suiさんの映画レビュー・感想・評価

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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.5

開始1秒で世界が変わる。
きれいな水で満たされていたら私はどんな人間になれるだろうかと考える。
木々や雪や野生の鹿、そういったものに囲まれていたらどうだろうか。
スクリーンを眺めているだけだけれど、こ
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.5

なぜかあまり期待していなくて観るのをあとまわしにしていたのだが、こんなにいい作品だったなんて!
日本文化をこれでもかとちりばめつつ、「分かってない」「失礼」な仕上がりにはせず、正攻法でおしゃれに仕立て
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ぼけますから、よろしくお願いします。(2018年製作の映画)

4.3

まったく知らない人なのに、ぼろぼろ泣いてしまった。思い出してもまた泣きそうになる。
認知症ってこうやって進んでいくんだ。
私は祖父をアルツハイマー型認知症で亡くしているのに、全然知らなかった。
脳が萎
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メメント(2000年製作の映画)

4.0

よくできた映画。TENETは混乱して分からなくなってしまったけどこれは理解できたぞ。1秒も頭を休められないので退屈しません

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

たしかに狂気なんだけれど、そこに至るまでが長く、もうちょっと削ってもよかったように思う。
ただケイトブランシェットの長回し耐性は目を見張るものがあり、また三カ国後を流暢に操っているところもすごかった。
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.8

壮大なお伽話。人外に恋する人もいれば、同性に恋する人もいれば、異性との結婚生活が楽しくない人も、子沢山な人もいる。それぞれにそれぞれの生活。
デルトロ監督作品なので覚悟していたけれど、パンズラビリンス
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海がきこえる(1993年製作の映画)

4.0

「あのころの最高だった昭和」が詰め込まれた宝石箱みたいな作品。ジブリらしいんだけど、ジブリらしくない爽やかさ。ファンタジーのお話じゃないものね。
里伽子は思っていたのと違っていかにも生理が重そうな(す
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過去のない男(2002年製作の映画)

3.8

箸持てないのかわいい。カウリスマキは日本好きなんだろな。
どうしてこんなにもというほど辛いことが続くけど、最後の最後には救われるのは「浮き雲」とおなじ。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

ウェスアンダーソンはエンディングムービーがいいよね。
と、これはなんだったんでしょう。
アステロイドシティでの悲喜交交を淡々と覗き見するのが続き、たまに差し込まれるモノクロの現実世界も、とにかくセリフ
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

3.9

終盤ショッキングなシーンもあるものの、画が綺麗なのとピアノの旋律が美しく、「これは確かに良い作品だな」と感じた。説明が少なくて、解説を見ないと理解しきれない部分はあったけれど。
私が産まれる前にできた
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市子(2023年製作の映画)

4.5

途中までは「わりとよく聞く無戸籍のひとの話だな」という感想で(無戸籍問題については『息もできない夏』(2012)でしっかりめに描かれている)画づくりや間合いのとりかたの綺麗さにしかほぼ意識がいかなかっ>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

5.0

星を減らす理由が見つからないので、星5で。
無知ゆえにパンフレットを読んでそうだったのかと気付かされる部分、たんに私の解像度が足りない部分、それでもハッとする場面の数々。
「ソイ アナ」の静かな破壊力
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.8

約8年ぶりに鑑賞。
妹役の役者さんがすでに自死されているということを知って、作品以上に衝撃だったかも。
人にはすすめられないけれど、私はこういう狂気をのぞくのが好き。
(ていうか、ヨルゴス・ランティモ
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リング(1998年製作の映画)

4.3

名作といわれる所以がわかりました。
ただのホラーではなくミステリー要素がしっかりしており、松嶋菜々子も竹内結子も中谷美紀も、若い!

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

体のコンディションがあまり良くないせいで途中うとうとしてしまい、見落としたセリフがいくつかあるのが悔やまれる。が、
基本的に淡々とした物語、というか日常の一部を切り取ってそのまま流しているようなかんじ
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.2

東日本がらみの作品として、また親子を描いた作品として、新海誠、よくやった!
「君の名は」「天気の子」と比べても断然良かった。
ダイジンのや左大臣の目的が判然としないのは少し引っかかるけれど。

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.0

数年前に会社の忘年会でこの再現料理を食べさせてもらったことがあり、思い入れのある作品です(ウズラのパイもいただきました)。
静かで抑揚は少ないものの、中盤、食材を見て怯える一同など面白さもあり、そして
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ほつれる(2023年製作の映画)

3.8

何かを求めてはいけない作品…
門脇麦、こういうちょっと破綻した女の役が多いような。

撮り方が綺麗なのと石橋英子さんの影響か、とくにラストなんかはドライブマイカー…?とはっきり思ってしまうところがあり
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

小説を読んでいたからすでに筋書きは知っていたし、サントラもよくよく聴いて覚えていたし、SNSや各メディアで監督や演者が喋っているところやNHKのドキュメンタリーなんかも視聴していて、こんなにも事前情報>>続きを読む

わたしの魔境(2022年製作の映画)

3.5

地下鉄サリン事件の翌年に産まれた私はオウムのことをあまり知らない。なんなら統一教会のことも、安倍晋三が襲撃されるまで一切知らなかった。
そのような人間にも分かりやすい構成になっている。元信者へのインタ
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生きちゃった(2020年製作の映画)

3.7

生きちゃった人の映画。
生きちゃっただけ。たまたま死ななかっただけ。
死ぬ人と生き残る人の差はなんなんだろうね。「アホなやつらばっかのうのうと生きている」みたいなセリフがまさにそれ。
でも愚かな人間も
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