sushiさんの映画レビュー・感想・評価

sushi

sushi

映画(68)
ドラマ(1)
アニメ(0)

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.0

一番好きなヒーロー映画は『アンブレイカブル』なんだけど、本作はそれに次いで好き。
冒頭でリドラーの殺人とバットマンの悪人退治を同時並行で描きつつ、一方的に"見る"仮面の男たちという点で彼らは似ているも
>>続きを読む

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

4.2

おもちゃが人でもモノでもない何者かになるという一点だけでめちゃくちゃ面白い。行くとこまで行った感じ。それはつまり付喪神なんだけど、ある意味ウッディたちは付喪神になることでようやく命を獲得した。感動的な>>続きを読む

時をかける少女(2006年製作の映画)

4.1

細田守史上、映画的な演出がベスト。
直線と、直線が交わる十字のモチーフが多い。直線は時間の流れのメタファーである。
映画的演出がとても冴えていて、『竜とそばかすの姫』を作った監督とはとても思えない。

時をかける少女(1983年製作の映画)

4.2

創られた記憶と対峙する少女はまさしく映画という虚構を見る観客そのものであり、ラストの演出は本来はあるはずのないもの(=映画)を崩壊させつつ、その少女の笑顔は確かに存在する。アイドル映画の実存主義。>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

1.7

Uの設定もだけど、シーンとシーンの間に最低限必要だと思われる動作がかなり抜け落ちてて、そもそも映画になっていないと思った。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

2.3

ずっと音楽がうるさくて、忙しない映画だった。映画全体の編集の構造に気を取られてて、個々のシーンが薄まってる気がする。もっとそれぞれに時間をかけてほしかった。
キリアン・マーフィの顔面クローズアップは好
>>続きを読む

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)

3.6

ラストで、花の視点から走り去る狼の雪を映した後、まるで花と雪が目線を交わしているかのように真正面の切り返しのショットが続くところで泣いた。ずっと転がり落ちていく動きが強調されていたから、雪が山を登って>>続きを読む

赤線地帯(1956年製作の映画)

3.9

奥行きを意識したショットが多い。
特に冒頭で警察官(夢の里にとっての部外者)を中心にして空間が広がっていくところとか、遠くから母を見る修一の視線とかはそれが際立っていた。
どうでもいいけど、夢の里の2
>>続きを読む

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

4.4

船内で革命が起こるまでは正直に言って少し退屈だったけど、それ以降は人がウジャウジャしてるだけでこんなに面白いのかとびっくりした。

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.5

アパートのパートはまぁまぁ楽しい。あとは普通。
主人公はどうやら薬のせいで幻覚を見るようになったようだけど、別に言うほど狂った映像が見せられるわけではないので、物語的に隠されている部分が不気味な演出と
>>続きを読む

ナポレオン(1927年製作の映画)

5.0

ひたすらに"自由"な映画だった。
ただ、家で見るような映画じゃない。

菊次郎の夏(1999年製作の映画)

3.8

普通に面白い。
ラストで観客と菊次郎の視点が重なるところは上手いなと思った。
夏の終わり=成長。

亜人(2017年製作の映画)

1.8

佐藤は倒したクリボーの数なんか数えないし、そもそもスーパーマリオでクリボー倒して楽しむような人間ではないと思う。

エル・スール(1982年製作の映画)

5.0

ひたすらに美しい。
本作において、映画とは遠く離れた別世界の音と光を覗き見ることであると定義されていた。
父親の部屋を覗き見ること、彼が遠くの方で鳴らす鉄砲の音、寝ている時に聞こえてくる両親の会話、父
>>続きを読む

機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

3.8

「見る」神に対する「見られる」虐げられし者の反逆。

『攻殻機動隊』でもそうだったが、本作でも「見る」「見られる」の関係がテーマとなっている。両者には明確な力の差があり、後者は虚構の壁(それはテレビ画
>>続きを読む

透明人間(2019年製作の映画)

3.6

最初見終わったとき、エイドリアンが主人公を襲ったという明確な証拠が描かれないこと(つまり、最後まで彼が自白せずに犯行を否定したこと)にすごいモヤモヤしたんだけど、これは意図されたものなのだと思う。
>>続きを読む

ドイツ零年(1948年製作の映画)

4.2

まず、会話の場面で人やカメラがよく動いて退屈しなかった。また、元教師と少年が路面電車に乗って車両が画面から抜けていくと同時に背景の荒廃した街並みが姿を現す場面は、フィクションの人物の一時的な不在による>>続きを読む

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

4.7

家族という「枠」のむこうへ行く話。
黒沢清は風に揺れる布をよく撮るけど、こんなに清々しい時もあるんだね。
黒沢清映画では『CURE』と並んで一番好き。

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

3.7

『アンブレイカブル』がすごく好きなのでブルースウィリスが割とあっさり死ぬのが物足りなかったが、ミスターガラスの魅力で評価が上がった。
彼は脆い身体と引き換えに高い知能を持っているが、その高い知能はおそ
>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.5

本作の最も重要なモチーフは水。
水は高いところから低いところへと流れていく。この絶対的な性質が人間の欲と重ねられている。
本作に高低差を意識したショットが多いのは、この水の性質を意識したものだろう。こ
>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

4.6

フレームで区切られる人物たち。
雪崩のように落ちていく岩や砂利の上に、主人公の影が映る場面や、主人公とおじさんが会話してる時にだんだんと日が沈んでいく場面が良かった。
崩れる岩や砂利、群れで飛んでいく
>>続きを読む

アンブレイカブル(2000年製作の映画)

4.4

初めて見たシャマラン。すごい好き。
フレーム、鏡(ガラス)、距離、反転といったモチーフを使ったコミックのコマみたいなカットがカッコいい。MCUとかと比べると静かな映画なんだけど劇的な場面が多くて面白い
>>続きを読む

カーズ/クロスロード(2017年製作の映画)

1.8

マックィーンが若者に怒鳴り散らす老害に見えた。
ストームは最新技術を取り入れて、徹底的に合理性を追求してるからこそ強いのに、マックィーンはラスティーズのトレーニングを頑なに受けようとせず、昔ながらの方
>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

3.4

「見る」「見られる」の関係とフレームを意識した構図。過去と未来、現実と虚構が交差する抽象的な空間である都市の中で、草薙素子のアイデンティティは溶け出す。
ヴィジュアルでかなり魅せられてるから、正直言っ
>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

3.5

エレクトロが取り残されてしまってるけど、グウェンの最後は良いと思った。最初から全て決まっていたのかもしれないけど、自分の意志で人を救うんだっていう彼女の姿には心動かされる。

されど歯車は止まらない。

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

4.0

愛おしいヒーローたちが、現実の世界にそのままの姿で存在するという奇妙な事実。
こんな時代に、これほど清々しく実在感のある英雄を撮れるなんて思わなかった。

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

3.6

「米軍史上最多、160人を射殺した、ひとりの優しい父親」という日本のキャッチコピー。
ドナルド・トランプがアメリカ社会に登場するまでは、これは有効だったのかもしれないが(そもそも、本作の公開当時からイ
>>続きを読む

ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.8

「プリズナーズ」でも見せた、霧や闇といったモチーフが、主人公にとっての麻薬戦争=不条理な現実への入口のメタファーとして機能していた。また空撮のショットはその不条理な現実を抽象的な空間として見せていた。>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

塔に入るまでの不気味な感じはすごく良い。「千と千尋の神隠し」の序盤を思い出すが、それとはまた違った薄気味悪さ。初見時(公開当日)は前情報が一切無かったせいもあって、マジですごいものが始まったんだと感動>>続きを読む

グッドフェローズ(1990年製作の映画)

4.3

音と視線のドラマ。
観客はあくまでもグッドフェローズを見る側であり、決して彼らを理解することはできない。
ラストでは観客と同様に、主人公も彼らを仰ぎ見る存在へと逆戻りした。アウトサイダーである我々を、
>>続きを読む

>|