けんたろうさんの映画レビュー・感想・評価

けんたろう

けんたろう

(1974年製作の映画)

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なにが鏡なんだ?


嗚呼、もう訳が分からない。一体何ん何んだ此れは。

成るほど始めは物語りも追へる。然し途中から、さっぱり訳が分からなくなる。更に其処から──丸でブーストでも掛けたかのやうに──此
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道中の点検(1971年製作の映画)

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凄い映画だ。

先づロングショットが抜群に美しい。
其の雪と遠景とには、思はず目を見張る。おゝ、ロシヤよ──。
極め付けは、クライマックスの列車が去ってゆくカット。映画の歴史上、列車が此方へ到着する美
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カンパイ!世界が恋する日本酒(2015年製作の映画)

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カンパイ❗❗❗


伝統と革新は、成るほど正反対のものであらう。然うして其れらは大体いつも打つかりあひ、其の場所に生くる人々の間で時に最重要テエマとして鎮座することも有らう。
然し其れらが若し各人の想
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「A」(1998年製作の映画)

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自由なる作品。


矢張り視点の置きどころが面白い。
何処に視点を置くかで、蓋し其の ”事実” の見え方は丸きり変はるものである。其のうへで本作は、当時誰れもが置かうとさへ思はなかったところに置いてを
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反撥(1964年製作の映画)

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本当にあのカトリーヌ・ドヌーヴなのか……?


思うてゐたものと大きく違うて大へん困惑! 此奴、ホラーぢゃねぇか! 何んなら、途中からはもう『カリガリ博士』だらう!

いや然し、可成り面白い。
何んた
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イリュージョニスト(2010年製作の映画)

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素敵。


絵のタッチとサイレント映画のやうなテンポとが、タチのコメディ、延いてはおじさんと少女の物語りに、非常に絡み合うてをり、大へん魅力的。
スラップスティックコメディのスピード感と、物語り自体の
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

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グチャグチャなる世に、真っ直ぐなる其々の芯が立ち並んだおはなし。


犬どもが連れ立って歩くオープニングのシーン。然うして、男たちの義と情けとが烈しくぶつかり合うた果ての素晴らしきラスト。嗚呼、堪らな
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駅馬車(1939年製作の映画)

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幌馬車と勘違ひして観ちやふおはなし。


いやあ面白い。面白すぎる。

各々の事情が絡み合ひて、皆な乗らざるを得なくなる、又たは乗らずに居られなくなるといふ、其の状況の作り出し方の、まこと妙なることよ
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風が吹くまま(1999年製作の映画)

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儘に生きてゆかん!


画に映り込むのは、殆ど一人。増えたところで三四人。見せず・聞かせずの演出が、愈〻極まりてをる。此れが滅茶苦茶面白い。顔が兎に角見えないのである。可笑しくてしやうがない。
加へて
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

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オマージュが悉く無粋なおはなし。


会話が見事なまでに詰まらない。喋り方も気に食はない。独りよがりの年老いた男(=主人公)に何うしやうもなく腹が立つ。一体何んなんだ此のジヾイは。
第一俺れは、てめえ
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絵文字の国のジーン(2017年製作の映画)

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目の付け所は秀逸なおはなし。


さすがはラズベリー賞四冠である。
至極寒い。物語りも登場人物も至極寒い。寒い展開のオンパレードで、全然面白くない。
一緒に観てゐた姉も、「此れ……今のところ全く面白く
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ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~(2021年製作の映画)

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ティミーもビッツァーも可愛いぜい。


一度どこかで観たことの有る気がするが、まあ其れは其れとして、矢張り「ひつじのショーン」は愉快痛快、最高のアニメーションである。

さて、昨年最後の映画観賞。まさ
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希望のかなた(2017年製作の映画)

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ネオナチも亦た可笑しい。


冗句に塗れた、殆ど冗談みたいな作品なのだが、然し矢っ張りカウリスマキ。最後が非常に美しかった。
差別といふ現実を浴びながらも、然し其れでも彼方を見んとする、彼(あ)の視線
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

生活。


渋谷といふ汚ねぇ街の公衆便所で働き、見たところ築五六十年の古びた家に住みたる、時代錯誤の博愛主義者よ。
社会の底でテメェらの世話をしながら日々を送りたる、嗚呼、現代の汚穢屋よ。

おい見た
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月曜日のユカ(1964年製作の映画)

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皆んな大好き加賀まりこ。


非常に楽しい。
特に、サイレント映画を思はせるコミカルな描写が印象に残る。斯ういふ遊び心は、何んだか好い。少し『5時から7時までのクレオ』を思ひ出す。

又た、加賀まりこ
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ウィッシュ(2023年製作の映画)

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結構アナーキーなおはなし。


初めて新ピカの1番スクリーンで映画を観た。矢っ張りデカい。箱がデカい。其りゃあ然うだ。東京は新宿のど真ん中で、松竹が運営したる中での最大規模の映画館であり、其の館に於け
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ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出(2023年製作の映画)

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おい。此れ亦た魔法かよ。


百年もの歴史のなかで、テイストの異なる絵面のキャラクターは多けれども、其れを見事に総べて表したり。
加へて、特別吹替版と謳ふに相応しき声優陣。
最早や圧巻である。簡単な小
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オオカミの家(2018年製作の映画)

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筆舌に尽くしがたし。


ドロドロでグチャグチャとした造形に、薄気味悪い色使ひ、然うして明暗。もう此れでもかといふほど不気味。加へてストップモーションアニメ特有の動きが、其の不気味さに更に拍車を掛けて
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(2021年製作の映画)

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さっきからおめぇ、何を遣ってんだよ。


1901年に制作され、2021年チリにて発見された、世界初のストップモーションアニメ、といふ設定に笑うてしまふ。修復云々のクダリも亦た面白い。斯ういふ悪ノリと
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

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エミリ……😢


忘れられるといふのは、何時だって恐ろしいものである。彼女が其の目に遭うたシーンでは、主人公同様酷き不安が襲うてきやがった。
成るほど同んなじやうなものは、此れまで凡ゆる作品にて何度も
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

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お前、そっちを継承すんのかよ。


初っ端からして最高である。最初のカットからして最高である。然うして其の後も最高である。享楽にホームレスを甚振りたるいゝ家の坊ちゃん共を、強烈に懲らしむる、其の展開。
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ナポレオン(2023年製作の映画)

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ヴァネッサ・カービーの股開き。


オープニングこそ非常にゾクゾクし昂奮するものゝ、以降は失速。面白くも詰まらなくもないといふ、最も印象に残らない作品であった。

第一、省きすぎなんである。
無論、仕
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(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

西島秀俊が踏んだり蹴ったりなおはなし。


男色なり切腹なり、硬派なる男の道即ち武士道を、強かに、或るいはシニカルに見、正に馬鹿にして嗤うてゐるのが、非常に楽しい。
特に、たけしと大森南朋のコンビは可
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アメリ(2001年製作の映画)

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悪戯っ子の妄想。


成るほど継ぎ接ぎの感は否めぬが、然し遊び心満載で、ミステリックなる部分も面白く、中々楽しませられた。
モンタージュを想起せしむる箇所も好い。おゝ映画を遣ってゐやがると、少しく昂奮
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アダミアニ 祈りの谷(2021年製作の映画)

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おいらも祈らん!


不断喋らぬことを無理に真面目がつて喋らんとすると、自然其の言葉は台詞に成つてしまふ。
だが個人的にドキユメンタリイで観たいものは、台詞ではない。其の人の真の言葉である。或るいは、
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

あ、あ、あ、あ……


初っ端から、丸で比類なき絶望と恐怖とに打ちひしがれる。
意味不明に人間を殺戮する完全無欠の巨大生物が突然目の前に現れ、為す術も無く、先ほどまで普通に周囲に居た人々が続々と瞬殺さ
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青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

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うぬぬ…香つてきやがる……


青みがかつた色合ひ、瑞々しき少女の風貌、取り分け髪と肌の風合ひが美しい。又た光りが美しい。
加へて珍妙なる民族音楽と自由なるガキの存在とが、物語りにフアンタジツクでコミ
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戸田家の兄妹(1941年製作の映画)

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中国に連れていかれるおはなし。


遠近法を用ゐた抜群の人物配置、延いては空間造形。完璧である。完璧な画である。
又た、省略に依る小気味よい語り口も最高である。物語るうへでの大事な部分は略さずして、独
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浮草物語(1934年製作の映画)

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強く生きなければならぬ浮世の物語り。


役者は勿論、無声と有声、白黒とカラアなど、先づ要素としてリメイク版とは丸で異なる。加へて、主人公が江戸つ子であつたり、突貫小僧が登場したりなど、リメイク版には
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ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(2014年製作の映画)

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人類殲滅101匹わんちゃん。


果たして其れは運命なのか、総べての歯車が奇跡の噛み合はせを起こし、狗子の物語りは最悪の方向へと転ず。

何やら本作、『ジュピターズ・ムーン』と同じ監督の作品らし。成る
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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まさかの邂逅。


何時ものやうに、ファンタジックでコミカルなる雰囲気。いや、本作に関しては、何時もに増してかも知れない。『フレンチ・ディスパッチ』にも丸で劣らぬ。兎角、其の現実と空想の軽やかなる融合
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

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コンセクエンス!!!


エセ日本のビジュアルと、ジョン・ウィックの世界観とが妙なるマッチを果たし、途んでもなく面白い映像に成ってゐる。他にも日本刀やら弓矢やら相撲やらと、西洋人の思ひ描くザ・ニッポン
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

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教育熱心なマヽには頭が上がらないおはなし。


皆んな大好きハリウッドのハートフルヒューマンドラマは、余んまり観る気がせない。観賞前から、はいはい何うせ “いゝ映画” なんですよね──と、悪態を吐きた
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