グラノーラ夜盗虫さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

グラノーラ夜盗虫

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羅生門(1950年製作の映画)

4.0

「羅生門」ってこんな話だっけ・・・?と思ったら「藪の中」が主な原作だった。信用できない語り手、多数の視点からのストーリーテリング、最後のかすかな希望の描写も含めた物語の展開で、シンプルな演出でも作品の>>続きを読む

華氏 119(2018年製作の映画)

4.0

件の大統領選挙でトランプ氏が勝利していたらとても直視できなかった・・・。トランプ氏はもともと政治家の前に人格に大きな問題があると感じていたが、(この映画の編集の効果はあれど)極めて問題のある人間である>>続きを読む

プレステージ(2006年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

クリストファーノーランにしては珍しく歴史映画かと思ったけど、やはりSF映画だった!そして今までに観た映画で一番似ているのは「風立ちぬ」(混乱)

作品世界を通じて対構造が繰り返し描かれ、両者の違いを際
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.5

「同じ星」に生まれた人を見つける喜びと、「違う銀河系」の人と繋がる喜びを描いたような映画だった。

前者はエリーとアスターの関係。アメリカの田舎町において、エリーは中国人という出自、突出した知性、そし
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.9

フィルマークス試写会にて鑑賞(ありがとうございました)。クリストファーノーラン監督はCGを嫌いあらゆるものを実際に撮影することに固執するが、本作のアンダーソン監督はこれと対照的に屋外のシーンも含め殆ど>>続きを読む

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

4.3

本作は、前半の兄・テイラーの物語と、後半の妹・エミリーの物語とをその人物の造形・演出・音楽・物語展開で対照的に描くことによって、いわゆる”有害な男性性”が象徴する人間の強さへの渇望と、その呪縛からの解>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.5

小さい時、私は祖父母に買い与えられたゲームボーイで「牧場物語」をするのに大熱中していた。もはやゲームをしていないときでも姉妹でこの音楽のBGMをずっと歌っているほどやり込んでいたゲームだ。ただこのゲー>>続きを読む

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

3.8

ストーリーはかなりクラシカルだけど、俳優の配役と演技で特別なきらめきが乗せられた映画という感じでした。ネトフリの「13条」と一緒に見ると理解が深まる感じ(多分)。同じ”反戦”であっても、有名な反体制派>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.5

このシーンもあのシーンもCG使わなかったんだろうな・・・と監督の狂気じみた執着を想像するのが一番楽しかった。

スノーピアサー(2013年製作の映画)

4.0

やっと取れた夏休みin10月で視聴。最初の設定からひっかかってしまったけど(温暖化を防ぐための薬を開発できる能力があるのに、その薬を適量もわからないまま散布して生物死滅するとか普通の科学者はいないんで>>続きを読む

13th 憲法修正第13条(2016年製作の映画)

4.5

フロイドさん事件を取り巻くBlack Lives Matter運動の背景を学ぶうえで有益な一作。奴隷制度から公民権運動、そして大量収監システムまで、アメリカのアフリカ系抑圧の歴史が淡々と描写される一方>>続きを読む

オクジャ okja(2017年製作の映画)

4.0

エンタメ性も高くメッセージ性もあるポン・ジュノ監督作品はすごい。

お嬢さん(2016年製作の映画)

4.5

女性が男性(高尚そうに振舞うがただの変態たち)に支配され欲望される存在から、自らの意思と快楽を追求する独立した存在になる、フェミニスト映画ではあったものの、女性の絡みの図は男性(監督)の眼差しを感じた>>続きを読む

アイヒマン・ショー/歴史を写した男たち(2015年製作の映画)

4.0

派手じゃないけど良作だった。想像力を働かせることを放棄した個人が固まった結果の恐ろしさ。

トータル・リコール(1990年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

フィリップ・K・ディックの原作であるので期待していた通り、シュワルツェネッガー主演にも関わらずある程度脳みそを使用する映画だった(失礼)。ミュータントの造形含めビジュアルは素晴らしいが容赦ないグロさで>>続きを読む

すべての政府は嘘をつく(2016年製作の映画)

3.5

マイケル・ムーア作品のようなエンタメ性は高くないドキュメンタリーだったが、見ておいてよかったと思える作品だった。
全ての政府(と大企業)は嘘をつく。人間は嘘をつくものだから、権力のあるものはその力を使
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.0

もちろん(国家の企みの設定や内調の異常な暗さなどは)脚色が過ぎだりする部分は多いのだが、この映画が製作され、公開されたことそれ自体に本当に意義があると感じた。

優秀で使命感の強い個人を搾取し尽くす組
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.0

移民問題、人身売買、児童結婚など、現代の子どもを取り巻く問題をこれでもかとストーリーに詰め込んでいるのに、不自然さがなかったのはストーリーテリングの技術のなせる技だと思う。
貧しい人々は善良だが社会の
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.0

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のファンとしては押さえておかなければと思いつつ、なかなか(グロそうなので)手が伸びていなかった作品。案の定、スタートからこれでもかという残酷描写が連続し心がやられた。
決して善
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ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)

3.8

 古典の青春映画。昔取っていた映画のクラスで紹介されていて、見なきゃと思いつつ数年経っていたものを、ついに見ることができた。最後の展開は確かにハリウッドのご都合主義的な部分はあるのだけど、様々な形のア>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

ウェスアンダーソン風な画面とキャラクター設定で、かつストーリーもナチスドイツものにありがちな極めて陰惨な展開は見せないので、かなり見やすかった印象。確かに(子供視点で世界が描かれるので)ナチスドイツの>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 鑑賞後のいきおいで感想を書きます。

 物理的な上下(高台の一軒家>>>>>>>>半地下>地下)で格差社会の縮図を描いていたのが印象的だった。

 半地下と地下では熾烈な生き残り競争(パラサイト家族
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

5.0

主演2人の演技もウィットの効いた脚本も本当に素晴らしかった。2020年ベストになる予感。

冬の光(1962年製作の映画)

4.0

イエス・キリストは磔になった時「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」(=「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」)と叫んだけれど、なぜ神は沈黙を貫くのかという問いはあらゆるクリスチャンにとっ>>続きを読む

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.0

鑑賞中・直後は(演出のダイナミクスさによって世界観に浸ってかなり主観的な状態だったので)感動してたけど、だんだんそれから醒めてくるにつれてエピソード8との矛盾が気になるようになってしまった。

小ネタ
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Girl/ガール(2018年製作の映画)

4.0

シスジェンダーとしてきっと理解することはできないのだけど、彼女に寄り添うような視点で2時間を過ごしたおかげで、ちょっと想像力は得られたような気がする。思春期の女子としての苦しさは、自分のそれを思い出す>>続きを読む

アマンダと僕(2018年製作の映画)

4.0

派手じゃないけど優しい良い映画だった。
人生における”深淵”はどこに潜んでいるかわからないけど、突然降ってきたそれに苦しむ人々を、美しいパリの季節や人の嘘のない繋がりが少しずつ癒していくのだ、という暖
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ゼロの未来(2013年製作の映画)

3.5

中学生の私の青春だったテリーギリアム監督。歳をとって優しくなると、作品に尖りがなくなる悲しみはありますね。。。。
目新しさはないけど(レディオヘッドのCreepがポルノサイトのBGMに使われていること
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ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

4.5

ブレードランナーの舞台が2019年11月なので記念上映。
デッカードはいわゆるマッチョな描き方をされているので、感傷的で童貞っぽいブレードランナー2049のKの方がわたしは好きだし、後者の方がよりセン
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ホリデイ(2006年製作の映画)

3.8

誰もの予想の通りハッピーな軽い映画で、それが良い。イギリス好きな母親と一緒にイギリス映画を見た子ども時代の日々を思い出した。キャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレットは本当に可愛かった!

エール!(2014年製作の映画)

4.0

良いエンタメ映画。大好きな歌手ルーアンヌの美声が堪能でき、また登場人物たちが可愛らしくて、ちょっとピンクなネタも面白く、軽く見られる良い映画でした。

僕たちは希望という名の列車に乗った(2018年製作の映画)

4.3

ベルリンの壁崩壊30周年を祝して。有名じゃないけど、予想以上の名作だった。

芳華-Youth-(2017年製作の映画)

2.5

ホラー映画。なぜこの映画が日本で上映するに至ったのか・・・?と疑問を抱かずにいられない。

個人の運命というものが政府に握られている全体主義的体制の恐怖。即日これまでと全く関係のない配属先や精神・身体
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アラジン(2019年製作の映画)

3.9

小さい時大好きだったアニメがポリコレになって帰ってきた感じ。

最後の展開はフェミニズムの時勢に合わせたものでしょう。結果、イスラム教の決まりでは女性がスルタンになれるわけはない(はず)という矛盾が発
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.5

名作でした。政治的指向は、思想や価値観に紐づけられたものではなく、あくまで個人的な、場合によっては矮小な動機に紐づけられたもの(そしてそれがファシズムを生んだ)という指摘は今日に至るまで重要。