vincentさんの映画レビュー・感想・評価

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沈黙の艦隊(2023年製作の映画)

4.0

エンタメとしては言うことなし。

つらつら思う事。

「日本沈没」以来「シン・ゴジラ」まで物語の背景に流れる通奏低音は重い。
日本の国民はずっと政治家に失望し続けてきたのだなとしみじみする。
だがそれ
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

毎度の事ながらこの世界には魅了される。
ダークファンタジーの定型パターンの果てに苦い勝利と微かな希望の灯がともされる。
この感じはたまらない。

ハリーポッターシリーズ以来、優生思想を軸とした保守的価
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

映画館にわざわざ足を運んでスマホをオフにする。
大スクリーンにのし掛かられて作り込まれたサウンドの振動に揺さぶられる。
そんな特別な時間を堪能。
個人的な趣味の領域ど真ん中の設定も嬉しい。
シン・ゴジ
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恋脳Experiment(2023年製作の映画)

5.0

アート系短編アニメ作家がPFFのスカラーシップを取って作った作品である。
映画は実写であれアニメであれ、文学の一分野では無いかと愚考。
監督が脚本を書くと物語にちゃんとした手足が生える気がする。
物語
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ヴィナス戦記(1989年製作の映画)

2.5

脚本がアレなんだと思う。
道具立ては流石だがガンダム世界のキャラを使ったスターシステム的テイスト。
登場人物の行動原理の設定に時代を感じる。

ミッドウェイ(2019年製作の映画)

3.5

山本五十六と山口多聞の評価が高いのは二人ともアメリカ留学組だったせいもあるのか?
反して南雲忠一は無能扱いと言うのは面白い。
実際の所、南雲の判断ミスがミッドウェイ海戦の勝敗を決めた可能性が高いだけに
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お嬢さん乾杯!(1949年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

半世紀以上時間が経過すると言語はかなり変化する。
佐野周二も原節子も佐田啓二も、台詞回しを聞いているだけで脳のお笑いスイッチが入ってしまう。
焼け跡と思しき背景をさり気なく押し隠し、進駐軍御用達の自動
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.0

半世紀前に読んだ内容をすっかり忘れている。
成る程、今まで再読しようと思わなかった理由がよく分かった。

映画では塹壕戦の恐怖が余す所なく描かれている。
戦争を選択してそれを推し進めようとする政治の狂
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.5

ナイト・シャラマンを想起。

視線に強い意味を持たせた物語と感じた。
動物の目を凝視するのは威嚇になる。
ケルトのバロール、ギリシャのメデューサなど、目に致死的魔力を秘めた存在は世界のそこかしこに見ら
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劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.5

確かに愛は呪いの一種かも。

それにしても憂太は目醒めたシンジにしか見えんかった。

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

4.0

パッと見えた景色は美女と野獣の相似形。
それも活字で読むボーモン版でもコクトーの映画版でも無く、ディズニーのアニメ版。
下手を打てば換骨奪胎ともならずひしゃげる羽目に陥る危うさ。
少しハラハラしたが、
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マスカレード・ナイト(2021年製作の映画)

3.0

ポートレートとして切り取った画面に映る役者の演技は素晴らしかった。
犯人が過去に犯した殺人の動機が如何にも弱くて、ちょっと納得できなかった事が残念。

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

4.0

ウルトラQから始まる展開には肯首。
画面にチラつく懐かしいガジェット群。
実相寺昭雄のアングル、我がゴーストに囁かれるあの日の一言、二言、三言。
還暦過ぎのジジイが夢見た未来。
1970年の大阪万博が
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

いつかは語られるべきあの震災の、これから生まれる数多の物語の中で、独立峰となるべく作られた作品。
日本列島の宿痾とも言える地震に対し、諦観ではなく希望を熱源として立ち向かうフォークロアとも読みとれた。
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千年女優(2001年製作の映画)

3.5

原節子をどうしても思い浮かべてしまう。
「千年女優」が作られた頃、彼女は存命であったが・・・アニメは見なかったろうか。

作中昔の女子校のシーン。
英語の板書が筆記体であった。

思想犯や憲兵なんても
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

3.5

エンドロールが洒落ていた。

マーベルファンじゃ無いとハードルが高い。
予習が必要。

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)

4.0

高度成長時代のど真ん中。   日本のここかしこには、団地と呼称される規格化された低層集合住宅群が雨後の筍のごとく、それこそ数え切れない位沢山、建設された。
無機質とか無個性などと揶揄されても、100以
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海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

4.0

混乱?と思ったものの主題が整理できない混沌である以上こうした形にならざるを得なかったか。

Confusion will be my epitaph.
って感じ?

だがしかし中也の引用で物語を追うに
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ハミルトン(2020年製作の映画)

3.5

恐らくアメリカの子供なら誰でも知っている話なのだろう。
アメリカの建国をダイジェストで開陳する試みか。
個人的にはイギリス国王ジョージ三世が一番魅了的だった。
ハミルトンには全く何の関係も無いのだが、
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劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明(2020年製作の映画)

3.5

評判になっていたアニメ版に続けて鑑賞。
この手の冒険ファンタジーにあるまじきドラマ的エグさが満載ではあるが、ここまで振り切らないと語れぬ事もあるのだろう。
2022年度夏期アニメで映画版の更に先が描か
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LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)

3.0

「アキラ」や「攻殻機動隊」に代表されるSFジャンルのアニメから放射される色彩や香味を強く感じた。
本作は何より物語の核心が弱い感じがした。
リュック・ベッソンに実写でこの手の作品を撮らせるなら、例えば
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

戦争を賛美する訳でも抗戦的考えに加担するつもりもない。
しかし、単純なストーリーで展開する冒険活劇にヒコーキが出てくると何故にこうまで血湧き肉躍るのか。
「The Dam Busters」「Memph
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バケモノの子(2015年製作の映画)

4.0

力のある物語だった。
白鯨と山月記からの引用。
そして案内は西遊記と不思議の国のアリス。
一見すると息子とその父親の物語りとも思えるが、実は父親とその息子の物語りであろう。
道楽の様に息子と関わり、育
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バブル(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

モチーフとなる人魚姫の結末には少なくとも三つの可能性が存在する。
子供の頃、正編の結末に納得できず、王子が姫を受け入れて末長く幸せに暮らしましたとさ、などと言う埒も無い空想もしてみた。
物語としてはど
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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.0

「あいしてる」と言う決め台詞を手掛かりに、ここまで大風呂敷を広げた脚本家はさぞかし快感であったろう。
TV版の本放送時に映像のクオリティの高さにぶっ飛んだものだが、今の時代に手紙と言う通信手段をモチー
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3月のライオン 後編(2017年製作の映画)

4.0

良い映画だった。
原作の意図とはあるいは異なるのかも知れないが、一つ一つのエピソードが伏線となって最後に漏れなく回収されていたかに思う。
メッセージとして強く感じたのは、孤高であると言う事は、孤立する
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クライ・ベイビー(1990年製作の映画)

4.0

何だかカルト的な昂揚感のある作品。
ジョニー・デップの若さを寿ぐにせよウィレム・デフォーの気持ち良さそうな怪演に痺れる。
どこかで見た様な聞いた様な、登場人物と歌や音楽に結構ハマる。
コレはお薦めミュ
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青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(2019年製作の映画)

4.0

以前突発的な事象で死にかけたことがある。
アニメシリーズは死にかける前に見て感銘を受けていた。
死に損なってしまい、その後入院中の無聊を紛らわせるために原作を読破した。
実に楽しい入院生活だった。
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キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

3.5

頭が疲れている時に見たので楽しめた。
色々な映画や俳優へのオマージュが仕込まれていてモルトと言うよりはカクテルの味わい。
バーボン、スコッチ、マティニ。
マティニのジンは緑色のボトルからタンカレーと推
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

3.5

どっかで見た顔がありがちな母子関係で沸騰する。
登場人物の内面をビーストとして表現する手法は良くあるが、なぜレッサーパンダ?
一人っ子政策に行き詰まった中国で馬鹿ウケして、放映禁止になりそう。

オールド(2021年製作の映画)

4.0

見るからに低予算で作られた映画たが、SFXや役者に大金を投じたB級映画が赤面するだろうほどに面白かった。
舞台になった海岸は作品中で描かれた通り、医学や薬学にとっては夢の様な、だが絶対禁忌の実験場にな
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地球外少年少女 後編「はじまりの物語」(2022年製作の映画)

4.0

もうこれは小松左京の描いた楽観的未来への讃歌、それ以外の何物でも無い。
二十一世紀がまだまだ未来だった頃、僕らは確かに科学が導く人類の行末を信じていた。
少年とシニシズムには微かな接点もなかったのだ。
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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(2018年製作の映画)

4.0

原作と言うよりは、映画に落とし込まれたハリーポッターシリーズの世界観が良く反映されている。
ダークファンタジー的色味が魅力的。
ハリウッド的なヒーロー像の全否定にも思えて好感。
猫背でガニ股の冴えない
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