金曜日のスプマンテさんの映画レビュー・感想・評価

金曜日のスプマンテ

金曜日のスプマンテ

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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.4

グランドシネマサンシャイン池袋にて、前作以来のIMAXレーザーGTでの鑑賞

砂粒のひとつひとつが見えるような映像、空気を振るわせる音響…
それ映画か? と問われたら、これも映画だと答えよう。
体験と
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.3

偶然、殺人事件を目撃した中学生…サスペンスフルな展開に青春映画の叙情が加わり、ジュヴナイル感漂う彼らを応援したくなりますが、その先に待ち受けるのは…

サイコパスな岡田将生、絶品。

12日の殺人(2022年製作の映画)

2.6

地道な捜査を淡々と積み上げていく刑事たちの日常…

捜査の推移を素材のままでゴロンと提示したような展開はエンタメ性の意図的な排除。
前作『悪なき殺人』のアクロバティックな着地とは真逆の方向性に、実際の
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.0

主人公がとにかく滅法強いので、悪人に出会ったところで試合終了というのがシリーズのお約束。
よく整理された脚本のおかげで、ブツをめぐる三つ巴の争奪戦が大変見やすい。
エンタメの鑑!

コメディ要素が強ま
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

2.6

ミステリ、法廷劇、家族ドラマ…少しずつ見えてくる背景の先に浮かび上がるのは、人間というものの割り切れなさ。

母であり、妻であり、女であり、作家であり、被告人であり…どうしようもなく人間くさい主人公が
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

2.5

ほぼ宮廷内だけで展開する陰謀劇。
中盤からのサスペンスフルな展開に引き込まれる。

歴史の狭間に虚構を織り込んで、浮かび上がるのは現代にも通じる為政者たちのエゴと執着…
「見えていない」のは観客自身も
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.2

とてつもなく恐ろしい話だと思います。
呪縛と抑圧がもたらす強迫観念の成れの果て。

実際に毒親のトラウマを抱えている人は鑑賞に注意が必要な作りです。
決して無邪気に楽しめるようなエンタメではなく、ヘレ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.0

こぼれ落ちてしまった人たちの居場所…会社というのは本来、セーフティネットであるべきなんですよね。

出口はないかもしれない。それでも今日を生きることはできる。
今日を生きられたら、明日もきっと生きられ
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.4

絶対的強者に弱者が挑むジャイアントキリングもの…つまり、みんなが好きなやつです。

SNSが人々をつなぎ連帯と信頼が強大な権力に一矢を報いる。
健全な市場は人々に平等にチャンスを与えて資本の分配を促す
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

2.8

物語、音楽、美術、衣装、そして役者…総合芸術としての映画の凄みをまざまざと見せつける傑作。
極めて不遜、グロテスクかつエロでキッチュなスペキュレイティブ・スチームパンク。

エブエブ、バービーに連なる
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

2.3

居場所のない少女、
田舎で過ごした"ひと夏"
…児童文学の定番プロット。

徹底的にミニマルで抑制された語り口。

季節の移ろいや登場人物のわずかな感情の揺らぎがにじみ出てくるような静謐な画面が心に沁
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ザ・ガーディアン/守護者(2022年製作の映画)

1.8

孤独な男✖️少女✖️裏社会という100回ぐらい観たことあるような話ですが、韓国映画らしい無茶なアクションが見どころ。

脚本は…まあ、そこそこユルいです。

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.2

刺青を彫られた脱獄囚を探せ! 単純明快な導入部、それぞれのドラマを抱えたクセありまくりのキャラクター、空間を活かしたアクション。

原作のエッセンスを忠実に引き継ぎつつ、スピーディーな展開が映画ならで
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

2.3

人情ドラマに転換する直前でスルリとコメディに"転落"するバランスが絶妙。
芳根京子の先生とか、後輩くんとか、狂児の紅へのこだわりとか…。

「いい話」にはしないぞという潔さの一方で、年齢、境遇を超えた
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エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

1.8

80年代B級アクションのセルフパロディという役目を終えて、シリーズの意義を見失った。
シリーズを重ねると凡庸になりがちなのが映画というもの。4ともなれば、このくらいの劣化は当たり前なんだけど、やっぱり
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

2.7

理性と秩序を保った社会であっても、"よそ者"のことは排除と搾取の対象としてしか見ていない。

イ・ビョンホン演じる"覚醒していくリーダー"のヤバみ…極限状況の中で誰が彼を責められようか。

怖いのは人
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

2.6

戦争を背景にすることで、子どもの見てる世界と大人の見てる世界が複層的に表現される。
それは劇中の「子ども-大人」の視点であると同時に、観客の「子ども-大人」視点とも重なり合う。
時代の空気感が伝わる効
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ナポレオン(2023年製作の映画)

2.5

ナポレオンの政治的手腕や軍略の描写はバッサリカット。あくまで夫婦の物語として、語られるナポレオンの半生。

合戦シーンの密度や奥行きは素晴らしく、大作感を堪能。こういうのがメジャースタジオ単体では作り
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

2.9

戦争の傷跡、閉鎖された村、旧家にまつわる因習…横溝正史的道具立ての中で語られる鬼太郎ゼロストーリー。

戦後の雰囲気が味わい深く、クセのない絵柄も見やすくて、冬休みアニメ祭り感がありました。

枯れ葉(2023年製作の映画)

2.2

大晦日に観るのにふさわしい滋味のある映画でした。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

1.0

撮影は美しく編集は落ち着きがあり、映画としての質は大変高いのですが、私は支持しません。

主人公の質素だけど豊かな生活…これで暮らせれば苦労はないんだけど、現実の日本は低賃金と住宅難のダブルパンチで老
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市子(2023年製作の映画)

2.8

近くにいるから、その人のことがわかるとは限らない。あなたと一緒にいない時のその人のことは、決してあなたにはわかり得ない。

絶望の中で自分の居場所を求め続ける市子の壮絶な半生。

市子という人物の複層
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

2.6

実はプロレタリアートによる階級闘争の物語。支配階層(資本家と教会)に対抗する庶民の夢の力が権力構造を逆転させる。

オートメーションの導入による生産性の向上で余暇が発生したり、労働と搾取の構造が根幹に
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(2023年製作の映画)

2.3

アウトレイジ戦国武将たちの仁義なき跡目争い。
この後どうなるかわかっているのに面白いのだから、汲めども尽きぬ戦国時代というコンテンツの強靭さ。

出てくると場の雰囲気を全部持っていく岸部一徳の千利休が
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

2.4

飛行機不時着→ゲリラうろうろの超危険地帯→さあ、どうする? 

シンプルなプロットのノンストップアクション…技量と根性とプロ意識で事態を打開していくという意味で「お仕事映画」とも言えます。
劇中の言葉
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PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ(2022年製作の映画)

2.4

日本統治下の京城は「魔都」な雰囲気たっぷり。

ユリョンの正体が始めから明かされているので、誰がユリョンか? というサスペンスではなく、追い詰められていくヒリヒリ感が見所。

男たちがケチなプライドの
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

2.8

夢を食い潰す「常識」に叩かれてもへこたれない主人公を演じた松岡茉優の眼差しの強さ!

嘘のない関係、本当のことを話せる関係が人を強くする。
カメラで撮る=その人を見ることは愛である。
見てくれる人がい
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ドミノ(2023年製作の映画)

2.1

誘拐された娘の行方を追う刑事、事件の影には人を操る謎の男の存在が…。

ツ○ヤ1週間レンタルとかで観るのにちょうどいい感じ(ほめてます)。こういう手触りのものが映画館で観られるのは豊かさだと思います。

ザ・キラー(2023年製作の映画)

2.3

動機は熱いが頭はクールな主人公が世界を股にかけて敵を追い詰めていく姿が、ひたすらカッコいい。
スタイリッシュな編集と絵作りのセンスでラストまで全くダレるところがない手練れの技。

…すっげー面白いけど
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理想郷(2022年製作の映画)

3.2

小さな村で暮らす隣同士の家族の話だが、それぞれの正義のぶつかり合いという構図は、古来から現在まで変わらない世界の縮図。

話し合いで解決しましょうと言っても、話し合っても解決しないからこじれるわけで。
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こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

1.8

主人公が走り出した瞬間、物語が動き出す。
やさしく甘い2人の世界…前半に感じる違和感の先に浮かぶ"真実"。

家庭でも職場でもない、ゆるやかなつながりが束の間の支えになる。

…それでも世界は地獄。
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

1.9

この時代に完全オリジナルのSF大作を作ることの気概は称賛したいです。
画面の作り込みの密度も高く、見応え充分。

…ですが、展開があまりにも行き当たりばったり。主人公も少女(中身はAI)も行動の指針(
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

2.9

スコセッシに上手いとか傑作とか今さら言ってもしようがないんだけど、鑑賞後、とにかく凄い映画を見たという重みが残ります。
賛否両論はあるでしょうが、映画としての迫力と完成度は圧倒的です。

普通なら脇役
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オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

1.9

台詞回しの軽さが作品のランクを(悪い意味で)B級に振る方向に作用している。
主人公を支える2人(女性と黒人)があまりにも役に立ち過ぎるが故にアイテムみたいなキャラになっている点もイマイチ。

『コード
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キリエのうた(2023年製作の映画)

2.4

物語が始まった時点で、"人生の取り返しのつかなさ"に首まで浸かった登場人物たちの遍歴を共に歩む178分。
出口も希望もない日々。
取り返しはつかなくても毎日は続いていく…。

アイナ・ジ・エンドは健気
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シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

1.8

フェイクドキュメンタリーとして撮影されたところと「ドキュメンタリーの外」のシーンの撮り方にギャップがないので、見ているのがどっちなのか定まらない。
ここはメリハリがあった方がよかったかなと思うけど、ク
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