横長のスクリーンをこれでもかと駆使する横移動(たとえば建物下での喧嘩シーン)奥行きのあるロングショット(二人がキスするまでよ散歩シーン)、黒白のコントラストの強調(白い傘の印象強さ)。形式性への執着が>>続きを読む
不在の一人を巡る偶像劇の中でそれぞれの孤独にフォーカスする。風呂場での過呼吸のシーンとか、サッカーでやけくそになるシーンとか、シーンそれぞれの少年人物がいる。パスカルがかわいい。灰色のセーターやカーデ>>続きを読む
マチュー・アマルリックが主演なのは知っていたが、マリアン・コティヤールとシャルロット・ゲンズブールがマチューをめぐって恋のライバルになる展開に、「そんなベタに美男美女!」と笑ってしまった。全員好きなの>>続きを読む
激しく険しい波がひたすら美しく映される冒頭に魅せられつつ戸惑い、子供じみたおかしな三角関係にちょっと退屈しつつ微笑み、最後の救いと苦さと爽やかさで全てが報われる。船の中の揺れるカメラが素晴らしいが、彼>>続きを読む
舞台裏を加えた二重の劇として展開される本作。ジェイソン・シュワルツマンが髭をつける/外すで全く違う顔をしており、これがスカーレット・ヨハンソンとの間で繰り広げられる会話と、マーゴット・ロビーとの一度だ>>続きを読む
自分が全く背負ってない傷についての映画で、それを観るのはとてもよかった。養子の自意識が継続的な関係を困難にする。本作で役者デビューのパク・ジミンは、いつ爆発するかわからないサスペンスを顔に宿している。>>続きを読む
1914年。帝政ロシアとドイツの国境の町を襲う、革命の機運と戦争の勃発。冒頭の水溜りと鴨、馬と居眠る男。トーキーで馬に声をあてるところまでで「お!」となるが、そのあとの人間関係が不明瞭で混沌。しかし、>>続きを読む
柄がすべて違う傘があふれる中で宮川一夫が横移動で片岡千恵蔵を撮って、柱を横切りながら左へ動いて市川春代と合流する。めちゃよい。ご都合主義で終わるけど、恋の鞘当てと古物の投機資本主義が絡む話は思ったより>>続きを読む
高畑勲『漫画映画(アニメーション)の志 『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』』は本作を観る上でめちゃ助けになるので是非読むといいと思う。作品成立の複雑さを知るだけで印象だいぶ変わる。
ギュイっと引くカメ>>続きを読む
後半の城の追撃戦すごい。殺し屋猫たちが籠の中で揺られる振り子運動の奥行き、ピエールと姫が縄から窓へジャンプする時の躍動、螺旋階段状の木の足場を上から撮る視点、塔が崩れる時の編集。その全てに興奮する。前>>続きを読む
ミミちゃん、パンちゃんの逆立ちにトラちゃんの尻尾立ちが加わって最高。泥棒も浸水も列車の暴走も「すてきー!」で受け止める圧倒的肯定感と水浸しの世界はやはり『崖の上のポニョ』に流れ込んでいる。しかし、列車>>続きを読む
びっくりするほどくだらない奴らばかりの群像劇なのに政治的背景が顔を出してくる。挿入される黒背景の字幕はリズムを形成すると同時に、意味が回収しきれない政治性を帯びている。ように思う。『クーリンチェ〜』と>>続きを読む
ブニュエルにとっては喜劇も悲劇も一緒と痛感させられる。この馬鹿馬鹿しく都合いいドタバタ劇と『忘れられた人々』の悲惨劇の間には何の差もない。幸運な男は生き延びて、不幸な男はゴミのように殺される。最後、カ>>続きを読む
最近読んだ『言語の本質』で「人は誤った推論をする習性があるから、飛躍的に言語や論理を学べるのではないか」という仮説が提示されていたけど、本作はまさに推論によって大失敗を犯す(ことで学ぶ)話だった。物語>>続きを読む
劇場で観て以来10年ぶり。
菜穂子との再会のシーンですでに65分経過していることに少し驚く。震災時の出会いは1日だけの互いに名を名乗らないものだし、残り60分で再会、接近、結婚、病、死までを示さなくて>>続きを読む
複数の脚から始まって上にカメラがいって雑魚寝のおっさんたちが文句を言い合う。その導入に相応しい騒がしい映画で、だます/だまされる、富裕層/貧困層がシャッフルしながら、結婚式のぶち壊しで終わる。最初から>>続きを読む
高畑勲が天使のように屋上に現れる。
制作協力に是枝裕和が出ててなんか納得したのだけど、監督は是枝組出身ということで余計に納得した。
『フェイシズ』『こわれゆく女』と並ぶ、あるいはそれ以上にキツキツのカサヴェテス。男と女の間にも、観客とキャラクターの間にも、実は男と男の間にも相互理解が生まれない、強烈な緊張状態の140分。街中ではし>>続きを読む
ほとんどの殺人は全く画面に映されず、前半に出てくる宿敵二人との対決のみが映される。そして歌は何度も映される。踊りのない、デュエットもないミュージカル映画。目立たない長回しも含めて、ずっと禁欲的にとられ>>続きを読む
ハンナ・シグラめっちゃかっけー!全部の服装がいけてる、ヴィヴィアン・ウェストウッドの実践をこの時点で反映している。フェミニスト・パンクとしてのシグラとファスビンダー。窓枠と爆発。愛と資本主義。メロドラ>>続きを読む
併映だったアンダルシアの犬よりはるかに面白い。『忘れられた人々』や『昇天峠』が何故あんなに面白いのかの秘密を見たと思う。
スペイン国内の、未開に見える大地と村。吊るされた鶏の頭を切り落とす祭り、蜂にた>>続きを読む
一目惚れストーカー金持ちおじさんが結婚した途端、常軌を逸した嫉妬男、かつ自分が絶対的に被害者で正義であるという正義厨の面が明らかに。それでも周りの男たちは彼を擁護するのだが、神父は少年性癖、執事はレイ>>続きを読む
子供の頃にこのあたりの映画をアメリカ毛嫌いで避けていたので初見。新文芸坐のデカめのスクリーンで観られてよかったし音の響きもなかなかだった。ジョンアダムスの音楽があの状況で穏やかになったり勇壮になったり>>続きを読む
何の弱みもない強い男がただ強さを発揮してくだけの映画、マジで好きです。悩みとか見せなくていい。
冒頭の怪しげ窃視トム・クルーズで微笑が溢れ、飛行機内の銃撃戦ですでに爆笑。マンゴールドはやっぱり車の人>>続きを読む
バービー、俺は全然駄目でした。生理反応としては笑ってるし泣いてもいるんだけどだからって良いというわけではなくて、一つの解答に撮影も編集も演技も衣装もセットも音楽も集約されてることが本当に不自由。過去の>>続きを読む
演技=ドキュメントとしてのギトリ炸裂。
やがて『役者』で父と自身の二役を演じるサッシャは、ここでは「自分の半分の年齢の娘」と結婚する自分自身を演じる。「車を遅く撮るとこうやって映画っぽくなるだろ?」「>>続きを読む
たとえば、『自転車泥棒』を観るとその悲惨さにつらい気持ちになる(故にできればあまり見返したくない)のに対し、起きてることはデシーカの有名作に比べて遥かに悲惨で救いのない本作を観ると何故こんなに「面白い>>続きを読む
人が遠くから見てるものをアップで映し、次に人もものも遠くから映すロングショットに繋げる。このパターンが多くあって、変な遠近感(?)が生まれていた。ちょっとリズムが不器用にも感じる。
サソリの生態の紹>>続きを読む
異常者として設定されてるはずのアッシャー家の末裔・ロデリックより医者の方が異様に見えるのは襞の多すぎるコートのせいもあるが顔つきがやっぱり不気味なんだよな。ロデリックのギョロ目も霞む。
元々ブニュエ>>続きを読む
鉛筆による曲がり気味の線、溢れる水のうねる動き、ポニョの顔の変化。めちゃ動いてめちゃ好き。低評価の意味が全くわからない。
木のトンネル、窓、トトロのしっぽ。丸い形に森の茂み。「『トトロ』の風景描写が到達点(になってしまった)」という宮崎駿の発言にも納得する、全てが夢のような場所。夢だけど夢じゃなかった。木が伸びるシーンが>>続きを読む
飛行艇が水面を駆ける時の水の質量感ある跳ね方、群像を上から描く時の多方向に放埒な動き、雲から差し込む光の濃淡のバリエーション。絵を観てるだけで思わず笑えるし泣けてくる。女たちが飛行艇を直しているとき、>>続きを読む
車のタイヤの横揺れしながら回転するところに胸を打たれる。急な縦回転に横の動きが加わる運動がアンビエントめいてると行っても良さそうな穏やかなチャゲアスの曲調と衝突している。
逆さになるミミコとパンちゃん、パンちゃんの弾力性のある飛び跳ね方、パンちゃんの声、パパの声、通勤電車に乗るパパ。が全部かわいい。水森亜土の、どこかブラジルっぽい歌が素晴らしい。
人が一斉に駆け出す、>>続きを読む
手で置いてく紙人形と紙家とナレーションが虚構性を強調する一方、聖人(悪魔?)のジジイを撮る時の群衆の中をズームで映すカメラは真実性を晒す。『自転車泥棒』の喜劇的再演?SNS的キャンセルを皮肉するような>>続きを読む
冒頭すぐのピンボールが全体の展開を予告している。最初のバーのシーンから、バッグを椅子に置くときの低いカメラと、会話とピンボールをしながらの視線の交換に迫力がある。低い場所に置いたものをアップで撮る、車>>続きを読む