ベルさんの映画レビュー・感想・評価

ベル

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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

頑なな眼差し。エイダにとってのピアノ。その価値を最初から理解した男と、そうではなかった男。なるほど、全ては最初から決まっていたのだなぁ。
とはいえどうにかして彼女の心を開こうとしていた夫は可哀想でもあ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

2時間半あっという間。なんと濃密な物語だろうか。法廷で次第に明らかになっていく夫妻の関係。不満。不信。不公平。不倫。
そして判決。
真実は要らない。

どちらの言い分もわかってしまう口論の激しさに見入
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ロストケア(2023年製作の映画)

3.4

家族の、絆、じゃなくて、呪縛、か…。

松山ケンイチと柄本明、次第に荒んでいく父子の介護生活とその終わり。すごいシーンだった。

Pearl パール(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

あんなにかわいいアヒルさんをザクッ!って😱
怖いのはパールさんでした。
映画館の男もブロンド義理姉も、なんでお家に行っちゃったかな〜。ま、そこがないとホラーにならないんだけどね。
最後の泣き笑いが怖く
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

すごく奇妙。だけどあとからジワる面白味。
幻想とディストピアが入り混じったような世界。お腹に宿していた胎児の脳で蘇生したベラ。彼女は自らの意志で旅に出て他人と交わり(色んな意味で)やがてその未熟な心が
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.9

“普通”という水で、溺れてしまったんだ…。
すごいものを突きつけてくる。

優しくて、まっすぐで、だけど、暴力でしか物事を解決できない。そんな三上をサポートする人々と少しずつ作られる信頼関係。働き始め
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

2.8

イタリアの古書店店主と移民の少年の心温まる交流。
感想を教えてと少年エシアンに本を貸す店主リベロ。最初は漫画、次は児童書そして小説へ。ピノッキオの冒険、星の王子さま、白鯨、シュバイツァーの伝記。たくさ
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.4

原作を読んでからの映画鑑賞。
細かい部分はかなりカットされているのに無理のないドラマに仕上がっていると思う。
特に、原作では重要なピースとなるポエムが一切無く成り立っていることなど。

後半、“カイア
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

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一日の始まり。それが晴天でも曇天でも、見上げては少しだけ微笑む。朝が迎えられたことの安堵感か、それとも感謝なのか…。

めくるめく日々はルーティンでありながら少しずつ違っている。ほんの少し嬉しかったり
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犬王(2021年製作の映画)

3.3

原作のテンポ感がそのままロックとして再現。橋のライブがちょっと長くて飽きてきたけれども、クライマックス御前のステージは圧巻。
それだけに直後に彼らの物語が封じられた理不尽は、舞台の暗転そのもののようだ
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ママの理想に叶うよう振る舞う少女の抑圧されたこころの恐れと悔しさと焦りと妬みを吸収して大きくなる卵。
孵化したヒナが食べるエサに影響され変容していくのをみていれば最終的にどうなるかは予想できたけれども
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丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部(2023年製作の映画)

3.3

印象的な部分メモ
・「生きるために隠れてたのに死を選ぶしかなかった。」

・「反戦反核画家と言われるけれど、決してそうではない。そういう一面も確かにあるのかもしれないけれど、それよりもっと根源的で哲学
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

いや、これはムリ。殺人シーンも自傷シーンもちょっと見ていられない。途中から音無し倍速で流す。最後もなんか変なの生まれてたけどあれで終わりなのか。意味がわからない。
うっかり映画館で見なくて良かった。
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コリーニ事件(2019年製作の映画)

3.5

恩人の過去の罪を暴く駆け出しの弁護士。気が進まないながらも被告人が語ろうとしない動機に少しずつ迫っていく。
疎遠だった父の手を借りナチス虐殺についての資料を調べ上げ、被告が犯罪を犯すきっかけになった法
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浮き雲(1996年製作の映画)

3.1

悪いことって続くときは続くんだよねぇ…
夫婦そろって仕事が無くなり職探しを始めるけれど、年齢がネックになる妻と健康診断でNGになる夫。金で手に入れた紹介状の店は税金を納めておらず、咎めにでかけた夫は拉
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ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~(2022年製作の映画)

3.6

お母さんが脳梗塞で倒れてからの信友家。
お母さんを見舞うのが日課となったお父さん。
お母さんを自宅で介護できるようにと筋トレを始めたり、鼠径ヘルニアの手術にも挑んだり。
結局、お母さんとまた一緒に暮ら
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ぼけますから、よろしくお願いします。(2018年製作の映画)

3.5

アルツハイマー性認知症と診断された80代の母を、耳が遠い90代の父が面倒を見る。それを記録する娘のビデオカメラ。
明るく社交的だった母が、自分の変化に戸惑い何でわからんようになってしもうたん
と問う。
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

帰るに帰れないでいるうちに20年も経って記憶の中の父親はいつの間にか自分と同じ年になっていた。
人と関わらずに過ごした年月を、ヒッチハイクの一日で取り戻していくそれはまるで修行のようでもあり。
面接帰
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

お兄ちゃんOJが車のドアをそっと開けて上空を確認してそっと閉めて「NOPE」って言って
その直後のサプライズ…!!の、シーンが好き。
きょうだいと家電店の兄ちゃんの掛け合い、近所のテーマパークのオブジ
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

実は僕のせいだった。と、言えるまで。認めること。そこに踏み込むにはまだ許容量が足りなくて。後悔と親友を失った悲しみと不甲斐なさとで精一杯で。
草原を走り抜ける少年たち。美しさときらめくような若さと。先
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

産んで産んで産んでまた産んで…って、二回目くらいまではキモッ!って感じだったけど、段々、えっ、また?えっ、まだ足りないの?今度は足からか…(-_-;)
なんというかここまでして最後は「愛がほしい」。呆
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アス(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

何もそこまでしなくても。躊躇なさすぎてこのママ怖い!コピーが可哀想…なーんて思ってたら、えっ、そうだったのか!!これはやられた〜。一本とられました。

キッチン・ストーリー(2003年製作の映画)

3.7

キッチンの隅のイスから動線を監視する男フォルケと、される男イザック。調査ゆえ口を利くことも出来ない。これだけで十分シュール。
なのに、些細なきっかけで近しく親しくなっていくおじさんふたりがなんともキュ
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

なにこれメチャクチャ…
「マリアビートル」をどう解釈したらこうなった?
東北新幹線が東海道新幹線になったのは仕方無しとしても王子が女の子なのも檸檬と蜜柑がオッサンなのもゆずる。譲ってもこれはちょっとふ
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怪物(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ざわざわ、ざわざわする。
それが物語のアングルが変わるにつれ
少しずつ、解れていく。
そして、彼らの世界。
大人にははかりようのないほどに、真っすぐで、不器用で、残酷で、繊細で。

出発進行。
まるで
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

まるでドラムのセッションみたいなスパーリング、その音とリズムに圧倒される。
でもそれは、当の彼女には聞こえない。

聴こえないことは壁。
不便でいて、都合が良くて。
だから目を澄ませて。
世界は、思う
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

まるで蜘蛛の巣のような聖地マシュハドの夜景から始まる。
生活のため幼い子供をひとり家に残しひとりふたりと客をこなす。暴力に耐え金は値切られ。主人公かと見守っていたその女、疲れ果てた体と心は危険を察知す
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零落(2023年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

描き尽くしてヘチマのタワシのようにスカスカ、しぼりカスのようになった漫画家。焦りとプライドが彼を孤独にしていく。売れ線から零れ落ち、安らげるのは金で繋がった風俗嬢の前だけとは…。

深澤の鬱屈や不満は
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サラの鍵(2010年製作の映画)

3.5

佳作。
フランスに居住していたユダヤ人の強制収容。
アパートに取り残された弟との再会だけを願った少女サラ。ついに果たされたそのときは、酷くも彼女の一生の傷になり闇を深くしていった。
数年前に原作を読み
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

この混沌は極彩色にぐるぐるまわるランドリーだ。冒頭からの独特のリズムに乗るまでにだいぶ戸惑ったけれど“変なことするとパワーが出る”にツボり始めたらもう笑いが止まらない、Everything。何千もの世>>続きを読む

紅い服の少女 第二章 真実(2017年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

赤い服の少女は母の愛が生みだした怪物であったか…
最後は新しい絆が家族になり一件落着。
じいちゃんがいい味出してる。

ナワリヌイ(2022年製作の映画)

3.6

「悪が勝つのはひとえに善人が何もしないから。諦めるな。」
自分を殺そうとした国に帰る勇気。為政者はそれをこそ恐れる。
暗殺実行犯にひとりひとり電話をかけ遂に詳細を引き出した瞬間の喜び。でもそれも通過点
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ある男(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

ワインのラベル。付箋の名前。大切なのはその中身。どんな味か。どう生きたか。飲んでみないとわからない。話してみないとわかり合えない。その手間を省くためにラベルと名前で判断する。そこに紐づく歴史と過去を。>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.5

おじいちゃんとのシーンが特に良かった。「お前は何者か?」それがわかっていればどこに行っても大丈夫。
暴動の緊迫した場面での「環境にやさしいから」に和む。
私なら速攻ロンドンに行く!って言うのにな〜と思
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99.9-刑事専門弁護士‐ THE MOVIE(2021年製作の映画)

2.6

TVドラマでは楽しく笑えたダジャレが映画サイズになったらしつこくてウンザリした。
普通に面白かったけど映画にするほどのスペシャル感は無いなと思う。
松潤ファンを集わせる作戦=映画だから仕方ないのかなー
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

思ったよりつまらなかった。
魔力に導かれて復讐を果たそうとする王子と父の王座を奪った叔父の対決がクライマックスなのだけれど、そこに至るまでがなんとも平凡。
救い出そうとした母が実は父の暗殺の首謀者だっ
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