藍紺さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

藍紺

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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.9

「ちひろさん」が他者に対する言動や行動は、今まで彼女が出会ってきた人達で出来ている。彼女が自分と同じ星の人間だと心を許した大人たちを自分の中に取り込んで生きている。そしてそんな風に生きる彼女に周りの人>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.8

アメリカに渡った中華系移民女性が主役の話、って聞くとなんか歴史物の映画っぽいのに全く違うテイストだったのはダニエルズが監督だったからなのかな。良い意味でポップ、そしてカオス。でも描かれてることはシンプ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.5

慣れ親しんできたスピルバーグ作品のほんの少しではあるが、種明かしを見せられたような映画。
激突(クラッシュ)に魅了され、映写機が映し出す映像の魔物にのめり込んでいく一人の少年の物語。初めは自分のフェテ
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エゴイスト(2023年製作の映画)

4.0

自分に惜しみなく金を使うことが出来る稼ぎのある浩輔と、母親に寿司を買ってあげたいがその金額にすら躊躇う龍太。高級ブランドに身を包み完全武装して生きてきた男と、命を削り身一つで生きてきた男。お互いの生活>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.1

パク・チャヌクの手練感を存分に味わえる楽しくて不思議なカメラアングル。ちょっと技巧を凝らしすぎでは?とも思うけど、監督のフェティッシュを思いっきり加味した編集は変態性が隠せないw ヘジュンの妄想と現実>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.1

息子を殺された両親と、息子が殺人を犯し自殺した両親。被害者家族と加害者家族が事件の6年後再会し4人が対話する様子を映し出す。

まず、対話に使用する一室の準備段階から緊迫感が凄い。具体的に事件の当事者
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.3

ストップモーションアニメで表現されたデルトロらしいピノッキオ。素晴らしかった!大好き!!!

細部の細部にまで拘りぬいた造形に命を吹き込まれたキャラクター達がいきいきとスクリーンを動き回る。それぞれに
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バビロン(2021年製作の映画)

3.6

1920年代のハリウッド、サイレント映画からトーキー映画に移行する混乱の映画産業をデイミアン・チャゼルが描く、ということで映画愛が炸裂した作品になってるのかなと思ってました。思ってたんですが、うーん、>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.3

小さな島に住むおじさん二人の仲違い。親友から絶交された男は自他ともに認める”いいひと”だったはずが、歯車が狂い出しタガが外れ徐々に暴走していく。1923年の話だが、現代に生きる我々も身につまされ、色々>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.9

MeToo運動の始まりともなったハリウッド映画プロデューサー性暴力事件の真相とは。

色々な方が言及されてたけど、確かに「大統領の陰謀」を思い出す映画だった。NYタイムズの新聞記者をキャリー・マリガン
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.0

20世紀を代表する映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの生涯を綴るドキュメンタリー。
自らが好む好まざるに限らず依頼された映画作品の作曲を引き受け、且つ映画が興行的にヒットするかどうかにまで配慮する紛れ
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.8

韓国発ハワイ行きの旅客機でバイオテロが発生。
密閉空間逃げ場なし、乗客たちの運命はどうなる?

ウイルスの空気感染の恐怖だけでなく、そこに墜落の危機も加わったり、登場人物たちの色んなエピソードが幾重に
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.1

滑り込みで、今年最後に気になっていた作品を。

原作は日系アメリカ人 エイドリアン・トミネの3つの短編から。アメリカで創られた物語がフランス"パリ13区"に舞台を移し、価値観も人種も異なる若い男女が織
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その道の向こうに(2022年製作の映画)

4.1

Apple TV+での配信のみだけど、フォロワーさんたちが相次いで絶賛だったので鑑賞。
素晴らしかった。派手じゃないし淡々と日常が流れていくだけといえばだけなんだけど、とても沁みた。一人では抱えきれな
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.9

サクッと観られて楽しい、面白い!
セットや劇伴にネトフリの資金力が惜しみなく投入されてるのが作品から伝わってくる。勿論キャストもカメオ出演組も豪華!自分が気付いてない有名人や小ネタも多々ありそうで、す
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

コロナ禍の東京、耳の聞こえないプロボクサーであるケイコの日常を描く。16mmフィルムのざらついた映像がこの映画にはとてもよく似合っていた。街を横切る河川、河川敷、首都高……。この風景こそが地方在住者で>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.2

2回鑑賞してやっと落ち着いてきたので感想を。いやー、素晴らしかった!

初めて井上雄彦を知ったのは「楓パープル」、子供ながらにああ、この人は売れるだろうなと確信した(彦一流に言えばまさに要チェックや!
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.8

過去作が「私、僕のために世界はある」だとしたら、今作は「世界の中に私がいる」になっていると感じた作品だった。奇抜というかぶっ飛んだ振り切り方だった新海イズムは影を潜め、おとなしめな印象。これが国民的ア>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

4.0

中絶が禁止されていた1960年代のフランスが舞台。予期せぬ妊娠をした大学生アンヌが自らの未来のためにどのような選択をするのか。
淡々と事実だけがスクリーンに映る。1週目、2週目と妊娠発覚から刻々とカウ
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.8

まだ何者でもない、血統だけは良い若い騎士が主人公。アーサー王の甥ガウェインがクリスマスの遊び事「首斬りゲーム」の約束を果たすために旅に出るストーリー。いわゆる『アーサー王伝説』の勇敢で騎士道を重んじた>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.8

カイアの紡ぐ話し言葉がとても魅力的だった。詩的な表現が多くて、思わず書きとめたくなるセンテンスの数々……。通り一辺倒の教育を受けていないから他者とかぶらない言葉の使い方になるのかな? 初めてやぐらの上>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

4.0

自分を証明するものって本人が望めば意外と取り換え可能なのだな。名前とか戸籍とか証明するものは思いつくけど、自分を知る人間のいないところで新しく生まれ変わりたいと願えば容易に叶ってしまうのかもしれない。>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.8

前作「ブラックパンサー」で主演ティ・チャラを演じていたチャドウィック・ボーズマンがこの世を去り、現実が映画という虚構を侵食するような形で始まる今作。
偉大な国王であり愛する兄を失ったシュリとその母ラモ
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RRR(2022年製作の映画)

4.2

超つえー男と超つえー男が運命的な出会い方をし、人助けをしたり恋バナしたりダンスバトルしたり絶交したりしながら巨悪に立ち向かってゆく超おもしれー映画でした。好き。
序盤のシーン、1人対10000人。警察
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.1

いやー、面白かった。食傷ぎみのタイムループものを、こんな切り口で観せられるとは。

小さなオフィスが舞台、同じ1週間を永遠に繰り返しているらしい。そしてそれはどうやら部長に原因があるらしいと気付いてか
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横道世之介(2013年製作の映画)

4.1

「さかなのこ」が良かったので沖田修一監督作品よりこちらの一本。
原作は既読、どんな結末になるかはわかっていたため、一つ一つの場面が殊更特別に思えて登場人物たちが愛おしい。面白くて笑っちゃうシーンもある
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もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

3.6

終わり方が気に入るか気に入らないかで評価がガラッと変わりそうな作品。

過剰なセリフの応酬でまさに演劇を観ているよう。根本宗子さん脚本だからそれも納得。
冒頭、4人の女性達をそれぞれ「米」と絡めて描く
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.6

作品の冒頭で「これは寓話だよ」と銘打ってあるものの、実際のダイアナも経験していたであろうシーンの数々に、ロイヤルファミリーの生活を追体験している気持ちになる。イギリス・ノーフォークの寒々しい空とダイア>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.0

前半はシリアルキラー物に見えるのに、後半は打って変わって性別を超えた擬似家族のお話。観る者の理解と想像を軽々と超えてくる映画だが、意外にその中身はどストレートな愛と暴力が描かれてる気がした。

とにか
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千夜、一夜(2022年製作の映画)

3.5

主人公の登美子は30年前に失踪した夫の帰りを今も待ち続けている。そんな彼女のもとに2年前に同じく夫が突如として姿を消した奈美という女性が訪ねてきて……。

日本では年間8万人の人が行方不明になっている
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コンスタンティン(2005年製作の映画)

3.9

続編決定したのでパンフ片手に再鑑賞。もう17年経つのか!青白い顔で死にそうなジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)が麗しすぎ。非喫煙者ですが、デカいライターの扱い方、タバコの吸い方などがカッコよ>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.7

タナダユキ監督は本当に原作に惚れ込んでたんだろうなっていうのがわかる映画。原作漫画は熱量が凄まじくて一気に駆け抜けてく疾走感が絶妙な作品。なのでそのまま映画にしてしまうと1時間と持たない。そこを監督と>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.8

バイオレンスアクション映画だと思ってたら恋愛映画でしたね、これ。
岡田師範演じる兼高の愛され度が凄い。みんなの好き好きベクトルが全部兼高に向いてて、岡田准一無双映画だった。
兼高があまりに超然としてい
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新しき世界(2013年製作の映画)

4.0

「ヘルドッグス」の前に鑑賞。実は初見。
潜入捜査物といえば有名なのは「インファナル・アフェア」。日本でもリメイクの「ダブルフェイス」が作られてたりして結構世にあふれている題材だけど、さすがは韓国。退屈
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.9

アイルランドに住む羊飼いの夫婦の元に、ある日、"それ"が産み落とされる。

アイルランドの神々しくて奇跡のような原風景。その景色はきっと何千年前とまるで変わってないのだろう。とにかく山々が荘厳で美しい
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エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE(2019年製作の映画)

3.7

ウォルター、ジミー、そして今回ジェシーの行く末を観ることができ、やっとアルバカーキサーガが幕を閉じた気がする。感無量。しかしジェシーはタフになったな(横幅も少々大きくなられて)……。BrBaでの文句が>>続きを読む