しゅんさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

リバティ・バランスを射った男(1962年製作の映画)

-

ジョン・ウェインの脆弱さに驚くというか、冷徹なマッチョが容易く恋に傷つきへべれけに火炎瓶を投げるところに複雑な高揚感を覚えて最終的に最高。『捜索者』と同質のものを感じるのは必然か。馬が室内に入り込む素>>続きを読む

怒りの葡萄(1940年製作の映画)

-

四つ辻を歩くヘンリー・フォンダを少し遠くから真っ直ぐに映す最初のショットがなんか好き。次の少し近づいて斜めに映す繋ぎも好き。
母と子の映し方、語り方にグッときてしまうな。母役のジェーン・ダーウェルよい
>>続きを読む

冬の子供(1988年製作の映画)

-

実存的な欠乏に振り回されるように身勝手を重ねる若い男と女。似たもの同士故か彼らは一つにはならず、叶わないものしか望めない。結末の対比も含めてなにか生々しいものがある。
比較的近いカメラ位置と横への移動
>>続きを読む

誉の名手(1917年製作の映画)

-

木々のちょうど間に現れる人物、一騎討ちの奥行き。100年前に構図意識を強く持っていたとしか思えないフォード。最後の小屋のグルグルは『天国の門』に引き継がれてる(オマージュだよね?)。砂埃の上がり方も好>>続きを読む

モホークの太鼓(1939年製作の映画)

-

後退戦で独立戦争の勝利を描く。あまりに犠牲を強いた苦い勝利と、高らかに上がる星条旗。戦場からの帰還と大雨は『戦争と母性』を思わせるものの、結果は違う。火の矢に打たれて燃え死ぬ場面(と死を前にしての笑い>>続きを読む

太陽は光り輝く(1953年製作の映画)

-

『プリースト判事』を直前に観ていたく感激してしまったせいで、セルフリメイクのこちらにうまくノレず。眠気に襲われたからか…主演チャールズ・ウィニンガーのルックや声が苦手なのも大きい。

とはいえ、冒頭の
>>続きを読む

プリースト判事(1934年製作の映画)

-

南北戦争がどれほどの強い価値を、生きる意味を南部の人に与えているのか。1890年代のケンタッキーを舞台にした本作に狂喜の法廷シーンからのパレードが物語る。

裁判中に新聞読んでる判事とか、ボールが隣の
>>続きを読む

砂に埋れて(1918年製作の映画)

-

馬で宿の二階の部屋まで入るところ、それにつづく布団の中のカイバを食べるシーン、最高だ。歌の反復も気持ちいい。馬のケツが並ぶショットも馬で川を渡るシーンも好き。とにかく馬が良い映画。素晴らしかった。

捜索者(1956年製作の映画)

-

始まりと終わりが最高に美しいが、想像以上に複雑なプロットと表情の饗宴で簡単な爽快を許さないし、時間の経過感覚にせよジョン・ウェインが持つ正義の不可解さにせよ気持ち悪さは持続するのに音楽だけはひたすら穏>>続きを読む

戦争と母性(1933年製作の映画)

-

頑固母ちゃんの後悔と冒険。珍道中のパリ巡り。

息子が水面に石を投げるとカメラが上へ向かって恋人の顔を映すところからぐっとくる。戦場と家のモンタージュ、偶然出会った男女を遠めにみるところでのフラッシュ
>>続きを読む

無秩序/ディスオーダー(1986年製作の映画)

-

完全にジョイ・ディヴィジョンやん。音楽の才能すごい、見た目はカリスマ、だけどめっちゃヘタレなイヴァンってイアン・カーティスやん。アサイヤス、こんなとこからスタートしてたんだ。ファンムービーすれすれだ。>>続きを読む

炎のデス・ポリス(2021年製作の映画)

-

横長の画面で牢屋の格子を利用した構図や砂漠の中の車の移動を映していく。曖昧なところは曖昧なまま、それでも踏むとこはちゃんと踏む礼儀正しい脚本を、圧の強いアクションと演技で乗せていく流れが好き。むちゃよ>>続きを読む

逃げ去る恋 4Kデジタルリマスター版(1979年製作の映画)

-

総集編感が凄くて『男はつらいよ』観てるような気持ちになる。アントワーヌ・ドワネル・クラブの二人の絡みが好き。
最初の女が男を床に倒すところと、最後のレコード店での抱擁よいっすね。

家庭(1970年製作の映画)

-

情報量の多さを画面から感じるコメディな感じ。どうしようもなさが可愛らしさに丸め込められるのが嫌いになれないジャンピエールレオと映画全体。怪しいアパートの男好き。

足を映す冒頭。螺旋階段の昇り降り。煙
>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

-

観てる間なかなかよいなと思ってたのが観終わったあとにどんどん最高になってくる。

知性がうまく作動しなくてひたすらに危うい、今の日本にも沢山いるであろう一人では生きていけない女の子の受難の冒険が可笑し
>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

-

窓の外から撮ったり遠くから急に映したりと距離を感じさせる演出。外側にあるのに外側にないものつまりそれが君の人生で因果がはっきりしないまま全てが必然で誰も悪くない故にわたしは最悪。パーティーでの切り返し>>続きを読む

恋のエチュード(1971年製作の映画)

-

姉妹の街に到着した列車から馬車に乗り換えて、線路を横切った馬車が戻っていく列車と同じ方向に進むシーンが、昇っていく煙も含めてすごくいい。列車の動きとても緩やか。

ゆったりとメロドラマが進行する中で、
>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

-

カットの割り方とか音の重ね方とか本当に忙しないし、演出としては好きになれない部分も多いのだけど(鏡の部屋を使って「出口」の説明は野暮ったい)、『エルヴィス』の場合、さまざまな音楽体験を吸収していく少年>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

-

原作途中まで読んでから映画観た(そのあと最後まで読んだ)んですけど、マンガと映画ってそもそも相性悪すぎるんじゃないか、もしやマンガが普遍化しすぎて日本の映画つまんなくなったんじゃないか、ということばっ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

-

暑さで疲れ切った中でもうなんだかよくわからない状態で観たが、観てよかった。

エンストのトラックをバックさせる最高のシーンの後、ガキ共が美しい光の中でマスターベーションの真似をしているところをため息混
>>続きを読む

イントロダクション(2020年製作の映画)

-

一日を85分で描く『あなたの顔の前に』と、劇中時間が数年(およそ4~5年?)のところを66分で撮る『イントロダクション』を連続で観ると、どうしても対照性を見出してしまう。上映時間が短い後者のほうがカッ>>続きを読む

あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

-

朝鮮語は日本語と並びが似ていることを意識しだすと、外国語というより日本語の方言(という言い方はかなり微妙だが他にうまく言えない)のように聞こえる。

カフェで姉妹を映すに光にあふれたショットがなぜか好
>>続きを読む

奇跡の丘(1964年製作の映画)

-

「アァ!」→崖崩れる

の展開なによ。笑ってしまったでないか。

くりかえされる顔へのアップ。延々と響く音楽。ダッシュする群衆。イタリア語の響きで押し出されるイエスの説教。内側に伸びた眉毛。笑えないコ
>>続きを読む

アポロンの地獄(1967年製作の映画)

-

『オイディプス王』の物語を、現代のシーンで挟む構成。セリフの少ない前半は字幕の出し方、音楽の重ね方も含めてサイレント期の映画のよう。テーバイ王を殺す時の後ろへのダッシュと叫び、疫病の死体の顔の爛れ、そ>>続きを読む

黒猫(1934年製作の映画)

-

黒猫関係ないまま破滅に向かって…な感じのラスト!娘も全然使わんやん!

螺旋階段がやたら長い。透明ケースの棺よかったな。

恋人の間に位置するようにベラ・ルゴシを撮る列車のショットがよい。三人の俳優が
>>続きを読む

犯罪王リコ(1930年製作の映画)

-

エドワード・G・ロビンソン(リコ)のカエル顔が悪く輝く映画かと思いきや、ダグラス・フェアバングス.Jr(ジョー)の表情の変化にやられる映画だった。リコはずっとジョーにフラれ続け、そして口には出さない恋>>続きを読む

抜き射ち二挺拳銃(1952年製作の映画)

-

ドン・シーゲル初期の西部劇。速くて面白いとしか言いようがない。前半から馬の疾走が激アツ。

とにかく保安官がダサくて女は悪女。二人いる主人公、二人いるヒロインの対比。女の死に方は『気狂いピエロ』に反映
>>続きを読む

サイコ(1960年製作の映画)

-

ずっと映画館でかかるの待っていたのだが、流石に観ていないとまずい段階にきた感あるので諦めて家で観ることに。

階段登る時の高低差凄すぎショット。顔が鳥化していくアンソニー・パーキンス。当然、カット割り
>>続きを読む

MADE IN YAMATO(2021年製作の映画)

-

宮崎大祐が率先したオムニバス。タイトルがよい。

山本英『あの日、この日、その日』
インタビューで、村上由紀乃に切り返すところと、フリスビー投げながらの会話が好き。

冨永昌敬『四つ目の眼』
繋ぎのテ
>>続きを読む

クラム(1994年製作の映画)

-

コミック作家、ロバート・クラムとその家族のドキュメンタリー。三兄弟の汚らしい絶望が淡々と映される。マジで最低に輝いてる。アメリカ人のミソジニーとレイシズムを知りたければこれを観た方がいい。何もわからな>>続きを読む

マイスモールランド(2022年製作の映画)

-

クルド人難民への構造的暴力を容赦なく物語りながら、恋愛映画として生きている。シュークリームを同時に頬張る瞬間に世界が変わるのがわかる。撮影よいな、誰だろうと思ったら四宮さんじゃん。河原での、二人が並ん>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

-

もう観た人には釈迦に説法だけど、配信で絶対に観てはいけない、映画館(できればIMAX)で観るしかない映画。画面と音像とトム・クルーズ力の圧倒的圧倒を感じるしかない。

撮影にしろ編集にしろストーリーテ
>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

-

クイーンとジギー・スターダスト。ロックオペラ好きじゃないけど、アヴちゃんはいい声してるなりね。

『夜は短し歩けよ少女』『夜明けを告げるルーのうた』と重ねてみると、湯浅監督のアニメは絵が全体を巻き込む
>>続きを読む

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

-

やっと観れた!

デュポン社会長への聴き取りの後、駐車場に着いてから車に鍵を挿して回すまでが、外見上は何の事件も起きていないのに緊張感あって素晴らしい。サスペンスと恐怖心が重なっている。中華料理屋の前
>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

-

トム・クルーズを追っかけてケリー・マグギリスが車を暴走させるところ、すげー好き。F-14の飛ぶところの映し方もカッケー、というか人が砂煙の中でジェットを見送る(空母で働く人なんていうの?)のがカッコい>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

-

『チタン』の強烈な凝縮はないけど、脚本がやはり強い監督だなと思った。オチをあの人で終わらせるとは思わんでしょ…笑った。狂ってない人は一人も出てこないが、自分をまともだと思ってる人は結構出てくる。狂った>>続きを読む