ラストの唐突な海、瀬戸内海か、火炎瓶制作場面の実験でフィルムが燃えているのかと思うくらい接近するが、機動隊との衝突で暴力の渦中に存在するカメラはこれを予告するか、夜に煌めく炎と輝くライト、白煙、放水の>>続きを読む

水俣 患者さんとその世界(1971年製作の映画)

4.8

海、船、顔と手のクロースアップ、証言が生むリズム、蛸漁の場面の美しさ、腰に括られ水中をゆらめく何匹もの蛸、読経、唱和、胎児性水俣病の青年が走る車の開いた窓から風を受ける様子を車内から撮った場面の素晴ら>>続きを読む

こどもが映画をつくるとき(2021年製作の映画)

4.4

2020年12月に宮崎で開催されたワークショップ「こども映画教室」の活動を捉えた井口奈巳のドキュメンタリー。こども達は赤青の2チームに分かれ、それぞれ商店街と宮崎神宮で撮影し始めるのだがその様子はまる>>続きを読む

キートンの鍛冶屋(1922年製作の映画)

3.6

長編ほど極端なアクションがあるわけでは無いけど、ギャグのアイデア豊富でフツーに面白い。指輪の二度見に笑う。

キートンの西部成金/キートンのゴー・ウェスト!(1925年製作の映画)

5.0

牛映画から犇映画へ。西部劇的機関車が現代的な街に到着する場面からしてシュールな画面だが、牛群が街路を占領し群衆を混乱に陥れる終盤ひたすら凄まじい。それを曲がりなりにも制御するのが牧場仕事が出来なかった>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

2.0

終盤のあれ、シャブロル『野獣死すべし』をちょっと思い出した。

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

3.0

銃撃戦の演出が上手くないかわりに、負傷して横たわる者の頭部を撃ち抜く描写が妙に多く、そこそこ楽しむ。しかし、ジョン・C・ライリーは棺桶に横たわるルトガー・ハウアーの顔面を殴るんじゃなくて『捜索者』のジ>>続きを読む

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

5.0

再見。省略されているが、移動の多い映画。出発/到着のみ映す移動の簡略化と過剰な量の荷物によってタクシー運転手の荷物運びが長々と捉えられる。身動きするのにも一苦労なジーナ・ローランズは三度倒れるが、バラ>>続きを読む

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

4.3

絶叫以降の急激なホラー化。サンディ・デニスが首の取れた人形のように振り向く姿が恐ろしい。マイケル・バーンズ監禁後に彼にあてがうために娼婦を漁りに行き、ダイナーで具体的な交渉をするが、レズビアンと思われ>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.6

“reproduction”という自己言及的な台詞。『キートンの大列車追跡』の誤射ギャグをナチ殺戮掃射ギャグとして再現したことを皮切りに再現/復元をめぐるアクションとドラマが展開。ハリソン・フォードと>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.1

ゲームの規則に従うことの退屈さと心地良さ。ミディアムショットによる切り返しと視点ショットで終始する賭けの場面は興奮とは無縁の無為の反復。オスカー・アイザックのクロースアップとラストを強調するためだろう>>続きを読む

差し出がましいのですが(2021年製作の映画)

3.5

特定のフレーズを繰り返すのはラリー・ユストがメルヴィルの小説を映像化した『Bartleby』を連想する。確固たる拒絶の意志を口にする書記と異なり、ファウスト・ルッソ・アレシの提言は周囲への影響力を持ち>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.1

今年ベスト。アンソニー・ホプキンスが語るポグロムの記憶によってドアの向こうを恐れるバンクス・レペタが自らドアの向こうへ去ってゆくラストに感動。手作りロケット打ち上げの呆気ない成功(あの垂直運動!)と苦>>続きを読む

サドル・トランプ(1950年製作の映画)

3.5

ひょんなことから流れ者ジョエル・マクリーが友人の息子四人の世話をすることになるコメディ西部劇。一度も銃を撃たずにジョン・ラッセルと延々と殴り合いを続ける終盤が超おもろい。ラッセルの後頭部をシャベルで何>>続きを読む

七人の無頼漢(1956年製作の映画)

4.5

再見。迂遠な語りで核心を回避し続けることで相手を不安にさせるリー・マーヴィン。ジョン・ラーチに同類扱いされた時に見せた怒りすらも偽りの本心を見せない男が、ウォルター・リードへの称賛は例外的に本心だった>>続きを読む

The Price We Pay(原題)(2022年製作の映画)

3.5

フーパー『悪魔のいけにえ』を容易に彷彿とさせるが、レザーフェイスにあたるエリカ・アーヴィンの顔面は見事に剥げ落ち、チェーンソーの代わりに大鎌を振るう(『悪魔の沼』!)。その顛末も皮被りが踊り狂うのとは>>続きを読む

タイラー・レイク 命の奪還2(2022年製作の映画)

3.0

クリス・ヘムズワースの長大化するワンカットのアクションより、床に落ちた拳銃を拾おうとしたアンドロ・ジャパリゼが、トルニケ・ゴグリキアーニが彼の伯父を射殺したように伯父ゴグリキアーニに向かって銃を撃つ場>>続きを読む

狂った野獣(1976年製作の映画)

4.5

再見。バスから子どもが小便をし、後続する追走者にひっかかる場面は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』でオマージュされてる。

バスが養鶏場に突っ込んで鶏の羽がスローモーションで舞
>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.0

アンドロイドの設定に『シン・仮面ライダー』か『デッドリー・フレンド』の頭部粉砕を期待していたが、ボディホラー的に異様に伸びる耳を見て『WOOD JOB!』の染谷将太を連想しひとりで爆笑。

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

この二人デキてんな〜と子ども心に理解できる駅前の場面の演出が良い。車から降りた瞬間のアクションつなぎ、足元から顔へのティルトアップ、内側からの切り返しという基礎的なショット連鎖。逆に側頭部の絆創膏に触>>続きを読む

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.6

宇多丸批判のトレーニングシーンでのフラッシュバックも三浦哲也の言う『ロッキー』シリーズにおける「リハビリ」の主題に準じたむしろひどく納得できる描写として観た。回復すべきは自己、ジョナサン・メイジャーズ>>続きを読む

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

3.6

波打ち際での広瀬すずの蟷螂拳/前蹴りとそれを受けた大西利空が吹っ飛んで水飛沫があがるまでをきっちりフルショットで捉えてるのが素晴らしい(青山真治『我が胸に凶器あり』を連想)。重要台詞を放つ大西をオフ/>>続きを読む

V/H/S/94(原題)(2021年製作の映画)

3.5

世評通り、ティモ・ジャヤントのエピソードが面白い。欠損した右腕に武装を施した瞬間に文字通りFPS化する。94年的な時代感を最も強く感じたのはライアン・プロウズの極右白人男性集団のビデオ映像。血がヤバい>>続きを読む

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

2.5

どうせなら弟も殺せよ〜、逆恨みでいいから家族全員殺しとけよ〜、と思いながら眺めてた2回目の過去回想。『蟲たちの家』のラストに酷似する回想末尾。

V/H/S ファイナル・インパクト(2014年製作の映画)

3.4

ベンソン&ムーアヘッドのスケボー短編目当てに。ティファナ遠征前のPOVスケボー事故とかダラダラトークの方が良い感じ。投げた首が傾斜のせいで戻ってくるとこよかった。ナチョ・ビガロンドがいちばん面白かった>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.5

冒頭、固定画面の縦構図からいきなり画面を横切り壁に激突するサニー・スリッチ。暴動的にも見える集団逃走、ルーカス・ヘジッスとの部屋をぐるぐる回る兄弟喧嘩などスケボーの滑走よりも全力疾走が印象的。少年達の>>続きを読む