みなみさんの映画レビュー・感想・評価

みなみ

みなみ

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肉弾鬼中隊(1934年製作の映画)

3.5

中隊は姿の見えぬ敵に囲まれ、砂漠のオアシスはソリッドシチュエーションと化した。切り取られたかのような状況の組み上げから、剥がれ落ちるように死んでいく仲間たち。アラブ人の姿が全く見えずに不気味。

ハウリング(2013年製作の映画)

3.5

『リバー、流れないでよ』ライクな小規模時間ズレの短編だが、どうやらこの短編を膨らませた長編があるそう。観たい。とても面白かった。

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

4.5

復讐を終えて空っぽになった哀川翔が旧友の手伝いから緩やかに暴力構造に組み込まれていく。浮遊する哀川翔は言われるがまま社会の中に囚われれそうになるが、自らの中に発露する暴力性が抵抗する。車の横移動、組長>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

4.5

娘を殺された男が謎の男の手を借りて、小さな体育館ほどの廃工場に容疑者を拉致していく。謎の男の行動原理が読み取れず不条理そのもの、時空間の振る舞いを示した?数式は謎の男が映画原理そのものを司っているかの>>続きを読む

サイコ2(1983年製作の映画)

3.5

アンソニーパーキンス演じるノーマンが出所したのをきっかけに物語が動き出す。狂気か否かのライン振れながら緊張感を持続させるプロットがとても練られている。意表を突き、加速する展開にハラハラさせられる。

呪怨2(2003年製作の映画)

3.5

久々にJホラーを鑑賞。怪異たる伽倻子他はかなり積極的に画面に出てくるので慎ましさが足りない。主観が切り替わり時間が交錯する構成はかなり良く、特にラストパートで繰り返される覚醒が好き。

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

2.5

全然ピンと来てないDCUで唯一愉快なフラッシュくんが早く走れすぎてマルチバースの世界へ。もう既にスパイダーマンがやってしまっていることの二番煎じになっており残念。あまりよさがわからなかった。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.5

おバカな学生が憑依ゲームでヤバい!みたいな映画ではない。もう少し賢くて真面目。母親の死にトラウマを持つ主人公の周囲との馴染めなさ、父親との相いれなさなど仔細な描写がいい。私もラストシーンがいいと思う。

アバウト・シュミット(2002年製作の映画)

3.0

定年によりようやく人生と世界に目を向けた男。第二の人生が豊かにならんことを示唆して映画が終わる。会社で仕事ばかりしているとこんなふうになるので気をつけなきゃ。

暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)

3.5

決定的に足を踏み外す刑務所門のシーンがいい。全てを捨てて愛を貫いた女の話。

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.0

子殺しの女性が裁かれる裁判を傍聴する主人公。立場の違う二人が見つめ合い、呼応する。

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

隔絶された土地で二人の女性の魂が混じり合うのは『燃ゆる女の肖像』の変奏である。『燃ゆる女の肖像』が恋愛だと言い切れなかったように、これが親子愛であるかと言われると言い切れないが、そういう言葉で表せない>>続きを読む

アトランティックス(2019年製作の映画)

3.5

クレールマトンによる撮影。セネガルを舞台にした夜間の映像は確かになるほど観たことのない。闇に溶ける肌の色が安っぽいLEDの緑に焦がれるのは不思議な魅力のある美しさだった。入り口からは想像できない変な展>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

3.0

会社をクビになった男が自殺するため、自らをターゲットに暗殺を依頼するが、急に好きな人ができて暗殺者に追われる。死神たる暗殺者自身も病に侵されて死が迫る身であり、死から逃れたがる主人公との対比も面白い。

Bico(2004年製作の映画)

2.5

カウリスマキのドキュメンタリー。Bicoという村に行く。

Valimo(2007年製作の映画)

3.0

工場の出口からゾロゾロと出てきた労働者が映画館で『工場の出口』を観る…、という映画を通勤中に観る労働者(私)。

BECKY ベッキー(2020年製作の映画)

3.0

舐めてた相手が強かった系バイオレンスホラー。『ホームアローン』に近いが、そこからコメディを引いて血みどろを足した感じ。気になるレビューを書いている方がおり、確かにその見方ができるなとすっきりした。

劇場版ミッフィー どうぶつえんで宝さがし(2013年製作の映画)

2.5

一歳の子どもと一緒に鑑賞。すぐに飽きていたのでパパだけしっかり観ていた。映画の狂気について触れた批判的レビューも目立つがそうは思わなかった。子ども向けだしこんなもんでは?吹き替えがなかったのが残念。

白い花びら(1998年製作の映画)

3.0

アキ・カウリスマキによるモノクロサイレント映画。色彩と言葉を制限する代わりに、かなり表情は豊かになっているが悲劇的な転落を遂げてからはいつもの無表情へ。制限の多い割にはミニマムな印象は薄く、アキ・カウ>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

4.5

ダイアナが王室として過ごす苦痛なクリスマス。耐え難い抑圧に精神は徐々に磨耗していく。王室の抑圧をカメラがキューブリック的に捉える。キッチンなど特に『フルメタル・ジャケット』だ。もやのかかる夜、旧家の探>>続きを読む

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

4.0

白石晃士フォロワー大歓喜!前作『オカルトの森へようこそ』での総決算感から、続くコワすぎ!シリーズ最新作に一抹の不安があったが、なんのその!「ここからはノーカットでお送りします」のテロップで声を出して喜>>続きを読む

ロッキーVI(1986年製作の映画)

2.5

アキカウリスマキ常連も出演する短編だが、不条理コメディである以外はアキカウリスマキらしさはなく、?という感じ。

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

4.0

西部劇の逆位相。銃撃を映さず、ホモソーシャルで停滞した空間を分け隔て、挙句のあの急展開。欲望の向いた先に待つのは西部劇的な美徳ではなく、無垢なる死と死に匹敵する安寧であった。かなり好き。

ほんとにあった!呪いのビデオ THE MOVIE2(2003年製作の映画)

4.0

白石晃士監督作をさらった時に漏れてしまった映画にこんなに源泉的な映画が残っていたなんて。同シリーズのフォーマットのまま、その動画を検証するという名目で始まるモキュメンタリー。禁忌感の強い儀式も最高であ>>続きを読む

ほんとにあった!呪いのビデオ THE MOVIE(2003年製作の映画)

3.5

白石晃士目当てに鑑賞。同シリーズの2を観たことによる人々への影響、その過程で出会ったさらなる恐怖ビデオによる人々への影響をカメラが捉える。他シリーズを観たことがなくても分かる親切設計。白石晃士によるモ>>続きを読む

映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~(2015年製作の映画)

4.0

登場人物が人語を使わず、文字による説明も極力少ない。全年齢、全国籍向けでありながら、コメディの方法はサイレント映画のそれを大幅にアップデートしているように思える。細かい伏線の回収、次々と転換する背景な>>続きを読む

Girl/ガール(2018年製作の映画)

4.0

身体は男性で心は女性のララにカメラは優しくもどこか傍観的に捉える。この距離感がダルデンヌ兄弟みたい。私たちの想像を超える精神的な葛藤をしているのだ。身体が傷つくことを厭わない、バレエへの打ち込みは美し>>続きを読む

怪人スワンプ・シング/影のヒーロー(1982年製作の映画)

3.0

ウェス・クレイヴンは私が最初に好きになった映画作家であり、漁ったタイミングではまだ国内での鑑賞が難しかったはずである。数年の時を経て配信で観られるのだからいい時代だ。主人公が敵から追われるシーン、沼地>>続きを読む

“それ”がいる森(2022年製作の映画)

1.0

公開当時の批判は耳にしていたものの、配信開始からシネフィルを中心に妙に賛レビューが付くので気になっていたのだが、まんまとやられてしまった。散漫なカットからもうかなり辛くなってくる上に、少年たちのパート>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.0

相変わらずミニマムな印象はあるが、わかりやすいショットが多いのでケリー・ライカートの作品の中ではかなり手に取りやすいと思う。主人公が傷ついた鳩を家に入れるまでのシークエンスが好き。芸術に対して過大評価>>続きを読む

DAGON(2001年製作の映画)

3.5

助けを求めた先の邪教な村で酷い目に遭う。00年台のチープでいかがわしいデジタル感が単に映像の質感だけでなくて、怠い演出にまで及んでいる生粋さ。かなり好き。

大恋愛(1969年製作の映画)

4.0

妄想が具体化。ベッドが道を滑るシーンがとてもいい。オチの軽妙さがロメールぽい。

絶好調(1965年製作の映画)

3.5

エテックス短編。変なキャンプに詰め込まれた青年エテックス。明らかに刑務所あるいは強制収容所である。ラストには開放感。

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

3.5

ピエール・エテックスによる短編集。他の作品と比べてもそうだが、作品のアプローチを変えているのが面白い。一番好きなのは『不眠症』。古典ホラーのオマージュが楽しい。妄想の具現化は『大恋愛』に繋がるのか

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