shuさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(2017年製作の映画)

3.5

仲間たちと共に大切な人を守る(取り戻す)という展開自体はど王道だしアニメからの繰り返しの手法ではあるけれど、劇場版らしい盛り上げ方ですんなり楽しめる。
拡張現実が孕む問題点なんかは少し先の未来に本当に
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パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

3.5

屈折した自我と、若者特有の痛々しいくらいの青さ。
それでも当の本人にとってはそれは切実な問題で、時代背景も重なりより一層陰鬱な雰囲気を孕んでいる。
ナルシシズムな自己嫌悪という感じ。
それを中二病、み
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.5

エル・ファニングが天使。
実に優雅で色鮮やかな日々。
映像が美しくて目に美味しい。
観てるこっちも、お酒でも飲みながら観ると気持ち良さそう。
多忙なスケジュールと、キラキラしたオフの時間。
超有名俳優
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たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

3.8

圧倒的な孤独。
他人と見える景色が違う、才能がある故の理解されなさ。
大切なこと一つまともに伝えられない距離。

一方で、才能溢れる美しい二男に見放された家族たち。
嫉妬、畏怖の念、薄気味悪さ。自分の
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害虫(2002年製作の映画)

3.5

虚ろな目をした宮崎あおいの危うさ。
垢抜けきってない、お人好しな蒼井優との対比。
納得できる説明や理由のないままに転がり続ける物語は、10代のやり場のない空虚によく似ている。
暴力的に挿入されるNUN
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ビリティス(1977年製作の映画)

3.2

ソフトフォーカスの美しい映像。
少女たちの儚さ。
未熟ゆえの倒錯した愛。
映像的な過激さも気にならないくらい、最後の涙が尊い。
「男の本性を知ってしまったわ」というセリフは背伸びをしている少女の未熟さ
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

3.5

まず、SF映画として完成度が高かった。
エンターテイメント性を持ちつつ、圧倒的な映像美。
誰かも言っていたが、タルコフスキーを彷彿とさせるカットも多々あり。
また、前作の謎に触れたり、逆に前作を根底か
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ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

3.8

昔観た時も良い映画だとは思ったが、それは雰囲気が好みだったから。
映画としての出来、物語の面白さ、みたいなところはいまひとつだと思っていた。
今回改めて観てみて、感情を持ったレプリカントの悲哀、自分の
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.0

久々の鑑賞。
今回は印象的な台詞をメモしながら観よう、としたら書き残したい台詞のオンパレード。
全編を通して詩的で静謐で美しい。
ブルーノ・ガンツの表情が凄く良い。
亡くなってしまったのが惜しまれる。
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ワイルド・ラブ(2018年製作の映画)

2.1

ポップな話を想像していたらなかなかのホラー。
皮肉が効いているが、話としてあまり面白みを感じられなかった。

青い犬(2018年製作の映画)

3.2

青の神聖さをとことんまで追求した作品。
色彩の美しさは言うまでもないが、構図が一々素晴らしい。
父のなんとも言えない微笑の、救済感。
解放の物語なのだと思った。

一人の男、私の息子(2017年製作の映画)

3.4

父と息子。
多くは語られないが、恐らくは酒癖の悪さ故に家族に逃げられた父と、ドラァグクイーンとして夜の世界に飛び込んだ息子。
容姿も住む世界も、何から何まで違うような二人だが、映像技師という共通の職に
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野獣(2018年製作の映画)

3.3

幼さゆえの無謀さと、取り返しのつかなさ。
その最悪の結末がここにある。
やんちゃな悪ガキ二人の、いるよな感と、緊迫した演技、そして絶望の表情が説得力をもたらしていた。後味は最悪で、俯瞰の映像の美しさが
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小さな手/リトル・ハンズ(2017年製作の映画)

3.3

生きるため、追い込まれて誘拐に手を染めた男。
きっとどこにでもいる普通の感覚の持ち主で、それ故に誘拐した子どもの無垢な瞳と優しさに心が揺さぶられたのだろう。
と書くのは簡単だが、男と子どもの表情が秀逸
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7つめの大陸(2018年製作の映画)

2.8

ミステリ風味のサイケ映画、というのがこの映画の肝だと思っている。
最後に真実に辿りつくけれど、正直取って付けたような突拍子のなさ。
短さゆえ、展開が急だからというのもあるけれど。
しかし理にかなった謎
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花々(2018年製作の映画)

3.4

母親の痛々しさが真に迫っていてそれだけに不快だった(褒め言葉)。
夫を亡くし精神の均衡を崩した母。
子供らしい純真さと聡明さを持ちながら、平静を欠いている母親に対して反発する息子。
諦めたように扉を開
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PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」(2019年製作の映画)

3.4

ハリウッド映画か? というくらいアクションに振り切っていた前作の映画よりも「らしさ」を感じられてよかった。
結局そういうオチか……という終わり方ではあったけれど、スピンオフ的要素も強い以上そこは仕方な
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私たちの愛は誰にも負けない(2018年製作の映画)

3.6

愛に大人も子どもも関係ない。
それなのに、子どもには超えられない壁が立ちはだかる。
大人の事情に抗うこともできずに。
「引っ越し」という事情は、愛し合う少年少女が直面し得る日常の壁の中で最も硬く厚く高
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コレクション(2018年製作の映画)

4.2

短い尺、少ない台詞、最小限の情報量でこれだけ深い余韻を味わうことができるとは。
役者の表情と間が絶妙。
古めかしいエレベーターや軋む床、ベルの音、美術品の目録など、小物や舞台装置が活きている。
物語と
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ジュディット・ホテル(2018年製作の映画)

3.4

死とは、眠りとは。
救いか否か。

短い作品だが、時間以上の濃さがある。
色彩が豊か。

束の間の夢は、確かに幸せだったのかもしれない。

夜明け(2018年製作の映画)

3.0

徐々に追い詰められていく三人の表情は臨場感があり、大騒ぎするよりもかえって状況の悪さが伝わった。
展開やオチに意外性はなく、最後は少し呆気ない。後味の悪さは狙い通りだろうけど。
序盤の、夕暮れの海をバ
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転々(2007年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

大きなドラマのないまま淡々と進んでいく物語、その中で人々の心の機微を描くような作品は基本的に好きだが、本作はその中でもとりわけ温かい気持ちにさせてくれる。
平凡な日常、では決してないし登場人物はみんな
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

残された者と死んだ者の、それぞれの想いが徐々に明らかになる感動の物語、なのかなあと想像していたら全力で裏切られた。
構図がシュールで美しく、長回しのカットの静けさは絵画を観るような趣きがあったが、それ
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グッバイ、サマー(2015年製作の映画)

3.8

何かから逃げ出すように始めた二人だけの秘密の旅。
旅は終わり、日常は続き、しかし元の僕らにはもう戻れない。
あのワクワクした狂おしいほどに切ない夏は、もう二度と戻ってこないのだ。
許せない現実は、蹴飛
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ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

4.0

ジャンルとしてはSFになるが、これほど「あの頃」特有の瑞々しさを綺麗に気に取った作品もそうないだろう。
美麗な映像の中を少年たちが走り回る。
それだけで冒険の予感に胸が高鳴る。
お姉さんとの距離感に歯
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.9

何度か繰り返される「セ・ラヴィ(これが人生さ)」という台詞。
ハイスピードで、一瞬で燃え上がって燃え尽きて、終わりは突然訪れて、解釈の余地はあれど納得できる解釈なんて見つからなくて。
シュールで美しく
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少女邂逅(2017年製作の映画)

3.7

‪とても苦しくて、儚くて、綺麗な映画だった。‬
‪美しいものは時に怖く、時に残酷なのだ、と改めて思う。‬
‪思春期特有の刹那性、行き過ぎた他者依存、痛々しさ、歪な視界。‬
‪「約束」と「絶対」は魔法で
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

何よりも印象的なのは音の美しさ。
コツコツとリズミカルな足音、勢いよく角を曲がる際にキュッと擦れる靴音、風でスカートが微かに揺れる衣擦れの音、それら環境音の合間に置くように配置される、キラキラとした陽
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どこまでもいこう(1999年製作の映画)

4.0

子どもから「子どもと大人の間にある得体の知れない何か」へと変わっていく上で大切なことの大半はこの映画の中に詰まっていると感じた。
変わっていくこと、折り合いをつけること、
子どもたちの子どもっぽさ、大
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ひとひら(2018年製作の映画)

3.4

男と女、大人と子供の境界をぼかすことで逆に強烈に意識させ、無垢であり続けること、穢れという概念、他者との関係の不可逆性について想いを馳せながら観ていました。
とにかく光の使い方が綺麗で、美しい映像。出
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線引き(2018年製作の映画)

3.0

男と女という明確な線引きを強く意識させると同時に、そんなに単純ではなく、人と人とを隔てる線は耐えず変化していることを仄めかすような作品。大きなドラマがない分、役者の表情が光っていた。