高井戸三郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

1.0

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幼稚な思想、美意識の欠片も感じられない画面構成、お手軽で知性の片鱗も感じられない筋運び、虚大で上滑りな音楽。
つまり、151分かけて行われる、上から目線のお説教。

みんな欲望を捨てて「そのままで美し
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魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

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本作については実に書きあぐねたのだが、年内に片付けねばならないだろう。

ここに、これからどんどん長くなるであろうリストから抜粋されたごく短いメモがあり、そこには、「カメラを導く白い羽、NYの摩天楼、
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

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その時代なりの、悲喜こもごもつまったひとびとの生活に思いを馳せないことには、歴史なんてものは紙かフィルムのシミでしかない、とノートには記されている。

2/9と2/15の2回、劇場に見に行っている。
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

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とても寒い日に凍えながら、急いで道を歩いて息を弾ませて映画館に飛び込んで、暖かで平和な映画館の暗がりのなか、座席に身を沈めたらつい眠気に誘われてしまって…、と書くとこれはもう言い訳なのだが、言い訳つい>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

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2月8日に劇場で本作を見ているのだが、当日のぼくのノートにはひとこと、「底意地が悪い」と記されている。
10ヶ月ぶりに見直して改めて思うのだが、やはり底意地が悪い。
「底意地が悪い」のが誰か、といえば
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ばるぼら(2019年製作の映画)

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ただただ凡庸。

空に住む(2020年製作の映画)

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多部未華子を除く何もかもが薄っぺらく胡散臭く疑わしいのだが、それはおそらく、本作が様々なものをバカにして作られているからなのだろう。

初仕事(2020年製作の映画)

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フルサイズで人物を撮る。
顔でなく、曲げられた背中、テーブルに置かれた手、背もたれにかけられた肘、背けられた首が、つまり佇まいが、物語っている。

端正な切り返しの連続。
こころが解れていく食事とその
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異端の鳥(2019年製作の映画)

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はぐれものが、はぐれものの住処を転々と渡り歩きながら家路をたどる話だが、ウンザリさせられるような人類の動物性を描いたエピソードが、美しいモノクロの映像で映しとられた東欧の風景のなかで、3時間かけて紡が>>続きを読む

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

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持ち重りのしそうな手触りをともなった造形の人物たちが立ち替わり画面に現れ、ほとんどブツ切りのエピソードが淡々と紡がれていく。
そしてそれらをなぞり返す一人芝居。

正直に言うと、この作品に対して理解が
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スパイの妻(2020年製作の映画)

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いくつかの遮るもの=screen。
マスク、光る窓、翻る白いカーテン、白いスクリーンと映写されるフィルム、海面の白い靄と高橋一生の微笑み。

生きちゃった(2020年製作の映画)

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「「至上の愛」をテーマに映画製作の「原点回帰」を探求するというコンセプト」のもとで本作は製作されたとのことだが、それはつまり、風景の-なかにいる人物を-カメラで撮ること、が映画製作の原点である、という>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

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完全に打ちのめされている。
ことばが出てこない。

2020年はこの映画を見ることができた。それだけで今年は良い年だったような気がしてくる。
いや、間違いなく良い年なのだ。

渋谷慶一郎の音楽、冷徹で
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フェアウェル(2019年製作の映画)

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困惑と怒りと、なによりも疲弊に取り憑かれてこの文章を書いている。

100分の作品だが、スクリーンの前に座っているのが苦痛だった。
上映中、何度か真っ暗な映画館の天井を仰いでいた。その方が幾分か有意義
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

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本作は、残念ながらつまらない。
物語は平板で退屈だし、人物造形は薄っぺらく共感できない。映像としてもどこかで見たことがある凡庸なショットばかりだ。

ところで、冒頭に「残念ながら」と書いたが、いった
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雨月物語(1953年製作の映画)

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ひと目見るだけでどれほどの技巧を注ぎこみ、作り込まれた作品なのか分かる。

のだが、溝口が映画を撮っていた時代に、ぼくのような一介の映画好きが本作を繰り返し見ることは果たして可能だったのだろうか、とか
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

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湖という場所
夜の霧立ち込める湖→溝口?
湖の一連は、もうヤバい。エロすぎるし香り立ち込めすぎだし、下品一歩手前のサウンドが凄くいい。マジで女は謎。→2回目の「お兄さん、火を貸して」が良すぎるし、ザー
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彼女と彼女の猫 -Their standing points-(1999年製作の映画)

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「彼女と彼女の猫」は決して習作などではなく、新海誠というアニメーション作家について考えるにあたって、とりわけ重要な一本だ。

なぜ「彼女と彼女の猫」なのか。「ほしのこえ」でもなく、「君の名は。」でも「
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TENET テネット(2020年製作の映画)

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仮に映画を、職人技と芸術作品に分けるとして、本作は前者に分類されるだろう。

難解かどうかは措くとして、本作が観客を、一般的な意味で、楽しませるために作られていることは間違いないはずだ。
とはいえ、な
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ダウントン・アビー(2019年製作の映画)

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これが6シーズン続いたTVドラマの劇場版であるとはにわかには信じがたい。
もちろん全シーズンを見ているから見たのだが、それを考慮しても、非常に丁寧かつクレバーに、単体で通用するように作られた作品なのだ
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透明人間(2019年製作の映画)

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なにもないところにカメラをパンして向ける。そのままカットを変えてしまう。
透明人間が主人公を襲うことを観客があらかじめ知っているからこそ、このカメラワークが恐怖をもたらす。
つまり、本作が本当に恐怖を
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はちどり(2018年製作の映画)

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映画という形式で、何かを語るとはどういうことか。さらには、フィクションによって何を語るのか。
苦海浄土は、患者の本当の声を石牟礼が想像して語ることによって水俣病患者の現実を描いてみせた。
では、はちど
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追龍(2017年製作の映画)

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追龍-chasing the dragon-
巨大感情という概念が百合界隈にはあるらしい。
では、BLにも巨大感情という概念は適用されうるのか。

古典的BLとして桃園の誓いを見るのであれば、香港ノワ
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8日で死んだ怪獣の12日の物語(2020年製作の映画)

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映画的惨劇と呼ぶべき作品となってしまっている。
「コロナ禍下で撮りうる作品」というのが制作上のテーマだったのだろうが、そのテーマはつまり映画的想像力を社会的な正しさに従属させることに他ならない。その点
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Talking Head トーキング・ヘッド(1992年製作の映画)

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前衛演劇のような画面構成と演出はどちらかというと照れ隠しのようなもので、その点さえ了解しておけば、とても率直に映画とアニメに対して押井守が考えたことを延々と聞かされるということなのであって、押井守が考>>続きを読む

御法度(1999年製作の映画)

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やや突き放したような冷徹な目線があり、その目線を介することで、粘度が高く冷ややかな情念が浮かび上がってくる。

雑魚寝の汗臭さが感じられる大部屋とか、革の香りがしそうな崔洋一の口元とか、画面から匂い立
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

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丁寧に作られているのは確かだし、長回しに耐えるだけの演技もされている。
ヘミの部屋で、光を待ちながらオナニー始めてしまうとこや、ジョンスの家の前での一連のシーンも印象的だった。

のだけど、全体として
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