橋口監督が追いかけているのは、いかんともし難い人の業を、淡々としたストーリーの中に浮かび上がらせることだと思います。
堅気を装った気弱な悪人、気弱な悪人の恩恵を受けながら、最後は仲間も見捨てる普通の悪>>続きを読む
姉:大学まで続く中高一貫校。勉強しない。可愛くグレる。弟:高校球児を目指して父子鷹。野球で高校に入学するが挫折。グレる。
母はどんな局面でも子ども2人の味方。そのポジティブぶりが小気味いい。吉田 羊、>>続きを読む
吉本ばななといえば、全く興味が湧かない作家であるが、『かぞくのくに』の井浦新、安藤サクラが再びタッグを組むので、観ないわけにはいかず。
安藤サクラは、男(井浦)と会うとき以外は、下着姿で家で寝ている。>>続きを読む
あくなく性を求める女を、肉食系には見えないシャルロット・ゲンスブールが演じるギャップが凄い。
主人公が、欲しがり続けた個人史を、淡々と語るところにまた、凄味が生じる。人は、何かへの依存なくして生きられ>>続きを読む
周囲と協調できないのが、天才たる所以である。しかし、暗号解読の大型マシンが完成に近づくにつれ、天才チューリングから人間味がにじみ出て来るのだ。
それにしても、狂人と紙一重で、性的にも時代に背いた人間を>>続きを読む
国を守るため、名誉を維持するための戦闘が、人間の精神を疲弊させていく有様を、時系列で追っていく。
硫黄島からの手紙/父親たちの星条旗 とは異なり、僕がのほほんと過ごしている21世紀の話だ。母国の威厳>>続きを読む
丸いコーナーも四角く曲がるような独身男 ジョン・メイ。仕事に真面目に取り組みすぎて、解雇される。家でもしていたネクタイをはずし、謹厳な性格がブレ始める。しかし、そのブレ幅がいかにも可愛いのだ。
主人公>>続きを読む
高良健吾だが、底抜けな明るさと、やがて悲しい運命を持つ男(横道世之介)、色気と暗い影を併せ持つ男(千年の愉楽)、どちらもハマっていた。
本作では、ただ道を求めることに終始する役で、見終わって、どっと疲>>続きを読む
深みがなかった。
主人公のセレブ青年が、なぜ特異な性的嗜好を持つようになったのか、小出しに明らかにされただけで、不満が残る。
尤も、それがメインテーマではなく、ヒロイン女子大学生が真の愛を貫くのか?に>>続きを読む
アルコール依存症の崖っ淵から、少し健常者のエリアの端っこに戻った者として、時々見なければいけない映画です。
アル中患者の破天荒ぶりは、この映画では描ききれなかったが、淡々とした、いい映画です。
この病>>続きを読む
工学を学び、実際にモノづくりをしている人が観たら、たまらないコンテンツに溢れた映画だろう。
キャラクターの動きは、モーションキャプチャーで取り込んだもので、リアルだが、昔のディズニーアニメのような、フ>>続きを読む
フツウに不死身。
コミック原作の荒唐無稽の不死身さではなく、ヤッツケられながら、相手を追い詰めて行くところ、惹かれました。
そして、弱々しげな悪玉が不気味だ。タフな主人公の、強固なモチベーションを生み>>続きを読む
デフォルメされたキャラのオンパレードだったが、僕みたいなオヤジにも楽しめた。
日本の怪優の1人・竹中直人に期待したが、本作では、ただの暴力キャラだったのが、残念。それより蛭子能収の天衣無縫ぶりが怪しい>>続きを読む
ビバってどんな意味?ラストのダイアログで、行天が多田にたずねる。
子ども時代のトラウマを抱え、無知だが人心の真ん中に、鋭く斬り込む勘を持つ男・行天は謎だ。
演ずる松田龍平は、後ろ姿で感情を表現できる稀>>続きを読む
この作品のスーザン・サランドンには惚れてしまった。
人の心の小さな行き違いを、丁寧に拾いあげ、奇跡の魔法をふりかけたような物語。
冬に来るクリスマスは、ワクワクだが、儚げな影が付きものだ。
人を好きになること自体が、コメディなのか。僕みたいな単身オヤジにとっては、切なさ満点のストーリーだった。
片桐はいりが、時折発する、小劇場の芝居めいた台詞回しに食いついた。
昭和っぽいのか、新しいのか>>続きを読む
映像のつくりが、リアル東映映画で、登場人物がスマホを使っていなければ、昭和時代のVHSビデオを家で観ているような錯覚を覚えた。
松方弘樹が出ているのはどうもな、と思ったのだが、松方が出ているからこそ、>>続きを読む
桜田門外の変から13年、明治の世になってなお、身も心も武士道を体現する元彦根藩士 志村金吾の物語。
切腹も許されない、ということが、武士にとってどれほどの屈辱か、中井貴一が切々と演じる。
好きだなあ、>>続きを読む
若くして、服飾界の求道者として認められ、名声と富を手にしたところから、イヴ・サンローランの苦悩が始まる。
自己の方向性を酒とドラッグ?を通して、見出そうとするが、そこからは、何も生まれず、心と身体は蝕>>続きを読む
高校時代、グループだった女性たちが、それぞれの人生を歩み、長じて旧交をあたためる、有りがちなストーリー。
しかし、中年の入口にいる女性たちが、目の当たりにする友人の死。しかし、決して重くならない演出。>>続きを読む
この映画にストーリーを求めては、いけないと思った。
命のつながり、ということがテーマであろうが、特にそれにこだわっているとも思えない。
R15指定たる所以は、冒頭と中盤に、山羊の屠畜があるから?何だか>>続きを読む
楽しめて、最後は泣ける映画だった。インド家庭の古典的主婦が、姪の結婚式準備のため、ニューヨークに渡った5週間を描く。
期間限定の自由を謳歌する主人公は、表面的な自由な日々から、自分の本当の自由を突きと>>続きを読む
黒澤明『夢』を想起しながら観ていた。絵画のような映像だが、エロとグロの極のような場面が錯綜する。具象と抽象と観念的エピソードも交錯。
ホドロフスキー85歳、ホドホドにしろ、というのが総合コメント。
年>>続きを読む
明治時代初頭、幕末の人斬りの残党たちが、爆発させる場所のないエネルギーを抱え、蠢くのだ。暗く、画面は汚ないが、主人公・剣心のセリフ回しに救われる。
佐藤健、久々に色気のある俳優の登場。武井咲の役は、共>>続きを読む
序盤→かつてあった文学テイストの日活ロマンポルノ風。
中盤→ポエジーの要素を差し引いた、つげ義春劇画風。
終盤→伏線を省略した、展開に無理がある園子温ムービー風。
浅野忠信が、ぶっきらぼうに壊れ
る。>>続きを読む
日本映画にしては、ひとつ皮が剥けちゃいましたね。
エグさにおいては、園 子温監督の『冷たい熱帯魚』の右に出るものはないと思っていたのに...。
現在と、その3年前がフラッシュする展開には、少々ついてい>>続きを読む
怪優アラン・カミングは、主役に据えるのが常道でしょう、を認識させる映画だ。
ドラッグクイーン姿のアラン・カミングの腋毛が、その後の性行為を暗示させるシーンよりも、猥褻である。
弱者を擁護する社会の仕組>>続きを読む
病気治療のため、25年ぶりに一時帰国を許された兄と、日本で暮らす妹の、短い短い日常が淡々と描かれる。
四半世紀ぶりの日本は、何もかもが、眩しかっただろうが、兄は感情の表し方も忘れてしまった風情だ。
妹>>続きを読む
全編が物悲し。チャイナタウンの中華料理屋の外での恋人との別れに始まり、ハッピーエンドに繋がらない要素が積み重なっていく。
スパイダーマンは、常にスマートで、ズッコケの要素は皆無。アメリカのコミックの実>>続きを読む
まず目を疑ったのは菅田将暉、あの『共喰い』と同一人物かと。しかし、軽さの中に悲しさを体現できる数少ない役者だ。
そして綾野剛、この作品での役にハマった。所在のない毎日の中で女を愛し、その中に自分を見つ>>続きを読む
柄本時生の体現した、普通のお兄ちゃんが求める愛の形がよかった。赤澤セリの単なるやさぐれ女の出す凄味が笑えた。以前観た映画では、彼女は赤澤ムックという名前でした。自分で自分をコントロールできない、一見チ>>続きを読む
パールハーバーへの奇襲によって暗転していく、アメリカで平穏に暮らしていた日系の人々のそれぞれの運命が描かれている。
日系人のリーダーを演じた中村雅敏の堂々とした演技がよかった。
役者としてのジュディ・>>続きを読む
やはり若松孝二監督作品 キャタピラーにおいて、体当たり演技にもほどがあるくらい体当たりした役者、僕は寺島しのぶの味方です。この映画においては、一途に癒しの女性に徹するのかと思いきや、終盤はまたも体当た>>続きを読む
一言で片付けるならば、切ない映画でした。
横道世之介は能天気な男だが、人柄が極めて良くて、いつも人の輪の中にいる。主演の高良健吾は、千年の愉楽での演技の両極にいる。恋人役の吉高由里子は、何かが乗り移っ>>続きを読む
貧しい地区の複雑な家庭を出た、黒人青年の粗野な振る舞いの奥の心は温かい。一方、車椅子生活の大富豪、今まで管理してきたもの、全てに管理され、心は荒んでいる。
後半の2人の心の交流は、想像した通りのストー>>続きを読む
演技をしない俳優 リリー・フランキーの追っかけなので、キャストに彼の名がある作品は、何でも観ています。
悪党集団の中で、先生と呼ばれる彼は、人あたりいいキャラクターだが、ここまで残忍になれるのかという>>続きを読む