sheepmanさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

3.5

ダメでしたね。観た後にネットで考察を読んだけど、ことごとく気づけていなかったことがわかり悔しい。チャーリー・カウフマン監督とあって一筋縄ではいかないんだろうなとは予想していたが……。デヴィッド・リンチ>>続きを読む

スキャナー・ダークリー(2006年製作の映画)

3.6

元も子もないことを言うと「普通に撮って欲しかった」。だってせっかくの豪華キャストなんだよ?キアヌ・リーヴス、ウィノナ・ライダー、特にまだヤク中のイメージが抜けきってない頃のロバート・ダウニー・Jrが演>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.7

『KIDS』や『ロード・オブ・ドッグタウン』に並ぶ、スケート青春映画の名作になりうるのではないだろうか。
わからない人にはわからなくたって全然いい。何の変哲もないように見えるストーリーの中にはストリー
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エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.2

自分らしく生きること、表現することに対しての、どこまでも真っ直ぐで力強く優しさに溢れた肯定。それはあまりに眩し過ぎる光のようで時に目を逸らしてしまいそうになる。
父との決別のシーンがとても胸に刺さる。
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リアリティのダンス(2013年製作の映画)

4.3

『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』の世界、そしてそこに存在していたマジックがそのまま現代の解像度で再現されていることに対してまず驚く。
商業映画のルールをことごとく逸脱した作られ方。素人くさい演
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スキャナーズ(1981年製作の映画)

4.1

クローネンバーグのセンスの賜物というか、レトロだが味わい深い特殊効果が印象的。チープなシンセが主体のエレクトロニックな音楽も良い。B級スプラッターものか?と思って観たが、その一方で割としっかりSFして>>続きを読む

トータル・リコール(2012年製作の映画)

3.6

ポール・バーホーベン監督、シュワルツェネッガー主演で映画化された1990年作品のリメイク。トリプルおっぱい姉ちゃんや検問通過おばさん(今回も果たして顔面は割れるのか……?)が登場するオマージュは愛を感>>続きを読む

ブラック・ミラー: バンダースナッチ(2018年製作の映画)

3.7

結局のところ自分が選ばなかった世界線で何が起きるのか気になるのでリピートしたくなる。こういうインタラクティヴな作品が今後流行るかは疑問だが、ひとつの形として面白くプレイした。
幻覚剤やサイケデリックア
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.6

スペクタクル。現代版『2001年宇宙の旅』とでも呼びたくなるような精細な映像は息を呑む程に美しい。リアルさにとことんこだわったクリストファー・ノーランの手腕をこれでもかと堪能できるし、またそれは映像だ>>続きを読む

岸辺の旅(2015年製作の映画)

4.6

1人の人間と生涯を共にするということ。それは完全な形に拘泥することではなく、中には許せないことだって含まれる。我々はいつだってイーブンな関係性を是としたがるが、結局のところ、相手に見返りを求めるのは愛>>続きを読む

ニンゲン合格(1999年製作の映画)

3.8

当時の黒沢清作品にしては異色なヒューマンドラマ。家族の絆をテーマにしているのだが決してベタベタすることなく、(時に違和感を抱く程に)ぶっきらぼうで殺伐としたセリフ回しの中に優しさがある。役所広司のシブ>>続きを読む

アカルイミライ(2002年製作の映画)

3.7

クラゲが海へと帰ってゆくように、無軌道で混沌としたモラトリアムにもいつかは終わりが訪れ、目を覆いたくなるほど平凡で退屈な毎日を直視しなくてはならない。時代性なのか、ちょっと前の邦画にはそういうテーマを>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

3.9

難解。「カリスマ」ともう一本の木は何のメタファーなのか?ある種こともなげに放り出されたようなラストカットをどう捉えるのか?
反優生学的な視点や、自然と人間との共存(あるいは自然への回帰)などのテーマが
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クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

4.6

いかにも黒沢清の作品にありがちな、今にも嫌なことが起こりこうな予感に包まれながら物語が進行してゆく。「自分の手を汚さず殺人を犯す」という設定、その後々においてのストーリーとの関わり方とか、その他にも何>>続きを読む

回路(2000年製作の映画)

3.7

黒沢清の不穏な演出を堪能できるのは嬉しい。Jホラーど真ん中な感じもありながら、終盤にかけて終末物SFみたいになっていくのはトンデモ展開ながらも少しテンションが上がる。
当時(ゼロ年代初頭)の等身大の若
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CURE キュア(1997年製作の映画)

4.7

観ているこっちが狂気に取り込まれそうになってしまう。他人に自分の心を掌握されてしまうことの恐怖。サブリミナル的に繰り返し挟まれるイメージと、引き延ばされた不穏なロングショットがそれに拍車をかける。こん>>続きを読む

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.8

銀残しを用いたナスティな映像処理が、昨今の高解像度な近未来SF作品に慣れてしまった自分にとって新鮮だった。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』しかり、この時期のスピルバーグ監督作品にはタイトで疾走感>>続きを読む

マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

3.6

ザイオンでの戦闘シーンが長々と続くため、少し退屈だった。風呂敷を広げたからには描き切る必要があったんだろうけど。。もっとマトリックス内でのサイバーな攻防が見たかったのにな。
一生懸命「リローデッド」の
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ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年製作の映画)

3.9

怖いもの見たさで観たのだけど、まあまあよく出来てるので面白かった。原作シリーズの熱烈なファンが観たらどう思うのかは知らないが……。実写CGの進歩もここまで来たらすごいね。頓挫している『AKIRA』の実>>続きを読む

トータル・リコール(1990年製作の映画)

3.7

PKDの原作にあったテイストをわずかにでも感じられるのは冒頭部分のみ。原作が短編であるだけに膨らませられる余白もそれだけ多く、後はレトロフューチャー感が存分に味わえる火星アクションSFへ。悪趣味かつ必>>続きを読む

マトリックス リローデッド(2003年製作の映画)

3.7

普通に難解では?公開された時リアルタイムで劇場で観たはずなのだが当時は全く理解できず、アクションシーンと満を辞して登場するキーメイカーのヴィジュアルが完全に普通のおっさんであることくらいしか印象に残っ>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

4.0

公開当時、この映画で「仮想現実」という概念を初めて知った僕は、当時最先端だった映像表現と共にめちゃくちゃ衝撃を受けたのでした。現実離れした存在として仮想現実を描くのではなく、今まさに認識しているこの世>>続きを読む

イノセンス(2004年製作の映画)

4.1

「既存のサイバーパンクSFのアニメーション化」の域を出なかった(それでも充分すごいけど)劇場版1作目よりも更にCG技術が上がっているし、オリエンタルで独創的かつサイケな映像表現、劇伴にやられる。という>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.0

大人になってから初めてちゃんと観たのだけど、『ブレードランナー』+『ニューロマンサー』なプロット、舞台設定だと思った。政府御用達のメガテク社が製造する「義体」を追う公安9課、という設定や、素子がちらり>>続きを読む

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

3.9

ハーレイ・クインはこれだけめちゃくちゃやってなおキュートなのがすごいよなー。
主演だけでなくプロデュースにも関わっているマーゴット・ロビーがインタビューで、悪しき男性性の象徴のような存在として描かれて
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若草物語(1994年製作の映画)

3.9

グレタ・ガーウィグ版『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を観たのをきっかけに鑑賞。こちらは出来事が時系列に沿って描かれているので、あらすじが理解しやすかった。「女性の経済的自立」というテ>>続きを読む

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

4.0

サイモン・ペッグとニック・フロストのコンビは鉄板。アクションシーンもかなり頑張っていて、オマージュ元への敬意と共に、単なるB級映画に留まらないぞという気概を感じるし、こういうのが後の『ベイビー・ドライ>>続きを読む

マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン(2014年製作の映画)

3.6

『オンリー・ゴッド』撮影時のニコラス・ウィンディング・レフン監督に密着した、妻のリヴ・コーフィックセン撮影によるドキュメンタリー。
前作『ドライヴ』で得た名声による重圧がとにかく凄かったんだろうなとい
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オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)

3.8

ライアン・ゴズリングが素手でボクシング対決始める所くらいから真剣なサスペンスものとして観るのは諦めましたが……。
徹底してこだわり抜いたであろう美しいカット割りの連続で構成された作りは偏執狂的ですらあ
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シーズ・ガッタ・ハヴ・イット(1985年製作の映画)

4.0

洗練されたユーモアがお洒落な、ブルックリンを舞台にしたラブコメディ。その中で、女性を「妻」や「家庭」という旧態依然とした枠組や、自分の理解の範疇に都合良く押し込めようとする男達と、それとは対照的に欲望>>続きを読む

mellow(2020年製作の映画)

3.8

誰かに想いを伝える、という行動を軸にして律動してゆく物語。登場人物の関係性がだんだん、さりげなく明らかになっていく感じが観ていて気持ち良かった。屋上の長回しのシーンが好き。
殺伐とした毎日を送っている
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.4

『若草物語』についての予備知識が殆ど無いまま観たのだが、夢を追う現代の若者を勇気づけてくれるような、とても爽やかなストーリーだと思った。アカデミー賞を取ったというので注目していたのだが当時の衣装の描写>>続きを読む

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)

4.3

『ブラック・クランズマン』もそうだったが、スパイク・リーの近作に触れると過去と現在がまるでシームレスに接続されてしまったような感覚に陥る。
キング牧師の暗殺を知らせるラジオ放送にて、5人がハノイ・ハン
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グッド・タイム(2017年製作の映画)

4.2

全てが高速で転落してゆくソリッドな犯罪活劇。ロバート・パティンソンは端正で絵になる(ハリーポッター・シリーズでセドリック役を演じていたことを踏まえると役者としてかなり脱皮したんだと思う)俳優だと思うし>>続きを読む

地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)

4.2

明確なストーリーやメッセージ性に欠けるという評価があるようだが、多分戦争には正義や道徳なんてなく、ただ想像を超えた混沌と狂気があるだけなのだと思うし、そう言った意味では本質を捉えた作品なのではないだろ>>続きを読む

めまい(1958年製作の映画)

4.1

偏執的に反復される場面の展開により、主人公であるスコティが狂気へと取り込まれてゆく様を見事に表現している。我々はいつの間にかヒッチコックの術中にハマっていることに気づく。シンプルながらもクライムサスペ>>続きを読む