しゅんさんの映画レビュー・感想・評価 - 45ページ目

時は止まりぬ(1959年製作の映画)

-

世代の違う二人の男の三日間の話。
冬のダムで、管理のため働く中年の男。前任者の交代でやってきた若い青年ロベルトは馬鹿元気で、最初会ったときの心の距離はめちゃめちゃ遠い。そこから距離を縮めていくのだけど
>>続きを読む

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

-

す、すごくアホらしい!不穏な音響や不吉な伏線であおりまくって「くるか?くるか?くるか?・・・きたーッ!!!」っていうこの感じ、テキサス・チェインソー・マサカーみたいじゃないですか??あるいはウディ・ア>>続きを読む

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.0

いたずら少年の目線で見たこの世のゴミ溜め。悲惨すぎて笑える。少年ワレンカがイースト菌をトイレで爆発させて道を糞まみれにするくだりとか爆笑である。監督のかけ声によるスタートから衝撃のラストまで怒涛のよう>>続きを読む

ケンとカズ(2015年製作の映画)

-

おもしろかった!

夢の国の裏側にある空っぽの世界を舞台にした、まっとうな暴力・青春映画。古典的なほどありふれた題材なのに最後まで展開が読めきれなくて良かった。演技や音楽や衣装で積み重ねたリアリティが
>>続きを読む

AMY エイミー(2015年製作の映画)

-

エイミー・ワインハウス、ちゃんと聴いてこなかったんですけど本当に凄い歌い手なんですね。あの老成した歌声、ギフトとしかいいようがない。曲も素敵で、”Love Is A Losing Game”とかすごく>>続きを読む

サウルの息子(2015年製作の映画)

-

監督がタル・ベーラの弟子というのが納得の長回しと緊張感。サウルを背中から撮るショットが多い分、ゾンダーコマンドの印である赤いバッテンを後ろに刻んだコートの印象が目に焼き付いています。イアン・カーティス>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

-

終戦記念日に。
あまりに阿呆な感想ですが、実話ベースの重たい内容にもかかわらずすんげーおもしろかったです。同時進行のドラマに観てる間ずっと夢中でした。笠智衆と三船敏郎の味わいがよく出てる。
日本人の精
>>続きを読む

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

4.5

2019.12.29
3回目。太陽光、月光、車のライト、緑の瞳でフォルムを重ねてる。家族団欒を邪魔しちゃいけないよね。
やっぱり最後のシーンがあまりに美しすぎる。片手でチェインソー振り回してるところは
>>続きを読む

美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

一回観ただけでの断言は憚れるのですけど、僕は失敗作だと感じました。「藝術と人生、どちらを取るか」という主題への回答が不十分に思えるからです。

強烈な才能を持つ老画家のモデルとなった女が、絵画の製作プ
>>続きを読む

ゾンビ/ディレクターズカット完全版(1978年製作の映画)

-

あぁ、なんて優雅なひとときだったんだろう…。

貧しい人々の生活をどう改善していくか考えたウィリアム・モリスの
「わたしたちはパンだけでなく、バラも求めよう。生きることはバラで飾られねばならない 」、
>>続きを読む

修道女(1966年製作の映画)

-

アンナ・カリーナは「気狂いピエロ」よりも「修道女」のほうが間違いなく魅力的。それが確認できただけでも観てよかった。

主人公の意図が読めないことに戸惑うが、上映前のトークショーで大寺眞輔さんが言ってた
>>続きを読む

彼女たちの舞台(1988年製作の映画)

-

とにかく衣装が最高だ。今まで観た映画のなかでも屈指の素晴らしさ。
謎の多い女演出家が主催する(というか単独で開いている)演劇学校に通う女の子たち。そのうちの4人はひとつ屋根の下で暮らしており、原題のL
>>続きを読む

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)

-

カイエデュシネマの編集長はこの映画について、あらゆる現代の問題を取り上げながら深く掘り下げていない、フランスの貧困地域を現実よりひどく描いててリアルを勘違いさせるという旨のことをインタビューで語ってい>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.0

大して本数も観てないから断言はできないんだけど、正直いってゴダールが嫌いだ。少なくとも60年代のゴダールは。好みで言ったらロメールやリヴェットやドュミの方が好き。昔は難解なのが苦手だと思ってたけど、そ>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

3.8

9月7日二度目@movixさいたま
・まず、タイトルテロップの字体と「ズンっ」という重低音だけで興奮する。
・あらためて見直すとヤシオリ作戦の無茶っぷりに驚くけど、その無茶さが奥の手(だれもが知ってる
>>続きを読む

ママと娼婦(1973年製作の映画)

-

色なし、カメラズームなし、BGMなし、奇抜な演出も一切排した超絶ストイックな220分(部屋でかけるレコードからの音楽は鳴るが、編集で重ねられたものは一切ない)。狭い座席に満員の観客の中で、地獄のように>>続きを読む

光りの墓(2015年製作の映画)

4.2

12月23日 イメージフォーラム
二度目の鑑賞。やはり傑作。兵士イットが乗り移ったケン(霊能力女子)とジェンおばさん二人の散歩シーン以降の全てが素晴らしい。病院・学校・王宮。同じ一つの場所が、時代ごと
>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.5

全てのシーンが意味ありげでキリスト教的なモチーフに溢れてるのだろうが、正直意味を拾えた部分は少ないしまだまだ味わいきれてないところも多いはず。けれど、一つ一つの映像のものすごい物質感を体験することに比>>続きを読む

大いなる幻影(1937年製作の映画)

4.3

第一次世界大戦を題材にした作品ってフランス人が作ったものがやたら多い気がするのだけど、それだけフランスの人々にとってのトラウマだってことなんだろうな。

全体を通して狭い場所から広い場所へと少しずつ舞
>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ・イズ(2013年製作の映画)

-

ボウイ回顧展「デヴィッド・ボウイ イズ」の内容に合わせたドキュメンタリー。衝撃的なのはボウイの写真映りの異常な良さ、そして山本寛斎の英語の下手さでしょう。潔いほどのジャパニーズイングリッシュ。ただ、寛>>続きを読む

シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

-

主人公が化粧で通学することを恥じらわず誇ってるところに良さがある。バンドメンバーのバランスもナイス。話に無理があるのはいつものことだからそこは気にしない。オリジナル曲が良かったのがなによりです。Rid>>続きを読む

プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムス(1987年製作の映画)

-

Houseshakeは音源で聴くよりはるかにかっこいいぞ。殿下のスピーディーな開脚ダンスに見惚れた。

殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

-

脇の下からタクシー乗り場を覗き込むカットが印象に強く残る。
「人の運命を覗き込んでしまった」というような不安と恍惚を観る人に覚えさせる映画。

トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

-

どこで白が出てくるのかと思ったら最初が鳥の糞だったので笑った。『真夜中のカウボーイ』のような友情モノとしてナイス。キェシロフスキの中では一番気楽に観られるコメディでしょう。
『アマチュア』のいい人すぎ
>>続きを読む

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

-

たしかにジュリエット・ビノシュのプロモーションビデオに見えなくもない。だが、美しすぎる被写体に負けることのない強靭な脚本と映像を賞賛しないわけにはいかない。凄まじい映画を観てしまった。

自らが運転す
>>続きを読む

アマチュア(1979年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

なんて哀しくて痛ましい映画なのだろう。ありきたりな感想だけど、そう言わざるをえない。

仕事、友人、妻、娘。人と同じような幸せをしっかり手に入れられた男、フィリップ。娘の成長を記録するため2ヶ月分の給
>>続きを読む

FAKE(2016年製作の映画)

-

こんなに言葉に詰まる映画もない。ある夫婦をめぐる素晴らしい物語。ただそれだけだ。本当もウソも興味がないのヨ。主役二人の中に愛情が息づいているように見えること。彼らが恥を忍んで痛みとひきかえに二人だけの>>続きを読む

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

-

主演のイレーヌ・ジャコブさんは去年平田オリザのアンドロイド演劇『変身』に出演していて生の演技を観たんだけど、椅子を蹴り上げるときの角度なんかを明らかに計算していたりして感嘆のプロフェッショナルっぷりを>>続きを読む

ふきげんな過去(2016年製作の映画)

-

小泉今日子と二階堂ふみ、コンビネーションの勝利。

どんなに退屈を超えようとしたところでその先は退屈。彼女たちの時間はスクリーン越しに観ればとても退屈には思えない。爆弾があって、恋があって、複雑な家庭
>>続きを読む

裸足の季節(2015年製作の映画)

-

この映画が果たして「古い慣習に対する少女たちの反抗」というテーマで収まるのだろうか?たしかに、自由を謳歌する少女たちを閉じ込めて慣習を押し付けようとする祖母や叔父の存在は陰惨な印象を残す。だが、彼らト>>続きを読む

教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)

-

ホアキン・フェニックス、人生に疲れたダメ男演じさせるとピカイチ。
全然真面目な結論を出す気がさらさらないところが潔い。「ドストエフスキーって殺人ごときでなんでそんなムキになってんの?どうでもいいけどジ
>>続きを読む

ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン(2014年製作の映画)

-

この映画を観た後では「誰もJBのようには踊れない!」と思うだろう。それくらい高速ステップのキレがすごくて、超絶タイトな演奏と観客の心理を読み切った演出がそこに加わると無敵の男、ミスターダイナマイトの完>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

目覚めたら目の前に男がいた/知らない男、彼には目がなかった/すぐに気分が悪くなった/男のせいで一気に気分がひどくなった

彼が最後の時を歌う、私の眠りの終わりを歌う/神様あれを取り除いて、神様もう耐え
>>続きを読む

メトロポリス(1927年製作の映画)

-

活弁、シンセサイザー伴奏付きの公開。
未来都市や機械のデザインが完璧、カッコよすぎる。ブリギッテ・ヘルムが一人二役で演じるマリアとアンドロイドマリアの表情や動作からほとばしる狂気が凄まじいし、輪にかけ
>>続きを読む

ジプシーのとき(1989年製作の映画)

-

全体的に漂う諦めに引っかかる。足元が泥にまみれてることに文句ひとつ言うことなく受け入れる。大雨の中家の屋根が剥がされても騒がない。肉親が亡くなる時でさえ、悲しみより諦念に沈んだ表情を見せる。映画に映る>>続きを読む

ホース・マネー(2014年製作の映画)

-

二回目
エレベーターの場面、毎回違う構図で狭い空間を撮っていた。手紙を読むヴィタリナをずっと映してたカメラが急に左に回ってヴェントゥーラを映すところ、なんかすごいな。ペドロ・コスタ映画の中では一番硬質
>>続きを読む