ホン・サンスが自身やその周囲のパブリック・イメージを戯画化しているように思える。クレアが撮った写真で唯一画面に映されたキム・ミニの姿は、演じている役ではなく女優である本人だったということなのかな。こう>>続きを読む
鑑賞中はアーサーに思い入れて見ていたが、帰宅してふとヘソンに気持ちを重ねてみると、突然涙が溢れそうになった。これは実体験をとても客観的に作品に仕上げた、奥行きの深い見事な脚本のおかげだろう。そして圧倒>>続きを読む
元になった映画は観ていないが、もう観る気にならないほど素晴らしかった。つっこみどころもあるが、そのポイントこそが愛おしく感じるし、鑑賞する側が世界観を補完することの喜びを味わえる。岡田将生の動から静の>>続きを読む
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『ブギー・ナイツ』のドン・チードルが!作り手の思い入れが過剰な映画が好きなので、両手を上げて絶賛とまでは言わないまでも、この作品にも愛着が持てる。ラストのセッションも、色んな意見があるだろうが、『カラ>>続きを読む
レニングラード・カウボーイズの原点だけど、この無軌道な感じはここにしかない輝きかも。お馴染みのライブシーンもここからか。生者と死者が勢揃いのアンサンブルが泣けてきて困る。こんなに馬鹿馬鹿しい話なのに。
キム・ミニの存在感。モノクロ映画なのに彼女が現れると空気が色づく。ぐちゃぐちゃな時間軸が少しずつ収束していくあたり、かなり丁寧な作りなので、ストーリーの表面を楽しめる、つまり行間を読む必要がない。それ>>続きを読む
鑑賞してから時間が経ち、評や解説にいくつか目を通したが(ために?)、いまだ自分の中で感想がまとまらない。あれほどのテンポ感で3時間もあるのだから、容易に捌き切れる情報量ではない。ただ、オッペンハイマー>>続きを読む
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映画監督であるホン・サンスにとって、作中の小説家の言葉や態度は噴飯ものだろう。接する人間が彼女に敬意を示しながらもどこか腫れ物に触れるような扱いをしていること、そして映画を観終わったあとの主演女優のう>>続きを読む
感動した!タイムマシンやマルチバースに頼らずとも、他人を演じ切ることで自分を変えられる、という、人生讃歌であり映画讃歌。お下劣なギャグにフルコーティングされているけれど、実は非常にスマートで緻密な作品>>続きを読む
大エンタメ快作!秀逸なプロットに拮抗する絵力。観た後だとこのポスタービジュアルもこれしかないと思わされる。
今更初鑑賞。これほどの悲劇は久しぶりに観た。ただ、救いのない話なのに映画的感動が突き上げて、自分の人生に反映されると確信できる。これがデビュー作だとは。
ウディだけでなくダイアン・キートンまで鬱陶しく感じるのは珍しい。
多分この作品を充分に楽しむには映画の基礎教養が必要なのだろう。
ウディ・アレンの後継者現る、と興奮してしまった。白人も黒人もエスタブリッシュメントもエセエリートも大衆も散々に切りまくりつつ、冷笑するのではなく当事者としての自己批判をも含んでいる。これは現在の本家に>>続きを読む
CGの技術がどれほど進化しようとも、アニメでしかできない表現がある、と前作で嫌というほど思い知らされたのに、それからさらにドライブがかかって呆気にとられ続ける2時間半。マルチバース作品では目新しくはな>>続きを読む
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専業作家になってからの内田百閒と、ドイツ語教師時代の教え子たちとの交流を描いているのだが、どうしても孔子と弟子やキリストと信徒の関係を想起してしまうし、一組の分かりやすい悪者以外は徹頭徹尾善人しか出て>>続きを読む
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これを見て彼ら四人を本気で憎める人などいないだろうし、これを見て俺ならもっとうまくやれると思う人間がいるかもしれない。そう考えると、作品自体は面白いけど、製作意図に疑問が残る。ともあれ、バリー・コーガ>>続きを読む
Netflixのリマスター・シリーズ、気になっていたけど塩梅がちょうど良い。あるだけ全部観よう。
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要約困難なストーリーで、詰め込み過ぎという声もあろうが、それがこの映画の魅力になっていると思う。ファーストシーンとラストシーンは、どちらも家族勢揃いの幸せな光景なのに、実質がまるで異なっているため、比>>続きを読む
本で読んできた逸話が本人の口から語られると不思議で素敵な気持ちになる。バディ・ガイとピンボールに興じるキース、「ストリート・ファイティング・マン」のデモ録音を実演するキース、ジャマイカやレゲエへの愛を>>続きを読む
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ポルカ・ラップで復活というラストは、さすがに映画的脚色だろうと思ったら、エンドロールの映像で拙いラップとおぼつかないステップで踊る本人の姿が。事実は小説より奇なり。
音楽ドキュメンタリーにハズレはないが、この規模になればやはり垂涎エピソードの宝庫。積年の疑問だったボブ・ディランの苦虫顔の理由が分かって嬉しい。
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リバイバル上映で『バード・シット』との二本立てで観た時以来二度目の鑑賞。一度目よりもずっと感動した。
死に憧れる若者と生を謳歌する老人という対を成すいわば「弱者」の二人が、どちらも常識や権威に対する違>>続きを読む
ハル・アシュビーとストーンズ?と思ったけど、これは完全にハル・ムービー。どちらも好きな自分にとっては冷静な評価は無理。ホンキー・トンク・ウーマンのあの演出はどちらの発想なんだろう、恐れ入りました。
監督は違えどまさしく正統的ウディ映画。出鱈目なようで筋はしっかり通っているのがまさに。日本語字幕でこれほど「伝わっている」という実感があるのは、翻訳者の力はもちろん、脚本の持つ普遍性にあるのだろう。あ>>続きを読む
これぞトラウマ的名画という胸のすくような素晴らしさ。91年という時代も個人的にジャスト。当時リアルタイムで観ていたらどう思ったのだろうか。『E.T.』『バック・トゥー・ザ・フューチャー』『ニュー・シネ>>続きを読む
これまで観てきたロックバンドのドキュメンタリーの中で最も静かで淡々とした作品だと思うが、轟音を鳴らしながら静寂を描くダイナソーの音楽そのままという感じだ。バンドの精神的支柱だと勝手に想像していたマーフ>>続きを読む