ソウキチさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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オルフェ(1950年製作の映画)

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まさに映像詩!死神の王女と詩人の不倫純愛メロドラマとしても面白いし、"死神"は"所帯持ちが心の奥に封じ込める理想"のメタファーとして見ても面白い。鏡や逆再生などを使ったシュールな映像トリックが凄い。死>>続きを読む

ダイナー(1982年製作の映画)

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大人になるタイミングを逃した若者たちは、いつも同じ場所に集まってくだらない話で互いの焦燥感を慰めあう。この映画は大したことは何も起こらんからこそ良い。かつて街道沿いのロイホで、駅前のトリキで、夜明けま>>続きを読む

第三の男(1949年製作の映画)

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「あの点が動かなくなったら同情するか?」友の死の真相を追う三文小説作家と、死んだ親友の恋人。斜めアングルとバッキバキの陰影が捉える迷宮の様なウィーンで奔走するミステリーと、死人を含む三角関係が切なくて>>続きを読む

天使のはらわた 赤い眩暈(1988年製作の映画)

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シリーズ原作者にして日本映画随一のビジュアリスト石井隆待望の監督デビュー作。既に作家性が炸裂してる退廃美的な画の流麗さ、浮遊感じみた軽さで喉を通りやすい耽美ポルノ。雨とネオンとドン詰まりの男女。壊れた>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

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あ…ありのままの感想を書きます。今作では拳銃を発砲した際、いつの間にか銃弾が弾倉に戻ります。何を言ってるのかわからないかもしれませんが、私もよくわかりませんでした。鑑賞中は頭がどうにかなりそうで…CG>>続きを読む

スーパーマン III/電子の要塞(1983年製作の映画)

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今作を観て、今は当たり前に高品質なスーパーヒーロー映画が観られる事に感謝した。T・バートンがバットマンでルネサンスを起こす前夜、タイツのヒーローで真面目な映画なんて受け入れられなかった。今作は酷い出来>>続きを読む

Share the Pain(2019年製作の映画)

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「俺は、君のためにこそ掘られにいく」
性犯罪抑止の為、男子は童貞卒業前に成人男性とSEXしなければならないトンデモ法、SP法が可決された近未来。デビュー作とは思えない垢抜けた映像。すごく自然に聞こえて
>>続きを読む

トレイン・ミッション(2018年製作の映画)

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再就職という栄光に向って走る列車の様な牽引力で、細かなノイズなど蹴散らし爆走するストーリーテリングの面白さ。コレット=セラの体育会系ミステリとでもいうべき豪腕が唸る。乗り物に乗ると必ず何かに巻き込まれ>>続きを読む

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(2017年製作の映画)

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地雷にみえて意外と無難な出来の実写化。異国の街を強引に杜王町にする等、一般的な実写化とは真逆の非現実の方に現実を寄せる思い切ったアプローチが功を奏す。ただ総じて薄口でジョジョなんだからもっと濃口でもよ>>続きを読む

10日間で男を上手にフル方法(2003年製作の映画)

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お互いに仕事の為10日間で「絶対に相手からフラせたい女」vs「絶対に相手をモノにしたい男」

両者ともモテるからこそ敵を熟知した攻防が面白い。ガールズムービーだけど男性目線でみても「男が嫌がること」で
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ボクサー(1977年製作の映画)

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かたわのボクサーと落ちぶれた元王者。ドン底の野良犬2匹、サンドバッグに浮かぶ憎いアンチクショウを叩く。ジャブたる導入こそベタなスポ根だが、そこは寺山修司、ストレートな映画にはならない。リングという"死>>続きを読む

人妻コレクター(1985年製作の映画)

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ネオン街で獲物を物色するタクシードライバーの血眼。爆音で鳴る暴力的なパンク。冒頭から凡百のポルノとは違う。全編錆びた鉛の様なトーンの画面、SEXシーンも低血圧で眠くなるが、その分随所のじゃがたらとゲリ>>続きを読む

アルフィー(1966年製作の映画)

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生娘から熟女まで。人妻でも御構い無し。女と見れば手当たり次第喰い散らかすプレイボーイの遍歴と顛末。第四の壁を越え観客に問いかける色魔は、同性から見ても不快極まりない。が、同時に彼の説く生き方を否定しき>>続きを読む

ハロウィン(2018年製作の映画)

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家庭を作っても箱庭を作っても消せないトラウマ。その傷を癒すセラピーは唯一、自らヤツを確実に殺すことだけ。原点のホラー演出を踏襲しつつ、母娘三代に渡るヒロインリベンジとしても燃える。絶対殺す婆と化したJ>>続きを読む

ネメシス(1992年製作の映画)

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天晴れ中2SF。ブレランのSFノワール感・ロボコップの世界観・ターミネーターな敵の火力と不死身ぶりetc…SFポップカルチャーへの憧憬と低予算でも「カッコいいもんを作る!」という強い意志を感じ、色んな>>続きを読む

デューデート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜(2010年製作の映画)

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アイアンマンならひとっ飛びな距離を、桃鉄の貧乏神みたいなガリフィアナキスとオナドッグと共に横断する満身創痍のダウニーJrが愉快。いつの間にか友情芽生えてたけど、仲良くなるきっかけが自分にはようわからん>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

5.0

‪黒沢清スラッシャー超面白い。何の変哲もないビルに魔界を現出させるカリガリ博士ばりの極端な照明と劇伴、既に卓抜した空間描写、そしてなんといってもバイオハザードのタイラントの様な松重豊演じる元力士の殺人>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎忘れな草(1973年製作の映画)

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清純で高嶺の花な歴代マドンナ像を覆す、浅丘ルリ子さん演じるリリーの鮮烈さたるや。互いの孤独が似すぎてるからこそ一緒になれんのよね…失恋後に喰うラーメンのしょっぱさがわかりすぎてつらいよ。二人の再会が今>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

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映画史のマスターピース。今でもショボさを感じない画の豪華さと、以降映画の基礎となる技術見本市。真実を捏造し全てを手にした筈の男が得られなかったもの=バラの蕾とは。ローアングルが映す新聞王の肥大化したエ>>続きを読む

美少女プロレス 失神10秒前(1984年製作の映画)

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異色スポ根ポルノ。夢の島でいちばん強くなりたいJD山本奈津子が可愛い。カリフォルニアならぬデルタドールズが、恋敵とリング上で火花を散らす。
「おしっこで焚き火を消す迫力で…勝つんだ!」って今年最強のパ
>>続きを読む

ミクロキッズ(1989年製作の映画)

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純度100%楽しませる為に作られてるから楽しくない訳がない!自宅敷地が広大な冒険のフィールドになったり、蟻との友情が芽生えたり…これまたアントマンの元ネタか。視点が変われば今まで見落としてたものが見え>>続きを読む

リトル・オデッサ(1994年製作の映画)

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乾いた画面がヒリヒリ痛む。暴力しか自己表現の術を知らない父子の相克と、移民のコミューンからも爪弾きにされた半端者の兄とそれを慕う弟の兄弟の絆。まるで呼吸の様に自然に存在する静かな暴力描写、声なき慟哭が>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

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‪確かに黒沢清なのに、かつてないエンタメ性。スパイに"なってしまった"夫婦の話で、題名はミスリード。核心を見せぬ夫と、献身的な妻の盤上遊戯。国家機密と痴話喧嘩が並走するサスペンスな脚本。嘘を諦めた夫か>>続きを読む

ニンゲン合格(1999年製作の映画)

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‪社会と繋がってはじめて"ヒト"を"人間"たらしめる存在証明になるなら、10年の昏睡を経て家族含め殆どの人の生活から消えていた彼はさしずめ遅れてきた亡霊。自らの輪郭を捉える為に繋がりを求め彷徨う男…西>>続きを読む

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

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どこで一時停止してもポストカードになっちゃうお洒落ミュージカル金太郎飴。恋慕・情熱・惜別・心変り…恋人達の心情を象徴するビビッドな色彩と、全編に渡るメロディとしての会話。台詞の意味を意識せずとも視覚と>>続きを読む

リトル・ミス・サンシャイン(2006年製作の映画)

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自己啓発で一攫千金を狙う父、哲学にかぶれ無言を貫く兄、失恋して自殺未遂をした叔父、ヤク中の好色爺…次第に息があってくる壊れたワーゲンを押す共同作業がバラバラだった家族の再生を表す様で可笑しい。誰が何と>>続きを読む

人妻集団暴行致死事件(1978年製作の映画)

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物騒すぎる題の胸糞青春犯罪ポルノの傑作。一見、奪う・奪われるの相関に見える無軌道な若者と、彼らに自らの過去を重ねる朴訥な夫。夫婦の相互不理解の象徴たる屍姦、終盤明らかになる妻の秘密から、今作は強姦と和>>続きを読む

インナースペース(1987年製作の映画)

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「あんなこといいな できたらいいな」童心が夢想するワンダーをビジョンにするジョー・ダンテは僕らの悪戯好きなおじさんだ。冴えない青年と、体内に潜り込んだ小さなパイロットのバディ物。同時進行するミクロの探>>続きを読む

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)

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四肢が飛び脳漿が炸裂する。ランボーってこんなグロかったっけって程の凄絶なゴア描写に息を飲む。暴力こそが共通言語となったミレニアム以降の世界で、何かを守ることを描くには流血は避けられない。今作を差別的だ>>続きを読む

君さえいれば/金枝玉葉(1994年製作の映画)

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別題『レスリー・チャンの 私がモテてどうすんだ』でもしっくりくるラブコメ。男装女子を巡る恋の駆け引きと性差から生じるすれ違いギャグが妙だが、世の中の意識が変わった今見ると流石に笑えない描写はある。しか>>続きを読む

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

5.0

ザラー節とも言えるオフビートで乾いたユーモアと人物描写、説明的でなくディティールで画の強度を担保する胆力。そして鮮烈な暴力。この独特のリズムにのれるかどうかで好みが分かれる159分。銀行強盗のシーンで>>続きを読む

天使のはらわた 名美(1979年製作の映画)

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田中登と石井隆の美意識が悪魔合体した背徳的傑作。過去のレイプ被害者を訪ねる暴力的な記録映像タッチの前半から、一転してアルジェントの様な耽美ホラーな後半。そしてブレランの様な雨とネオンサイン…どこを切り>>続きを読む

悪魔のような女(1955年製作の映画)

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妻と愛人が結託してモラハラ夫をブチ殺すという導入だけでもワクワクするが、完全犯罪は容易ではなく死体を紛失するという詰めが甘すぎるアクシデント。そこから見えない死体を巡るサスペンスにドキがムネムネ。胸糞>>続きを読む

牝猫たちの夜(1972年製作の映画)

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夜の街をかしましくサバイブする女三匹と、対照的に描かれる70年代の男達のデカダンス。全体としてポップかつ掴み所がない不思議なロマンポルノだが、要所要所で性と死を濃厚に感じる演出がありドキッとする。オー>>続きを読む

メメント(2000年製作の映画)

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逆行と順行のパートを交互に独特のテンポで見る健忘症復讐鬼の世界。「何故こうなったのか」を解いていくロジカルで斬新な手法がクセになる。パズルのピースが埋まるほどに可能性が分岐し、真実が遠くなるジレンマ。>>続きを読む