しんどうさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

しんどう

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少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)

4.1

周囲の人間に敵意の目を向けられ、死人のように生きている主人公が、過去を振り返りつつ自身の不条理なできごと、自分になつかない実の息子を思いおこす。この映画全体を通して、「なぜ?」の単語が終始頭をまとわり>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

3.2

アイドルオタクたちの日常を描きながら人間にとっての幸福の意味をさりげなく問い直した青春映画。ここに登場したオタクたちはお金もなければ恋人もいない、大多数は仕事もしていないという人間なのだが、彼らを敗者>>続きを読む

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

3.4

全体がラップミュージカルのごとくテンポにあふれぐいぐい引き込まれる。ブラックの街とそこで営業するイタリア人をはじめとするカラーズたち。 反発しあうが、ぎりぎりのバランスで保たれていた。
いがみ合った
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ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)

4.1

実際に起きたことを元にしているだけでも十分な説得力はあるが、リドリー・スコットが見せるこの戦闘シーンがまた壮絶を極めていて凄い。スピルバーグが描く戦争シーンも凄まじいが、リドリー・スコットの場合は見せ>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.6

美男美女のラブストーリーで酔わせる甘さと、出会いのぎこちなさやのしかかってくる生活のリアルの厳しさとのブレンドが絶妙。彼らの、想いが徐々にすれちがっていく様は、多分年齢を重ねた人のほうが刺さるんじゃな>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

ずっと前から期待して、ハードル上がりきった状態で見たけど、軽く超えて来た。

物語が終わる時のタイトルが響く。束の間の夢のような世界。取り込まれなかった最後の洗濯物を見た時、あっ、と思える演出。うまい
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ブラッド・シンプル(1984年製作の映画)

3.9

よくある不倫の泥沼劇なのだけど、それを独特のカメラワークと思わせぶりな演出でもって撮影。スリラー映画としても満足のいく仕上がりになっている。
ちょっとしたミスや思い込みがストーリーをあらぬ方向へと転が
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戦争のはらわた(1977年製作の映画)

3.4

サム・ペキンパー監督らしい硬派な戦争映画。しかも、設定は独軍と露軍の闘いという設定にしているところが面白い。TVで観ても戦闘場面の激しさは迫力あるし、得意のスローモーションを取り入れた映像も見事。主演>>続きを読む

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.6

政治的な題材をもエネルギッシュなサスペンスフルな作品に仕上げる韓国映画には感服。イ・ビョンホンの凛とした佇まい、内に込めた熱量、対峙する大統領、警護室長、元中央情報部部長ら、いずれも一筋縄ではいかない>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

3.1

花火のポンヌフ橋と、ポスターの放火シーンの映像の美しさは圧巻だった。現実と非現実の間を行き来する夢の中のような世界。映画的な魅力に満ち溢れていました。

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.0

中盤までのありがちなヤクザ映画から終盤は一転して現代社会の不寛容さを描く社会派に一変する。終盤はケン・ローチ映画を観ているようないたたまれない気持ちにさせられた。教育映画としても効果ありそう。

バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

単純にエンタメとして面白いだけでなく、ブラジルの社会問題などを踏まえた射程の広い作品でもありました。
最早ハリウッドでは絶対に撮れないであろう現代版西部劇。
地図から消えた田舎町、呪術的な異空間、政
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乱れる(1964年製作の映画)

4.5

冷たい周囲の目と、一度固まってしまった中年女の心と、青い若者の情熱が、かみ合うことなく傷つけ合うという、悲しいお話でした。
切ないというより、いたたまれない気持ち。でも透き通った美しいものを受け取っ
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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命(2012年製作の映画)

2.5

どういうストーリーかよくわからずに見た。
ものすごいボリューム。連続ドラマでもいいんじゃないかと思うくらい。
そして内容もヘビー。けれど、辛い辛いと思いながらも惹きつけられた。
完全な悪人も善人
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欲望という名の電車(1951年製作の映画)

4.5

壮絶な人間ドラマ、悲劇ではあるが、見方を変えればある意味、喜劇でもあるかもしれないというドラマ。
どんどんとドラマの世界に引き込まれていき、人間の弱さ、残酷さ、愚かさがむき出しにされていくプロセスに
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名もなき塀の中の王(2013年製作の映画)

2.8

極悪人が収監される刑務所の中のハードな日々の物語。オープニングから息をつかせぬ激烈なバイオレンスものでありながら、終わってみれば父子のいびつな愛の物語というこの素晴らしさ。こういう歪さの中にも愛はある>>続きを読む

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

長時間の鑑賞にも拘らず舞台劇のようでとても楽しかったです。皆怪しくてオチも良かったです。保安官が若いせいもあり本当に保安官なのか信用できずモヤモヤ進行していき、彼が最後に頑張って解決するさまは男も上が>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

3.3

ゴジラという存在があらわれたらどうなるかが、きちんと描かれている点はすばらしい。やはり終戦から9年しか経っていないせいもあるだろう。大人、子供、あらゆる人々がゴジラによって戦争さながらに苦しむ姿が描か>>続きを読む

しとやかな獣(1962年製作の映画)

4.3

このタイトルいいですね。
前衛的というか実験的というか、とにかく一筋縄ではいかない映画でした。
何だ何だ?って思わせるストーリーと畳掛けるような台詞の応酬、若尾文子の妖しいビッチぶりも最高。
評価が高
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薔薇の名前(1986年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

完成度が高く独特の雰囲気が流れている作品だと思う。ただ話が難しくて全てを把握は出来なかった。
ラストで書物も多数焼けてしまうなどハッピーエンドとは言えない展開でしたが、年月がたってからのアドソの恋につ
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見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ヒッチコックは観客をじりじりさせるのが本当に上手く、ほとんどサディスティックですらある。
おまけにただ単に緊迫感を盛り上げるだけでなく、どことなく洒落てる。遊園地やテニスの試合場といった場所の使い方、
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40歳の童貞男(2005年製作の映画)

3.9

結構下品だけど、ゲラゲラ笑ってしまいました(特に初めてトリシュの家に行ってイチャイチャしてるところに娘と彼氏が来るシーン)。
最後のほうはベタな展開でしたが、まあ楽しい気分になったのでよしとします。下
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ディア・ドクター(2009年製作の映画)

3.1

現代の医療が抱える問題の中に、愛情を主にした、人間ドラマを巧みに融合させている。
作品の性質上、刑事の語りなどにどこか説明的とも思える箇所はあるが、それでも充分リアル。
あまりにキャラクターが普通の人
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ブラジルから来た少年(1978年製作の映画)

3.2

タイトルとあらすじだけでこれだけワクワクさせられる作品も珍しい。
35年以上も前の作品だが、SFミステリーとしてこれ以上ないぐらい面白い題材で今見ても十分に楽しめる内容だった。94人という数字もなかな
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.8

絵に描いた如く美しく平和な日常の光景にも、ひと皮めくれば不気味で醜悪で実に不可解な闇の世界が潜んでいる。
この作品の全てを暗示しているかのような冒頭シーンから、D・リンチの仕掛けたアブノーマルな陶酔の
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暁に祈れ(2017年製作の映画)

3.5

実話とは思えない刑務所の世界。
本作でビリーが待ち受けたものは自業自得故の結果であり、致し方無いにしても余りにもとその範疇を超えている。そんな事実を圧倒的な迫力で再現した本作は素晴らしい出来だと思う。

ドリームハウス(2011年製作の映画)

2.5

一家惨殺事件のあった一軒家に何も知らず越してきた四人家族が体験する異様な出来事を描くホラー映画。
主人公が列車内で目撃する不審な男や、隣人夫婦の訳ありな態度と視線、さらに主人公の妻が来客に挨拶をしない
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リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)

3.7

椎名林檎は3日じゃ無理だけど、ブルーハーツなら何とかなる、みたいな高校生なら誰でも通る道的な計画性のなさが好きですね。
勢いに任せられる恐れ知らずな頃が懐かしい。

リアリズムの宿(2003年製作の映画)

3.8

鳥取に行きたいというか、ずーっと海っぺりを歩くということをしてみたくなる。
ふと、笑いが漏れてくるような間の取り方とカット割が、とても好きかも。
風呂が汚すぎでリアルにあふれてました。

17歳のカルテ(1999年製作の映画)

3.8

ウィノナ・ライダーの熱意が産んだ作品。アンジェリーナ・ジョリーをはじめとした脇役陣も見事な存在感。同世代の仲間が集まったおかげか、互いに切磋琢磨した演技が画面にみなぎっている。
60年代という時代設
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受取人不明(2001年製作の映画)

3.9

貧困、暴力、歪んだ性描写。のっけから目を背けたくなるエピソードの連続で、ここまで残酷なものを見せる必要があるのか疑問を抱きつつも何故かリタイアできなかったばかりか時折心を抉られてしまった。
キム・ギド
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生き残るための3つの取引(2010年製作の映画)

3.7

警察と検察のガチのだまし合い殴り合いが見所。
結局いいやつはマ・ドンソクくらいだし、人間のさまざまなイヤーなところを多少なりともキャラの中心に備えているので、鑑賞後は全くすっきりしない。それが良いのだ
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ベルリンファイル(2013年製作の映画)

3.8

複雑だけど決して難解な話ではなく、スピード感のある展開や、激しいアクションでも魅了し、しかも、夫婦愛のメロドラマまで盛り込んでいる。
これでもかと言うまでの内容の盛り込み方はさすが韓国映画。面白い。

マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)

3.7

マイルを貯めることが生きがいの偏屈男が大切ななにかに気づいてハッピーエンド…となるかと思わせてのあのラスト、じわじわくる。生き方なんて人の数だけ答えがあっていいんじゃないの?と思えるのは、登場人物が魅>>続きを読む

脱出(1972年製作の映画)

3.0

ダム建設予定地で沈む米南部の村の山地の狭間に流れる川の渓谷へ、カヌー下りを楽しむ為に都会からやった来た男4人。前半の穏やかな雰囲気のなかに見え隠れする不吉な予兆、気を許していた彼らに襲いかかるショッキ>>続きを読む

ジャッジ 裁かれる判事(2014年製作の映画)

3.8

法廷ミステリーを期待して観たが、ミステリーの要素は希薄でむしろ父親と息子の確執と和解の物語だった。
初めの方で判事としての仕事ぶりを見せるシーンがあるが、父親は時として法より情を重んじる判事だったよう
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