そらになるらむさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

そらになるらむ

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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

1.5

「なんて美しい痴人」

下衆の極み。
見世物小屋的な嫌悪感を感じてしまうのは私だけだろうか?
ラストシーンまで徹底して悪趣味で、もはや笑うしかない。

三大欲求(睡眠欲、食欲、性欲)を診断するツールが
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男はつらいよ 幸福の青い鳥(1986年製作の映画)

3.5

「なにか欲しいものはないのか」
「えーとね、青い鳥」

このところずっと気が張る仕事が続いていて、心がすっかり干上がってしまっていた。

ポッカリ一日だけ空いた休息の日に、ゆったり寛いで男はつらいよを
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

3.5

「人間は獣と同じ。自由にすれば過酷な現実が待っているのを知ることになるだけ。結局は苦しむのよ」

疑うことも、怒ることも知らぬラザロの行動規範を俗人の私が理解できるはずもなく、呆気に囚われているうちに
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幸福路のチー(2017年製作の映画)

4.0

「結局、誰も夢を叶えられなかったね」
「でも幸せなら関係ない」

ちびまる子ちゃん風
ファンタジーベース自伝(台湾史つき)

勤め人稼業を完遂しつつあり、
息子・娘は独り立ち間近、
育ててくれた親は日
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

3.5

「死ぬのも簡単じゃない」

主人公が少しずつ変わっていく姿を描いた映画が好き。

どうしようもない頑固ジジイの心を緩やか解凍していくカギは、子供とペットだな。

去年公開されたトム・ハンクスのリメイク
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365日のシンプルライフ(2013年製作の映画)

2.0

「本当に必要なモノがだんだん見えてきた」

この実験に共感できないし、結論(←ごく常識的なこと)だってこの実験だからこそ得られたという説得性に欠ける。

だいたい、実験を始めるにあたって家財道具一式を
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

3.5

「いいかね、味わってはならん」

私は食レポのテレビ番組が嫌いだ。
ウンマーだの、ヤヴァいだの、スッゴいだの、語彙力のないタレント達が番組の尺を埋めるためだけにしゃべり倒しているのを見ると、どんなに見
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.5

「船ではトイレ係でもここではキャプテンよ」

人間、2人いれば必ず格差が生じ、
3人揃えば必ず階級が出来上がる。

オストルンド監督はいつも、これでもかとばかりに、階級上位者たちの化けの皮を剥ぎにかか
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.0

「メディアが取り上げるには賛否を呼ぶこと」

いったい何を見せられているんだか。

次から次へ。利己主義と自尊心のせめぎ合い。むやみに緊張感を強いておきながら、結局ぜんぶ散らかし放題。
観る人自身の寛
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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

3.0

「怒ってるんでしょ?」

どうにも居心地が悪い映画。

気まずさが夫婦間から子供たちへ、他人へと伝染して、次第に波紋が広がっていく。山を下りるまで意地悪が続いて、気を抜けない。

きっかけは雪崩だろう
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北の果ての小さな村で(2017年製作の映画)

3.0

「この地に何を期待して来たんだ?」

地球上で一番の僻地寒村に若い教師が赴任する、というストーリーは、つい最近見た「ブータン 山の教室」と同じ。

ただ、ブータンの物語では、村人の勉強したい意欲が猛烈
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世界の果ての通学路(2012年製作の映画)

3.0

「無事、学校に着きますように」

驚くべきことに、この映画、世界の僻地の通学風景(命懸け、過酷)をひたすら記録しているだけなのです。

学校に着いてからの描写はほんのわずかなのです。

だから、“なぜ
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ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

3.5

「ヤクとヤク飼いの絆はとても神聖なの。家族のように親しい」

かつて国民の幸福度世界一と言われたブータンを舞台にした物語。

物欲、金銭、家族、社会的地位、健康。
幸福っていろいろな側面があるけれど、
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美しい星(2017年製作の映画)

3.0

「地球人の皆さん、まだ間に合います」

途方に暮れるほどアホらしい。

原作の三島文学を未読の私が、この映画だけから感じたメッセージは、なにか美しいと思えるものを信じ、過度に依存してしまう現代人への警
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お父さんと伊藤さん(2015年製作の映画)

2.5

「ああなったらおしまいだな、と思っていたのに」

どこをどう評したらいいのか。
手ががりを全くつかめない。
それは、登場人物の誰一人、熱がないから。
こんなに響かないのは久しぶり。

「知らないよ。私
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.0

「泣いたらいい人なんかなぁ、そんなん当てにならんやろ」

“寄り添う”っていう言葉が使われるようになったのは、案外最近のことだと記憶している。

私はこの言葉が嫌いだ。特に、ワイドショーのコメンテータ
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ボルケーノ(1997年製作の映画)

3.0

「あんたの趣味は“緊急事態”か?」

それなりに楽しめたけど、これはちょっと行き過ぎだな。荒唐無稽の域。

自然災害に対しては、人のできることはただ逃げることだけのはず。

ところが、消防士ものの大好
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イントゥ・ザ・ストーム(2014年製作の映画)

3.5

「僕は生きてる。それだけで十分だよ」

竜巻の恐怖って一瞬のはずで、いったいどうやって1時間半の尺を埋めるんだろう、と思っていたら、なるほどこういうことか。
次から次へ、止んだと思ってはまたやって来る
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ディープ・インパクト(1998年製作の映画)

3.5

「これから道を決めねばなりません」

壮大なテーマを丁寧に作り込んだ大作。2時間じっくり楽しめる。

でも、記憶に残ったのは、大統領を演じるモーガン・フリーマンの沈着冷静なスピーチのみという不思議。何
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名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

-

「腹の底で感じてるんだろ?」

ポケモンなんて一度も興味を持ったことのない私が、この映画を楽しめるはずもなく。
観ちゃった私が悪いんです。ごめんなさい。

「僕にはポケモンなんて必要ない」

ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)

2.5

「生まれてずっと走ってる気がする」

有名なハリネズミ君も、ブラウン管から飛び出して、街の中を走るぬいぐるみになっちゃうと、どうにも可愛げがないのだ。
目が動くだけなので表情が乏しいし、毛並み(トゲ並
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.5

「そう、ならお手並み拝見」

いやぁ、良く出来ていてびっくり。面白かった。ディズニーのお株を奪う夢と魔法の王国、勇気と友情の冒険物語でした。

僕はゲームはやらないけど、ピーチ姫のキャラクターってこん
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ケープ・フィアー(1991年製作の映画)

3.5

「俺を怒らせると後が怖いぜ」

あんまり怖くて途中で見るのがイヤになった。もう一生見ない。

こんな悪夢が脳味噌に住み着いているスコセッシは、いったいぜんたい何者なのだ?

こんな悪魔に全身乗り移って
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.2

「奴らを根こそぎ洗い流す雨はいつ降るんだ?」

ずいぶん久しぶりに見て、この映画の放つメッセージの強さに改めて気圧されました。

トラヴィスの孤独や心の闇は、ベトナム帰還兵問題と絡めて評されることが多
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ミーン・ストリート(1973年製作の映画)

2.5

「こんな話をグダグダ聞きたくないだろ」

リトル・イタリーのチンピラの日常を綴ったクライム映画。ストーリーがあるわけじゃないので、集中力が続きませんでした。

最初のスコセッシ✕デ・ニーロ作品というこ
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殺したいほどアイ・ラブ・ユー(1990年製作の映画)

3.0

「死んじゃうわ。それでダメなら殺してやる」

くだらない映画なんだけど、暇つぶしにちょうどよい。

チャラいイタリア旦那は添え物で、実はこの映画の主役はチャーミングなユーゴ奥さん。感情の振れ幅が大きく
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P.S. アイラヴユー(2007年製作の映画)

3.5

「きっと驚くよ。すごい計画を立てたんだ」

出来すぎた話で、鼻白むくらい。
素直な気持ちで観ると、楽しめます。

決して美人じゃない個性派ヒラリー・スワンクに主役を演じさせたところが共感を呼ぶ秘密。
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世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年製作の映画)

4.0

「でも焚きつけるのはよそう。一度ハートに火が点くと消せなくなるから」

軽妙で、温かくて、気分がホッと落ち着く映画。秋の夜長に観るウディ・アレン作品はいいもんだ。

セーヌ河畔のダンスシーンはロマンチ
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地上より永遠に(1953年製作の映画)

3.5

「意地悪したければやれ。音は上げない」

70年も前の映画を見るのは勇気がいる。課題レポートのために博物館に勉強しに行く気分。3世代も離れると、世俗が違えば慣習も違う。価値観だってまるで別の星。

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わが命つきるとも(1966年製作の映画)

3.5

「祈りで国が治められるか?」

信教や歴史を題材にしたレビューが多いようですが、私は行政の在り方こそこの映画が考えさせたいことなのではないか、と感じました。

正邪の判断の基準を、最大多数の最大幸福に
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夜の大捜査線(1967年製作の映画)

3.5

「あの刑事に捜査させないなら、技術者たちは引き揚げるわ」

“毅然”というのは、この映画のティッブス刑事のような表情と振る舞いを言うのだな。
刑事と署長、二人の関係性が反目から信頼に変わっていくさまの
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セックスと嘘とビデオテープ(1989年製作の映画)

3.5

「嘘だけはつかないで」
「ビョーキだな」

撮られる側から撮る側へ。
語る側から語らせる側へ。
思いもよらぬ方向に話が急展開して、気が動転した。すごい脚本だ。

誰もが、自分を偽って生きていると自覚し
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ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

4.0

「あまり火に近付きすぎるとヤケドをするわよ」

これも難解と評判の作品。
期待していなかったのだが…
   ハマりました。(完全に予想外)

確かに、出てくるやつ皆ぶっ飛んでる。やることなすこと意味不
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バートン・フィンク(1991年製作の映画)

3.0

「今度こそ俺は目覚めた」

難解な映画には2種類あると思う。

1つは、最初から見る人を置き去りにするタイプ。途中でリタイアしたくなる作品。

もう1つは、最後まで興味を引かれるのに、観終えてから突き
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昼顔(1967年製作の映画)

3.0

「それとこれとは別よ」

怖い映画。
たぶん男女の特殊な性癖を描きたいわけじゃなくて、普通の人の“転落願望”がテーマなのだろうと思う。

悪い方に転がっていくことが容易に想像できるのに、なぜそれに近寄
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グロリア(1980年製作の映画)

3.5

「引き受けたわ」

母性が撃鉄を起こす。
根性が決まったときの女性は強い。

息もつかせぬ子連れ逃走劇。
いやぁとにかく格好いい。痺れまくり。

あの “レオン(1994)”と鏡像関係らしいが、久しく
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