旅するランナーさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.4

【体重270kgの男が遺すもの】

LGBTや親子関係、そして宗教にまで言及する、胸に迫るような室内劇。
結局、神は誰も護ってくれないのか、
人と人の繋がりこそが、誰かを護るということなのか、
そんな
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パリタクシー(2022年製作の映画)

4.5

【A Sweet Story On This Bitter Earth】

終活に向かう92歳の老婦人マドレーヌ。
死活問題にあくせくするタクシー運転手シャルル。
ふたりが巡るパリの街。
老婦人が辿っ
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零落(2023年製作の映画)

4.3

【竹中直人監督舞台挨拶付上映】

浅野いにおの漫画を実写映画化。
7年続いた連載が打ち切られ、次作が書けず零落していく漫画家の凄絶な葛藤。
高慢な理想家なのか、最低の下衆野郎なのか。
斎藤工が渾身の演
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.6

【高みの見物】

あちこち旅しながら、ちょこちょこ走っている、旅するランナーでございます。
そして、旅先では、必ずその街の高いところにのぼる、高所興奮症です。
タワー、塔、教会の尖塔、高層ビル、山や神
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ピンク・クラウド(2021年製作の映画)

3.8

【ピンク・ノイズ】

世界が毒性を持つピンク色の雲に突如覆われる。
触れると10秒で死に至る。
そんな絶望的な環境下で、家の外に出られなくなった人々の姿を描くSFスリラー。
新型コロナウイルスの世界的
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メグレと若い女の死(2022年製作の映画)

3.6

【夢見屋の恋】

パトリス・ルコント監督が、「仕立て屋の恋」の原作者でもあるジョルジュ・シムノンのミステリー小説を映画化。
でっぷり太ったメグレ警視をジェラール・ドパルデューが演じてます。
役にぴった
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.6

【ゾンビがジェントルマンになるとき】

黒澤明監督作品「生きる」を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイク。
第2次世界大戦後、1953年のイギリス・ロンドンを舞台にしています。
がんで余命半
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.1

【蹴、】

冒頭いきなり、池松壮亮&塚本晋也コンビで、殺人・暴力に苦悩する主人公像が出てきて、映画「斬、」っぽさを感じました。
仮面ライダーがショッカー一味を殴る蹴ると、血しぶきが飛びまくる残虐描写が
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

4.3

【馬づら女優】

イギリスのウェールズで起きた実話。
農村住民が共同で馬主になるお話。
馬の名前が「ドリームアライアンス(夢の同盟)」というのが素敵です。
胸の高鳴り(ウェールズ語のホウィル)を求めて
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.1

【SONはSUN】

「ファーザー」に続き、フロリアン・ゼレール監督による、自身の戯曲「家族3部作」の映画化第2弾。
親と思春期の子が理解し合うことの難しさを描いています。
両親を照らす太陽のような、
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ロイドの要心無用(1923年製作の映画)

4.2

【SILENT FILM LIVE@元町映画館、ハロルド·ロイド生誕130年祭】

アメリカ公開が1923年4月1日なので、ほぼ100年前の映画。
とは思えない、デパートで繰り広げられる、オシャレな笑
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キラーカブトガニ(2021年製作の映画)

2.9

【キラートマトの正統な継承作品?】

カブトガニが人を襲うパニックムービー。
原発の爆破が起因になっています。
放射能による突然変異にもほどがある。
グレムリン並みの暴れよう。

おバカ映画とは想像し
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Winny(2023年製作の映画)

4.2

【出る杭に悔いはない】

Winnyというと、著作権侵害とか、ウィルス感染による情報漏洩とか、負のイメージしか持っていませんでした。
パソコンにインストールしちゃダメなソフトくらいの認識です。
その背
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キートンの西部成金/キートンのゴー・ウェスト!(1925年製作の映画)

3.8

【塩屋楽団による演奏付き上映】

旧グッゲンハイム邸での上映。
神戸市垂水区塩屋にある、1909年に建てられたコロニアル風の洋館です。
映画「スパイの妻」のロケにも使われています。
今回は、バスター・
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しあわせへのまわり道(2014年製作の映画)

3.8

【ドライブ・仮免カー】

ニューヨーク・マンハッタンのアッパー・ウエストサイドで暮らす書評家ウェンディ(パトリシア・クラークソン)。
タクシー運転手で生計を立てる、クイーンズ地区在住のインド人移民ダル
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そばかす(2022年製作の映画)

4.3

【蘇畑佳純(30)の非恋愛日記】

岸田首相による異次元の少子化対策には無理がある。
この映画の主人公を見るにつけ、若者の恋愛観・結婚観・価値観は変化しているし、様々な考え方がある。
人間は唯一未来を
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オマージュ(2021年製作の映画)

4.1

【韓国女性映画人三羽ガラス】

「フェイブルマンズ」「エンドロールのつづき」。
監督本人の映画体験を描いた極私的作品が続いています。
前掲2作は監督本人の少年・青年時代の映画との出会いを描いていますが
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シャドウプレイ 完全版(2018年製作の映画)

3.8

【人生なんて、単なるゲーム、単なる夢】

日本がバブリーだった頃を彷彿とさせる、土地開発にまつわる人間模様。
1989年から30年間に渡る、人間・家族関係のしがらみが描き出されます。
霧のかかったよう
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

【ミシェル・ヨーの全て】

これまでのミシェル・ヨーの出演作をどれだけ見ているか?
これまでのミシェル・ヨーの凄さをどれだけ知っているか?
これまでのミシェル・ヨーの存在感をどれだけ感じているか?
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いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

4.2

【わたしのお墓の前で泣かないでください】

とても誠実な映画。
余命宣告を受けたシングルファーザーが、ひとり息子の養子先を探し求めるお話。

受入れ家族との面接を繰り返し、それぞれの考え方をヒアリング
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天使の涙 4Kレストア版(1995年製作の映画)

3.8

【天使の迷惑動画】

香港を舞台に5人の男女の物語がすれ違う、ウォン・カーウァイ監督らしい映像作品。
よく分からない脚本、
クリストファー・ドイルによる自由奔放なカメラワーク、
The Flying
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非常宣言(2020年製作の映画)

4.1

【さまよえる韓国人】

旅客機でのバイオテロ。
閉塞空間で、乗客やクルーが次々に命を落とす、緊迫の状況。
無差別殺人や拡大自殺(赤の他人を道ずれにする自殺)がいつ起こってもおかしくない災害となっている
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.6

【地上最大のショウメーカー】

スピルバーグ監督の自伝的映画。
初めてみた映画「地上最大のショウ」の列車と車の衝突シーンに魅せられるところから始まる、映画作りにのめり込む青年期が描かれます。
この初映
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恋人はアンバー(2020年製作の映画)

3.7

【組んだカップル】

自分がゲイであることを認められない高校生・エディ。
レズビアンであることを隠しているクラスメート・アンバー。
ふたりの秘密がバレないように、卒業までの期間限定でカップルを装うこと
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

4.6

【オールド・ブック・パラダイス】

丘の上の古本屋店主とお客さんたちの交流。
移民の少年へ読書の面白さ・意味深さを伝える話が主題になっています。
老人から少年への伝承という意味では古書店版「ニュー・シ
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フラッグ・デイ 父を想う日(2021年製作の映画)

4.5

【娘を想う父の愛情とは何か】

なんとなく評価の低い本作。
でも、僕の心にはえらく響きました。

映画評論家蓮實重彦さんが著書「ショットとは何か」で以下のように言っておられます。
「たしかに映画は集団
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プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

4.2

【プリティ·ジュリア】

現代のおとぎ話。
ジュリア·ロバーツが大ブレイクした、シンデレラストーリー。
若きリチャード·ギアがカッコよく、ジュリア·ロバーツが美しい。
世界中がアイラブユーでしたね。
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あのこと(2021年製作の映画)

3.8

【あの所さん!事件ですよ】

2022年度ノーベル文学賞を受賞した作家アニー・エルノーが若き日の実体験をもとにつづった短編小説「事件」の映画化。
第78回ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞しています。
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

3.9

【フィル・ティペットの狂った神話世界】

深緑野分の小説「スタッフロール」は、特殊撮影技師が主人公です。
特撮の黄金時代と、CGの勃興が描かれます。
映画監督に負けず劣らず、特撮クリエイターたちも注目
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バンバン!(2014年製作の映画)

4.5

【僕の「いつか」が来た!】

トム・クルーズ&キャメロン・ディアスの「ナイト&デイ」をインドでリメイク。
マサラ風味をぶっかけて、アクション・ダンス・ロマンスが超パワーアップ。
カー&バイクチェイスだ
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WAR ウォー!!(2019年製作の映画)

4.4

【ミッション・ウォー】

「ミッション・インポッシブル」に戦いを仕掛けたようなアクション映画。
どこかで見たようなシーンの連続ではあるけども、それぞれが元ネタを超える、笑えるくらい激しいアクションにな
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.5

【WILD】

第75回(2022年)カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した社会風刺コメディ。
リューベン・オストルンド監督は、
「フレンチアルプスで起きたこと」で第67回(2014年)カンヌ国際映
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.6

【性具マリアに導かれ】

17世紀に実在した修道女ベネデッタ・カルリーニを、戦う強い女性として描きます。
いかにもポール・ヴァーホーヴェンらしい。

聖痕や奇跡は本物なのか?
同性愛は罰なのか?
当時
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ブラックライト(2021年製作の映画)

3.2

【目に見えぬ光】

リーアム·ニーソンも70歳かあ。
もうリーアム爺さんだな。
でも相変わらずの激しいアクション(特にカーチェイス)がカッコいい。
ダッジ・チャレンジャーで疾走する姿が絵になります。
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.9

【塚口でハンバーガーを】

孤島の高級レストランで振る舞われるフルコースに隠された秘密を描くサスペンス。
名前を呼んではいけないあの人並みの恐怖を与える名優、レイフ・ファインズ。
名前を呼びたくなる、
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アメリカから来た少女/アメリカン・ガール(2021年製作の映画)

4.3

【不自由さへの反抗】

2003年、アメリカから台北に帰郷した少女とその家族を描いたヒューマンドラマ。
陰影深い、落ち着いた映像美で、台北に住む家族の苦悩と優しさを描いた、女性監督ロアン・フォンイー。
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