せつない。
過去に流れていた時間。共有できた何か。
出演者、製作者、観客。
互いに「言葉」を媒介にして、懐かしむ。
岩井監督も、宮沢賢治を読んで育った少年だったかと思うと、とにかく胸が熱い。
私は人間の命を「花が咲く」と例える表現に常に違和感を感じている。咲くことはあくまでも過程であり、ゴールではない。
命はやがて散る。
打ち上げ花火のように。
山崎裕太と反田孝幸。
この時代の悪ガキ>>続きを読む
観ていてツラい。
ただひたすらにツラい。
セッション。
パッション。
濃すぎるモーション。
音楽は聴くものではなく演るものだ。
そういうスタンスの人が観る映画。
伊藤英明がグッジョブなのは言うまでもなく。
安定のマキタスポーツの「御柱祭」的存在感。
染谷将太は高い木に登って降りられない白猫。
どこからともなく縁側に入ってきてなつく猫。
そういえば、映画の感想を書くのに、しばらく「痛快」という言葉を使うのを忘れていたなぁ。
これほどまでに最初から最後まで、勧善懲悪を貫き通す映画を最近観ただろうか。
気持ちいいほど勧善懲悪。
どこま>>続きを読む
女=満島ひかり。
3人の男=小市慢太郎、綾野剛、小林薫。
***
虫の6本の足
それぞれの足が
規則正しく並んでいる
障子に張り付いた
2本の触角が
ゆらゆら動いている
***
虫の6>>続きを読む
安田顕という俳優がこれほど格好いいとは。
特に一人芝居のシーンは鳥肌が立つほど。
花束というのは、クランクアップした役者に贈られるものだが、渡す相手はこれから大芝居にクランクインしようとしていた、>>続きを読む
本編鑑賞中に溜め込んだ、粘度の高い涙。
エンドロール「完」の後、溜めきれずに大粒になって溢れ落ちた。
赤い水筒に象徴される老作家の赤子への偏愛。
それは飼育的であり隷従的でもあり。
見てはいけな>>続きを読む
またもやジェシー・アイゼンバーグ。
大好きです。
これは愛すべきB級映画(褒め言葉)。
荒唐無稽なストーリーではあるけれど、そんなことが全然気にならないジェシー・アイゼンバーグの魅力って、いったい何>>続きを読む
写真という厄介なもの。
記憶と記録。
望郷と忘却。
「人生で大切なのは
何を手にいれるのかじゃなく
何を捨てるかなんだ」
生きることは、その瞬間の一つ一つを写真に収めることでもある。
故人が>>続きを読む
ジェシー・アイゼンバーグの一人二役が素晴らしい。
目の周りに漂う緊張感や姿勢、佇まいの違い…。
容姿が同じ、衣裳もほとんど同じなのに、そこにハッキリと別の人間がいる。
音楽にしろ、照明にしろ、とにか>>続きを読む
「どこまでも平凡、どこまでも日常」の中、大きな起伏もないまま物語が展開していく。
説教臭さもなく青臭さもなく、どこまでも石井裕也ワールドは続いていく。
そして、登場人物が皆、羨ましいほど幸せな生き>>続きを読む
副題をつけるなら「菅田将暉取扱説明書」。菅田将暉の前後半の演技の振り幅は一見の価値あり。
映画で重要な意味を持つ「白」。
この映画のタイトルからこの色を引き算すれば、残るのはスタンダールの名作である>>続きを読む
堤真一がますます好きになった作品。
山田孝之の抑えた演技。吹越満&遠藤憲一&皆川猿時トリオ。寺島進、織本順吉、佐々木すみ江。
役者の使い方がとにかく贅沢すぎるのだが、水中を泳ぐ犬たちの可愛らしさには誰>>続きを読む
この映画は藤田嗣治を素材にした小栗作品である。たまたま素材が藤田だっただけである。それだけである。
小栗製作所謹製の額縁に、オダギリジョーが藤田とそっくりな格好をしてフレーム入りしている。隅から隅ま>>続きを読む
終盤に答え合わせを持ってくるところ。
客を舐めているとしか思えない。
「THE MOVIE?」そもそもこれは映画なのか?
電気グルーヴと同じ時代を生きてきたであろう観客のほとんどと同じ空間を共有することができたことは、紛れもなく確かに幸せな時間だったけれど。
映画とは>>続きを読む
役所広司、小栗旬、高良健吾。そして主題歌の星野源という化学反応に泣けた。
映画監督の椅子とは。
とりあえず、小栗旬の最高傑作であることは間違いない。
香川照之の演技がクドくない。オダギリジョーは文句なく格好いい。疎遠になってしまった兄弟をつなぐものは、幼少期の思い出しかない。兄弟という肉親関係には、他人以上に厚い壁が存在する。
これは完全にプロの仕事。映画だからできる表現であり映画でなくてはできない表現。実写化なんていう甘いモノではない。映画館で声をあげて泣きそうになったのは何年ぶりだろう。大根監督もプロ。役者陣もプロ。いい>>続きを読む
湿度が高い映画である。冒頭の「草履」のくだりについては、ズルいと思いながらもまんまと映画に引き込まれてしまう。
足の裏にへばり付いたものは一体何だったのか。
人間が生きるということは、足跡をつける>>続きを読む
もう本当にくだらないんだけど。山田孝之と栗山千明、濱田岳。見てて飽きない。好きだな、こういうの。万人にはオススメしないけど。
ビルマーレイ演じる不良ジジイがめちゃくちゃカッコいい。
そして相棒役の子役の演技も嫌味がなくこれまたカッコいい。
この映画。
台詞がいちいちカッコいい。
名言調でなく自然に口から出ている感じがいい。>>続きを読む
この映画。
入口は茶室の躙口のように小さいが、出口の数は天文学的。
人間の想像の無限を感じる。今日もまた駄文をつらつらと更新。
(9月22日)
5月27日の封切りから早4ヶ月。
これほど何度も劇場>>続きを読む
原作の東野圭吾の色味を本木雅弘と綾野剛が見事に体現していた。
…ように思う。
基本、「考えさせられた」とか「問題提起」という感想が出るような映画は好きではない。社会情勢に合わせて「今こそ観るべき」>>続きを読む
李監督30歳くらいの作品か。「30歳前後に多くの人が陥る闇の時代」がよく表れていると思う。とにかく全編を通して死臭のする映画。
すべてをゼロにしたい強い欲求。ゼロになれば自分が救われ新しい何かが生まれ>>続きを読む
田口トモロヲ監督の某所でのコメント。どのキャラクターが好きというのはなく登場人物すべてを愛したとのこと。ゆえに、登場人物すべてが愛おしく描かれていた。また監督は、「誰もが通過する20代の人間の残酷さ>>続きを読む
題名の「悪人」。
映画の中で悪人が誰なのかを問いかけているのではないのだろう。悪人か善人かという人間の区別ではなく、誰の中にも巣食う悪の部分と善の部分を描き出したのだと思う。
妻夫木聡。影がある役な>>続きを読む
初日鑑賞。
悪者にもそうならざるを得なかったこれまでの半生と痛みがある。オダギリジョー演じる正木圭吾。「OUR FUTURE」のOURには正木も含む。故に赤文字。正木こそ自分の半生と未来を奪還したかっ>>続きを読む
冒頭。見覚えのあるスーパー、田園風景、橋、八幡宮、球場。
映画の舞台のロケ地に育った人間には、多くを語らずとも一瞬でわかるあの空気感。匂い。
都会への憧れ。消えた夢。
自分を守ってくれるものでもある>>続きを読む
冒頭のベンチと終盤の同じベンチ。男と女の出会い。たまたま隣り合わせたベンチ。そのベンチに同席することは男女が一緒に生きて行くことと極めてよく似ている。ひとりの悪い男に添い遂げること。映画の世界も実生活>>続きを読む
善と悪。美と醜。世に存在するものは二極ではない。キムギドク監督。この人の感性にはどれだけ多くのベクトルがあるのか。弓による遠隔操作。知らず知らずのうちの洗脳。観ている自分もぐしゃぐしゃに乱された。
悪とか犯罪とか。そういう価値観のすべてが根底から覆される。台詞のない映画。美しいものはすべての概念を凌駕するのだろうか。
生命体が肉塊に変わる瞬間。物言う口が物喰う口に変わる瞬間。
水槽に閉じ込められて飼われているメダカが自分の卵を食すように、人間も自由に息が吸えない水槽に閉じ込められた時、自分に似た分身を食すことがで>>続きを読む