川を渡るシーンや正面遠くから捉えたバスなど、随所で強度あるショットをおさえつつ、2人のキャラクターをしっかり描く佳作。スクリューボールってほど突飛でもなく感じた。洗練されたプロット。
真っ暗なモーテル>>続きを読む
クライマックスの宿の縁でのフレーム内フレームの連続が残酷。カメラが移動する中で再び現れる境界に分断される3人が痛ましい。
堀雄二を背に臥せった田中絹代の目の芝居にキャラクターの奥底の欲望を垣間見る。>>続きを読む
イザベル・アジャーニの落差はなはだしい初々しさと身をやつした姿に、強迫的な情念が通底していた。眼鏡をかけ始めるときのクロースアップに凄みを感じた。
少女漫画のような高速まばたきに笑った。この映画にこん>>続きを読む
どんなサスペンスなのか円滑に導入するハムの使い方に、なるほどそういう話かと思った。
地下室で、カーテンの裏側で、二重三重に生きるドヌーヴが辿り着く、ひとつの役を全うする喜び。奥まった客席から壇上に引き>>続きを読む
ともに移動する男女を切り取るショットにしばしば目を見張った。
橋の上の駆け出す瞬間のジャンヌ・モロー、4台で走る自転車のうちの1人が脇道へと退いていくロングショットなどなど。動体としての関係性を生きる>>続きを読む
変わらず慌ただしく走り回るレオーへの愛あるまなざし。
列車の個室内のコレットとのシーンに『北北西に進路を取れ』を思い出す。
ドワネルもの前4作以外の回想シーンは単独作品のワンシーンっぽいけど、そう見え>>続きを読む
ベッドから飛び起きて狭い屋内を駆け回ったのち、被さり気味にベルがなって教え子がやってくるなど、動きと編集の機敏さが楽しい。
歯磨き粉をめぐる向かい合う窓のやりとりをはじめ、散りばめられたナンセンスの中>>続きを読む
ミステリーの輪郭がユーモラスに上滑りしていく。
探偵活動の中でレオーの悪戯っぽいチャームが活きていた。靴屋の主人とスタッフとの会話を盗み聞きする表情が最高。
気送便というものを初めて知った。手紙の送ら>>続きを読む
向かい合うアパート同士の切り返し、レコードの製造過程、ニュース映画のスキーヤーの転倒と続くコレットの拒絶などが印象に残ってる。
食事に招かれるシーンでジョークを言うコレットがキュートだった。
凄味を漂わせ社会から逸脱していく田中絹代。電車内の縦の構図でひとり浮かび上がる。特にホームで車線を背によろめき、欄干越しに俯く真正面からのショットが白眉だった。
このアクションは病院で遠くに子連れの母>>続きを読む
2作目よりも断然編集が活きていた。チェイスシーンでの乗り換えの推移、食肉処理場での喧嘩など。オランウータンの野性味も捉えられていた。
かなりおおらかで牧歌的な語り口。川釣りのシークエンスの、開けた空間>>続きを読む
間違えて2作目を見てしまった。ショットの時間感覚がワンテンポ遅め。
クライマックスがかなり『静かなる男』だった。殴られて飛び、壁を突き抜けるシーンもあったが、やっぱり壁が崩れるのが遅く感じる。
イーストウッドの後頭部からのカメラが口から離された煙草を捉え、そのままアクション繋ぎでギターのネックに挟む流れがカッコいい。
ニワトリ泥棒のシークエンスの編集が生々しい。車の窓から数羽飛び出す最後の俯>>続きを読む
一瞬の西部劇的様相がすぐに無様さを晒す列車強盗や保安官との一騎討ち。だがその敗北する険しさの方が、ビリーとしてのおどけた身振りより明らかにイーストウッドに似つかわしい。
彼が不器用になり切るビリーの表>>続きを読む
冒頭の将校の真上を飛んでいく正面からのショットの、運動としても語り方としても直線的な感じに、のっけからいいもん見たなという気になった。
窓越しに見る弾き語りはもちろん感動的だが、過去シーンの走馬灯はそ>>続きを読む
照明がリッチだった。ど真ん中のブロックバスターの風格が漂う。
二人乗り中に完全にシルエットになる画面をはじめとするバイクシーンの決まりっぷりがまぶしい。トム・クルーズの姿勢の美しさ。
バイクと比べると>>続きを読む
計らいにまんざらでもない2人が愛しい。
ドアを開けた瞬間のマガリの顔とそっと閉める感じが最高。こういう思い切り笑わせにかかるシーンに世界への信頼を感じる。
終盤マガリとジェラルドが思わず一緒に笑ってし>>続きを読む
フェリシーがマクサンスに住所の間違いを語る長回しのシーン、抱かれながら過去へ思いを馳せるようなフェリシーが美しかった。
教会で無言のまま天啓を得た、それ以上の言葉を必要としない眼差しが凛としている。>>続きを読む
突然のモテ期に、好意をキープしつつ上手く立ち回るための時間的余裕を、稼いでくれそうな砂浜や坂道の空間的余裕。そこで男はひどく小さくさらけ出される。
逆光の中、一本の木を越えるガスパールとマルゴの近さ>>続きを読む
席に着くことに緊張が走る。そこでどう陣取るのか、相手に対する出方が滲み出ている。
ジャンヌとイゴールだけの部屋で聴くナターシャのピアノが、段々2人のための伴奏のごとく響いていく。あるいはピアノに誘われ>>続きを読む
停まった車が煌々としたヘッドライトの中軋んでバウンドする固定ショットに、新鮮な驚きを感じた。アガト・ルセルの表情の変化が機敏で、洗面所での顔面殴打シーンの鏡に映る破顔が良かった。
前半のアクションの撮>>続きを読む
よるべなくさまようデルフィーヌが遠ざかっていく。被写体とカメラとの距離が冷たく開く。そんな「なんだか惨め」な時間の中、一瞬の高揚を掬い取るように繋ぎ、カットが進む。
世界が素っ気ないからこそ、奇跡はに>>続きを読む
序盤の山道の対向車線から車が見えた瞬間の不穏なカット割り、砂浜での時間が歪んだような長回しの回想シーンが全編を通して突出して良かった。
四方からオーダーが入りそうな企画に、その2つを入れることができた>>続きを読む
香川京子が立つ二階部屋の正面からのロングショット、軽トラの荷台乗りのシーンなど、たむらまさきの撮影が光るところがいくつかあったものの、この時代特有のモラトリアム感を漂わせたまま、ぼやっとけぶっているよ>>続きを読む
ショットの時間操作に驚く。宮崎あおいと沢木哲の夜から昼への急な接近、蒼井優が呼び出された直後の宮崎あおいのキス、サチ子の行動が緊迫した編集に直結している。
高架道路を望む屋上での飛び移り、いきなり引き>>続きを読む
マリアのいる窓辺へとバルコニーづたいに登っていくシーン、カットが割られるたび強まっていく希求。総じてドラマのための編集と動線設計の贅沢さが横溢していた。
繰り返し生じるフレアが、常に光は届くとささやく>>続きを読む
大いなる法螺が始まる宣言としてのワンシークエンスショットから、もう既にクライマックスであることが漂う。
アダム・ドライバーの肉体の野蛮さがいい。舞台上で撃たれるパフォーマンス直後の観客席への切り返しで>>続きを読む
カラックスはイマジネーションの作家なのかと段々思えてきた。夜ごとの夢のような奇想の数々。その間の闇を縫って走るリムジンの、引き延ばされた異形が官能的で痛ましい。
『ボーイ・ミーツ・ガール』を経てカラーで見るドニ・ラヴァンが思いがけずあどけない。横移動ダッシュにイノセンスがみなぎる。ジュリエット・ビノシュもまだ幼く、ジャグリングや髭剃りのシーンの屈託のないふたり>>続きを読む
編集が暴力的に乾いていた。ざらりとした明暗の世界の隅々に巣食うように闇が広がる。途切れ途切れの黒のインサート、化粧直しで見る窓、ゲームマシン、血。
その中で異質に、醒めきったように存在するスタンドバー>>続きを読む
自己言及そのものが中心になりすぎていて終始辛かったものの、豪邸の夏の空気や安宿の場末感、後半のアジトのインダストリアルな美術といった、場所ごとの画面の変化は楽しめた。
途中で知り合う親子と行動を共にす>>続きを読む
カメラに収められる運動のテンションの高さが持続する。ドニ・ラヴァンだけでなく、ジュリエット・ビノシュもかなり動けて目を見張る。水上スキー、駅構内の追跡劇、花火をはじめとする派手なシークエンスの連続に、>>続きを読む
ひんやりとした翳りから木漏れ日が差す森が美しい。
グニエーヴルのいる上階へとランスロが入っていく、無防備に頭を差し出していくかのような繋ぎが恐ろしい。その空間を支配するグニエーヴルの眼差しに終始惹きつ>>続きを読む
『ニューヨーク1997』と比べると精彩に欠けた。取っ組み合いのシーンが長すぎたり、妙な視線の演技のせいなのかテンポがぎこちなかったり。劇伴のチープな大仰さが今回は裏目に出てると思う。
ゴミ収集車でのア>>続きを読む
切り倒される木のけたたましい音。耳を塞ぐシャルル、ゆっくり倒れていく木の繋ぎが、とりわけ鮮烈だった。
ベッド下の瓶、なだれ落ちる硬貨など、静けさの中で即物的に響く数々の音。その刺々しさ。必然として身振>>続きを読む
キャサリン・ヘプバーンとジェームズ・スチュワートの夜の庭のシークエンスがずっと良かった。最後に画面奥に向かって駆けていく2人。
キャサリン・ヘプバーンのパッと変わる表情の、シーンにとって過不足のないエ>>続きを読む