和桜さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

和桜

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ターザン:REBORN(2016年製作の映画)

3.1

スーパーヒーローの元祖はターザンだ、という考えの下でアメコミ映画に対抗して作られた新解釈ターザン。ただ既にジェーンと出会い英国に戻った時から話は始まり、過去と現在を行ったり来たり。正直オリジナルのター>>続きを読む

家族を想うとき(2019年製作の映画)

3.8

雇用に頼らない自由な働き方を推進する企業や国家に警鐘を鳴らすケン・ローチ監督作。
個人事業主という建前を与え労働法や組合を通さず手軽に搾取する構造、家族のために働きながら団欒の時間すら失われた矛盾。日
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サンセット(2018年製作の映画)

3.2

カメラが大仰にブレたり動くほどに撮影者の姿が思い浮かんでしまう。ドキュメンタリーならそれは利点なんだけど、映画になると少し苦手。
もちろんそれが活きる映画は沢山あるし『サウルの息子』なんかは鳥肌だった
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おみおくりの作法(2013年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

身寄りのないまま亡くなった人達を見送る市役所職員。効率化を主張する上司とは対照的に、時間をかけて誠心誠意寄り添うことで彼らの人生や生き方が見えてくる。猫を娘として可愛がり娘からの手紙まで自作する話は覗>>続きを読む

ぼんとリンちゃん(2014年製作の映画)

3.0

『殺さない彼と死なない彼女』の小林啓一監督作品。
役者さん達の演技は素晴らしいけど、オタクである必要がない話でもある。単なるマイノリティからより曖昧になりつつあるオタクという集団の中での分断。そこから
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映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ(2019年製作の映画)

4.3

この一ヶ月は常にすみっコぐらしが頭にあった位には衝撃を受けた作品。
ジョーカーを始め様々な作品に例えられてるのも分かるけど、暴力や悪意を描いてない点で全く違う。むしろ悪を描かずとも同じ世界を描けること
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ナチスの犬(2012年製作の映画)

3.9

ナチス占領下のオランダで収容所移送に携わりながら、陰で千人近くの子供達を救ったウォルター・ススキンド。
ドイツ系ユダヤ人である彼は家族のため移送作業の主任にまで上り詰めるが、収容所だと思っていた場所で
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明日の空の向こうに(2010年製作の映画)

3.8

旧ソ連の孤児三人が、国境を超えれば何かが変わるはずだと信じてポーランドを目指す。盗みどころかお酒やタバコも吸うし、一番下の子は大人達に笑顔や褒め言葉を振りまきながら食べ物やお金を頂戴していく。そうした>>続きを読む

スーサイド・ショップ(2012年製作の映画)

3.7

法律で自殺が禁じられた街。自殺に失敗すれば罰金が、成功しても遺族へ多額の請求書が送られる。家族のいない人々やどうしても死にたい人々は確実に死ぬため「自殺用品専門店」を訪れる。
これは「あなたの死が当店
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キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

3.2

来年の11月に延期となった『ゴジラvsコング』。公開された画像を見る限り、コングさんゴジラと同じくらい大きくなってるよね。日本で生まれたゴジラとアメリカで生まれたコングをどんな風に戦わせるんだろうかと>>続きを読む

バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.1

「人々は憎しみの話題にすぐ飛びつく。子供たちには憎しみではなく愛を伝えよう。」
宗教をテーマにしたインド映画は頷いてしまう反面、突き抜けて好きなものは少なかったけどこれは完全に心を掴まれた!
パワフル
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教誨師(2018年製作の映画)

3.1

6人の死刑囚と教誨師の対話。
死刑制度や法律へも切り込んだ同じ題名のノンフィクションが存在するだけに、制度的なものへの言及は殆ど無くかなり慎重な作品に見える。結果として死を通して生を描く的な話にも取れ
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ディアマンティーノ 未知との遭遇(2018年製作の映画)

3.0

ポルトガルも色々と大変そう。と思ってしまう映画。
国民的スターであるサッカー選手の社会的転落と周囲からの解放を描いてるんだけど、描き方はアート系の方向に近い。いわゆるゾーンと呼ばれる状態が、フワフワの
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ルート・アイリッシュ(2010年製作の映画)

3.5

バグダッド空港と米軍管轄区域グリーン・ゾーンを繋ぐ「ルート・アイリッシュ」。常にテロの標的として曝される世界一危険なこの道路で、派遣された民間兵士が死亡する。彼の友人である主人公は様々な疑問を抱き死の>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

3.9

1930年代のベルリンを舞台に起こる猟奇殺人事件。子供ばかりを狙う犯人とそれを追う警察やギャング、市民を描いたサイコスリラー。
監督はフリッツ・ラング。この時代、心理学の研究においてドイツは最先端を走
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郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942年製作の映画)

3.1

ルキノ・ヴィスコンティ監督の長編デビュー作。その日暮らしに満足する男と、好きでもない男と結婚し召使いのように使われる女。二人が出会い不倫関係に陥りながら、揺れ動く感情や意見のぶつかり合いが描かれる。原>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.9

スティーヴン・キング同名小説が原作。原作と違うのはキューブリック版『シャイニング』の設定を出発点に、キングの元へ全力で走って行く監督の姿。
結末もかなり違うんだけど、キューブリック版があったからこそ実
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運び屋(2018年製作の映画)

4.0

間違いだらけの人生の果てに気づいた、本当に大切なもの。これまでの時間がどれだけ愛おしいもので、取り返しのつかない瞬間だったか。それがどこかで聞いたことのある答えだったとしても、イーストウッドの口から語>>続きを読む

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

3.8

テロに対する「対話」の可能性と不可能性を同時に突き付けられる。
テロリストに襲撃されながら「お客様は神様です」と発する従業員。人によってはゾッとするこの言葉は、客との従順な関係ではなく対話によって最善
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.0

無宗教ではあるけど、自身の宗教観的なものに大きな影響を与えたのは遠藤周作が書いた『沈黙』。その後に他の著作を読んでモヤが晴れたような気になった。
遠藤周作は「日本人にとってキリスト教とは何なのか」とい
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.1

「教会へ行くんだ、いつかわかるさ」
監督には前を向いて新しい挑戦をしていく人と、後ろを向きながら書き直したり継ぎ足していく人がいるけど、スコセッシ監督は明らかに後者。キリスト教やギャングといった幼少期
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五億円のじんせい(2019年製作の映画)

3.9

子供の頃に心臓の病にかかり、大勢の募金によって命を繫いだ青年。毎年テレビで特集を組まれ、常に周りの視線を気にして真面目に生きようとしてきた。しかし、高校受験を前に自分の限界が見え始め、自分にそのお金に>>続きを読む

或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.0

大好きなフランク・キャプラ監督作品。
結婚を反対されたわがままで世間知らずなお嬢様が、ダイナミックな家出をするシーンから始まるロマンティック・コメディ。彼に会いに行く途中で新聞社をクビになった男に何度
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黒い罠(1958年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の長回しと爆発は今見ても圧巻で引き込まれる。アメリカとメキシコの国境が横切る町を舞台に、事件を追う中で明らかとなる警察の内部不正や麻薬問題。これもまた現代でタイムリーに描かれ問題視されている話。>>続きを読む

地球、最後の男(2011年製作の映画)

3.6

内省系SF映画。
内宇宙の模索やセンス・オブ・ワンダーこそSFの醍醐味だと思ってるから、好きな類の映画なんだけど少し残念。後半につれて『2001年宇宙の旅』や他の名作の影響を受けすぎてる。ユーバンク監
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黄金のアデーレ 名画の帰還(2015年製作の映画)

3.7

ナチスに奪われたクリムトの「黄金のアデーレ」を巡る実話。アメリカ在住の女性が、オーストリア政府に対して絵画の返還を求めて裁判を起こす。
頑なにオーストリアの地を踏みたくないと訴え続ける謎。その理由が、
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ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年製作の映画)

2.8

東野圭吾作品には『秘密』や『時生』みたいなSFとファンタジーが混じったような小説もあるしむしろ好きなんだけど、これはどうなんだろう。最近の東野圭吾作品を読んでないので読んでみたくなった。

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で鑑賞。
家庭や仕事の息抜き旅行が、警察に追われる逃亡劇へと一転する。リドリー・スコット監督によるバディ&ロードムービー。
逃走犯として社会から逸脱する中で、理不尽に抑圧されてきた感情
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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

4.0

「書くことは僕の祈りとなった」
J・D・サリンジャーの伝記映画。小説を書き始め『ライ麦畑でつかまえて』を完成させるまで。その出版によって大混乱に陥る世界に対して背を向け始める彼の姿が描かれる。
自身の
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.7

ゴッホが見た世界を観客と共有する。画家でもあるシュナベール監督だからこそできた挑戦。
他人とは違う世界をみているゴッホの苦しみが痛いほど伝わるだけに、一部の主観映像は監督の域を出てないように思える。た
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マローボーン家の掟(2017年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

二回目の鑑賞。
公開当時からネタバレ禁止と言われ続けていたため、序盤の会話から幽霊なのかなと疑問を抱いた一回目の鑑賞。
あの兄弟の誰かが見えていない、既に亡くなったいるのは前半で気づけるんだけど、この
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汚れた血(1986年製作の映画)

3.0

ハレー彗星が接近し熱帯夜が続く地球。人々は愛のないセックスで感染する奇病の蔓延に怯えていた。主人公は父親譲りの才能をかわれ、特効薬を盗み密売しようとする計画に巻き込まれる。
設定やあらすじだけで面白そ
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ほとりの朔子(2013年製作の映画)

3.9

これでもかと日常会話が続けられるのに、その本音が見えてこない。映画において会話は映像と同じくらい情報を伝えてくれるはずのものなんだけど、それが絶対的なものではないことを突きつける深田晃司監督作。
深田
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ボディ・スナッチャーズ(1993年製作の映画)

3.4

気付かない間に周りの人間の中身が入れ替わっている。自分と同じ人間は残っておらず、帰る場所も逃げる先もないのではないか。
謎の生命体によるそんなSFホラーが、居場所を見つられない思春期の主人公の不安と重
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クスクス粒の秘密(2007年製作の映画)

3.5

「移民の悲しみはもう終わりだ。移住してよかったと思いたい。希望を抱いてこの国に来た。」
フランスの港町で暮らすチュニジア系移民の家族やコミュニティ。退職金で船上レストランを開いて再出発しようとする主人
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ANON アノン(2018年製作の映画)

3.5

人間の視覚/聴覚情報がデータベース化され、プライバシーが皆無の近未来。事件が起こっても捜査官は個人の記憶にアクセス出来るためすぐに解決してしまう。そんな未解決事件がなくなったはずの世界で、起こりえない>>続きを読む