オンカロさんの映画レビュー・感想・評価

オンカロ

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リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング(2023年製作の映画)

3.3

強靭な肉体と声を持つ解放者であり自由人でありながら敬虔なクリスチャンというねじれに晩年まで苦しめられる姿にアメリカという国の抑圧を感じずにはいられなかった。
宗教が社会のストッパーとして機能させられ、
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.5

クラシック音楽のような威厳とアンビエントのような静謐さを持ち合わせた大作らしい上質な映像美。
いい意味でも悪い意味でもクセがない。スターウォーズのようなユーモアもない。
ティモシーの前半、中盤、後半で
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

3.3

説明表現0
ひたすらライブ
音は良かったので高揚感あり
時代背景などわかればもっと上がるのかも
フォントデザインは今も色褪せない
秀逸なかっこよさ

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

ある種の闘病系映画で死も恋愛も感動も描かずに、ここまで映画として説得力を持たせてくれたものを初めてみたかも。
闘病系映画の過剰さと偏った解釈、ステレオタイプに陥る悲劇感と愛には予告編で毎回ゲンナリして
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.2

いやなにこれつまんね〜
ダラダラと女性の日常描かれてもさ。
みたいなことを口にする観客を炙り出す巧妙なワナが仕掛けられた実験映画と思ってしまった。

マジで監督が観客をフィルターにかけてきてるのが分か
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.0

あまりに性的すぎるメタファーが多く感じられて
老人のグロテスクな妄想、というのが第一印象になってしまった。
ラストシーン、忘れてもその体験は残る、だから体験することにやはり意味はあるのだ、という終わり
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ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

4.0

イメージズの主人公は数年前に亡くなった不倫関係にあった男との想いをひきづって悩み、ついには幻覚をみるにまで至る。
その幻覚を誘発するのは細い金属をつなぎ合わせたアクセサリーのようなものが鳴った時。サイ
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.1

カサヴェテスはつねに都会でまともに生きることの難しさを真正面から描いていると思う。
毎日のように他人からの評価、誤解、嫉妬にさらされ、そしていつのまにか自分も被害者から加害者になってしまうことを反省し
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.6

町山さんと菊地さんのドミューンポッドキャスト聴きながら見たら目から鱗が落ちた。
なるほどな、ゴダールをコミュ障のオタクとして捉え直すと、確かに風景が違って見える。
オタクというのが文化のアーカイブから
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殺し屋ネルソン(1957年製作の映画)

3.3

ドンシーゲルが初期から精神病系の登場人物好きなのがよく分かる作品。
トラウマやコンプレックスが、異常なほど行動を規定してしまい人生から転げ落ちていく。
しかしその愚かな人生を打ち上げ花火みたいにキレイ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

ケイトブランシェットがこの映画を評したコメントとして、
「この映画はロールシャッハテストのようなもので、暗示されつつも決して確定されない情報に対して、人々がどのような判断を下すのかを示しています」
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暗黒の鉄格子(1953年製作の映画)

3.7

証拠もない隣人がなんとなく怪しいからと殺人容疑で逮捕されて自白を強要させるストーリーは強引すぎる気がするが、当時の赤狩りの雰囲気を考えるとリアリティがあったのかもとも思う。
途中からダーティーハリーの
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

4.0

これはどうにもアバターへの別角度からのアンサームービーに見えてしょうがない。
そうやってみるとアーミテージ家の父はジェームズキャメロンに見えてきてますます怖くなってしまった…

アテナ(2022年製作の映画)

3.8

正直言ってはじめて観た時の感想が「映像すげぇな」っていう冒頭ワンシーンのアクションにしか反応できないくらい世界情勢に疎かった。

何に対して暴動を起こしてるのか、団地の世界観とか全く分からない無知な日
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.4

全てが過剰で笑っちゃうんだけど、そういう映画的過剰な表現と、ショービス世界の過剰さに飲み込まれて精神崩壊していくエルヴィスの姿が重なる一体感にはすごみがあった。

とにかくエルヴィスを演じる役者に華が
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.2

制作サイドの加害者意識強すぎない?
そのせいか、自分には
「俺は絶対に老害とは言わせない」と決めたオジサンが下の世代にひたすらへりくだって作った映画にみえてしまった。

分断された別世代との意思疎通の
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.0

映画は撮影で「動き」をみせ、編集で「時間」を操るメディアだとしたら、この映画はその最先端にユーモアで挑戦しようとしてたのかもしれないけど、残念ながら自分には刺さらなかった。
マルチバースという概念がド
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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.1

これはオカジとマコトの絡みを見る映画だな。
ちひろとマコトの絡みよりオカジとマコトの絡みの方が圧倒的にワクワクしたもんな。
とにかくマコトが小津映画の子どもばりにかわいくない天然物に見えたのがよかった
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.0

頑張れば我慢できるんだけど、やっぱ喰うと最高だからやめられない、しかも骨まで喰ってみ、ガチアガるから、次のフェーズ。みたいな欲望のセッティングにいろんなメタファーがハマりすぎて、リアリティビンビン。>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

ここまでしつこく「家族」という共同体にすがる物語に、アメリカという国の連帯の危うさ、脆さを感じてしまってちょっと怖くなった。
父親の発する「家族」が強迫観念的で、
子ども達もなんか「家族」という言葉に
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

3.0

作り始めたという90年代に公開できていればカルト的な人気をはくしていたのではないか、と思う世紀末鬼畜系作品として鑑賞。
圧倒的な加害者意識の強迫観念もトリップホップが流行っていた頃のレディオヘッドを想
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.6

このノスタルジック青春ムービーのなにが新鮮だったかって、言葉を選ばずにいうと、イケてる男女のストーリーを見た目全くイケテナイ2人が演じていることではないか。
ハリウッドセレブではなく、この2人が演じた
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空白(2021年製作の映画)

3.4

メディアやSNSに翻弄され、加害者も被害者も社会からキャンセルされるという泥沼の現代劇。世の中になんの期待もしていないZ世代、ミレニアム世代とバブルを経験している親世代との世代闘争でもあるが、結局世の>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

3.5

知り合いのプロレス好き女子が見事にハマっていてそれに納得する映画。アメトークのプロレス芸人観てたら若き日の長州力の体つきが主人公のビームにそっくりだった。
いうなればこの映画、かっこよく入場してきて、
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

はじまって、ボクシングジム内の寄りが数カット続いた瞬間、これはブレッソンかなと思った。状況音の繊細さ、街の輪郭がくっきり見えるような描写、そこから浮き上がってくるヒリヒリした社会性。現実の厳しさとか、>>続きを読む

日本侠客伝 関東篇(1965年製作の映画)

4.0

関東大震災後、移転したばかりの築地という場を巡る活気と陰謀の熱量が見事に伝わってくる作品だった。マキノという監督は庶民を魅力的に描く目線からして、場を中心にした映画の方が熱が伝導しやすいのではという発>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

漫画版のスラムダンクは不良とスポ根、努力、友情、根性が描かれるジャンプでも王道をいくストーリーだった。
それが、今回20年以上の歳月を経てジャンプから離れて見事にアップデートされていたと思う。
努力と
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

3.2

海辺のホテルでベランダの窓をひたすら拭いているオッサンの存在が悪夢的に頭にこびりついている。一体あれはどんな意味があるのか分かる人がいれば教えてください!

それから(2017年製作の映画)

4.0

「正しい日間違えた日」「夜の浜辺でひとり」「それから」とまとめて観たが「それから」が1番キムミニとの距離のとり方が好きです。
前半の伏線で後半がガラッと展開していく手法は流石です。

正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

2.0

僕には「嘘をつかず誠実に対応すればきっとうまくいくよ」って言ってるようにみえたが、
ホンサンス自身の不倫事情からしてもあまりに能天気すぎる気がして引いてしまった。
今までホンサンス映画は全て好きだった
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