そらになるらむさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

そらになるらむ

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緑の光線(1986年製作の映画)

3.0

「私には何の切り札も無いのよ」

やや情緒不安定なフランス女のバカンス日記。

彼女のすっごく面倒くさい考え方に90分もつきあわされる。生き方が下手すぎて、見ているこっちまで気が滅入る。

でも何故か
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ANNIE/アニー(2014年製作の映画)

3.5

「♪明日になれば太陽は昇る。
本当よ、明日になれば太陽は輝く」

かなり思い切って現代風にアレンジされた、かの王道ミュージカル。観終えてとびきりハッピーな気分になれる作品。

私はとても楽しめたが、旧
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

2.5

「♪誰もいない感覚を知ってるかい? 荒野で置き去りにされたような」

私が理解できなかったのは、なぜこれを、ミュージカルのかたちを借りて表現するのか、ということ。

こういう孤独で自省的な感情は、そも
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マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(2018年製作の映画)

3.0

「何ごとも単純よ。噛み砕けば」

明るくなりたい。
楽しくなりたい。
元気よくなりたい。
ハッピーになりたい。

みんながミュージカルに期待することの結晶。安心保証付き。

「自分の生き方は自分で選べ
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阿修羅のごとく(2003年製作の映画)

4.0

「いいのかね、しこりが残るぞ」

まさに修羅場続き。
四者四様の女の生き様。

オープニングの四姉妹✕喜怒哀楽のイラストに全てが詰め込まれている。刮目してこれを見よ。

人間関係の小さな綻び。
四姉妹
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姉妹坂(1985年製作の映画)

3.0

「今日からいっぺんに、娘が四人に増えたんやなぁ」

ショートヘアの冨田靖子目あてで見てみたら、聖子ちゃんカットの沢口靖子の華やいだ横顔に引き込まれ、ワンレングスの浅野温子のサバサバ感にフムフムし、アッ
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細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)

4.0

「ええやないの、似てんかって。姉妹いうても別々の人間や」

大切な人の幸せを願うとき、人は時に過干渉になる。血の繋がった兄弟姉妹ならなおさら。

私の母親は大阪生まれの五人姉妹だが、小さい私の目には、
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コララインとボタンの魔女(2009年製作の映画)

3.5

「ここにいるのが楽しい?」

物語としてじゃない。ただ摩訶不思議な世界にプカプカ浸って楽しむ作品。

誰かの頭の中にこういう不思議世界が存在するから、かたちに顕されるわけで、製作に関わった大勢の造形美
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ティム・バートンのコープスブライド(2005年製作の映画)

4.0

「長い間、暗闇にいたから忘れてたわ。月の美しさを」

誰しもが、死者のメアリーに恋してしまうのです。彼女に共感してしまうのです。
実写では決して描けない世界観。

描く題材によっては、アニメは実写の表
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KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)

4.0

「瞬きをするなら今のうちだ」

よいものを見せてもらった。

映像が美麗なだけではなく、物語が素晴らしい。起承転結はしっかり、メリハリの効いた展開、豊かなメッセージ。
日本をリスペクトして、こんなに洗
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新・夕陽のガンマン/復讐の旅(1967年製作の映画)

4.0

「俺を殺すには俺の承諾が要るが、俺は許可しない」

タランティーノのお気に入りマカロニ・ウェスタン第8位。

マカロニにしてはストーリーが実に良く出来ている。いや、出来過ぎなのだ。見ている俺も劇中に取
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さすらいのガンマン(1966年製作の映画)

3.0

「簡単に諦めるな。方法なら1つあるぜ」

こちらはタランティーノのお気に入りマカロニ・ウェスタン第9位とのこと。

顔面クローズアップの頻用
荒涼たる岩山のカット挿入
ここぞと響き渡るモリコーネ節
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豹/ジャガー(1968年製作の映画)

3.5

「最初に出会った時、パコは鉱山労働者だった。だが並の男じゃなかった」

タランティーノのお気に入りマカロニ・ウェスタン第4位らしい。

ドンパチ派手に機関銃をぶっ放す。
ここぞというシーンで高らかに鳴
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

「何ですって?」

勝手に社会派ドラマを想像していたけど、完全にエンタメ寄りだった。

音楽や色彩も含めてとにかく見せ方が上手い。問答無用で面白い ;⁠)
何も知らずに見たほうがいいでしょう。

「私
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.5

「みんなに愛されたわ。一瞬だけね。そして嫌われて、最後には笑われた」

貧すれば鈍する。鈍すれば窮す。

トーニャ本人も、母親も、旦那も。
出てくる連中、みんなクズ。
でもね、悪いのは彼女らじゃなくて
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.5

「それでもオケの前に立ち、解かっているフリをするのだ」

敢えてジェンダーというテーマを外して考えてみると、普遍的な教訓に満ちているように感じた。

最近の世の中は恐ろしい。ネットの書き込み一つで、見
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チャンス(1979年製作の映画)

3.5

「君は言葉を弄ばん」

これは “寡黙な雄弁” というのを教えてくれる映画かもしれない。

徳があれば、余計な口を開かなくても、周囲が“ 美しい誤解” をしてくれる。

問題は、その徳を備えるにはどう
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さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)

3.5

「誰にも怒らんやつはアホウだぜ」

観終えてからジワジワと温もりが伝わってくる映画。

てんでタイプの違う三色の糸が、繋がってはほどけ、時にこんがらがる。遠くから覗いていたはずの私達まで、道中で次第に
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

2.5

「黙ってて。頭が爆発する」

アカデミー作品賞受賞作は、昨年のコーダまでの全94回中 77作品を見た。特に、自分が生まれた年以降の50数年分は欠かさず全て。
そんな背景があって、本作も半分義務感に駆ら
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イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

3.5

「悲しまないで。映画に出してあげるから」

芸術や芸能には、妖しい人が群がる。
そんな妖しい雰囲気に、見る人を包み込む、不思議な映画。

観終えてなぜか多幸感に包まれるのも、また不思議。
確かにいるの
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岳 -ガク-(2010年製作の映画)

3.0

「ほら、すっごく青くない?」

マンガが原作とのことだが、この薄っぺらさは許されざるレベル。

登場人物の描写が一本調子なんだよね。いい人はいい人。
強い人は強い人。
優しい人は優しい人。

いい人の
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RRR(2022年製作の映画)

3.5

「銃弾の真価を示せ」

上映179分中、ストップモーションのアクションシーンが78分。これをぜんぶ通常回しの撮影にすれば、ちょうど2時間の尺に収まるのでした(※計測は私の体感による)

インド映画特有
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.0

「ショービジネスはスノービジネスだ」

バズ・ラーマン節を期待して鑑賞。もっとこってりギトギトな味付けを望んでいたのでちょっと残念でした。

搾取する側、される側。
どうせ作りものなんたから、パーカー
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.5

「君が何度救っても、彼女はまた窮地に陥る」

よくテレビの旅番組で見かける、ばえる海鮮丼。そんな感じの映画でした、

具材はどれも、採れたて新鮮、てんこ盛り。エビなんて尻尾がまるまる丼からはみ出してる
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8 Mile(2002年製作の映画)

3.5

「白んぼラップは8マイルの向こう側でやれ」

これはもはや音楽ではなくて、格闘技。
言葉で殴り合う。
相手がぶっ倒れるまで。
格闘技映画だから、観終えてなんとも痛快だ。

興味が深まったので、ラップの
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ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY(2022年製作の映画)

3.0

「手に入れた後も、愛には努力が必要」

ショービジネスは、支える裏方次第なのだなぁと。
ステージの上、彼女が光り輝くのは、もちろんこの稀代の歌姫の圧倒的歌唱力の賜物だが、敏腕プロデューサーによるところ
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アルピニスト(2021年製作の映画)

3.0

「登山をすると人生がシンプルに感じる。集中するから」

僕は登山をする。
去年の獲得標高、3万4千メートル。
フルマラソンも走る。
去年の走行距離、2千2百キロメートル。

登ってる間、あるいは走って
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神々の山嶺(2021年製作の映画)

3.5

「お前はなんで俺を追ってきた?」

原作小説好きの私にとって、実写版邦画(2016)は少々残念な出来だった。
評判の良いこのアニメ版フランス映画はどうか?

驚くべきことに、登攀シーンの緊張感は実写版
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ある男(2022年製作の映画)

3.5

「知ってたら怖いですよ」

実は、私の苗字はかなり珍しい。
ネットでエゴサーチすると、相当な個人情報まで一発であばかれてしまう。

だから、どうでもいい場面(レストランの予約とか)では、いつも偽名を使
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.0

「ワン・ツー・フック・ツー、ウィービング、アッパー」

耳じゃなくて目を澄ます。

会話がない。BGMもない。
目で語る。目で聞き取る。
瞼の上が切れて、腫れ上がって半分閉じてても、彼女は目で語る。私
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流浪の月(2022年製作の映画)

2.5

「忘れたフリ、しないの?」

過去と、手を繋ぐ
明日は手を差し伸べてくれない

映画って、だいたいフロイトの無意識論で人を語ろうとする。

“救いようがない”という意味で鬱な映画だった。人は因果から抜
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SING/シング:ネクストステージ(2021年製作の映画)

3.0

「ねぇ、歌って。きっと歌える」

全編を通じて、スクリーンの明度・彩度が史上最大(私の知る限り)。眩しくて、煌びやかな映画です。

ライオンのビジュアルと、B'z稲葉の声質のギャップがちょっとねぇ。字
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犬王(2021年製作の映画)

4.0

「狂ったように客が舞う」

斬新。この一語に尽きる。

題材、作画、音楽、物語、その融合。
すべてがチャレンジング。
こんなの誰も見たことない、考えたこともない、歴史絵巻ミュージカルアニメーション。
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

4.0

「夢は叶える。いつか必ず行く。あなたの世界へ」

ポリコレだ何だと評する向きもありますが、私にとっては作品そのものが興味のすべて。

開始30分“♪UNDER THE SEA”のシーンの多幸感にウキウ
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ラストベガス(2013年製作の映画)

3.0

「4人組を侮辱するな」

老人が活躍する映画ってたくさんあるけど、心の底から楽しめた作品はあんまり記憶にないなぁ。

映画は共感性が一番大事。私もそろそろ定年後が気になる年代に差し掛かってきたが、この
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Dearダニー 君へのうた(2015年製作の映画)

3.0

「堕落させるのは君自身」

変わりたいけど、変われない。
変われないけど、周りを変える。
周りが変われば、自分も変わる。

一通の手紙の持つちから。
ひとりを変える。
巡り巡って、みんなを変える。
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