sheepmanさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

クラッシュ 4K無修正版(1996年製作の映画)

4.0

J・G・バラードは本作の究極の役割は警告にある、と記している。この高度資本主義社会において、人々の欲望さえもがテクノロジーと密接に紐付き、それらがポルノグラフィーのように受容されてしまうということ。「>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

3.8

「Q」からようやく新劇もエヴァらしくなってきたように思う。何年にも渡って広げっぱなしにしてきた大風呂敷が新劇シリーズでようやく畳まれるのならばそれはとても有意義だと思うし、なんだかんだ期待し続けている>>続きを読む

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

3.9

何というか、やっぱりすごく良いなと思う瞬間と、観ていてものすごくあざとく感じて冷めてしまう瞬間がある(それは単純に歳を取ったからだと思う)。10代の頃に観ていたら刺さっていた?
90年代の病んでいて不
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

3.9

ラストシーンが良い。アスカの登場シーン、何故白のワンピースじゃないんだ。。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

3.6

再録ベスト盤って感じ。ヤシマ作戦とかアップデートされた作画で観られるのはやっぱり嬉しい。
ストーリーをTVシリーズより短い尺に詰め込んでいることから、展開がサクサクしてるしシンジ君も(比較的)聞き分け
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ゼイリブ(1988年製作の映画)

4.0

色んな所でパロディされたり、今なお参照し続けられる理由がよく分かるというか。なんてことはない、メディアが全てを牛耳る、極限まで高度に進行し切ったグロテスクな現代の消費社会と、事なかれ主義で見ないふりを>>続きを読む

リアリティ・バイツ(1994年製作の映画)

3.8

ファッションや音楽、社会への態度など、ストリート発のオルタナティヴなカルチャーが若者のリアルとしてマスへ向けたものへと取り入れられ始めた時期の映画という感じがする。「ジェネレーションX」というのがキー>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.1

臨場感を追求したワンカット(風)の技法は迫力満点であり、自分が実際に戦場を駆けずり回っているような気持ちになる。これは劇場で観たかったなー。
筋書きとしてはとてもシンプルなものなのだけれども、それ故に
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.8

デヴィッド・フィンチャーが監督してゲイリー・オールドマンが主演を務める映画を観ない手はないでしょ……と意気込んで、予め『市民ケーン』の予備知識を入れてまで臨んだ訳だけども、その他にもやはり1930年代>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

3.9

豪邸ザナドゥ城に住まい、富も権力も手中に収めたケーンの孤独が浮き彫りになるような見事な脚本と斬新なカメラワーク。映画表現としての基本が80年前に既に確立されていたということにまず驚く。
ケーンのモデル
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.6

卒業前夜を扱った青春学園モノ……という古より脈々と存在するジャンルで、どうしてこんなに斬新さを出せるのだろう。
クラスの中心を占める遊んでそうな奴らは実際の所、勉強だってそつなく器用にこなすものである
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ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)

3.7

ニューヨークの街並みやオードリー・ヘプバーンの黒のジバンシィのドレス、ティファニーのショーウィンドウ、「ムーン・リヴァー」の美しいメロディが映画ならではの見せ所であり、クラシックな作品としての評価へと>>続きを読む

荒野にて(2017年製作の映画)

4.6

父や競走馬のピートに対してチャーリーが垣間見せる、繊細な優しさに尽きる。この不条理な人間社会において、真っ直ぐであろうとすることは軋轢を生み、時に痛みを伴う。いろんな人々と道中で出会うロードムービーで>>続きを読む

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

4.0

作品とそれを産んだ作家自身のパーソナリティは切り離して論じられるべきである……、という事なかれな言説のせいで数多の案件が過去に揉み消されてきたことを考慮するとやはり言及することは避けられない訳だが、ジ>>続きを読む

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)

3.1

小説は昔読んだことがあり庵野監督による映画化作品の存在も知ってはいたが、まさか人生で実際に観る機会があるとは。ハンディカムを活用した(観てて酔いそうになる)”斬新”なカメラワークには失笑、明朝体白抜き>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.2

ロングショットで描かれる生活の機微のひとつひとつから浮かび上がる、痛い程の孤独と喪失感。
ルーニー・マーラがキッチンでパイをドカ食いするシーンにまとわりつくリアルさが鮮烈。愛する人を失った演技として説
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アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

3.9

犯行にあたり頑張って綿密に計画を立てていたのにも関わらず、実際に行動に移すとグダグダになってゆくのが何とも面白悲しい。クライムムービーを観て感化されたところで現実はそうはスムーズにはいかない。
大学生
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サイケな世界 ~スターが語る幻覚体験~(2020年製作の映画)

3.9

2020年においてLSDトリップがどれだけクールな意味を持つのかはわからないが、実際にトリップを経験したことのある著名人から語られる体験談はかなりスリリングで面白かった。
堅物のイメージがあったスティ
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TAU/タウ(2018年製作の映画)

3.7

このテの映画を観る度に思うが、人間はAIをひとつの人格としてみなして意思疎通を図り、共感することができるのか?SNSとか見ていると現時点では人間同士ですらそんなことできていないように感じるが……。まあ>>続きを読む

The Witch/魔女(2018年製作の映画)

4.3

すげ〜。組織によって秘密裏に誕生させられた超能力少女が覚醒する……という、これどっかの何かしらで見たことあるな的設定を置き去りにするようなキム・ダミの好演(『梨泰院クラス』のチョ・イソより原石感?が未>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

4.1

ストーリーの中に、(GAFAをモデルにした)巨大IT企業による所謂「スノーデン」的な個人情報漏洩の観点が滑り込ませてあるのが今っぽくて興味深かった。主人公、どっかで見たことある顔だなーと思ってたら『ア>>続きを読む

わたしを離さないで(2010年製作の映画)

4.0

オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』にも通じる、脈々と連なるイギリスのディストピアSFの伝統みたいなものを感じる作品。カズオ・イシグロの原作では中盤まで舞台設定の核心に触れられずに物語が進んでゆく>>続きを読む

レナードの朝(1990年製作の映画)

3.9

ロビン・ウィリアムズとロバート・デ・ニーロ、どちらも素晴らしい俳優である。特にデニーロはどんな役でも完璧に演じるからすごいよなとつくづく思う。。
1人の医者が患者達との触れ合いを通して、人間的に成長し
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.1

「何が真実か」ではなく「何が大衆の関心を引くか」を軸に据え、恣意的な報道をするメディア。決して反体制的な思想を持っている訳ではない、むしろ権威や公権力に対して無垢な憧れを抱いている保守的な1人の若者が>>続きを読む

LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)

3.5

品がありながらもどこかおバカでB級くさい感じが拭えないのがリュック・ベッソンぽいなーと。
脳の機能を100%覚醒させられるようになったら超能力を使えたり、『攻殻機動隊』の素子みたいに電脳世界に接続でき
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BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ(2020年製作の映画)

4.0

K-POPグループの中ではBLACKPINKが一番尖ってる感じがしてカッコいいっしょと日々なんとなく漠然と思ってたのですが、この作品を通して、改めてメンバーのパーソナリティーが少しでも理解できたように>>続きを読む

LOOPER/ルーパー(2012年製作の映画)

4.2

ライアン・ジョンソン監督、スターウォーズEP8のイメージが強くてあまりいい印象を抱いていなかったのだがこれは面白かった。SFアクションものだが、派手な映像表現は控えめで人間ドラマに重点を置いている。タ>>続きを読む

イット・カムズ・アット・ナイト(2017年製作の映画)

3.8

ホラーというよりサイコスリラー。A24製作の怖そうなやつということで期待して観たのだがやっぱり洗練されている。諸悪の根源である事象の正体を描かず情報を極限まで絞り、閉鎖空間で疑心暗鬼に追い込まれてゆく>>続きを読む

キャリー(2013年製作の映画)

3.6

デパルマの『キャリー』を観たのはいつのことだっただろうか、この映画で「プロム」という概念を知った覚えがある。
本作はリメイクな訳だけど、舞台も現代に移されているので虐められているキャリーの動画がスマホ
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アス(2019年製作の映画)

4.2

賛否両論あるので恐る恐る観たのだが、予想とは裏腹にかなり楽しめた。警察(公権力)の当てにならなさ、白人家庭のスマートスピーカーから流れるN.W.A.「ファック・ザ・ポリス」、影として暮らす人々、それら>>続きを読む

ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

4.4

同性愛に対しての理解が乏しかった時代や土地柄、それにカウボーイという職業もあるだろうがカミングアウトなんてもってのほかで、関係を維持するには人目を忍ぶしか手段がなかったんだろうな。アメリカ中西部の美し>>続きを読む

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)

4.3

50-60年代オハイオ州の田舎を舞台に描かれる、古き良きアメリカとその背後にある仄暗い闇(それは戦争であり猟奇殺人であり聖職者の欺瞞である)の対比。基本的にアメリカ郊外の田舎で起きるサスペンスが好きだ>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.6

知性をフル回転させられる。複雑に入り組んだプロットと、徹底的にリアルで精密、かつ壮大なスケールで繰り広げられるアクションシーンにはとにかく夢中にさせられっぱなし。示唆的だが確実に張られていた伏線が美し>>続きを読む

氷の微笑(1992年製作の映画)

3.9

ヒッチコック的マナーが色濃い古き良きサスペンスに、セックスと暴力の匂いがこれでもかと過剰に上塗りされたバーホーベンの真骨頂とでも呼ぶべき作品。下品でやりすぎなくらいが丁度良い。
事件の真相を追う刑事が
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.6

そういえば”シャイニング”って超能力のことだったんだな、とまず再認識。キューブリック版の映画『シャイニング』ではその辺の描写が疎かにされ気味で、それもスティーヴン・キングが映画版をボロカスに評価し続け>>続きを読む

ラスベガスをやっつけろ(1998年製作の映画)

3.9

アホみたいな映画だけど、その中で主題となっているのは60年代フラワームーブメントという実体の伴わない甘美な夢(ラスベガスの空虚な狂騒と重なる)の終焉であり、それはデュークがドラッグとの出会いを回想する>>続きを読む