牛丼狂さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.5

何度も鑑賞している。姉である舞踏家の最上和子さんとの対談本『身体のリアル』を読んでから再鑑賞するとたいぶ変わった視点で見られた。
電脳化、義体化することでゴーストの所在に苦しむわけだが、つまるところ身
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溺れるナイフ(2016年製作の映画)

3.0

演出についてたくさん書きたいことがあるのだけど、いまの私には純粋に少女漫画原作のストーリーが心に刺さった。
たしかに小松菜奈はメンヘラといえばそれまでだが、素直とも言い換えられるのではないかと思う。現
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ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

3.0

三時間版は見たことあるけど、このバージョンははじめて。以前モリコーネの音楽をたくさん聴いていたので、内容もしかりだが懐かしい気持ちになれた。
映写室が居場所となった幼少期の主人公と、歳の離れた友達であ
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監督失格(2011年製作の映画)

4.5

二度目の鑑賞。一度目の鑑賞時は編集とくにテロップの過剰演出に不満があった。いまは自転車三部作と著書を購入する平野勝之信者なので依怙贔屓しているということ前提で書き進める。
平野監督のこの作品を作りたく
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FAKE(2016年製作の映画)

4.5

二度目の鑑賞。この作品を機に森達也の著書を読んで平野勝之や松江哲明を知れたのだと思うと感慨深い。てなわけで一度目のレビューはドキュメンタリーに対しての知見がまったくないど素人の駄文に過ぎなかったと反省>>続きを読む

バリー・リンドン(1975年製作の映画)

5.0

不動のマイベスト映画。その時々によって求める映画は変わりゆくものだろうが、この映画だけはこの先も変わらず定期的に鑑賞したくなるのだと思う。
私は映画を分析的に、揚げ足をとりながら見ることが多いが、ここ
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ハロウィン(1978年製作の映画)

3.5

理屈とか抜きにしてとりあえずこういうもんなんだという説得力がある。ここまでヤバイやつの猟奇性にひとりの保安官のみしか気づかないことや、何度殺されかけても復活すること、登場人物たちがバカすぎることなど自>>続きを読む

MATSUMOTO TRIBE(2016年製作の映画)

4.5

ラストシーンでは登場人物に感情移入して胸が痛くなった。ここまで作品に入り込んだ映画体験ははじめてかもしれない。
序盤は茶番劇のようなものがぐだぐだと続く。カメラを向け合う登場人物の会話の切り返しなど妥
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地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)

1.5

いままで徹底的に避けてきた園子温。『みんな!エスパーだよ!』のいきおいは好きだが、映画となると時間的に苦痛となった。
とくにだめだった要因のひとつはクイックズームだと思う。大嫌いなカメラワークのひとつ
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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

3.0

タランティーノがいちばん好きな映画として名前を挙げている。メインキャスト3名をそれぞれキャッチーな人物設定にするなど、ドル箱三部作のなかではもっともエンタメ色が強い。またカメラワーク含む細かい演出力が>>続きを読む

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

2.5

『荒野の用心棒』の続編だが、内容に繋がりはないのでこれ単体でも問題なく見られる。最強ガンマンのイーストウッドと、それにならぶガンマンが、賞金稼ぎのためにタッグを組んで敵を蹴散らすというだけの話。
前作
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セロ彈きのゴーシュ(1982年製作の映画)

1.5

※移行し忘れていたもので、ずいぶんと前に書いたレビューです。

動物たちを交えて主人公のセロが上達する様が描かれている。

面白味をまるで感じず、なにを伝えたい作品なのかも分からなかった。
作中では聞
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荒野の用心棒(1964年製作の映画)

2.0

黒澤明『用心棒』と比較すると、台詞や音楽、カットバックなどのすばやいテンポにより内容がわかりやすくなっている。
母親とはなればなれになった家族を冒頭に描くことで、それが前半の物語の推進力となる。たしか
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.0

社会的に受け入れられない恋愛をしてしまった男ふたりの話。社会はもちろん家庭や仕事がカセとなり、ふたりは人里離れた場所で、数ヶ月に何日かの短い時間しか過ごせなくなる。
父親として娘への愛情を抱きながらも
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デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)

4.0

70mm上映で鑑賞。
黒澤明監督作品というと役者のダイナミズムをすばやいカットやアップショットで描くイメージだが、今作では徹底して自然風景中心に固定ロングショット、またはそこから演技に合わせてドリーし
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聖なるもの(2017年製作の映画)

4.0

前作『花に嵐』同様、早稲田大学映画研究会の都市伝説が舞台となるし、フェイクドキュメンタリーという点からも似ているように思われるが、制作方法はまったく異なるのではないかと思う。
おそらくだが脚本を緻密に
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ぱん。(2017年製作の映画)

1.5

リアリティに欠けたいわゆる漫画的キャラクターのスラップスティックコメディと、手持ちカメラやすばやいカットバック、クイックズームなどもちいてテンポで押し切ったギャグ短編映画。
設定はムチャクチャで、とく
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パラノーマル・アクティビティ(2007年製作の映画)

1.0

この作品をみてPOVだフェイクドキュメンタリーだというのがはばかれる。これらの言葉は、製作年2007年の段階でさえ当作品をみて新たな知見は得られないほどに、すでに既成作品により規定されている。新たな価>>続きを読む

ノロイ(2005年製作の映画)

2.0

数年前からジャケット写真は知ってはいたが自分には縁のない作品だと思っていた。そして数ヶ月前から見るべき作品だと知ってからもホラーがニガテなので後回しにしていたが、まんをじして。
いわゆるお化け屋敷的な
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メメント(2000年製作の映画)

2.5

時間軸を逆行するように進行するのは斬新だ。結末への道筋が徐々に見えてくるさまにはミステリーの醍醐味が詰まっている。
ラストは衝撃的ではある。主人公目線に立っていた身としてはヤラレタ感を強く感じることが
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ウォールフラワー(2012年製作の映画)

1.5

主軸がぶれぶれの作品に思われた。主人公がトラウマを克服する物語なのだとしたら、そこだけに焦点を当てるへきだ。友達がいないとか、小説家を目指しているという要素は必要なのだろうか。
そのトラウマにしても終
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ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)

1.5

冒頭から事実やら時間軸やらを否定していたので、近未来の寿命間近の現実と思われるシーンをも否定しなければ辻褄が合わないだろうと逆算しながら見てしまった。どんな選択をしても感動がある、という人生そのものを>>続きを読む

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

3.5

ひとことでいうと、群像劇とも見ることのできる、家族の崩壊と個人の再生を描いた、人間の美徳のようなものにまつわる物語である。そこには哲学的なものが主題にあり共感できるかどうかが評価の分かれ目となるだろう>>続きを読む

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

4.0

ひとことでまとめると、チェーンソーを持った大男に追いかけ回される/大男が追いかけ回す、というだけだ。
現実離れしたキャラクターたちを必然であるかのようにあっさりと描くことで、映画内における秩序が崩壊す
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5つ数えれば君の夢(2014年製作の映画)

1.5

東京学生映画祭で山戸結希さんが登壇して作品批評みたいなのを話していたのを見たことがあって、ずいぶんクセのある人だと思っていた。では当人はどんなものを作るのかと気になっていたのだが、案の定、へんな作品で>>続きを読む

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(2017年製作の映画)

1.0

実写版45分を過剰説明かつSF的要素(決してSFではない)を詰め込んで90分に引き伸ばした、アニメーションの利点をまったく活かせてない駄作である。
私は実写とアニメをそこまで区別してないが、こういう演
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青春100キロ(2016年製作の映画)

3.0

やはり平野勝之は人間的におもしろいと思う。「あいちゃんにどんどん近づいてて、しかも中に入ることができるんだぞ」「あいちゃんのおまんこは何度なんだろう」これは決して頓珍漢で笑える言葉ではなく、100キロ>>続きを読む

童貞。をプロデュース(2007年製作の映画)

4.0

松江さんがみずから動き出して物語を進めるのはもちろん、被写体じしんをも便乗して共犯関係を結んでいるように見える。
AV強要シーンはけっして無責任に笑えるものではなく大丈夫なのかと不安になる。カンパニー
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アダム・チャップリン(2011年製作の映画)

2.0

敵に負ける気が微塵もない最強キャラを配置してすべてのシーンで不必要に流血させ、馬鹿力アクションで百裂拳までをも食らわしては細かいことを考えさせる気すら失せる。
だが復讐劇ならばやはり動機には納得できる
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making of LOVE(2010年製作の映画)

1.5

フェイクドキュメンタリーとして見ていたからか、しばしばカメラの存在が劇映画的になることに困惑した。もはやそれらを混在させて垣根がなくなるようにしたいのなら、整合性をもってカメラそのものを規定してほしい>>続きを読む

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

3.0

リオデジャネイロのスラム街を舞台とした群像劇とでもいおうか。日本でいう義務教育を受けている年齢の子どもたちが銃やドラッグに夢中になる。人を殺すことを躊躇わなくなった子どもたちはいつしか立派なギャングと>>続きを読む

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)

3.5

シーン数が少なくワンショットが長い。音楽含めゆったりと進行する。とくに刑務所では牢獄シーンしかなく、フェードアウトなどを利用して時間経過を示している。かなり強引だが、それもあいまって3人の過ごした時間>>続きを読む

ドラえもん のび太とブリキの迷宮(1993年製作の映画)

1.5

ドラえもんに慣れ親しんでいる人からすれば、全体的に暗いところや終盤までドラえもんなしでストーリー展開する構成に意外性があり楽しめるのだろう。
人間が便利を追求した先のディストピアじたいには興味があるが
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フォー・ルームス(1995年製作の映画)

3.0

オムニバス作品。監督への偏見をなくしたとしても、ロドリゲスとタランティーノが抜きん出ている。
一作目は魔女のひとりが儀式に必要なザーメンを飲んでしまったのでベルボーイを誘惑するというもの。オチ含めてお
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その昔ここらへんは東京と呼ばれていたらしい(2015年製作の映画)

1.5

一眼レフカメラで撮影した映像とテロップと前野健太の音楽がこの作品のすべてである。内容という内容がすべてテロップで説明されるので、もはや映像をたんなる表現の手段として完全に割り切っているというか、時間軸>>続きを読む

あんにょんキムチ(1999年製作の映画)

3.0

ずっと見たかった松江哲明の日本映画学校の卒業制作作品。韓国人でありながらも(そもそもなにをもって韓国人というのか)日本人になりきろうとした祖父のルーツを追うのを軸として、現在の家族および自分のアイデン>>続きを読む