一時期は幻の映画だったが、日本ではもはや知的スノッブの慰み物に成り下がった。冥福を祈る。
超能力者の悲哀を描き出した作品は少なくないが、これほど詩的に、鮮やかに描き出した作品はないのではないか。今作を観て既に数年が経ったが、脳髄にこびりついて離れないイメージがいくつもある。例えば冒頭の主人>>続きを読む
「アビィ」「グリズリー」「アニマル大戦争」「マニトウ」そしてこの「悪魔のセックス・ブッチャー」……ウィリアム・ガードナーという夭逝の奇才による錚々たるフィルモグラフィを見ていると、困惑にも恍惚にも似た>>続きを読む
80年代前半と後半では、明らかにスラッシャー映画の雰囲気が違ってくる。前半は70年代の陰鬱さを引き継ぎながらもどこか牧歌的な雰囲気が宿っており、後半に行ってしまうとその牧歌性がただのおふざけに堕してし>>続きを読む
監督が生前最後に製作した作品に、その監督の死を絡めて語るのはいささか短絡的との誹りを免れないとは思うが、それでもなお「ヘルクラッシュ!/地獄の霊柩車」はルチオ・フルチという伝説の終結としての"遺作"と>>続きを読む
いつの時代にも「ここではないどこかへ」という願いがある。この作品はその欲望が濃厚な80年代の雰囲気の中で顕現したような作品だ。東京と茨城、都市と田舎、その2つに居場所のようなものを持ちながらも、どこか>>続きを読む
常に渋い表情を崩さず、全身から静かに男の汁を発散させるハリウッド俳優リー・マーヴィン。私の好きな彼の2作の主演作はどちらも晴れやかな田舎で異常な事件に巻き込まれる作品だ。1つは余りにも多彩すぎる様が器>>続きを読む
今時、こんな古びた女性観で映画が作れることに愕然とする。同じくらい幼稚な価値観で映画が製作される幼稚な現代日本で、今作が過度に賞賛されるのも頷ける。ロメールの雑で耄碌めいた模倣、弛緩した雰囲気を高尚と>>続きを読む
時おり、どうしてこんな不気味で吐き気を催す作品が作られたのか?と思わされる作品がある。それは何も、日本でも話題になった「セルビアン・フィルム」やルシファー・ヴァレンタイン諸作のことを言っている訳ではな>>続きを読む
日本映画におけるディストピア映画の最高峰が今作だろう。子供の頃に観た時は、ただでさえ暗い555本編を凌駕する黙示録的な物語、あの屹立する巨大な怪物の悍ましさがトラウマになった。今観返してみると、世界の>>続きを読む
ミゲル・ゴメスは既視感の作家だ。長くも短い映画史から剽窃を繰り返し、その反復で以て映画を完成させる。彼にはここから、自分の色彩を宿し、映画史から逸脱する意志もないまま、臆面もなく6時間にも渡る金魚の糞>>続きを読む
スラッシャー映画の本場たるアメリカ、スラッシャー映画人気の高い日本においても顧みられることのない隠れた傑作。バラエティ豊かな惨殺方法(レンジ内での頭部大爆裂、窓に真っ二つにされる胴体と噴き出る内臓、電>>続きを読む