Siosさんの映画レビュー・感想・評価

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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.4

聖地の闇を走るバイクの存在感。つい目で追ってしまう。
風に髪をなびかせる男の後ろには、ヒジャブを被った女性を乗せたり、荷物を乗せたり、空だったり。

マシュハドの街を浄化すると、娼婦を拾っては殺してい
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ダークグラス(2021年製作の映画)

3.1

視覚を奪われ、襲われる美女。
サングラスとランジェリーのコーディネートが神神しい。

次々と娼婦が殺される事件が起き、ディアナは車で追突された挙げ句、なぜか警察と殺人鬼から逃亡する羽目に。
日食、つけ
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.9

圧倒的に噛み合わない異文化交流。
文化人の受け売りとか旅の目的を問われた答えが、ロシアン労働者には全く通用しない。間と反応がたまらない。

モスクワから極北ムルマンスクへの寝台列車。訳あって一人乗車し
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.8

むやみどころかエスカレートする奇跡。
ベネデッタの妄信と探求の大胆さが潔い。

不思議な出来事を起こす若き修道女ののし上がりと、新入り美女、反対勢力、大衆の振る舞い。
現代人たちが17世紀に放り込まれ
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.5

突き通すような音の強度に熱を呼び起こされる。

情熱や起伏だったり、鮮烈さに熱狂、会話や旅まで感じられるようなライブ感のある楽曲が好み。映画館の音響で聴けて良かった。

素振りは裏切らない真っ直ぐスピ
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落葉(1966年製作の映画)

3.7

良心を守りたい。ジョージアワインの味を落とすな。
飾らない主張が力強い。

世間知らずの素朴な青年の工場への抵抗。計画至上経済は歪み、ボスは下手なキューを離さない。白衣を脱いでサッカーと酒盛で溶け合お
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ピンク・クラウド(2021年製作の映画)

3.3

延々と続くことの恐怖。

人間がいる高さに湧いてきたピンク色の雲は猛毒ガスだった。
家から出ることを禁じられた不自由。極限状況下での合意。適応という名の慣れ。窓を閉めきった空間での苛立ち。響きわたるヤ
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

優しいカンフー。
変化していく拳筋に感激!

ナンセンスで無節操なストーリー膨張から、ミニマムでシンプルな帰結へ向かうのがすっきり気持ちよい。音楽も、正義も悪も絶対的でないのも好き。
夫婦と娘はそれぞ
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

美しいシーンの数々。
トビージョーンズが口にする本質。

海辺に建つ映画館。かつての活況を想像させる品の良さ。寂しげな女性マネージャーと新たにスタッフとして入った青年が通じ合っていく。
虐げと無理解、
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.1

顔つきが変わっていくマレンにはっとする。
少女から大人へ。

美しき共食いロードムービー。友は食べても、同族は食べない。
居場所を失い、親探しの旅へ。生きづらくて末路はさまざま。血まみれの若い二人の選
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スランバー・パーティー大虐殺(1982年製作の映画)

3.8

やたらめったら電動ドリルしたい連続殺人鬼!
手際よく仕事が捗っていく。

小気味よい掴み、不気味な劇伴。
女子バスケ部のパジャマパーティー。みんな足が長くて、それぞれ個性があって魅力的。
運動神経抜群
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サバイブ 極限死闘(2022年製作の映画)

2.3

下山だけ描く映画って珍しいかも。
ロッキー山脈かな。山岳風景が美麗。

自殺願望を持つジェーンが、航空機事故で生き残る。極限の環境ともう一人の生き残りポールの存在で、生存欲求が目覚める心理変化が見処。
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冬の旅(1985年製作の映画)

3.9

土に還る時は一人。
倒れた少女の孤独な旅の経過が、彼女に触れた人たちの記憶で語られていく。

海から現れ、その後は風呂に入らないモナ。臭いと寒々しさが伝わってくる。臭いに慣れた、という言葉が出てきたが
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スモールワールド(2021年製作の映画)

3.3

人身売買の闇の深さ。闇に包まれていないと被害者は生きていけなくなる残酷さが追討ちとなり、辛い。

拐われた幼女を母親が追うところに居合わせた刑事。放っておけなくなりポーランドからロシアへ乗り込み、現地
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カンフースタントマン 龍虎武師(2021年製作の映画)

3.7

香港スタントマンの夜明けから語られていて、貴重でおもしろい。
さらにはブルース・リーの革命、ラウ監督の本物志向と変化していき、過熱し、衰退する落差。
サモハンの体型問題にも納得。

感動的な音楽をバッ
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赤い唇/闇の乙女(1971年製作の映画)

3.3

スピード狂吸血鬼に、ママチャリの老刑事が挑んでも歯が立つわけない。
登場の瞬間から正体ダダ漏れ気味な伯爵夫人の存在感と大胆さが凄い。

ベルギーのオフシーズンのホテルに宿泊した新婚の美男美女。妖艶な伯
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VIRUS ウィルス:32(2022年製作の映画)

3.2

勤務先のスポーツジムに娘を連れて行ったらゾンビ来襲。スアレスの国なのに咬むんじゃなくてボコる系でした。

客ガラガラのボロジムだけど、治安悪いのかなぜか監視カメラ充実。発煙筒を振り回すファンキーなママ
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.7

美しい村を視覚的・精神的に台無しにする汚物たちの不快さ。
過度に押し付け、纏わりついてくる〜

不幸な出来事から気持ちを切り替えるため、イギリスの田舎を訪れた女性。
森の美しさが一転して不安を煽る要素
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グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.4

グラインドハウス体感!楽しいっ!!!

特にデスプルーフの燃える女たち。棒切れ片手のあっぱれな姿。
ダラダラトークと理不尽さがあるので、否が応でも盛り上がってしまう変態と偏愛のバトル。
愁いも吹き飛ぶ
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.6

必然と突然が同居する恐ろしい映画。

整然としたデザインの部屋や通路を往来する女性。電気のオンとオフのリアリティ。丁度目が覚める力加減。息抜きすら定型化。
目的化する分刻みのルーティンと定期的な訪問者
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チリの闘い(1978年製作の映画)

4.3

歴史が激動する時。
その記録の克明さが驚異的。

1973年チリ。階級の対立、政権転覆工作、民衆の声と行動。起きている事実が、明快な構成で示されていて素晴らしい。
実力行使が迫る空気が伝わってくるし、
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.1

男臭さ全開の世界に吹き込む女性的な青年の風。
カウボーイ出てくるので馬だらけで眼福。馬の背が流れる画がやっぱり美しい。

守ってやる、
偏見教えてやる、
俺とお前は同じだ
というのはフィルにとっての生
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金の糸(2019年製作の映画)

3.7

体制崩壊から時を経て。
表現者は体制から受けた辛酸に抗し続けていて、ソ連高官の時は止まったまま。

老女となった両者が交わす会話に流れる冷気は強烈。
窓を開けて閉めての所作込みの攻防も見応えがあるけど
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.2

家族も街も愛してる!

北アイルランドのベルファスト。
隣人同士が分断され、傷つけ合う紛争。理解しないまま巻き込まれていたり、子供たちも無関係でいられないのがやるせない。
複雑な環境に置かれても、泣い
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ポゼッサー(2020年製作の映画)

3.5

潜入の現場と装置の飛躍が美しい。

他人の人格を乗っ取り暗殺を遂行するアイデアとか、ダイブ中の女暗殺者タシャの顔面イメージとか色々面白い。君の名はみたいに別人の肉体を確かめるタシャ。胡散臭すぎる潜入先
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白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

3.3

残酷な現実に晒される主人公。
その瞬間、感情の表れ方が真に迫っていて苦しい。

夫が受けた死刑の判決。
法にも神にも言い訳させているように聞こえる軽い裁き。
手を差し伸べる紳士の支離滅裂な行動。帰る帰
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.3

ピーター・パーカー良い!!
これは最高でしたね〜。

スパイダーマンの魅力の一つは、マスクで正体を隠す切なさ。前作ラストの衝撃からのスパイダーハラスメントとアクロバティックな展開。魅力が存分に活きてる
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.2

活き活きとした記者たち。
編集長を通じて繋がっていく。

数え切れないほどの名優たちが個性を表現。不思議と胸やけはしない。
囚人と看守の掛け合いが絶品でした。
悪人一味が企てる事件の展開も楽しかったな
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空に聞く(2018年製作の映画)

4.1

落ち着いた声の語りが心地よく響いてくる。
同じ空気を共に感じられるような自然さ。

陸前高田災害FMパーソナリティーの阿部さんに密着。
日々情報を声を届けてきた尊さ。
確かに他人の気がしなくなってくる
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ある脅迫(1960年製作の映画)

3.9

緊張の金庫室。
力籠る演技のぶつかり合いは見応え十分。

新潟の地方銀行の支店。
意気揚々と本店重役へ栄転する次長。うだつの上がらぬ幼なじみ。にわかに浮上する事件、回転する運命。

西村晃の巧みな表情
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盗まれた欲情(1958年製作の映画)

4.6

グラグラと煮えたぎるテント劇場のエネルギーにやられる。
ど阿呆連呼!

河内から村へどさ回り。どこまでも大学出の割りには、な長門裕之。
欲情、商魂、芸の道。一座の去り際が見事すぎて感動。

着物に割烹
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ノー・チョイス(2020年製作の映画)

4.0

イラン社会、問題ありすぎ根深すぎ。

男に言いくるめられて代理出産を強要される少女。
そこからの負の無限サイクル。

問題が起きないよう、事実を見ないようにしたり、選択(=人生)を奪うのも危険。
弱い
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悪は存在せず(2020年製作の映画)

4.4

切迫する問題に思考を向けさせる各編の強度。

地下駐車場、牢獄の通路、起伏の大きな砂の道など、面白味ある映像で、哲学論争の迷路を進んでいくよう。
法、兵役、恋愛…。機械的処理と表裏の制度の問題。

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モラル・オーダー(2020年製作の映画)

3.8

上質の映像に惚れぼれ。
お屋敷に芝居、ラストも美しい仕上がり。

女性オーナーが置かれた立場の虚しさ。
恥ずかしげなく欲を貪る男たちに、冷たく毟られる尊厳。
女性陣も結束には至らない。

オーナー女性
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屋根裏の巳已己(2020年製作の映画)

4.2

リズムが好みで引きずり込まれる。
ビックリするくらい良かったー。

行き詰まりの同棲から実家へ逃走し、夢の女性のフォロウィング。
階段の迷宮に、程よいリンチ&フーパー風味のサウンド。ディテールのこだわ
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霞姫霊異記(2020年製作の映画)

2.7

仄かに怪異が漂う島。
霞姫伝説効果は結構乱発で微笑ましい。

土偶化した彼女を救うため島へ旅立つ。音楽はどこか愉しげ。
ホルダーを背負って、島の若者とユルユルと接していく。島のラジオ放送がざっくりアウ
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