牛丼狂さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.0

韓国映画はあまり見たことがなかったけれど、国外というよりは邦画を見ている感覚に近く鑑賞できた。
韓国の格差社会を生々しくエンタメチックに描ききれている。主人公一家が上流階級の講師や運転手、家政婦にそろ
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恋する惑星(1994年製作の映画)

2.0

ウォン・カーウァイ監督の作品は初観賞。二部構成でそれぞれ男女のロマンチックを描く。
あまりにも夢物語であり、美しさを誇張しているようで性に合わなかった。登場人物たちのロマンティシズムを全肯定するような
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.5

ハンガリーのとある村。限界集落だろうか。極寒、雨が降り土は泥濘む。貧困。なににも希望を見出せない人々にゆっくりと流れる時間。
あまりにも時間を持て余しているときに見るべき作品。せっかちでいると、ひとつ
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.0

数年前に鑑賞したときはあまり好きではなかったが、今回は大変面白く感じた。
アメリカンニューシネマの代表作。1970年代のアメリカの若者たちの自由を求めるさま、退廃的なさま、ヒッピー文化、そしてそれらを
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大脱走(1963年製作の映画)

3.5

第二次世界大戦下のドイツの捕虜収容所からの脱走劇。なにがあってもへこたれずに明るく反抗し続けるアメリカ兵のマックイーンなど個性豊かなキャラクターたちが大脱走を試みる。エンタメ色の強い大作。あとは有名な>>続きを読む

飼育の部屋 終のすみか(2003年製作の映画)

2.5

ピンク映画というくくりなのだろうか。一定数の濡れ場シーンを設けることで興行的に成立するというもの。監督たちはそういった規制のなかで自由に創作する。低予算ゆえに工夫した演出が散見される。
内容としては駅
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スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼(2020年製作の映画)

1.0

中田秀夫監督というと『リング』『仄暗い水の底から』とジャパニーズホラーの巨匠というイメージであったが、近年の監督作品を見るにどうしたのだろうと疑いの目があった。今作を見てその疑いは確信に変わった。
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さよならテレビ(2019年製作の映画)

2.0

ずっと楽しみにしていてまんをじして鑑賞。簡潔にいうと想像以下ではあった。
東海テレビ局内にカメラを向けるが企画そのものがあやふやであり、やや居心地が悪くなりながらも撮影開始。
そんな状態で局員に非難さ
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武蔵野夫人(1951年製作の映画)

2.5

戦後日本のとある夫婦を描く。武蔵野という土地を守り抜くという使命と、夫の不倫、魅力的な若い男の子との恋心とのはざまで葛藤する。
ドラマチックな脚本で時代設定は戦後だから見やすい。道徳を重んじるというか
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山椒大夫(1954年製作の映画)

2.5

平安時代末期のとある一家の話。将軍の父が左遷され、母とは人身売買で引き裂かれ、長女と長男はもはや奴隷として労働をする。厳しい監視下から長女を犠牲に長男は逃亡、死を覚悟で関白に訴えると過去の父の功績を買>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

3.5

家族とは、なにをもって家族というのか。
あまりにも貧困な家庭と思われし共同体は万引きを繰り返す。しかし決して絵に描いたような悪人ではない。家庭環境の劣悪な子どもを拾って世話をする。それは優しさからなの
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.0

中盤からは、現在の手紙のやり取りを回想しながら描くという『Love Letter』の構成でテンポが加速していく。気持ちがいい。
自分の娘と過去の自分を広瀬すず、森七菜がダブルキャストで演じる。これもま
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i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

3.0

森達也監督作品としてはやや物足りなさがある。具体的な問題から抽象的な、あらゆることに通ずる命題を語るというやり口が存分には出ておらず、そういうのはラストシーンだけかと思われる。しかもそれは編集により無>>続きを読む

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.0

なにか決定的な事件を描くことよりも、その世界の時間や空気を切り取るように進行していく。だから構図にしても、普通ではそこからは撮らないような角度やサイズ感で撮られる。映画に慣れていない人だと鑑賞のスタン>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

2.5

ようするに彼女がレイプされて復讐するだけの話ではあるが、そこに果てしないパッションとカタルシスがある。個人的に叫んでばっかの主人公2人にリアリティを感じず置いていかれてしまった。
蒼井優の圧倒的女感を
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ぼけますから、よろしくお願いします。(2018年製作の映画)

3.0

テレビディレクターがみずからの家族にカメラを回したホームビデオよりのドキュメンタリー。
ナレーションは最低限であり映像できちんと見せている。十分すぎるほど素材が揃っておりつねにカメラを回していたさまが
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暁の7人(1975年製作の映画)

4.0

久々に素晴らしい戦争映画を鑑賞した。
1942年ナチスが猛威をふるっていた時代、連合軍によるチェコでの親衛隊大将暗殺作戦の一部始終を実録した戦争映画。
重要な作戦のわりに登場人物たちの武力が低い気がす
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青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(2019年製作の映画)

1.0

原作ファンやアニメファンに向けたサービス映画。
アニメという短尺でのストーリーに慣れて脳死している観客たちにはダレ場がかなり必要となるので、こてこての伏線を張りながらテンポ悪く進行する。そしていちばん
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片腕マシンガール(2007年製作の映画)

3.0

平野監督の弟子の井口監督作品を見たく、またB級スプラッターも見たく鑑賞。
血しぶきや美術のクオリティはなかなかである。演技はまったく大袈裟なものであり、キメキメの台詞とマッチしている。
総じてスカッと
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ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

1.5

原作なしの自主制作映画のノリかと思わせるが、上映館全国74館から始まる電通監督による政治案件。
色合いや構図はいまどきのCM、MVらしく視覚的インパクトはある。これが映画においてもニューウェーブなのだ
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愛の街角2丁目3番地(1986年製作の映画)

3.5

AVが映し出す世界は、カメラがあることを前提とした、カメラがなければ起こり得ない世界である。しかしそれは劇映画でも同じことであり、この映画ではそれが顕著に現れている。カメラがなければ彼らは暴れ回らない>>続きを読む

人間らっこ対かっぱ(1985年製作の映画)

3.5

アウトブレイクにてフィルム上映。
ダンボールで作った安っぽい衣装を着た人外生命体が明確な理由もなく戦う。カメラマン(平野監督)自身も参戦するかのように、カメラを被写体に押し付けたり発狂するなどする。ラ
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世界でいちばん悲しいオーディション(2018年製作の映画)

3.5

オーディション自体が興味をそそるものでドキュメンタリー作品としての出来栄えは正直もっと期待してしまっていた。ハマジムとワックの相性は良いだろうし理解があるからジュンジュンと同じ目線で撮れるのはわかるが>>続きを読む

生きる(1952年製作の映画)

3.0

やはり大衆向けでエンターテイメント作品である。生きるというのはどういうことかという普遍的なテーマを主人公を正解者として描く。周囲の人間を立ちはだかる壁として、そのサクセスストーリーを後半は回想形式で気>>続きを読む

雷魚(1989年製作の映画)

4.0

オリジナルフィルムでの上映。
南野陽子を流しながらフィルムカメラでゆらゆらと揺れるだけでこれだけ画になる、映画になるというのが信じられない。自転車三部作に通ずるカメラの切り返しが散見される。理屈なんて
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ヤング・ゼネレーション(1979年製作の映画)

3.5

イタリアかぶれのアメリカ青年がチャリレースする。どストレートな青春映画。
このレースに負けたら死ぬかのようにがむしゃらに漕ぎ続けるさまがきちんと描き切れている。ときにはアップショット、ときには長回しで
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グリンチ(2018年製作の映画)

1.5

幼少期より友達がいない万年孤独のグリンチという全身緑色の人間みたいな動物が、クリスマスの街が楽しそうなことに嫉妬して奪ってしまう物語。
あまりにも薄っぺらくて子ども向けというかベビー向けである。それに
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フィフス・エレメント(1997年製作の映画)

3.5

地球を滅ぼす悪(もちろんこちらにも正義がある)と戦って、フィフスエレメントというミラクルパワーで地球を救う物語。
ギャグ要素が多く軽い気持ちで見ることもできる。愛こそが世界を救うものだといういたってシ
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(2018年製作の映画)

1.0

銃を拾った大学生男子が、所持していることにより余裕を持ったり使いたくなったりする物語。
脚本として何が面白いのかわからないが、それ以上に監督のやる気のなさが節々に見えて絶望的に楽しめなかった。主人公の
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ニキータ(1990年製作の映画)

3.5

警官を殺害してしまった少女が政府の秘密機関で暗殺者として育てられ、訓練を終えて街で生活するようになり愛すべき男と出逢えてもなお暗殺の仕事をしなければならず葛藤する。
主人公の無敵っぷり、破天荒ぶりが見
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ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)

2.0

それぞれの事情により図書館に閉じ込められた高校生5人の密室劇である。スクールカーストをきちんと描写した初の作品のようだ。
おそらく二度見れば脚本の精巧さに唸るのだろう。だがその気が起きるほどには登場人
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グラン・ブルー/オリジナル・バージョン(1988年製作の映画)

4.5

ディレクターズカット版は初鑑賞。急に見たくなってBDを購入した。
主人公がぶれることなく海やイルカへと没頭していくさまが見ていて心地よい。普通の人間であればここまで情熱を捧げる先は女性なのだが、そんな
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

3.5

原作は未読。冒頭からハイテンポで走り切る。歩くというよりは完全に走っている。一夜の出来事だが一年間だったり何百年だったりする。
映画的な必然だとかを無視して登場人物たちが暴れる。だが登場人物が生きてい
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