vincentさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

羊と鋼の森(2018年製作の映画)

4.0

音の意味が主題の筈であるのに、映像の美しさに圧倒された。
アングルと光の効果に共感覚というジャンルの可能性を予感した。

素面でもう一度みなくては。

ハーモニー(2015年製作の映画)

4.0

十七歳で太宰に傾倒できない奴は人として信用出来ないが、二十三歳にもなって太宰を熱く語る奴は正気を疑う。そう言ってのけた友は二十歳を前に自殺し損なって稀代のスケコマシになった。
人生と対峙し真摯に思い詰
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屍者の帝国(2015年製作の映画)

3.0

バベッジの解析機関が昔懐かしい悪の巨大コンピュータとなって、人とAIの未来を騙る。
メアリ・シェリーはバイロン卿と繋がり、バイロン卿はエイダ・ラブレスと繋がり、エイダはチャールズ・バベッジと繋がる。
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虐殺器官(2015年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

インパール作戦やアンデスの惨劇を例に引くまでもなく、ホモサピは追い詰められれば共食いも辞さない。
それは祖先を遥かに辿って我々が魚やトカゲだった頃にプログラムされた個体維持の為の作法だろう。
作中に人
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映画 中二病でも恋がしたい Take On Me(2017年製作の映画)

4.0

余りにも誠実で丁寧な仕事ぶりに語る言葉を持たない。
犠牲になった方々の御冥福をお祈り申し上げます。

失くした体(2019年製作の映画)

4.0

過去が喪失、未来が獲得として語られるならば、失われた何かを探す旅は、現在に追い付いた時点で無に帰するのか、或いは新生に至るのか。

だけどフランス人はどうしてああかな。

イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

事前の予想を遥かに超えてシミジミと気持ちの良い後味。
この歳になってみてあらためてビートルズが好きだった自分を再発見してしまった。
シンプルな恋愛ストーリーにベストアルバムが乗っかる。    紆余曲折
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トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

人は体験する自己と物語る自己からできていると言う。
トールキンはパブリックスクールで旅の仲間を得、ソンムでモルドールを見る。
人生の折々の機会で綾なされた禍福を心に刻み込み、やがてトールキンは指輪を物
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ロケットマン(2019年製作の映画)

4.0

欠落が才能の種となり、芽吹いた才能が渇望に磨かれるとしたら、天才とはなんと寂しい景色だろう。

シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

4.0

ジョンとポールがバックトゥーザ・フューチャーでラストが小さな恋のメロディな卒業って話し。
何かを作ったりやり遂げ様とした時、それなりに出来てしまうのに、何処にも行けなかった高校の頃を思い出した。
眠り
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

5.0

見ているうちに顔がにやけ、内なるオタク心が暴走を始めちまう困った映画。
あれもこれもとキョロキョロしている内にあっという間に時間がたってしまった。
これが倍の尺だったとしても、きっとあっという間にエン
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

4.0

東宝8.15シリーズの一つなのだろうか。戦争から70年以上経過して、当時のことを知る人間の殆どが鬼籍に入ってこそ発想される物語なのだろう。
天一号作戦での大和の使われ方を考えると劇中、田中泯が披瀝する
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天気の子(2019年製作の映画)

4.0

近代から現代にかけてこうも世界がグダグダなのは、最大多数の最大幸福が人類社会の教条的お題目になっているからではないかと疑っている。その意味で帆高が選択した最小少数の最大幸福を追求する選択は胸が空くほど>>続きを読む

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)

4.0

人は自作自演の物語を生きるが、それは過去と現在と未来を貫く時間軸に自身を正しく定位させるために編み出した大脳の方便である。
物語を語り記録するため言葉が生まれた。だから"初めに言葉ありき"とは人が人に
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劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(2017年製作の映画)

4.0

SAOの本編も含めて、面白いと思う度にいつでも想起されるのは、リング、らせん、ループの世界。並列されたスーパーコンピュータ内で展開される世界シミュレーションのプログラム内で発生したバグこそがサダコの正>>続きを読む

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス(2014年製作の映画)

3.0

ブレードランナーがある種の、スタイルモデルだった様に、攻殻機動隊もまたJIS規格の様に強い影響力を持ち続けている事に驚きを禁じ得ない。

マスカレード・ホテル(2019年製作の映画)

4.0

ちゃんと楽しめた。
木村拓哉は何をやってもキムタクと言われるが、高倉健が何をやってもケンさんだったのと同じ次元で質量の大きな存在感が見える様になった。
それにしても有頂天ホテルでHEROが何やってんだ
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ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

4.5

ヴィンセントのstarry nightを見たことがあるが、思いの外小さな絵だったことは意外だった。実物に触れるまで、てっきり大きな絵であるだろうと思い込んで
いたのだ。

死後随分経ってから、ヴィンセ
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超高速!参勤交代(2014年製作の映画)

3.0

突っ込み御免。
面白ければ良いのです。
小難しいことは言いっこなし。

ダンケルク(2017年製作の映画)

3.5

コニー・ウィリスの時間SFオックスフォード大学史学部シリーズでは大戦下のイギリスが主要モチーフになっているのだが、その中でもダンケルクの敗走はかなり力を込めて描きこまれている。
民間の小さな船が徴用さ
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.0

映画を見ながら、久々声を上げて笑った。感想はこれで言い尽くし。
ネタ枯れのハリウッドでリメイクの予感。

モダン・ミリー(1966年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジュリーアンドリュースのファンのはずだったのに初めて見た。
舞台となった時代は1922年。所謂ジャズエイジの物語の様だが、大戦後の好況期、大恐慌前夜の狂乱の時代はあのバブル期にも似てアメリカでも妙な郷
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ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

4.5

しかし、トム・クルーズは自分が何を映画に求めているかを、いつだって再確認させてくれる俳優ではある。
トム・クルーズが息つかせずスクリーンの中で大活躍している限り、世界のある大切な一部分がまだまだ大丈夫
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ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

バイオハザードとは有害な生物による危険や生物災害を意味する訳だが、ここに来て恐竜によるバイオハザードがパンデミックにまで発展。某火星のゴキブリ並に人類の脅威となる楽しみが出てきた。
ウイルスや細菌によ
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ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

4.0

前評判があまり良くなかったので、少し心配だったがなんの、馴れ親しんだSWテイスト満載で存分に楽しめた。SWを鑑賞する御作法は、面倒な小理屈を捏ねずに物語世界に身を委ねる事に尽きる。
絵空事万歳!
続編
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セッション(2014年製作の映画)

4.0

ジャズの海は広大で深い。心地良さの背景にあるかもしれないドラマの一部を垣間見た気分。ウィントンマルサリス も教師をしているらしいし、現実には作品中みたいにサイコな展開は無いと分かってはいても、実際の授>>続きを読む

スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ヨーダの「若きスカイウォーカーよ」という呼びかけが心に沁みた。
思えばアメリカで先行公開されたエピソード4の8mm盗撮版ベータマックスダビングビデオを見た時は小生も若き学生であった。嵐が吹き荒れるガサ
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.0

バートランド・ラッセルの世界五分前仮説を思い出した。仮説での対象は知識だが、これを思い出に置き換えればジョーの恐怖や哀しみが私の事として迫ってくる。今私がかつてあったと記憶している人生のあれこれは、本>>続きを読む

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

3.1

もしこれがエイリアン第1作目なら名作だったかもしれない。こうなるだろうなと思った通りに進む物語はやや退屈。この作品とファーストを繋ぐ話しが作られるはず。

三度目の殺人(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

やはり三度目の殺人とは司法による死刑の事なのだろうか。
記憶はそれが生まれた瞬間から編集と改竄が始まり、人は自分が信じたいと思った過去を捏造し続けながら生きて行く。ある人間の死をどう解釈するか。その死
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陽のあたる坂道(1958年製作の映画)

4.0

石坂洋次郎の原作は高校の頃に読んでいるのに映画を見ていてもさっぱり思い出せなかった。
日本がまだ貧しかった頃の精一杯を描いた、異世界かとドン引く程しょっぱい青春?映画。
元祖壁ドンや間接キスと思しきシ
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ライフ(2017年製作の映画)

4.0

暑気払いには格好の一品。毎度お馴染みの品揃えながらビックリドキドキは極上。技術が進んでリアリティというよりは臨場感が本当に半端ない事になってきた。

パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊(2017年製作の映画)

4.0

人間は架空の物語を共有する事で町や都市や国家を作る事が出来る様になったと言う。故に人は物語を渇望する生き物なのだ。必然的に御伽噺に身も心も委ねる快楽は何物にも代え難いものとなる。

メッセージ(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

曇り空の光は画面を驚く程美しくする。マグリットの「ピレネーの城」にそっくりな、銀色の光の中に浮かぶオブジェクト。過去と現在と未来が主人公の白昼夢と思索の内で交錯し、原因と結果が反転する。フレッド・ホイ>>続きを読む

リトルショップ・オブ・ホラーズ(1986年製作の映画)

3.5

50年代に量産されていた懐かしのSF映画的テイストが嬉しい。アスタウンディング誌などパルプマガジンの表紙を飾った美女とモンスター的構図もまた楽しい。
フランク・オズはヨーダの声も当てているし、個人的趣
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海街diary(2015年製作の映画)

4.0

巧まざる女性映画と想う。吉田秋生の原作もまた良質な物語だが、この映画は驚くほど原作から自由だ。前知識無しで鑑賞したとしたら完全にオリジナルのドラマだと思ったに違いない。
それにしても劇中、男性の存在感
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