sheepmanさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE(2019年製作の映画)

3.8

『ブレイキング・バッド』唯一の良心、ジェシーの後日譚。ある意味粛々とした締めに感じられた。シリーズ通して観た人は少なからずそう感じると思うけど、ジェシーには穏やかに暮らして欲しい。
当時のキャストが再
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デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.7

簡潔に言うと、B級ゾンビ映画をメタ的視点から捉えて作った映画。なぜ今ジャームッシュがそれをやろうと思ったのかは謎だが、どことなく素人くさくて脱力感溢れるビル・マーレイとアダム・ドライバーの絶妙な台詞の>>続きを読む

エイリアン4(1997年製作の映画)

3.8

“3”がイマイチだった人も観る価値があると思う。シリーズ屈指のグロテスクさ。VFXの進歩。アクションシーンのテンポも良く、クローン化したリプリーやニューボーン誕生の経緯などトンデモ設定にも関わらず、細>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

3.9

序盤こそ「異星人とのコミュニケーション」に重きが置かれているように思えるが、言語学のみでなく、時間という概念がストーリーを読み解くカギとなってゆく。
仮に先の未来がわかっていたとしても、前へと進むこと
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エイリアン3(1992年製作の映画)

3.6

デヴィッド・フィンチャーは本当に畑違いのことをさせられたんだなという印象。アクションシーンの突き抜けなさ、メリハリの無さ(”2”を監督したジェームズ・キャメロンの偉大さを改めて実感)、所々CG丸出しの>>続きを読む

エイリアン2(1986年製作の映画)

4.3

前作の設定を元にアクション映画の名作を撮りましたよ、といった感じ。1作目に存在していた建造物の美しさや退廃的な宇宙の風景はここでは見られないが、ベクトルが全く違いながらも完成度の高い続編となっている。>>続きを読む

エイリアン(1979年製作の映画)

4.6

本当に無駄がなく完成された映画。リドリー・スコット、ダン・オバノン、H・R・ギーガーの3人の才能が結集したからこそ出来た作品なのではないだろうか(『ホドロフスキーのDUNE』を観た後だから尚更そう思う>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.7

荒涼とした163分。高解像度、それでいて前作を完全に引き継いだ退廃的な都市の描写。徹底して示唆的かつハードボイルドな台詞回し。抑制されたライアン・ゴズリングの演技。70代半ばにしてハードなアクションシ>>続きを読む

ブレードランナー(1982年製作の映画)

4.5

退廃的かつハードボイルドな作風と、雨の降りしきる混沌とした2019年のロスの街並みがひたすらにカッコいい。当時の歌舞伎町の風景はリドリー・スコットの目には近未来の都市のように映ったのかもしれない。
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.8

まさしく「オタクのオタクによるオタクのための映画」。2045年が舞台なはずなのに、80年代ポップカルチャーが大好きな登場人物達。おじさん達のノスタルジーだと言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、壮>>続きを読む

未知との遭遇 ファイナル・カット版(2002年製作の映画)

4.1

ラストシーンの大団円、マザーシップのヤバい造形、強烈な逆光の使い方、ジョン・ウィリアムズの壮大な音楽にとにかく心を奪われる。スピルバーグのSF作品には子どもの頃に抱いた宇宙や超常現象への憧れが詰まって>>続きを読む

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

3.7

序盤、牧歌的かつ弛緩したムードの中その水面下では嫌な緊張感が漂っている。後半のしつこい攻防戦も飽きさせない。サメの造形は今見ても意外とリアル。事なかれ主義の市長の欺瞞や、海に繰り出す3人のキャラのちょ>>続きを読む

ヘアスプレー(2007年製作の映画)

4.0

真正面からレイシズムを扱っていて、ミュージカル調でなければ相当重たくなっていたのでは。もしこれをスパイク・リーが撮っていたとしたら?とても楽しくは観られないだろう。ロックンロール以降、白人の作るポピュ>>続きを読む

ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)

4.5

10代にして『KIDS』の脚本を書いたハーモニー・コリンが、こんなに優しい映画を撮るなんて。繊細な映像表現。誰かの真似をすることで生きている、孤独で不器用な人々への優しい眼差し。死があたかも何の変哲も>>続きを読む

天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)

3.8

修道院でみんなが歌うシーンのイメージが強かったので、こういう話なのかーと思いながら観た。ウーピー・ゴールドバーグの多彩な表情と、マフィア役のハーヴェイ・カルテルのシブさ。
当時のストリートが出てきたの
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

3.9

青年ディカプリオからおっさんディカプリオへの過渡期。同年の『ギャング・オブ・ニューヨーク』と合わせて彼の役者としてのターニングポイントになった作品じゃないかなと思う。
スピルバーグ監督ということもあり
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バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

3.9

ジャスミンの自由さ、大らかさが周囲の人々の心を和やかにしてくれる。俺もある日どこか知らない国の、知らない街の荒涼とした砂漠の果てにふらりと辿り着いて、自由気ままに第二の人生を送ってみたいなあと、ついつ>>続きを読む

SUPER 8/スーパーエイト(2011年製作の映画)

4.1

スピルバーグが70〜80年代に監督したSF作品達へのオマージュに溢れている。少し後には同じテーマを主軸に据えた『ストレンジャー・シングス』のバズがある訳だが、今振り返ってみるとJ・J・エイブラムスのそ>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.0

暗礁に乗り上げる捜査。取り調べを進める中で、暴行、自白強要など徐々に常軌を逸していく刑事達。モデルとなった実際の事件は公開当時、未解決。2019年に犯人が特定されるものの、改めて事件当時の警察による杜>>続きを読む

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

3.5

「炎の王国」という割に火山噴火のシーンは前半のみに留まっていたような。もっとガッツリ見たかった。
ちょっと突飛かつ力技な展開かなと思ったものの、人間のエゴで生み出したクローンを安易に殺めて良いのか?も
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.8

ドラーグ族の造形や色合いもそうだし、所々に挟み込まれるドラッギーな映像表現がぶっ飛んでいる。宮崎駿をはじめ、後続の表現者をインスパイアしたのも頷ける。
めちゃくちゃカッコいいサウンドトラックは、Jディ
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メン・イン・ブラック3(2012年製作の映画)

3.8

ウォーホルのファクトリー、ニューヨークメッツ、ラストの「エンパイア・ステート・オブ・マインド」……。トリロジーのラストを飾る本作を彩る、今昔NYへのリスペクトにグッとくる。タイムトラベルギャグはちょっ>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.9

テリー・ギリアム『12モンキーズ』の元ネタとなった作品。ほぼ全編がナレーションとモノクロの静止画(スチール写真)の連続で構成されており、映画的快楽を求めて観ると少し肩透かしを食らうかもしれないが、パリ>>続きを読む

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.8

学園もの青春映画もここまで来たんだな〜としみじみ。時代が変われど意中の相手のことを知りたい、不器用でもコミュニケイトしたいと願う気持ちは変わらない。随所に引用される愛についての格言とか、青臭くって観て>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.4

現代アメリカ人にとって信仰とは?個人として、または聖職者として、隣人を愛することとは?
例え聖職者であっても、資金を援助してくれる大企業には忖度せざるを得ない……という、地方の教会を取り巻く厳しい現実
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ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

3.5

シリーズ1作目のポイントを踏襲した作りに製作チームの気概を感じる。DNA操作で新種を生み出すのとか、いろんな制約が取っ払われてずるいなーと多少頭をよぎりつつも何でもアリで楽しい。VFXの劇的な進化は言>>続きを読む

ジュラシック・パーク III(2001年製作の映画)

3.5

やめとけばいいのに懲りずにまた島に行く皆さん、この辺になってくるとパターンが確立されてしまった感が否めず。
スピノサウルスの登場が本作の見どころだと思うのだが、最近尻尾の化石が出土し水生の恐竜だったこ
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ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997年製作の映画)

3.8

前作と比べ、純粋にスリラー要素へと振り切った印象。Tレックスがアメリカ本土に上陸するシーンはマジでどうなってしまうんだ…!?となる。見どころだと思う。
都合の悪い事実を隠蔽し、恐竜を金儲けの道具としか
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ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)

4.0

子供の頃大好きだったんだけど(恐竜マニアだった)、今観直してみても映画として完成されていて面白い。Tレックスの登場シーンや終盤のラプトルとの攻防など終始ハラハラさせられる演出の連続。スピルバーグ監督、>>続きを読む

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

4.6

ホドロフスキーは映画の、そして芸術の持つ力を心から信じている。彼は子供のように屈託がなく澄んだ目で、遂に完成することのなかった映画『DUNE』の構想を語るが、そこには予算の話は全く出てこない。本作の為>>続きを読む

砂の惑星(1984年製作の映画)

3.6

迷作であると聞いていたので、その心づもりでもって観たのだが低く設けたハードルのおかげか意外と楽しめてしまった。まあ適時ツッコミを入れながら観るのが正しい楽しみ方なのだとは思う。
映画史において、この作
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青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

3.9

生活感と湿度。光の入り方や陰影の作り方。熱帯夜、蚊帳、虫の声。むせ返るようなノスタルジアを覚える。随所に配置された緑が印象的な、洗練された内装も素敵。オールフランスロケだと知って少し驚いた。
1人の女
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

4.2

変容していく社会。世代間の乖離を、どちらか一方に偏ることなく、互いに良い部分は吸収し合えたらいいよねという風に押し付けがましくなく描かれていたのが良かった。ジェンダー的視点があったのも◎
現実はこんな
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裏窓(1954年製作の映画)

4.0

「主人公の部屋」という限定された場面で進んでいるとは思えない物語の広がり。他人の生活をこっそり覗き見ることに対しての好奇心。どこまでも示唆的で綿密に計算され尽くされた効果的な演出。
ヒッチコックの映画
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ホンモノの気持ち(2018年製作の映画)

4.0

『ブラック・ミラー』のエピソードにありそうな、AIとの恋愛をテーマにしたSF。ユアン・マクレガー×レア・セドゥというキャストに惹かれて観たのだが、ユアンはナイーブで繊細な中年男性役が板に付いてきたなと>>続きを読む