sushiさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.8

「プリズナーズ」でも見せた、霧や闇といったモチーフが、主人公にとっての麻薬戦争=不条理な現実への入口のメタファーとして機能していた。また空撮のショットはその不条理な現実を抽象的な空間として見せていた。>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

塔に入るまでの不気味な感じはすごく良い。「千と千尋の神隠し」の序盤を思い出すが、それとはまた違った薄気味悪さ。初見時(公開当日)は前情報が一切無かったせいもあって、マジですごいものが始まったんだと感動>>続きを読む

グッドフェローズ(1990年製作の映画)

4.3

音と視線のドラマ。
観客はあくまでもグッドフェローズを見る側であり、決して彼らを理解することはできない。
ラストでは観客と同様に、主人公も彼らを仰ぎ見る存在へと逆戻りした。アウトサイダーである我々を、
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怪物(2023年製作の映画)

3.0

普通。
暗闇から明るい方へ抜け出すワンカットは、『去年マリエンバートで』を思い出した。

スパイダーマン3(2007年製作の映画)

1.5

ハリーとの因縁とMJとの恋愛を主軸にすえれば良かったものを、ヴェノムやサンドマンを出したおかげで物語を処理しきれていない。
ラストもメロドラマで終わってしまうのがダメ。前作や前々作みたいに、あくまでも
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スパイダーマン2(2004年製作の映画)

3.2

前作ではヒーローになるという一人称視点の物語だったが、本作は大衆に仰ぎ見られる者としてのヒーローを描く。それを示すように、前作のラストでは街中を飛び回るピーター/スパイダーマンが星条旗の下に着地するシ>>続きを読む

スパイダーマン(2002年製作の映画)

3.2

とにかくテンポが良い。
幼い頃にはあまり意識しなかったけど、かなり政治色強めだったかも。

アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

3.0

bfiのランキングに入ってて、割と最近の映画なのに全く知らないやつだったから見た。
冒頭の眼球のシーンで、「ブレードランナー」みたいな話なのかなって思ったらその通りだった。レプリカントが徐々に人間性を
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.1

ズームの多用とシンメトリックな構図、過度に抑制された演技などによって終始落ち着かない。「シャイニング」っぽい。
特に構図はかなりキマっていたけど、あれだけ観客をビビらせておいて驚くような展開があるわけ
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フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

4.1

越えてはいけない一線の先に行ってしまった主人公を観客の目は捉えることができない。
何ともいえない余韻が残るラストカットがニューシネマっぽくて良い。

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

3.8

超楽しいsfダークコメディ。

「エイリアン」はフェミニズムと結びつけられることが多い。ギーガーが創造したエイリアンの後頭部は男性器を模していたり、また劇中で腹部からエイリアンが出てくるのは妊娠・出産
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

5.0

生を知る子どもたちと死に近づいていく大人たち。赤と緑がきれい。
中盤の「雨」に関連するシーンは本当に鳥肌が立った。

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.3

とにかく映像がきれい。
カンバーバッチがそういう役なのはなんとなく見る前から分かっていたけど、まさか殺されるとは思わなかった。有害な男性性は死をもってしか贖罪できないんだろうか。そういうフェミニズム的
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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

3.3

ハイジャック制圧の映像だけは見たことあったけど、大佐がナンパするとことかマフティの一味の厨二感が受けつけず放置したままだったが、意外に面白かった。

終始キャラクターたちがラノベっぽい青臭い台詞を吐く
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

5.0

今のところ自分にとって完璧な映画。
館から逃げて心中した男女の霊が、死の館で無限に理想的な幕切れを模索する話と解釈した。反復される詩、突然死んだように静止する人々(庭園で人々が並び、その影が不自然に伸
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バービー(2023年製作の映画)

3.0

グレタ・ガーウィグは前作の「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」が非常に良かったので期待して見に行ったのだけど、可もなく不可もなくって感じ。だいたい事前に想像していた通りの内容だった。良いところは退屈する>>続きを読む

風と共に散る(1956年製作の映画)

4.3

初めてのダグラス・サーク作品。

鏡を使ったシーンが多い。特に序盤のホテルでカイルがルーシーに言い寄っている場面では、彼らの間にある鏡にルーシーを見ているミッチが写っていて、その視線を遮るようにカイル
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.1

初めてのファスビンダー。
冒頭からカメラの動きとカラーコントロールに圧倒される。どのシーンにも差し色の赤があり、小津安二郎を思い出す(同じ構図が前半と後半で反復されるとか室内画のモチーフとかも小津の作
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.3

今までスピルバーグ作品を面白く感じたことがなかったので全く期待せず見に行ったが、非常に楽しめた。
不条理な現実(暴力、災害、死など)を改変し、創作者の意思とは関係なしに肥大していく映画の持つfabel
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クラッシュ(1996年製作の映画)

3.4

大量生産・消費を繰り返す資本主義社会に虚無感を抱く主人公が精神的に生まれ変わる物語。
主人公の家から見える、量産された自動車がみな同じ方向を向いて整然と走る道路というモチーフは、今作のテーマが「機械(
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.7

見終わった直後はすごいものを見たなという印象だったが、落ち着いてから考えると手放しに誉めることができるような作品ではないと思った。特に3.11の話で原発の話をしないのはどうかと思う。社会性のあるテーマ>>続きを読む

フィツカラルド(1982年製作の映画)

4.2

初めてのヘルツォーク作品。
18世紀から19世紀のドイツロマン主義の時代、すなわちドイツの全盛期の雰囲気を凝縮した作品だった。
自然の崇高さ、アルプス越えのナポレオンのように果敢に立ち向かう主人公の高
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

2.8

映像は素晴らしいが、肝心のストーリーの出来が非常に悪い。
アバターシリーズのテーマはポストコロニアリズムとアメリカの建国神話の解体であり、今作ではそれがより前面に出てきた感じだったが、監督自身が主人公
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バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

2.7

「バードマン」では虚栄の仮面を脱ぐことで飛翔した。今作は仮面の下の恥部をさらす作品と言える。
今作に最も影響を与えたのはおそらくタルコフスキー監督の「ノスタルジア」だ。ソ連当局と対立し、表現の自由を求
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

2.4

期待しすぎたせいか、ギレルモデルトロ監督にしては非常に平凡な作品だった。巷で言われているように、確かにストップモーションの映像は面白かったが、物語自体にはあまりセンスオブワンダーを感じなかった。
今作
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.5

久しぶりに見返すと、それまで狂っていくトラヴィスの内面にフォーカスした作品だと思っていたが、意外にも当時の世相を反映していることが分かった。トラヴィスは言及されないが明らかにベトナム戦争帰りだし、彼は>>続きを読む

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

3.4

前作はいわゆる「受け身で王子様を待つプリンセス」の逆張りのような作品だったのに対して、今作はそこをさらに超えて「もののけ姫」を西洋風に分かり易くアレンジした作品だった。物語の構成は前作の方が優れている>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.0

現状ではピクサー最高傑作だと思う。
今までのピクサー作品は基本的に「親と子」または「作り手と観客」をテーマとしていた。作り手たちが親として自身の子どもたちや観客に向けて何を伝えるかが作品の主軸にあった
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ファースト・マン(2018年製作の映画)

3.4

デイミアンチャゼルの作品では今のところ一番好き。
いわゆるセカイ系の話だけど、奥さんからの視点(夫が何を考えているのかわからない)がちゃんとドラマに組み込まれているので、ラ・ラ・ランドやセッションより
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エターナルズ(2021年製作の映画)

3.0

ブレードランナーやキューブリックの2001のオマージュで始まったところはすごいワクワクした。まさかピンクフロイドが来ると思ってなかった。前日にホドロフスキーのデューンを見てたから、ブレードランナー→リ>>続きを読む

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