cakyさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

3.7

遠慮一切ないグロ描写と登場人物の豹変っぷりが見どころ。まさに「取り返しのつかない」不可逆ストーリーで、感情の高ぶりをド直球に伝えてくる映画。本物の「死体蹴り」ってやつを見ました。これだけぶっ飛んでいな>>続きを読む

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

3.8

異質な3人による強固な絆。正しいとされている家族の形がある以上、それに逸脱するものを良しとしない社会の仕組み。血縁的なものがなくても家族は成立すると気づかされたし、そもそも結婚自体がそういうシステムだ>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

3.4

 あくまでも乱暴な私見ですが、ジャクソンは酒とドラッグでしか自分を保てないのと同じように、現実的には初期アリーもそのひとつなんじゃないかと思った。彼が成功したミュージシャンであることは描かれているが、>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.7

明るいのに暗い、笑顔なのに怖い、純白なのにドス黒い、一般的に捉えられるイメージと相反するような、でも薄々僕らだってホントは気づいていたんだよね的気持ち悪さを首尾一貫した映画。序盤から不穏でしかなく、中>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.4

この作品が愛されるのは緻密なロジックによって組み上げられている脚本と、社会の闇を内包したさまざまなメタファーの数だろう。ネタバレや考察をとことん味わえる映画。泣ける映画が評価されてきただけに、数々の受>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

「ジョジョ」の視点から戦争を描くまったく斬新な作品だった。あるとすれ悲惨な面をまったく描かずにコメディとしてストーリーをおもしろおかしく描いているという批判だろう。もはやそれくらいしか思いつかないくら>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.0

ドライビングとマーケティング、フォードという企業体が立ち上がるための要素として、プライドを捨てた反骨精神の元に描かれるストーリーだった。メカやエンジニアリングといったある程度の予備知識は持った方が楽し>>続きを読む

アースクエイクバード(2019年製作の映画)

3.2

「日本にきた」というイレギュラーな外国人女性の取り巻きと、精神世界を現したスリラー。三角関係をめぐる現実と虚構のせめぎ合いが見どころになっている。だれかが死んだ、というファクトが彼女の中でごちゃ混ぜに>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

4.2

 前作ファンのフレームで考えてしまうと、映像として『シャイニング』の”正当な”続編とするには少し毛色が違うが、キューブリック・リスペクトは随所に感じられたし、世界観は非常に好みなものだった。とはいえ、>>続きを読む

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年製作の映画)

2.9

ジャンルごちゃ混ぜな前作と違ってエンターテイメントに振ってきた印象。トラウマの深みが大人になると流石に薄れているかな。覚えてないレベルかー、という気がしなくもない。大人になった世界ではピエロは″慣れれ>>続きを読む

空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

4.2

超現実的な物語設定でありながら、叶わなかった青春もこれからの物語も詰め込んで教えてくれる素直な映画。都会=成功と対比することによって、逆説的にある人生を見いだし、問い正している。吉沢亮、吉岡里帆両氏の>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.1

作品ごとに「ジョーカー」の性質は微妙に変化している。ここでは道化を演じた不遇で圧倒的な弱者である男を出自にそのストーリーを丹念に描く。前作までのジョーカー像からすれば、手のつけられない危険性、何をしで>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

4.1

ジョーダン・ピールならではのコミカルかつシニカルなストーリーを存分に味わえる。脚本の作り込みは垂涎もの。社会派と評されるが、本線の裏で訴えかけているもの、その正体が一発では分からない、考えれば考えるほ>>続きを読む

世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)

3.6

大人の恋を大胆に描いた作品。片方は深海へ、片方は牢獄へ、極地で感じることは何かを想像させては、お互いの極が入れ替わり、そしてあっけなく浮上する、そんな世界観に仕立てられている。海層をメタファーに、相手>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

4.3

公開時に機内で見て以来観直したが、真面目に見ると凄まじく良かった。時間は相対的なものである、ということが実感できるストーリー。ベタに言えば愛は無限、ってことですかね…。宇宙に目を向けるということは、ま>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

3.7

人力をフル投入したアニメーションはすごい。解像度が違う。ストーリーはベタだったけど、周り全無視で突っ走る感じも相変わらず新海ワールドかなと。過去・現在・未来の位相に地球的な変動を重ねながら、ある種の果>>続きを読む

ガラスの城の約束(2017年製作の映画)

4.1

自分の両親について改めて考えてしまうような作品。どんな家に自分は生まれ、一体どんな親だったのかと。作中の父は、豪快過ぎているけど、自分のプライドだけは恐ろしいほど保っている。憎めない、いや憎むべき存在>>続きを読む

ワイルドライフ(2018年製作の映画)

4.5

60年代アメリカの社会情勢を暗喩する内容だが、それ以上に理想と現実にもがく、いち家族の物語の他でもない。悲しいくらいに崩壊していく家族を子ども目線で描いていくが、それに観客は感情を重ねていくことになる>>続きを読む

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)

3.3

主人公の薬物中毒の根本をたどれば当人に非がない。現在へと続くのィテールを語ることはなかったけど、相当なことをやらかした挙句、矯正の困難さを見せつけられる。少々過剰な母の態度は、薬物に唯一抵抗できるもの>>続きを読む

オーヴァーロード(2018年製作の映画)

3.9

SFっぽくもありノンフィクションっぽくもあり。ナチスの絶対悪を肥大化させてる点であるあるな作りだけど、作品としては抜群の完成度。ぶっ飛んだ肉弾戦とベタだけど愛嬌のある脇役も見所で、ホラー的な怖さもスリ>>続きを読む

バイス(2018年製作の映画)

4.6

端的に言えば期待以上! こんなにリアリティーある政治ドラマはなかった。不思議と数見た戦争映画より、スパイ映画より、すんなりと腑に落ちて恐怖を覚えるものはない気がする。時代が近いから? あまりに現実的だ>>続きを読む

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.5

よくもこんな筋書きを思いついたなと思う。死体のぶっ飛んだ設定には存分に笑っていい。現実の対極でありながらアイロニカルな存在である彼を、どこかかわいく憎めないというのがキモ。抜けかけていたもの死体に教え>>続きを読む

ある少年の告白(2018年製作の映画)

3.8

実話というのが恐ろしくなる話だが、それなりのリアリティーがあった。「神の倫理」への背信が、生来的でなく社会的にそうさせるものだと理解を強いられて、家族と人間との関係を悔い改めることから始まる。神の倫理>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.6

ヴィゴ・モーテンセン、こんなに振れ幅のある(いい意味で)役者だと思わなかった。マハーシャラ・アリは相変わらず繊細な演技で、観るものをはっとさせてしまう。ちぐはぐな2人が噛み合っていく様、130分ではも>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

4.3

イーストウッドの物語ではないけど、映画化したのには、どこか彼自身の人生につながるものがあるからなのだと思った。仕事が本質的に何かを犠牲にし続けるものであったら、それを引き受けたのは彼。家族が壊れるかど>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

3.8

「ヒューマンストーリー」が好き。感動を無理に誘われるくらいには退屈な方がいいです。序盤の喪失感をそのまま引きずったような絵作りで、華やかな宇宙開発の裏にある「なぜ宇宙へ行くのか」をしっとり観せてくれる>>続きを読む

フロントランナー(2018年製作の映画)

2.9

政治とマスコミについて深刻に考えさせられる。政治は報道にとっての「餌」であって、それを食べなければ生きていけない。綺麗に食べられない、ってところに問題があるのかなと思う。ただ、落ち度を人のせいにするの>>続きを読む

ゾディアック(2006年製作の映画)

4.5

答えの見えない事件に没頭し続ける男。一般的な正義感とは違う、犯人の残す暗号そのものに興味を引かれ、ミーハー的な視点からいつの間にか事件捜査のトップランナーに躍り出ている。そしてその男に動かされるように>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

3.7

不気味さを増幅させた映画。オリジナルは全く知らず、意味があるような要素とストーリーも全く理解できないのに、その世界観だけで楽しめる。ミア・ゴスはホラーの申し子なのか、ってくらい雰囲気ありますね。

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)

3.5

選択を誤ることを恐れるのが人の常だとすれば、選択の可能性をどこまでもポジティブに突き詰めた作品。「118歳・最後の人類」というぶっ飛んだ設定で、どのストーリーも達観して観てられる。結局どの岐路もパーフ>>続きを読む

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

3.7

ナチュラルな美を疎むというのは本能で、身なりを変えることによって追いつくことはできるけど、追い越せはしない。これがファッションにおけるひとつの本質なのではないか。

バード・ボックス(2018年製作の映画)

3.4

作品としての斬新さはもちろん、現場を共有できるだけの予備知識や全体を包括する神話への理解があるとより面白さが深まる気がする。ミストやクワイエットプレイスに近いかな。

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

3.3

「ダメ人間」の存在を心の底から肯定できる怪作。どんな状況でもマイペース、周りも相当頭のネジが外れているが、妙に人を落ち着かせるゆるいキャラ立ちが絶妙。ド派手で乱痴気、といったコメディはよくあるけれど、>>続きを読む

蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)

3.5

中学の頃ハマったのがダン・ブラウンとスティーグ・ラーソン。リスベットという強烈なキャラクターを味わえるのは原作、だけどスリリングかつサディスティックな描写と不気味な家族の像を味わえました。作家は変わっ>>続きを読む

マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)

3.3

ロスの暴動のさなかの顛末。混乱の中、突拍子のない子供の行動と、なんでもありな市民の暴力と、1人の女の恋愛と、入り混じりに描かれている。見せたいものが生きるように作るのが一般的なら、この映画は決してそう>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

3.5

理想することのイタさをまじまじと描いているような。それでも通じてしまう世界線があることと、そのクライマックスを見るだけで、僕は彼女を全うで、幸運な人間だと思ってしまう。渡辺大知は「恋愛小説」に不可欠な>>続きを読む