和桜さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

和桜

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よこがお(2019年製作の映画)

3.7

あらすじから漠然としたイメージが湧いたとしても、そこに映像と音を加えるだけで別物になるのが深田監督作品。まさに要約不可な映画とも言える。
今作はこれまで個との関係性を主軸に扱ってきた監督が、社会との関
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ゴモラ(2008年製作の映画)

3.3

イタリアのナポリに巣くうマフィアたちの日常。スーツ姿の幹部なんて出てこない、正直誰が地位のある人間だったのかも見分けがつかない程にくたびれた姿しか映らない。
マフィアに憧れる少年、縄張りを荒らす二人組
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アメリカン・ソルジャー(2017年製作の映画)

3.8

イーストウッド作『アメリカン・スナイパー』の脚本を書いた、ジェイソン・ホール監督作。原作は『帰還兵はなぜ自殺するのか』。前作に続きアメリカの帰還兵やPTSDの問題を暴いていく。
他人の目には見えない症
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手紙(2006年製作の映画)

3.8

東野圭吾原作の映画は、小説を読んだ後とは感じるものが違ってしまう事が多い。中には全く違ったり酷いものもあるんだけど、この作品は『容疑者Xの献身』を見るまでは自分の中で最も完成度が高い東野映画だった。>>続きを読む

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)

3.7

六年ぶりのパスカル・ロジェ監督作。
暴力や恐怖によって痛烈な現実を訴えかける手法は健在。社会風刺や哲学的だった過去作に比べ、ホラーや物語愛に満ちた今作は今までの中で最もヒューマンドラマ寄りかも知れない
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バハールの涙(2018年製作の映画)

3.2

「被害者であるより戦いたい」
ISと戦うクルド人女性武装部隊、太陽の女たち。その背景として彼女達自身が人身売買され奴隷としての扱いを受けてきた過去が描かれ、戦闘員として訓練されているであろう捕まった我
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

4.0

アーミーナイフをもじったマルチな機能を持つ死体。見る前は合わないだろうと思ってたし、序盤は子供達が真似しそうとやきもきしたけど、中盤以降は釘付けになった。
水死体やオナラを始め、世間では早々に片づけら
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チェンジリング(1979年製作の映画)

3.5

80年代頭の古典的名作ホラー。ここでの演出は現代のホラー映画にも受け継がれ、なにより「館系ホラー」が好きな人は楽しめるはず。
ただホラー映画としてはあまり怖くない。これは主人公が不気味な館に対して「こ
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

虚構と現実が交差するハリウッドのお伽話。
NG集で役者の演技が素に戻る瞬間が好きなんだけど、この映画はその境界を行き来する夢のような世界だった。こんな世界であの映像や音楽が流れる幸せ。当時のテレビ番組
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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

男二人と女二人のプチロードムービー。
女性陣が男たちに港まで送って貰おうと乗り込み、シャイな男達はその流れに逆らえず進む。話も盛りあがらず悲しくなる空気。それでも男達は威厳を保って、女なんかに興味は無
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反撥(1964年製作の映画)

3.5

姉の彼氏への拒絶反応から徐々に男性一般への恐怖が増していき妄想に取り憑かれていく妹。主観的な映像に映し出される気持ち悪さや精神的な歪み、これらを絵として伝えてくるポランスキー監督作品。
現実と妄想の区
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ククーシュカ ラップランドの妖精(2002年製作の映画)

3.5

ラップランドでフィンランドとソ連が戦争をしていた第二次世界大戦末期の話。負傷したソ連兵をサーミの女性が介抱している最中、懲罰から逃れたフィンランド兵が迷い込み、お互いの言葉が通じない中での奇妙な共同生>>続きを読む

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)

3.3

初めて見たときは今作がユニバース形式を取るとは知らず、単独作品として見てしまいイマイチだった。ただ『ゴジラ キングオブモンスターズ』の迫力を映画館で体験した今では、少し露骨なメッセージ性とゴジラが出て>>続きを読む

ロケットマン(2019年製作の映画)

4.2

自助グループでの告白から始まるエルトン・ジョンの半生。
ミュージカルは基本的に個人の心象風景的な側面があると思ってたんだけど、ここで挟まれるミュージカルは少し違う。孤独や依存症を抱える本人が実際に見て
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龍の歯医者 特別版(2017年製作の映画)

3.2

龍が人を助け、人が龍を助ける世界。龍を虫歯菌から守る歯医者達の物語。
映像は物凄く綺麗なんだけど、その綺麗さがぶっ飛んだ舞城節を押さえつけてしまってちぐはぐさも感じる。舞城王太郎原作の映像化をもっと見
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柔らかい殻(1990年製作の映画)

4.0

登場人物が何を考えているのか分からない。これを徹底すると恐ろしいホラーになる実例。多分これは子供が感じてる世界なんだけど、子供達でさえ何かに操られてるようで怖い。役者達も明らかに違うものを見てて、不安>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

4.0

何かの視点で固定された映画はいくつもあるけど、PC画面に固定するのはさすがに斬新すぎる。
しかもこのアイデアだけでは終わらない、ミステリー・サスペンスとしてもかなり面白かった。SNSを初めとした様々な
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女神は二度微笑む(2012年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

個人的に注目してるインドのスジョイ・ゴーシュ監督。インド映画でありながら踊らないけど、インド音楽やジョークを飛ばしながら極上のミステリー、サスペンスを提供してくれる。

ただこれをミステリーとしてみる
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スライディング・ドア(1997年製作の映画)

3.7

電車に乗れた世界線と乗れなかった世界線。二つを同時に進行させていく恋愛映画。この構成が面白くて、80-90年代の映画はかなり振り切ったユーモアたっぷりな設定が多くて良い。二つの世界線も髪形が違うから見>>続きを読む

海を駆ける(2018年製作の映画)

2.9

「良い映画とは鏡のような映画」と語り、一定の距離を置いた上で観客自身の考え方をあぶり出してくる深田監督。今作は分からないものを分からないまま描いたということで、今までの作品よりも更に掴み所が難しい。>>続きを読む

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

3.9

宝石強盗に失敗した男達が、裏切り者の影に怯え疑心暗鬼になっていく。
タランティーノ作品の中でも一番好きなのがこの映画。監督の特徴である意味を得ない会話の内容まで好みで、歌詞の解釈やチップをあげるかあげ
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若おかみは小学生!(2018年製作の映画)

3.7

少女が両親の死を受け入れるまでの物語。事故から唐突に場面が飛び、既に心の整理がついた後にも見えるんだけど、底の部分では様々な感情が渦巻いてる。向き合い方が分からないのか、他の人に迷惑をかけるまいとして>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

3.8

内戦から逃れた兄妹が離れ離れとなり、その兄はフィンランドへと辿りつく。経済や治安の悪化から移民政策が見直される中、難民申請は難航し暴力や差別に直面しながらもあるレストランのオーナーと出会う。
こう書く
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ヒトラーに屈しなかった国王(2016年製作の映画)

4.1

1940年4月、中立国ノルウェーにドイツ軍が突如侵攻。降伏か抵抗かという甚大な被害を及ぼす決断に、ホーコン7世は悩みながらもある信念を掲げる。
国王が国政に介入して取った行動が、なぜ現代まで語られる民
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.2

ディズニーワールドのすぐ側の安モーテルでその日暮らしをする母と娘。夢と現実が隣り合わせの街並みを背景に、貧困や薬物といった社会問題を子供の視点から描いていく。
こう書くとシリアスっぽいんだけど、実際は
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グッドモーニング、ベトナム(1987年製作の映画)

3.8

主演作の中でも圧倒的なロビン・ウィリアムズ劇場が楽しめるのがこの作品。
泥沼化するベトナム戦争の最中、サイゴンへ派遣された人気DJクロンナウア。軍のラジオ放送で兵士達に笑いを届けながら、ベトナム社会に
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レナードの朝(1990年製作の映画)

4.0

8月11日はロビン・ウィリアムズの命日。子供の頃にテレビで見た『ジュマンジ』は衝撃的で、間違いなく自分を映画好きに導いてくれた。
幅広い役柄の中でも印象的だったのがあの笑顔とユーモア。こんな医者がいて
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戦争のない20日間(1976年製作の映画)

3.9

アレクセイ・ゲルマン監督が描く従軍記者の短い休暇。疎開地と前線の温度差、日常に潜む戦争の影を映し出す。直接的に戦争を描いてはいないのに、空気としてその不穏さや悲痛さが伝わってくる。
一時の休息から再び
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プレデターズ(2010年製作の映画)

3.2

世界中から集められた戦闘エリート達。この展開だけで熱い。そんな集団が謎の惑星に連れてこられてプレデターと戦うなんてもう設定勝ちです。登場人物の個性や使用する武器が際立ってるのも凄く良い。
最年少でアカ
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或る終焉(2015年製作の映画)

3.8

カンヌの常連になりつつあるメキシコの新鋭、ミシェル・フランコ監督。
終末期の患者を担当する訪問看護師の日常。これを引き気味の固定カメラを始めとした淡々とした描写で撮っていく。音楽や心情を伝える台詞も殆
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炎628(1985年製作の映画)

4.3

ナチスドイツ支配下の白ロシアを舞台に、少年の視点からナチスの移動虐殺部隊(アインザッツグルッペン)や戦時下の狂気を映し出す。現代では撮ることが難しい類の映画で、それ故に残し続ける必要のある名作。タラン>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.2

「子育てって免罪符じゃないですか?男にとって。みんな帳消しにされていく気がしますもん、自分がバカでクズだって事を全部忘れて。」
子供を持たない選択をしたはずの夫婦。妻が亡くなり、夫が生きがいにしたのは
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

4.8

妻を目の前で失った男の喪失と再生、その間に起こる破壊衝動が描かれる。2017年のマイベスト1。
まず主人公の設定が秀逸で、年齢を少し下げても社会的地位を剥奪しても全くの別物になったと思う。自分が一番好
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友罪(2017年製作の映画)

3.4

「罪を犯した人は幸せになれないんですか?周囲の人も不幸せそうにその人を見なきゃいけないんですか?一緒に笑ったり出来ないんですか?」
人を殺めた犯罪者やその家族の人生を描きながら、その生き方を問いかける
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ビジター(2012年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

多くのレビューで「騙された!」と書いてあるのに現時刻では2.9/5.0という低評価。そんなチグハグさに興味を持って鑑賞。かなり好きな作品でした。
ただ単に幽霊でしたというオチで終わらず、彼らに恐怖を芽
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未来のミライ(2018年製作の映画)

3.4

公開当時溢れていた酷評をみて、劇場ではスルーしてしまった作品。期待値低めで見たためか悪くなかった。後半が特に好き。
序盤は結婚して子供が生まれ家庭を築いた作家が一度は描きたくなる家族の形。ただあそこま
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