cakyさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.8

数百メートルの陣地の奪い合いで何百万人という人が死ぬという事実。わずか数年の間に、若者から若者へと、軍服とドックタグだけが交換可能に受け継がれる歴史の"薄さ"に惨さを覚える。戦果と損失がありながら、休>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

3.5

開拓移民の物語を逆輸入する形でアメリカの歴史を表現した、と表現されているようだけど。ファミリーストーリーとして単純に濃密だった。おばあちゃんと少年、夫婦のわだかまりと和解は美しかったし、映像からよく訴>>続きを読む

真実の行方(1996年製作の映画)

4.0

エドワード・ノートンの怪演。ファイトクラブやバードマン、ナイブズ・アウト、キャラクターとしては冴えなかったりちょっと頭のネジが良い方にも悪い方にも外れるけど、やっぱりこれが原点。(あまり興味ない)リチ>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.3

新しいこと散々してるのに賞レースなんか狙ってないんだよね〜的なA24とダニエルズのあざとらしさ。それが強めに出てちょっと拒絶しそうになる瞬間も確かにある。イニシェリン大好きだけど、これは結果的に強い作>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.2

羊って可愛いのに獣ならではの得体の知れなさや、他の動物とも明らかに違う異質さがあって、神話にもホラーにも登場する家畜。いつも卑しく愚鈍の象徴として語られることが多く、そうした立場を利用したヒエラルキー>>続きを読む

ダウンサイズ(2017年製作の映画)

4.1

「人間縮小」で世界をエコにする――。最も生産的で破壊的な人間という種をいかに抑制し、未来に保存するか。SDGsが叫ばれる今、この作品にどれだけの思想が込められているかは不明だが、スモールワールドな原初>>続きを読む

子宮に沈める(2013年製作の映画)

2.9

映画にするにはあまりにも重いテーマで女の子の演技が見ていられないくらい。定点で言葉も表情も少なめ、育児放棄からの展開が突拍子なさすぎて、それが史実のどぎつさを冗長するのだけれど、こんな映画を作る必要が>>続きを読む

キャビン(2011年製作の映画)

3.4

集められた5人にそれぞれ役割が当てられている。「お約束」を脚本で上手く見せる凝った内容で、鑑賞者の視点を手玉に取るメタフィクション的な面白さ。大きな物語としてなるほどなと思いつつ、小さな物語はぼやかし>>続きを読む

ザ・ハント(2020年製作の映画)

4.1

富裕層vs庶民の二項対立、そして現代社会に皮肉を込めて。監督のテーマが「第一印象」だそうだが、まさにリゾーム的なデジタル社会の分断と孤立、デジタルツイン的に反動するフィジカル世界の情動を描く。単純な作>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.3

密室パーティーと犯人探し。やっぱりこのシリーズはキャラの個性と怪しさのバランスを絶妙に保ちつつ、同じ方向を向いているのがキモ。で、それに割って入るのがクレイグ演じるブノワ。前作に続いて今作も脚本の勝利>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.3

喧嘩を独立の歴史と壮大な自然=神話と合わせながらフィクションで見せる発想。バカであることに不安になり、バカであると罵り、バカになっていく。そう、これはコメディなのだと。つまらない誰かに心のどこかで失望>>続きを読む

トゥルー・グリット(2010年製作の映画)

3.5

仇討っていう誰も幸せにならないストーリーだが、一癖ありすぎなキャストの人間模様に主眼が置かれていてラストまで綺麗に繋いでいく。勇ましさ即ち善行に限らず、その場で自分を奮い立たせて実行できるか。スピルバ>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

3.3

危険な賭けで追い込まれていく、けど安牌な賭けはそもそも賭けでもない。自滅に近いけどそうとも言い切れないカタルシスっぽさもあり。KGやウィークエンドの出演もアツい。

RRR(2022年製作の映画)

4.5

W主人公がバッチリはまって、最初から最後まで駆け抜ける映画。男性性押し出したマッチョな世界観、ナショナリズムを掲揚した迫力を感じるんだけど、インド映画だから、という偏見は捨ててみるべきだった。もちろん>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.7

喪った悲しみに取り憑かれるスリラー。女性視点から観た男性の究極、と言ったらいいのか。自分は同じ顔に見えないくらい演技もメイクも完璧だったんだけど、女性には同じ顔に見えているんですかね。聖書神話的な切り>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

3.1

地下と地上で往復する列車のような階層と、社会システムとしての基盤。プラットフォームの持つメタファーで表現する人間の見窄らしさ。

ダブル・ジョパディー(1999年製作の映画)

3.2

夫殺しで嵌められた妻の出所後のストーリー。夫の動機がいまいち釈然としないしこんな美人な嫁さんめちゃめちゃにして得たい人生って何?と思った。いつの間にかトミーリーとタッグ組んでたけど、ドロドロの復讐が見>>続きを読む

ホステル(2005年製作の映画)

3.4

ブラチスラヴァのホステル泊まったことあるからなんとも言えないけど、動機と映像が不純すぎる。笑 出会う人全員怪しくて指だったり謎の子供たちだったりマニアが多そうな映画。

ファイナル・デスティネーション(2000年製作の映画)

3.4

どう◯ぬかを楽しむ映画。といったら不躾だが、若者グループが1人ずつ…というのはよくある展開、「運命」という一本線を引いておいて、それぞれにフォーカスした作りが良かった。◯に方が要はピタゴラスイッチで、>>続きを読む

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

3.8

密室ホラーでお約束もサウンドも記憶に残る映像。安置所外部の人間が違和感満載で、ストーリーも凝ってたから観て終わらない点も良し。医学的/科学的な事実を組み立てつつ、どこがどうありえないかを丁寧に突き止め>>続きを読む

ゲーム(1997年製作の映画)

4.2

初期フィンチャーのカルト的作品。微妙なレビューにはカタルシスへの期待が垣間見えるけど、十分カタルシスなんじゃないじゃないだろうか。アメリカンサイコ(後発だけど)みたいなアイデンティティの喪失や、不気味>>続きを読む

ユナイテッド93(2006年製作の映画)

3.5

ターゲットに到達した3機に注目されがちだけど、未到達の1機がユナイテッド93便。これ含めて同時多発テロなんですよね。結末が見えてるだけに観るのがつらいけど、機内との奮闘は、記録であり記憶にも残すべき、>>続きを読む

ザ・ターニング(2020年製作の映画)

3.0

『回転』のリメイクだと観てから知る。で、オリジナルを見ていないので評価は単純にできないのだけれど(確かに平均レビューの低さからも)、リアルに限りなく近いヴァーチャルが折り混ざっていて、この恐怖の本質が>>続きを読む

シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

3.9

誰かを笑顔にするという料理の本質は変わらず、場所と立場が変わっても好きなことを突き詰めていくという姿勢。またその立場が人と関係を作っていく。誰よりも上から目線で、プライドを保つというのはおそらく気持ち>>続きを読む

パニック・フライト(2005年製作の映画)

3.1

前半密室→後半ドタバタで意外と展開がある。クールだけど知能犯と呼ぶには少々劣ってて、それもあって騒がしい。ドキドキ感はないけどBSとかで流れてたらサクッと観たい、とりあえずレイチェルめちゃカワ。

朝が来る(2020年製作の映画)

3.6

中盤の急展開とサスペンスなムード。どちらの立場にも一言では言えない複雑な事情があるからこそ、疑いが現在に溶け合ってリアルなものになる。これもまた、広義の意味で家族の物語。

空白(2021年製作の映画)

3.9

失って気づくこともあるのだろうが、失ってなお知らなかった、そんな感覚。空白と表現したタイトルも良い。そもそもの発端は女の子の行動だが、悪者探しが堂々巡りしていく。いろんな負債を抱える人間がいることで、>>続きを読む

マザー!(2017年製作の映画)

3.5

私的領域にズカズカと入って来られると、まるで他人事とは言えないくらい苛々する映像になるんですね。で、はっきり物の言えないJローレンスが余計に視聴者感情を増幅してるというか。途中から何見てるのか分からな>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.8

全共闘全否定じゃなく、非合理な政治に対する<暴力>をサルトル批判から入って、若者の活動に可能性を見出す三島はさすがだなと思った。印象から言えば三島の圧勝だったかなと思う。当時の喋りは癖があるね、相槌が>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.2

007は『ゴールデンアイ』から入り、『カジノロワイヤル』はもう2006年ですか。ジェームズとダニエルに、心を込めてお疲れ様でした。ユーモアと人間味があって、心身共にタフなキャラクター。ダニエル作品は、>>続きを読む

インシディアス(2010年製作の映画)

3.5

密室ホラーでありつつ、幽体離脱のアイデアが踏み込んでいて素晴らしかった。SEも絵作りも古典ホラーへのリスペクトを感じるけど、少しずらした演出を心がけているなと感じる。ゴアな描写は意図して排除されていて>>続きを読む

サイコ(1960年製作の映画)

4.3

技術的な問題もあるんだろうけど、本当に大事な瞬間だけは意図的に見せないというところが恐怖感を煽ってる気がする。突然人が飛び出てくる瞬間とか。。中盤の転換がストーリーとしても一癖あって、こんなんありか?>>続きを読む

HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.4

青春とハードボイルドとバランス良く見れたなあという感じ。冴えない男子が偶然にものしあがっちゃうけど、両方で、その道のプロには最終的に見抜かれてしまう一夏の物語。相棒はそれなりに覚悟があったし、最後はい>>続きを読む