ソウキチさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

5.0

ザラー節とも言えるオフビートで乾いたユーモアと人物描写、説明的でなくディティールで画の強度を担保する胆力。そして鮮烈な暴力。この独特のリズムにのれるかどうかで好みが分かれる159分。銀行強盗のシーンで>>続きを読む

天使のはらわた 名美(1979年製作の映画)

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田中登と石井隆の美意識が悪魔合体した背徳的傑作。過去のレイプ被害者を訪ねる暴力的な記録映像タッチの前半から、一転してアルジェントの様な耽美ホラーな後半。そしてブレランの様な雨とネオンサイン…どこを切り>>続きを読む

悪魔のような女(1955年製作の映画)

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妻と愛人が結託してモラハラ夫をブチ殺すという導入だけでもワクワクするが、完全犯罪は容易ではなく死体を紛失するという詰めが甘すぎるアクシデント。そこから見えない死体を巡るサスペンスにドキがムネムネ。胸糞>>続きを読む

牝猫たちの夜(1972年製作の映画)

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夜の街をかしましくサバイブする女三匹と、対照的に描かれる70年代の男達のデカダンス。全体としてポップかつ掴み所がない不思議なロマンポルノだが、要所要所で性と死を濃厚に感じる演出がありドキッとする。オー>>続きを読む

メメント(2000年製作の映画)

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逆行と順行のパートを交互に独特のテンポで見る健忘症復讐鬼の世界。「何故こうなったのか」を解いていくロジカルで斬新な手法がクセになる。パズルのピースが埋まるほどに可能性が分岐し、真実が遠くなるジレンマ。>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

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映画好きはわかってくれると思いますが一部のはぐれ者にとって「美しさ」って絶対正義じゃないですか。凪沙が「この白鳥を羽ばたかす為なら私は全て捧げる」って表情になる瞬間。主人公と観客の美への信仰心がシンク>>続きを読む

悪魔の毒々モンスター東京へ行く(1988年製作の映画)

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意外とヒーローオリジンとしてちゃんとしてた前作に対し、清々しいほどのクソ映画な続編。ゲリラ撮影かと思われる東京のリアルなストリートも見どころ。人種も性別も関係なくバカすぎて全ての人に平等に残酷でお下劣>>続きを読む

脱出(1944年製作の映画)

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禁煙中にはきつい喫煙推奨映画。とにかくタバコ使いがめちゃカッコよく、ローレン・バコール(当時19歳⁈)登場シーンの一連の所作は尋常じゃない。伝説。肩の力の抜けた渋くて洒脱な大人のエンタメ。強いのに常に>>続きを読む

HiGH&LOW THE WORST(2019年製作の映画)

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我々の現実とは隔絶されたバースにある不良のセカイ系シリーズ最新作。今作も凄まじいのはそんな荒唐無稽な世界観に説得力を持たせる物量と情報量のゴージャスさ。無名街に次ぐパワースポット「絶望団地」で繰り広げ>>続きを読む

トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

5.0

邦題に騙されることなかれ。めちゃ面白い。スローな語り口ながら、拐われた側の安否が全く映されなかったりと緊張感が持続する演出。前半を費やしての丁寧な人物描写のおかげで、終盤の怒涛のバイオレンスが下品にな>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

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矛盾する表現だが色彩のノワール。アジアンで猥雑なネオンと闇の迷宮が蠱惑的。全体的に誰がどこで何やってるのかわかりづらいのだが、ブアマンのポイントブランク的な魅力がある。かと思いきやタランティーノな暴力>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

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季節の風や陽光の匂い、しばらく干されてない布団の匂い、煙草と淹れたての烏龍茶の香り、チヂミの焼ける匂いや病院の匂い…思考よりも速く五感で、少女の「痛み」や「生き辛さ」が伝わる。それは微かに自分にも覚え>>続きを読む

お嬢さん乾杯!(1949年製作の映画)

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戦後成金の自動車修理工の男と没落した元華族令嬢のロマコメ。住む世界が違う男女のすれ違いと顛末は、殆どすれ違わなくなった現代こそキュンとくる。優しさと粗野が同居する叩き上げ男のおどけた不器用さに、原節子>>続きを読む

イエスタデイ(2019年製作の映画)

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誰もがビートルズを忘れた世界で、売れないミュージシャンだけがそれを憶えてたら…
他人の曲で富と名声を得るほどに浮き彫りになっていく何者でもない自分・突きつけらる無能がキツい。皆も下積み時代の恋人はでき
>>続きを読む

デトロイト・ロック・シティ(1999年製作の映画)

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死んでもKISSのライブに行きたい悪童4人の、どんなロックコンサートよりもロックな一夜。親との精神的な決別・女の子とのキス…彼らの狂騒とイニシエーションの物語を、往年のロックナンバーが彩る最高にアガる>>続きを読む

悪魔の毒々モンスター(1984年製作の映画)

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人命のパティをエログロのバンズで挟んだ喰い過ぎると病気になるジャンクフードムービーで倫理観はフライドポテト並。でも作り手の想いだけは自然食の様にピュア。終始血走った異常なテンションだが、意外とよく作り>>続きを読む

赤ちゃん教育(1938年製作の映画)

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ドタバタという表現では生ぬるい、もはや狂気の領域のスクリューボールコメディの代表作。徹頭徹尾べしゃりっぱ動きっぱで完全に躁のまま駆け抜ける大団円。だのにオチは多幸感で笑いながら泣けてきちゃう不思議。動>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

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蜜柑、猫、井戸…消えた彼女。ない物をあると思い込むのではなく、其処にないこと自体を忘れるという悲しいスキルで得る存在証明はか細く危い。朽ちたビニールハウスの様に透明で役立たずな僕等。燃やされるのを待つ>>続きを読む

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(2017年製作の映画)

5.0

最高。こういうのが観たかったオフビート・ウルトラ暴力。少年漫画顔負けのインフレで悪行を重ねプリズンレベルをあげていく頭悪いストーリーながら語り口がドライでそのギャップにやられる。序盤に素手で車破壊する>>続きを読む

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)

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神の不在と悪魔の所在についての復讐群像劇。テーマやタイトルの割にはナレーションや些か出来過ぎな人物相関など相当優しい語り口なのでとても見やすい。バットマンvsスパイダーマンを筆頭に絵面に華があって良い>>続きを読む

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

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売春防止法前夜の遊郭・洲崎パラダイス。異界の門前で立往生する行き場なき男女。短い尺でこの濃密な世界観と、危うげな男女の心模様が余すことなく描れている。それでいていかにも日本的な湿っぽさはなく、洒脱でモ>>続きを読む

アンダーウォーター(2020年製作の映画)

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深海では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない。

暗さと閉塞感で息が苦しくなる画面、オタク感度抜群のガジェット、そしてなんと言っても画になるベリショのC.スチュワート。

ゲーム的な動体視力を要求する演出
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オンリー・ザ・ブレイブ(2017年製作の映画)

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「絆」という言葉が安く、都合よく利用されがちな世の中ですが、この映画で描かれるような死線を共にして生まれる絆こそが本物なんだと思います。

安直なカタルシスに逃げない実直で繊細なドラマに、実在した英雄
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もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

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インテリすぎて解ったふりすらさせてくれないカウフマン先生。

私は素直に理解できませんでしたが、老いとはやはり最悪で、この先も人生は好転なんかしない絶望だけはひしひしと伝わってきた。

地獄の様に長い
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

5.0

目と耳が幸福すぎて鑑賞中この映画ずっと続けばいいのに…て思った。

冒頭でニンジャタートルズとスーファミが映された時点でこの映画は俺の映画になり、ジョナヒルは俺になった。

ノスタルジー映画は70-8
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少林サッカー(2001年製作の映画)

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仕事でミスが続き自己肯定感だだ下がり状態で何となく再鑑賞したらグッときた。リアタイの時はおっさん達の滑稽さに爆笑してたが、いい歳になった今観ると笑いよりも込み上げてくる感情があった。敗北を知りすぎた男>>続きを読む

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46(2020年製作の映画)

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元より「虚」の象徴たるアイドルからドキュメンタリーが切り取る平手友梨奈という超越的な「実」
その存在と不在を巡る神話。パブリックイメージと反逆の無間地獄でもがくカリスマと、高すぎる壁を眼前にしてなお踊
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直撃!地獄拳(1974年製作の映画)

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デタラメに面白い!甲賀末裔の忍者探偵・元エリート刑事の殺し屋・女好きで合気道の達人の死刑囚という永井豪の漫画みたいな主役3人のキャラ立ちからまず最高。サニー千葉のキレキレの殺陣は言わずもがな、シラフと>>続きを読む

女は女である(1961年製作の映画)

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「24時間以内に孕ませて」鈍感な男からすれば唐突な無茶ぶりに聞えるが、彼女からすれば気まぐれながら切実な願いだったりする。女の可愛さいじらしさ予測不能さユニークさを全て体現するアンナ・カリーナの可憐さ>>続きを読む