そらになるらむさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

そらになるらむ

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おしゃれ泥棒(1966年製作の映画)

3.5

「まさか。あの彫刻の表情そっくりだ」

“映画だからこそ伝わる” 女優の魅力ってなんだろう。
 声色、言葉のリズム
 小さな所作、佇まい
 表情のうつろい、瞳の動き…

スチール写真じゃ伝わらないもの
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赤ちゃん教育(1938年製作の映画)

3.0

「恋の衝動は人間の行動に矛盾を生じさせる」

会話のラリー戦。
相手がへたり込むまで、ひたすら強打、強打、強打。

いわゆるスクリューボール・コメディを3本続けて見た。
耳からの情報量は、現代の平均的
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フィラデルフィア物語(1940年製作の映画)

3.5

「もうその表情は効かないぞ。畏れ多い女神の視線」

男も女も、老いも若きも、みんなズケズケ相手を非難。
図星なだけに、逃げ場所もない。

でもみんな、本心は素直なんです。耳に痛いその図星を、ちゃんと受
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ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)

3.5

「新聞とはおさらば。私は女として生きる」

コロナ禍で、会社ではウェブ会議が当たり前になった。
会議が新形態になって、明らかに変わったこと。それは会議中の発話のルール。誰かが話し終えるまでは、会話を被
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

3.0

「そんなものだよ。縁ってものはなぁ」

この当時の風俗・習慣だけでなく、価値観や思考様式までも克明に記録されていて、博物館もの。

それはそれで興味深いのだけど、この歳の私ですら隔たりが大きすぎて、共
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お茶漬の味(1952年製作の映画)

3.0

「うちのだんな様もどっか行っちゃわないかな?遠いとこ」

長男が今春巣立って、うちの夫婦もいよいよ転換期を迎えつつあるが、この映画がすーっと腹落ちするほどには、私はまだ熟成できてない。

だんな様の境
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お早よう(1959年製作の映画)

3.5

「母さん、テレビ買っておくれよ」

昔々、小学校の道徳の時間。担任の先生が息抜きするために、時々、“明るいなかま”っていうテレビ番組を見させられていた気がする。“♪なかま、なかま、な〜か〜ま〜”という
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.2

「♪雨に唄えば、弾む心、よみがえる幸せ」

たくさん映画を観てきたけど、この作品ほど、見終わって幸せな気持ちになれる映画はない。

もちろん、唄も踊りも夢見心地なんだけど、一番みんなを幸せにするのは、
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私を野球につれてって(1949年製作の映画)

3.0

「♪私を野球につれてって。観客席につれてって」

今も昔も、二遊間コンビはチームの花形

野球好きの私に言わせてもらえば、守備ポジションごとに期待するキャラクターが違うんです。

その点、この映画の、
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踊る大紐育(ニューヨーク)(1949年製作の映画)

3.5

「♪君と一緒に歩けたら、どんなに鼻が高いだろう」

明るく、楽しく、伸びやかに。
この時代のアメリカの文化の顕れなのでしょうか、若々しく、心身とも健全で、自信に満ち溢れている空気が、銀幕から伝わってく
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

3.5

「話し合うだけ無駄だ。さようなら」

“理解できない映画は評価に値しない” とか意気がって、誉れ高い名作たちであれ、片っ端から、バッサバッサ斬り捨てるレビューを書いていた時期がある。

最近、スタンス
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.0

「分からない」
「探しなさい」

もちろん、この卑賤な若者の成り上がりジェットコースター人生自体も興味深いのです。原作あっぱれ。

とはいえ、3時間あまり、瞬きひとつ許さずに観る人を終始画面に引き摺り
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スパルタカス(1960年製作の映画)

3.5

「奴隷は死で自由を得る。だから死を恐れない」

自由とは、生死を賭してまでして勝ち取るもの。

スパルタカスの不撓不屈の精神と比べて、現代の私たちの“生きる覚悟”のなんと生っちょろいことか。

黒澤映
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ラブ・アクチュアリー(2003年製作の映画)

3.5

「私ばかり…」
「そう…そうなんだ。君ばかり」

ブルボンのお菓子が好きです。
甘すぎないところがいい。

スーパーで買うのはいつも、“バラエティ詰め合わせ”

ほんとは “ルマンド” が好きなんだけ
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フォー・ウェディング(1994年製作の映画)

3.5

「いい式だな。どう思う?」

〇〇式って大事、人生の節目。
過去を振り返り、将来を考える節目。

そして同時に、いろいろなことにチャレンジしたり、あるいは逆に、頭にモヤモヤ引っ掛かることを諦めるタイミ
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素敵なウソの恋まじない(2014年製作の映画)

3.0

「私がなりたいのはまさにキミだ」

ほっこり可愛らしい小品。
何歳になっても、恋には熱量が要る。

イギリスにはペットの買い取り制度があるようで安心しました。

「キミには本当のことを教えてあげよう」
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映画 聲の形(2016年製作の映画)

4.1

「友達の意味をずっと考えてた。君に会う理由を考えてた」

僕の目に映る、“✘”バッテンマーク。
僕が勝手にみんなに付ける、バッテンマーク。

いつの間にか、周りはみんな、バッテンマーク。知らずしらず、
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ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)

3.0

「おまえには分からん」
「ああ、分かんねえよ」

ハンディキャップのある子を好きになることって、本当はよっぽど覚悟がいること。

きっとその心の片隅には、同情とか憐憫といった、決して真っ直ぐではない微
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漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

4.0

「肉子ちゃんて、なんてアホなんやろ」

子供より子供っぽい大人と、大人より大人っぽく“なりつつある”子供のクロスオーバー。

肉子ちゃんみたいに真っ直ぐで、心に一切の穢れがない人、あなたの周りにいる?
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ビリギャル(2015年製作の映画)

2.5

「まぁ、あたしの人生そんなもんしょ」

この塾の子はどの子もみんな、自分を理解してくれないオトナへの反抗心が頑張りの原動力。見ていてとても悲しい。

そんなつまんない動機で受験乗り切れる? 僕の周りに
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クローズZERO(2007年製作の映画)

2.5

「ぜってぇテッペン取ってやるよ」

ヤクザ映画の楽しみ方は知っているつもりだが、ヤンキー映画の楽しみ方はよくわからん。

両者は似て非なるもの。

派手な喧嘩にスカッとするのかな?
男の友情に胸を打た
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地獄の花園(2021年製作の映画)

2.5

「お前なにもんだよ?」
「は、見たら分かんじゃん。OLだよ」

これはくだらん。
ログに残すのを躊躇。

バカリズムを買いかぶりすぎた。“架空OL日記”は面白かったのにな。全く違います。ご注意。

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あなたへ(2012年製作の映画)

2.5

「忘れるために、あの人のことを聞いてくれませんか」

大切な人との別れ。
この映画にはいくつもの死別や離別が描かれているけど、実はスッキリ前向きに解決したのは健さんだけなんじゃないか?他の人はみんな引
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ホタル(2001年製作の映画)

3.0

「そのホタルが飛んでいくのを、みんな黙って見送った」

恥ずかしながら、朝鮮半島出身の特攻隊員がいたとは知りませんでした。

これもきっと事実。
“永遠の0”もきっと事実。
事実は一つ。
関わる人の数
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駅 STATION(1981年製作の映画)

3.5

「もうすっかり疲れて、走れません」

健さんよかったね、やっと解放されて。
肩にジワリ食い込む心の重荷。
急襲狙撃手の孤独な日々。

女は止り木。
ずっと飛び続けては男は生きてゆけない。

最果ての地
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.0

「どうして嘘なんかつくの?嘘の上に恋愛関係は成り立たないのに」

両極端の世界。キッツ〜い究極の選択。
こんなのイヤだ。

前半、後半の両世界とも、“何らか共通部分がないとカップルにはなれない”ことが
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

2.5

「今に最悪の瞬間が来る。ついに始まったんだ」

効果音、カメラワーク、台詞の間の取り方。いろんなところに人が不安を煽る要素をありったけ盛り込んで…

ただ、何よりも気味が悪かったのは、マーティン役のあ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.5

「愛には限界が…」
「限界はいけない」

人間の醜いところ、卑しいところ。
全部見せます。見てください。

剥き出しの闘争心。火花散る敵意。
女性にもこれほどあからさまな、蜜に群がる敵を蹴落とす本能が
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.5

「なぜ俺たちが板切れに乗ってるかわかるか?」

精一杯背伸びをして、何かを掴み取ろうとする。危なっかしいけど、みんな似たような経験があるはず。自由を手にするのって、そんなに簡単じゃない。

3本続けて
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スケート・キッチン(2018年製作の映画)

3.5

「もうスケートはやめて。約束して」

この映画に出てくるような、ストリートカルチャーの真ん中を行く若いアメリカ人たちから見ると、東京2020大会で活躍した日本人のローティーンメダリストたちはクールなん
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ロード・オブ・ドッグタウン(2005年製作の映画)

3.0

「世の中には、いい波より道路のほうが多い」

スケボー、スノボ、サーフボード。
“ナントカ道”とは対極の、“横乗りスポーツ”たち。なるほど発祥からして、精神論と真逆の世界。興味深く拝見しました。

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三度目の殺人(2017年製作の映画)

3.0

「そんな人いないですよ。生まれてこないことがよかった人なんて」

いったい彼は何を守りたかったのか
守るにはその方法しかなかったのか
結局、彼はそれを守り抜けたのか

役所広司演じる三隅の発想が、飛躍
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新聞記者(2019年製作の映画)

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「記者として、真実を届けたい。それだけです」

こういう極度にpoliticalな作品には、☆を付けないのをマイルールにしてます。(適用4本目)

いかにも現実を匂わせる作り話をこさえて、「これはフィ
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.1

「私怖い? 私気持ち悪い?」

アタマの柔軟さに欠ける僕は、これまでLGBT映画を見て感動したことなんてただの一度も無かった。
そんな僕にも、この映画はとても力強く響いた。久々に、映画を見て心がゾワゾ
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

2.5

「自分のことは何も知られずに、彼のことは全部知りたいの」

30数年前、高校生の時分、“風の歌を聴け”や “1973年のピンボール”、“羊をめぐる冒険”に夢中になった。村上作品の主人公気取りで、精一杯
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トニー滝谷(2004年製作の映画)

2.5

「私、わがままなんです。それに、すごく贅沢なんです」

映画にまで昇華できていない印象。
これじゃナレーション付き動画。

小説は小説。映画は映画。
村上春樹作品を翻案するのが難しいのはよく分けるけど
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