凄い手腕だ。監督はいったい何者だ?
原作をおじゃんにする映画化を何度も見てきただけに、このトットちゃんは有難い。映画化という作業に夢を持てるようになった気がする。
たしかに『窓際のトットちゃん』とい>>続きを読む
今でこそ私はだいたいの物事をコントロールできているが、昔はそうではなかった。ぜんぜん駄目だった。どこを向いても行き止まりだった。にっちもさっちもいかなかった。そういう気分に何度も突き落とされた。
そ>>続きを読む
ジェイソン・ボーン・シリーズが売れたのもよく分かる。
撮影技術などではなく、ノリがちょっと。
構成が興味深く、戦争モノなのにロードムービーとなっている。しかし同行者との絆は深まらない。理解すべき相手は助手席ではなく、目的地に居るからだ。
物語は必然的に目的地へ向かうことになる。命懸けで。たく>>続きを読む
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一切の前情報なしで映画を観て、
「こんな演技をするのは何者だ?」
そうやって俳優の名前を覚えることが稀にある。
初めてレスリー・チャンを見たときもそう。
今回もそう。
演技の幅が広すぎて、同一人物だと>>続きを読む
何かが起こるのを期待して、しかし何も起こらない。
いや、起こるには起こる。小さなことが。小さな良いことや悪いことが、たくさん。
それに満足できない私は幼いのだろう。
映画にドラマを求めている。なんなら>>続きを読む
大晦日上映という粋な計らいで観た。客席は七割がた埋まっていた。
上映後に拍手が沸いたのもよかったし、来年も「きっと、うまくいく」と思えたのもよかった。
川崎チネチッタ。良い映画館だ。
こういう家族愛(やそれに類するもの)を描いた大団円コメディは肌に合わない。
しかし長編アニメとして見た場合、思想が強いわけでもなければ特定の層に媚びるでもなく、なんだか人間を平等に見ている感じもするし>>続きを読む
何を作ってもいいと思っている。
実在した人間を貶めるのも、先行する研究や作品とそのファンを無視するのも、事実を捻じ曲げるのも、作る者の自由だと。
ただ、史実を改変するなら、理由を持ってやれよ。それが>>続きを読む
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ジャッキーを受け入れられるかどうかで、この映画の評価は大きく割れるだろう。
自分を自分でコントロールできずにどんどん行き詰まる。今日生きるためのプライドを守るのに精一杯で、明日のことすら考えなくなっ>>続きを読む
構図と音楽が抜群に良い。今敏も平沢進も、名前が売れるには理由があるのだなと納得させられる。
脚本も『インセプション』のようでーーいやむしろ『インセプション』が『パプリカ』のようだと言うべきだが、面白>>続きを読む
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「天国じゃ、みんな海の話をするんだぜ」
この設定ももちろん大好きなのだが、何よりも、
マーチンの海と出会う目、その眇めかた、
これが何度見ても意外で、ほんとうに好きで、ここに来るたび最高だと思わされて>>続きを読む
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虐殺が起こってもなお雪降る街は綺麗で、がらんどうの廃墟にはぞっとするほど魅入られた。
美しさは、きっと人の喜びや悲しみとは無関係にただ存在する。
だからこそドイツ兵はユダヤ人のピアノで泣いたのだ。
理不尽って辛いよな。本当の理不尽って、本当に辛いよなあ、ということを、きょう初めて真に理解した気がする。
たとえば、一秒で何らかの意図を伝えること。これは映画や小説や音楽にはできない。
上はブラピから下はスラムの住人まで、ステータスにかかわらず鑑賞できること。これは伝統絵画にはできない。
商業的な文脈と完>>続きを読む
すべてのフランス映画がそうというわけではないのだが、フランス人には起承転結という感覚が無いのかなと思うときがある。
同じことを繰り返し、繰り返して、最後いきなり締めにかかるような構成が多い。
タランティーノについて、このドキュメンタリーで語られていること。
たとえば差別意識が無いだったり、映画がすさまじく好きだったり、俳優の長所を知っていて、それを最大限引き出そうとしているだったり。
そう>>続きを読む
タランティーノは「こんなことやっていいんだ」にとどまらず、「やるならとことんやれ」という教訓を与えてくれるなあ。
FBIが実際どんなふうに仕事しているかなんて知らなかったから、わりと興味深く鑑賞した。
映画だと何かと派手な役回りだけど、ほんとはこういう地味で頭と気力を使う業務ばかりなんだろうな。
タイトルを「黒い雨」にしたことで、ただのヤクザ映画から格が一段上がっている。公開当時はジャパン・バッシングなどの政治的背景もあっただろうから、より考えさせられるテーマとなっていたことだろう。
高倉健>>続きを読む
フィンチャーは”イイ女”への造詣が深くて最高。
愛を信仰する全てのお目出度い幸せ者たちに見せてやりたい。
何なんだろうなあ、この様式美。
警備員のモブがブルース・リーのヌンチャクさばきにドン引きしてるとこ、劇中唯一の正気で笑った。
共感のあまり胸焼けがした。受信したくもないのに、馬鹿げたことどもが次々と五感に飛び込んでくることってあるよなあ。
東京へ来てから外出時かならずAirPodsでノイズキャンセリングしているのは、まさにこ>>続きを読む
サブカル愛好者って多かれ少なかれ「サブカルを好きな私」が好きで、それが本当にイタいのだが、この映画はそれすらも吹き飛ばすくらいビビッドで良かった。
イタくて何が悪いねん!
コーエン兄弟のせいで、ステ>>続きを読む
ゴダールって、どれだけ意味不明だろうが、退屈すぎて途中で寝ようが、最後には
「天才だ、観てよかった」
と思わされてしまう。天才だ。
「ひとめ惚れにもレシピがあるのよ」
という台詞が劇中でてくる。一見理屈の通っていないことにも因果があるということだ。
きっとこの映画自体も、センスとテンションだけで撮ったように見えるけれど、裏では綿密>>続きを読む
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実話ベースのくせにリアリティが無いなあと不満ながらに前半を観ていたら、本当にリアルじゃなかったのだから驚いた。撮り方が上手い。
「僕は化け物だ」
劇中ナッシュはそう語るが、統合失調症が化け物でないこ>>続きを読む
小さいころ何度も家族で観た。DVDの良いところだ。
今でも多くのシーンを覚えているのだから、余程の回数観たにちがいない。
この三部作はEDMみたいなもので、繰り返し視聴してそのリズム感を楽しむのが正>>続きを読む
本当に、素晴らしい脚本。
入り組んだ脚本を作ること、その筋を観客にも理解させること、理解できなければ二周でも三周でも観させること、すべての難しいハードルを本作はクリアしている。
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前二作が組織にすりつぶされる人間を描いたのに対し、こちらは自分におしつぶされる人間を描いている。いわゆるアイデンティティ・クライシスというやつだ。
「生きる」ことと「生きのびる」ことはまったく違う。>>続きを読む
(初回感想)
普通になりたいばかりに大衆に迎合することは、見苦しいを通り越して危険であるらしい。
(二回目感想)
あらゆるカットが美術館の絵みたいだ。女性を撮る構図は印象派を彷彿とさせるし、セピア色>>続きを読む
前編で描かれたラウの悪辣も、ヤンの受け身も、そうなるだけの理由があったのだ。
そう伝えようとする姿勢が優しい。
脚本も一本目に劣らず面白い。新キャラ、ハウの静かな凄味も良い。
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これもむかし映画館で観た。当時は知らない俳優の顔を見分けるのが苦手で、何が何だか分からないままにみんな死んでいった。
記憶のなかではスパルタン0-1は全滅していたから、再視聴してみると一人生き延びてい>>続きを読む
いいね。良質だ。想像してみてほしい。
君は映画館に座る。上映前に多種多様な予告が流れる。機械音とともにスクリーンが広がる。3:4から9:16の縦横比に。映画泥棒が警告を発し、Netflixのロゴが赤く>>続きを読む
カルトになるのは分かるのだが、少女の思考回路が非現実的すぎてずっと小骨が喉に引っ掛かる感じがあった。
と言いつつ好きなシーンは沢山あったので、これだけ魂のこもった映画をそんな小骨ごときで高評価しきれな>>続きを読む