ししおどしさんの映画レビュー・感想・評価

ししおどし

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めし(1951年製作の映画)

4.3

戦後早々の、家電製品も何もなく、風呂は家になく炊事、洗濯掃除はすべて手仕事。男は外で金を稼ぎ女が家事に勤しんでいた時代。結婚して初めて顕わになる価値観の違いや生活の充実感をどこに得たらよいのかわからな>>続きを読む

流れる(1956年製作の映画)

4.8

芸があって器量もあって才覚、度量もあって、それがほどよくなければ家が傾く。世間の厳しさが目の当たりにできる。登場するお馴染みの大女優ひとりひとりの個性が素晴らしい名画。

浮雲(1955年製作の映画)

4.8

ダメ男、ダメ女と定義付けるだけでは捉えきれない薄幸も薄幸、男女の業としか言いようがない腐れ縁。戦争を挟んでいるのも哀しさをそそる。まっとうな生活を営もうと努力してる日常感覚を木っ端微塵にさせる爆発力が>>続きを読む

秋立ちぬ(1960年製作の映画)

4.7

あらゆるものを失っていく少年。でも涙を流したのは東京に着いた晩のみ。せっかく見に行った海は「青くないずら」。好きになれなかったデパート屋上に行き、大切な意味を失ったカブトムシを離すかと思いきや大事に持>>続きを読む

桃中軒雲右衛門(1936年製作の映画)

4.3

成瀬の芸ものはどれも面白い。芸のためなら女も子供も名誉も何も捨てるという粋。とはいいながら、自分でも無意識のうちにそのスタンスの息苦しさに縛られる。こんな映画を今作るならやはり時代設定は戦前にならざる>>続きを読む

朝の並木路(1936年製作の映画)

3.1

田舎から仕事を求めて東京に出てきた若い女が主人公。恋心を抱く若いサラリーマンに出会ったところで特に何が起きるでもなくあっけなく終わる。女の子は擦れてない良い子。

愉しき哉人生(1944年製作の映画)

3.2

昭和19年上映。ポジティブ思考な一家が貧しいぎすぎすした田舎に引っ越してきた。だんだん周りが純化され逆境でも前向きな人たちが増えていく。ほのぼのした佳作だが、上映翌年からは全く違う思考が繰り広げられた>>続きを読む

春の目ざめ(1947年製作の映画)

3.1

昭和22年発表。思春期をテーマにしており、あの真剣ででとどこかふわふわして子供ながら大人になりつつという感情がよく描けていると思う。終戦により表現の制約が取り払われたものの、どこまでどう表現すべきか試>>続きを読む

麦秋(1951年製作の映画)

4.8

終戦から6年。裕福な家庭で28才で片づくところは戦争の影か。「欲を言えば切りがないよ、私たちはいい方だよ」小津映画の通奏低音と言えそうである。

お茶漬の味(1952年製作の映画)

5.0

昔の男尊女卑的な価値観の時代だろうが、今の時代だろうが夫婦の難しさは普遍だなぁ。東京物語より好きかもしれない。

東京物語(1953年製作の映画)

4.7

20年振りに観る。不朽の名作。親孝行しなきゃ。そして兄弟とも。でも親孝行といっても子供兄弟のように親の気持ちがわからなくなっていることを肝に命じないと。

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.3

約20年振りに観る。前と同じくしみじみとした感動を受けつつも、今の世相との違いを感じたり、各シーンに対する解釈が以前と違う自分がいた。確実に自分の人生が歩みを進めていると実感した。

薔薇合戦(1950年製作の映画)

4.3

個性の違う三姉妹のどろどろの仕事と愛欲物語。「乙女ごころ三人姉妹」よりもさらに強烈な姉妹とそれを取り巻く男たちが登場し、より複雑な人間関係が展開。監督の力量が増したと捉えるべきか。終盤、危うく仲違いす>>続きを読む

あらくれ(1957年製作の映画)

4.5

とても家族やカップルとは観られない。そのくらい、複雑な男女関係の織り成す大河ドラマ。テンポが早くあっという間の2時間。度胸のいい高峰秀子の圧倒的な技量を堪能した。名作中の名作。

花は偽らず(1941年製作の映画)

4.5

なぜこのタイトルかわからなかったが、若い男女のメロドラマに極めつけはお嬢さんの最後の背中を向けて走り去るシーン。淡い哀しみを誘う傑作。

旅役者(1940年製作の映画)

3.5

大根役者ならぬ馬役者の意地とプライド一代記。一人前になるためには後ろ足5年、前足10年かかる。そのプライドも悲しいかな、いくら馬くても一幕の中では馬は馬に過ぎなかった。ユーモア劇。

そよ風父と共に(1940年製作の映画)

3.8

仲のよい父と娘の家庭に、不意に訪れた本当の父親。高校生の娘は出生の秘密に心を掻き乱される。浪花節がよいアクセント。当時の人たちの会話は美しい。

はたらく一家(1939年製作の映画)

3.0

戦前では一般的だったのだろう、子供が優秀で勉学に意欲があろうが働かせざるを得ない貧困家庭を舞台としたドラマ。当時の世相を知るにはよい映画。

乙女ごころ三人姉妹(1935年製作の映画)

4.0

浅草で三味線の弾き語りで辛うじて銭を稼ぐ三姉妹。つらく人に当たる擦れっ枯らしの母に、男を作って家を逃げ出した長女に、三味線どころかモボよろしくダンサーとなり年上の男を見つけた自由奔放な三女。そんな姉妹>>続きを読む

芝居道(1944年製作の映画)

4.2

歌行燈に続き成瀬の芸道ものを観る。こちらの方が社会や時勢にどっぷり漬かった中での芸の厳しさが現れていて、なおかつ登場人物が芸を媒介に互いを信頼仕切っており、長谷川一夫と山田五十鈴の美しさとあいまっては>>続きを読む

歌行燈(1943年製作の映画)

3.0

芸に生きる一家の物語。今仕舞や三味線、唄はそもそも現代の日常の生活空間から消え失せたが、それでも細々永らえてるそれらの芸はすべて近代的な「芸術」として把握されるのみ。芸術とまるで価値観の違う(それはよ>>続きを読む

銀座化粧(1951年製作の映画)

3.8

田中絹代が凛々しく、一見非の打ち所がないようでいて、子供と動物園へ行く約束を自分の都合でブッチし、その日、一時行方不明になったその子をしかり、香川京子に普段しきりに結婚を勧め好い人は急に現れると言いな>>続きを読む

秀子の車掌さん(1941年製作の映画)

3.0

特段何が起きるわけでもなく小さな展開が続くほのぼのした味わいの作品。

女の座(1962年製作の映画)

4.6

きら星のごとき女優たちを配しよくもまあこれだけの登場人物を個性的に描き切り、ストーリーを巧みに展開したものよと感心した。特に、娘達の失恋、結婚決意、息子の自殺に至る急展開はハラハラしっぱなし。兄妹たち>>続きを読む

まごころ(1939年製作の映画)

4.5

大人の世界を垣間見た少女二人の心の揺れを繊細に描き出す筆致に感嘆。映画ってこの時代には完成してたんだと改めて思った。それにしても道義を大切にした帝国日本というものも感じずにはいられない。傑作。

雪崩(1937年製作の映画)

3.6

世間を知り尽くした金持ちの父親とダメなどら息子。許嫁がいたにも関わらず一目惚れした相手と駆け落ちして結婚するもすぐに破綻。調停に乗り出す父親と薄っぺらい知識を繰り出し時代の違いを楯に反発する息子。未練>>続きを読む

三十三間堂通し矢物語(1945年製作の映画)

4.3

昭和20年6月公開。同年1月から5月に空襲を避けながらの撮影だったという。主演長谷川一夫と田中絹代の容貌が際立つ。ダンディズニム溢れる主役の設定と筋の分かりやすさが観るものを魅了する。

無法松の一生(1943年製作の映画)

4.0

戦争たけなわの昭和18年の作品。舞台装置や、俳優の容姿、所作も美しく、カメラワークもストーリー展開にもぐいぐい引き込まれました。小倉に雪が積もる最後のシーンの美しさは格別。

(1953年製作の映画)

4.0

子なし結婚10年、もはや倦怠感しかない中年夫婦の葛藤。だらしなくうだつの上がらなく互いに何の魅力も感じられなくなった二人。夫は浮気するもされとて離婚する気にはなれないどころか浮気相手に喧嘩を売る妻。だ>>続きを読む

稲妻(1952年製作の映画)

4.0

成瀬作品鑑賞2作目。市世の人々の生活をリアリズムに描くタッチは静かに観るには最高の作品。当時はこのような大人の世界を写した作品が風靡していたかと思うと今の時代の映画は子供のよう。

白蘭(びゃくらん)の歌 前篇(1939年製作の映画)

3.0

いまいち台詞を聞き取れなかったが、満州を舞台とした作品の時代背景が垣間見れて面白かった。

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