周辺住民さんの映画レビュー・感想・評価

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ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

3.8

ソフィアコッポラの作品を鑑賞するのは初めて。

まず感じたことに関して、カット毎のカラーの違いは見ていてハッとさせられる場面は少なくなかった。

姉妹が登場しているカットは光を飛ばした様な現在で言う(
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トレインスポッティング(1996年製作の映画)

4.3

新装開場したテアトル梅田で鑑賞。
以前序盤まで見たけれど何処かのタイミングにとっておこうと思っていたから劇場で見る事が出来てとても嬉しい。

まずもってトリップ表現は非常に観ていて惹き込まれた。序盤の
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.6

時々なんとなく自分の心情に沿った映画(に見えるもの)を選んで映画館に足を運ぶことがある。
本作も予告編を観て暗めのロードムービーの要素だったり何より火山噴火のシーンの色味が自分にハマり過ぎて、さあ行こ
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パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

4.8

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』に続き2作品目のジャームッシュ。
まさかではあったけれど、卒業制作映画がオールタイムベストに食い込んでくるとは。学生とは言えどジム・ジャームッシュということなのか。
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.1

劇場でノーランの映画を鑑賞するのは『ダークナイト ライジング』ぶり。だからもう10年以上間隔が開いていたことになるだろうか。

観ている間幾つもの主観にあてられて頭がおかしくなりそうだった。
オッペン
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

3.9

丁度宇宙SFに手を伸ばしているタイミングで、そろそろ観ておく必要があると思い鑑賞。

キューブリックも初めてだったけれど、武器としての骨から衛星へマッチカットさせるシーンでグッと持って行かれた。

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ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

4.1

例え居る場所を変えたとしても、何かが変わる訳ではない故に結局何処へも行けていない。というケリー・ライカートが初期中期で描いていたものの源流はジャームッシュにあったのかなと感じる。

シュールさは流石の
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.4

恐らく観るのは8-9年振りだけれど忘れている部分も多かった為改めて。

いわゆる超大作の類は取り立てて進んでは見ないタイプの人間だけれど、ノーランに関しては少し別物に感じている。
昔から盤面が擦り切れ
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.1

大好きな監督や作家ほど代表作を観るのを後回しにしてしまう、それを体験するのに適したタイミングが有るのだと下手に勘繰ってしまって。

『浮き雲』を体験するタイミングが今日だった。シネヌーヴォのカウリスマ
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.8

劇場上映ラストチャンスで滑り込むことが出来て良かったものの、こういった青年期のモラトリアムを描いた作品を懐かしむものとして観てしまう自分に少し悲しくなった、そう思っていた。

だけれど、ただ自分や周り
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.2

最近のカウリスマキの作品、と言っても『枯れ葉』か今作しか無いのだが、何処まで科学が発達して映像表現が進化してもカウリスマキの色が失われることはないなと感じる。

彼の作品を大昔から形作る要素、無機質に
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

脚本賞受賞ということで映画館まで。

主観/客観といった観点での評価は既にごまんとされているが、確かにその点に偏るのも無理はない、そう感じてしまう。

特に物語中盤のあるシーンで映画を観ている私の主観
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東京物語(1953年製作の映画)

4.2

初めての小津はやはり今作から。

普段はアキ・カウリスマキやヴィム・ヴェンダースをはじめとした小津からの影響を公言している監督の作品を好んで観ている。

だから、わりかしすんなり入れるかと思っていたも
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都会のアリス(1973年製作の映画)

4.5

『大人ミーツ子供』映画は現代では既に確立されていて私は特に好んで観るのだけれど、本作はその全ての元にある作品だと感じる。実際『カモンカモン』を撮影したマイク・ミルズ監督もフェイバリットに挙げていた参考>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.4

欧州の映画を好んでいる割に手を付けていなかったヴィム・ヴェンダース監督の作品。『PERFECT DAYS』に続いて今作もドイツを舞台にした映像作品では無いが彼の作品を構成する要素はこの時点で既に完成し>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

4.0

あのサウンドは私たちの退屈な日常への警笛である。

3/10の先行上映で鑑賞。
評価が難しい一本になりそうで、これからの追記も多いかと思う。

序盤は非常に退屈を感じた。
何せ、一般的(とは言い難いか
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

昔、本の虫の友人が居たのだけれど、「よくこんなに本を読めるね。」と口にすると「寂しいことだよ。」と。
なんとなく思い出した。

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物事の機微に目を凝らして、耳を澄まして。そうすることでしか間を
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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

3.9

カウリスマキの中でも特に地味で異質な一本だった様に思う。

ストーリーは確かに他の作品にも増して何も起こらないが、カティオウティネンやマッティペロンパーのそれぞれ確固たる友人が居ることがとにかく異質。
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

約50本振りの邦画で様々心配していたが、相互理解の話だと気づいてからはずっと眼に涙を溜めていた気がする。

序盤のモノローグや《◯年後》といった日本映画にありがちな説明的な部分を目にした際は、少し不安
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街のあかり(2006年製作の映画)

4.5

カウリスマキの作品の中でも『コンタラクト・キラー』並に続きが気になる話。

改めてこの映画のスタイルを一般的なアスペクト比で撮り続けているのは中々大変な話だと思う。スタンダードサイズならもっと簡単に(
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(2023年製作の映画)

3.8

短編なので『白鳥』に続き『毒』を鑑賞。

小説をストーリーとしてではなく文節の連なりとして映像表現に落とし込むとこうしてでしか表現が出来なさそうに思う。

他の方のレビューで「ストーリーはつまらない落
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白鳥(2023年製作の映画)

4.2

お初のウェスアンダーソン。

長編から観ても良かったがとりあえず15分の短編から。

ロアルドダールの短編小説を映像化したものになるが、ストーリーと映像表現の齟齬が非常に心地悪く、残酷さをより際立たせ
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.9

西部劇の体裁をとっているものの、主題としては『リバー・オブ・グラス』『ウェンディ・アンド・ルーシー』と大きく変わらず良い作品だったと思う。恐らくケリー・ライカートが監督をしていなければ西部劇映画を観る>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.8

音響や構図、ライティングに私たちの日常の延長とも言える様な捻りを捨てたストーリー。
映像作品の持つ全ての力を最大限活用してこちら側へ歩み寄ってくれる様な作品。

上映後のあの感覚をこの先忘れられないと
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

この作品を観るには少し早過ぎた若者として。

まずもって、冒頭の映画内映画『別れのまなざし』のフィルム撮影でビクトルエリセの監督作品をリアルタイムで観ることが出来ることがたまらなく嬉しくなった。

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真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.1

初期三部作はこれで見終えたことに。

『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』は基本的に暗いムードが漂う映画だけれど、よく比較対象に挙げるケリーライカート監督の中期の映画の様に視聴後感
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Valimo(2007年製作の映画)

4.0

たった4分、エンドロールを差し引くと3分ぽっちなのに誰がどう観てもカウリスマキ。

『パラダイスの夕暮れ』とか『マッチ工場の少女』とか、カウリスマキのオープニングお家芸は勿論、各映画中盤で観られるよう
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

《総括》

僕にとってアリ・アスターはいつまで経っても肌に合わない監督。

だけど今回で多少和解に近づいた感触がしている。(ミリ単位かも知れないが)

コメディ部分では笑わせる部分が多かった。はじめ、
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.0

少女の瞳というレンズを通して、という意味では前作と共通しているけれど『エル・スール』で見れば、そのレンズを通した父親、引いては男性性の物語だった。

対話する相手(娘)の成長に対して隠し通せない男性と
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.2

映画を観て1日経った、あれは一体なんだったんだろうと思う。それくらいこの体験は異常だった。

フランケンシュタインの精霊に出会ったアナの行方不明は明らかに死の暗喩であるけれど、その死を以てアナが何を得
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.2

人の営みを見せることに対する時間の使い方としてこれ以上にない程美しさを感じた。

定点長回しを多用したカメラワークも非常に魅力的で街から一つ一つ引き算されて行く人や灯、その場所の空気。
こういった映画
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.3

どうしてケリーライカートの監督映画を観るとこんなに心が苦しくなるのだろう。

映画序盤では感じる気配も無かった虚無感に苛まれている。
親密な人との旅の終わり、別れ際のあの気持ち。離れた後どうやって過ご
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.2

ケリーライカート視聴二作目。予想を大きく反して構成に社会的な面が目立つ。

たびたび言及される定住する場所としての家の(概念の)有無。
家が無ければ例え何処へ行ったとしてもよそ者にはかわりないこと。
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