高井戸三郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

香も高きケンタッキー(1925年製作の映画)

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柵を乗り越える。

馬の話だとは思ってなかったので、思いがけず嬉しい。

ギリシャ劇のコロスのような背景の人々。

交差点は2シーンともすごくいい。

さかなのこ(2022年製作の映画)

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沖田修一に青春を撮らせたら間違いないのではないか。

はたしてさかなクンに演技指導は行われたのか?
これは、本作における想像力の核心に関わるという意味で、最大の疑問である。

ミー坊が上京したあと、母
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

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冒頭、フランス的としか言いようのない赤を地にしたタイトルロール→キタノブルーを思わせる蒼い宵のなかセーヌ河畔を歩くフェリックスを横から捉えたトラベリングショット→素晴らしい赤いタイトル→電球色の夜のな>>続きを読む

蒸気船ウィリー(1928年製作の映画)

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過剰な細部と野蛮に満ちた7分間

大空の闘士(1933年製作の映画)

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なんかいい奴っぽく終わってるけど、お前は夫が死んだその当日に未亡人を奪って逃げた寝取り野郎なのだぞ、わかってるのか、デューク?

リバティ・バランスを射った男(1962年製作の映画)

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ここまで観てきた四作(1918〜1934)と比べると、細部の過剰さは後景し、その趣き深さが際立つように、それに伴い、物語は端正さを増しているように思われる。

言いかえれば、わたしはこれまでの四作にフ
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砂に埋れて(1918年製作の映画)

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ビル、いいやつすぎる。
最後、親友とその恋人のために、彼が歌う声が聞こえてきた。
トーキーなんてフォードには、いらなかったのだ。

プリースト判事(1934年製作の映画)

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すべての過剰な細部が、圧倒的多幸感に満ちた結末に向けて動員されている。

今日みた三作、いずれもヒロインの登場は息をのむ美しさを感じたけど、本作は息が止まるかと思った。

血涙の志士(1928年製作の映画)

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アイビールックすなあ

市民ホーガン、偉そうにしてるけどお前ほとんど何もしてないだろ笑

戦争と母性(1933年製作の映画)

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奇妙に曲がりくねり、入り組んだ、過剰とも思える細部を写しながら物語は進む。
その細部をこそ、見据えなくてはならないのだろう。

石を投げ入れられて揺れる水面が平滑を取り戻すと、美しい少女の像がそこに写
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女神の継承(2021年製作の映画)

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怖すぎでしょ、泣いたわ

けれど、モキュメンタリーの形式を採用した点と、ラストショットから、この話を撮ることへの照れのようなものが感じられた。

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

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何もないということを、これほどの確信をもって語ることが、映画は可能なのだ。
奇跡と言うのならば、この事実をそう呼びたい。

それ以上は本作に対して贅言だと自戒する。

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

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洗車後の車がゆっくりと前進してくるのを正面から捉えたショットが素晴らしい。

ソヨンとスジンで繰り返される、室内から、窓の外の降雨に手を差し伸べるショット
幾度か現れる暗がりに沈んで(ほとんど)シルエ
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

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音符バトルあたりからテンション上がってきた感じ

燃えよ剣(2021年製作の映画)

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念頭において製作されたのかは知らないが、結果として、2時間半という上映時間に本作の腰の定まらなさが露呈していると思える。

幕末というある時代を描くにあたって、土方歳三を核にした人物記として語るか、新
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オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

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我々はドレフュスがスパイでなかったことを知っているので、ピカールとドレフュスではオフィサー×オフィサーになり、かつ、画面に現れる人物の大半がオフィサーであり、スパイはどこにいるのかといえば、二度ほど画>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

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室町期の能楽と琵琶法師の座から、徒花のように咲いた二人組がいたとしたら、という話なのだけれど、直前に見たのが『トップガン マーヴェリック』だったせいか、スクリーンには写っていないエレキギターが響きつづ>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

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2010年代がMCUに代表されるリブート=語りなおしの時代だったとして、20年代は続編=語り継ぎの時代になるのだろうか?

リブートとして始まったヱヴァンゲリヲンが、ついに(旧劇も含めた)続編へと変貌
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

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『幼年期の終わり』オーバーロード、『魔法少女まどか☆マギカ』インキュベーター、つまり、マレビト。

現実に右クリックをかけるのがつまり「空想」なのであれば、制作陣がかつて触れた「空想」を再現するため、
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ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

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一夜が明け、大学に向かう車のフロントウィンドウに映る空と高架といい、支配するように高梨にのしかかるでんでんといい、腰掛ける奥野の横のテレビに映る高梨といい、写される半透明なガラスがいちいち大好き。>>続きを読む

鋼の錬金術師(2017年製作の映画)

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腋毛は剃っておくべきだった。

トップガン(1986年製作の映画)

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見終わると、汗臭そうな肌を汗でギラつかせたマッチョたちが、白いブリーフと歯とにやけヅラを見せながら、意地を張り合い女を追いかけ飛行機を飛ばしているだけの映画だとしか思い出せないので、私が嫌悪する類の映>>続きを読む

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

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版が組まれ、輪転機がまわり、刷り上がりが束ねられ、トラックに積み込まれ、販売所に収められるまでの一連の高揚感

輪転機が回る振動で、記事が載ったことを確認する記者の、安堵と誇らしさの混ざった表情

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劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲(1998年製作の映画)

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おそらく、かなり歪な、といっては悪いが、少なくとも均衡が崩れた想像力が本作を成り立たせている。

本作を、大人も楽しめる子ども向け作品、と評する声が多いのは知っていたが、それは厳密にいえば違っていて、
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名探偵コナン ハロウィンの花嫁(2022年製作の映画)

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劇中で、セルフパロディの態で指摘されてもいるように、時間が伸縮しているのでなければ成立しない物語が写されている。

曖昧なのは時間だけでなく、そもそも主人公たちが住む杯戸市米花町と、渋谷区・桜田門の関
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魔女の宅急便(2014年製作の映画)

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谷あいの傾斜に張り付くように家々が立ち並ぶ村に雪が降りしきるショットから始まるので、開閉機能がなさそうな天井の吹抜けや、ガラスが嵌め込まれていない壁の風穴など、キキの生家の風通しの良さに不安になる。>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

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見知らぬ土地の、見慣れぬ風貌で聞き慣れぬ言語を話す人びとが、私たちと同じ問題を抱え、苦難を迎えている様を見ること。

シラーズという街を私は知らないが、王の名がついた遺跡から、とても古い、それこそ人類
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アネット(2021年製作の映画)

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記憶のかぎりでは、何の脈絡もなくゼペットさんとモンストロの腹のなかで再会するので、ピノキオを見ていた私は幼心に混乱したものだが、のちに、あれは自分を人形だと思い込んでいる少年の話だと考えるようになった>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

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終わってほしくないという熱狂はないが、ただひたすらに流れつづけるショットたちを心地よく眺める。
それを可能にするショットの数々。

鳴ってないはずの音が聞こえ、誰もいないはずなのに何かが車を揺らす。
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

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本作、というより本シリーズについて考えるときに、物語と映像の両面で魔法生物Magical creaturesが大切であるのは明白で、それというのも本シリーズを見る観客がまず心惹かれるのは、おそらく、エ>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

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バットマンというより、「マスクをかぶってバットマンを名乗っているブルース・ウェイン」を描きたかったのだな、と思われる。

そのことは、冒頭の登場シーンで明瞭に示されており、これまではいつのまにか暗がり
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アンネ・フランクと旅する日記(2021年製作の映画)

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かつて押尾守は「すべての映画はアニメになる」と予言してみせたが、『戦場でワルツを』、『コングレス未来会議』で、すべてがアニメーションになる=カメラの前に何もなくても構わないことを実践してみせたアリ・フ>>続きを読む

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

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現実と、その被膜としての虚構の捻れが多くあったと思う。
BL本、たとえばそれがファンタジーとして名指されているのだけれど、その1ページを写してゲイである今井が声を当てる、というのはなかなかに捻れた事態
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

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顔の映画。
とにかくアメリカ(にいる)人たちの顔がドアップで写され続ける。
あと、仰角のカメラが多かった印象。
2日間の物語、短いことに驚いた。

アニータを襲ったあと、バレンティーナに叱り飛ばされて
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

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カラーとモノクロの実写、アニメーション、(おそらく)ミニチュア、写真、イラストレーション…そして、そもそもが、虚構の雑誌の映像化、という、屋上屋に屋上屋を重ねる、とでもいいたくなる描写レベルの複雑な混>>続きを読む

ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

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2022年、92歳のイーストウッドが軽やかに自身のスタンスを改め、帰るべき場所を異郷に見出だす物語を語ったのに対して、2019年、73歳のスタローンは故郷に帰りついてもその場所を喪い、死ぬまで何も変え>>続きを読む