takeman75さんの映画レビュー・感想・評価

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またヴィンセントは襲われる(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ある日突然、一瞬目が合っただけで見知らぬ人々から理不尽な暴力を振るわれる羽目に陥る中年男の災厄を描いた、不気味な現代の「醒めない悪夢」とでも呼ぶべき一作。

SNSの依存や社会情勢の不安などで心の中で
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アフター・エブリシング(2018年製作の映画)

3.5

ある日NYの地下鉄駅で偶然出逢った20台前半の未だ定職にも就かない「大人未満」な男女が、ある試練をきっかけに心を寄せ合い、互いに困難を乗り越え、そして二人は…という、正にシンプル極まりない筋書きながら>>続きを読む

マイスモールランド(2022年製作の映画)

3.5

日本の友人や知り合いに自身の出自を隠して暮らすクルド人難民の女子高生の眼差しを通して、日本という「優しさ」のオブラートに隠された「無知」の残酷さを綴った、誠実で静かな「憤り」に満ちた小さな青春日記。>>続きを読む

アダム&アダム(2022年製作の映画)

3.5

喘息持ちの冴えない少年の下に、未来から超イケてる武器に身を包んだ自分が逢いにやって来た…という、藤子不二雄の漫画で描かれていそうな「もしも、こんな事が起きたら」的な空想を、過度に大きすぎないスケール感>>続きを読む

スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.5

フランスの留学先で殺人罪により収監された娘を救うために、無職で粗野なアメリカ人の父が誰の助けも借りることなく「自力」で、彼女の冤罪を証明する証人を探し求める姿を描いた、これは想像を遥かに超えて骨太な余>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

3.5

中国の熾烈な受験戦争の陰で起こる「勝つ者」と「負ける者」の現実を、それぞれの底辺で踏み付けられる少年少女の姿を通して描いた、これは想像以上にかなり腹に堪える青春残酷物語。

中国の急速な経済発展と行き
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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ここのところ、流石に食傷気味な『恋はデジャ・ブ』系のタイムループコメディとして認識されそうな本作。もちろん随所にこの手の映画にありがちな「タイムループあるある」ギャグも挟んでいるものの、物語が進むに連>>続きを読む

どん底作家の人生に幸あれ!(2019年製作の映画)

3.9

ディケンズの名作『デイヴィッド・コパフィールド』を、映画という「幻想投影機」の力を借りて再構築した、魅力溢れる人生冒険譚。人種を意図的に混合したキャスティング含め、降りかかる不幸を「ホラ話」でコーティ>>続きを読む

ファイティング・ファミリー(2019年製作の映画)

4.0

イギリスで弱小プロレス団体を営む家族の下を巣立ち、アメリカ最強のプロレス団体・WWE訓練生となる少女の成長を綴った、現代版シンデレラ物語。
本作はWWEの人気女子レスラー・ペイジの実話を元にしており、
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新聞記者(2019年製作の映画)

1.5

まずはこの作品、今の日本に蔓延る様々な「真実」を、極力「元ネタ」が容易に推測できる形で盛り込んだ「志」には、敬意を表したい。そもそも東京新聞の望月記者をモデルにした政治ドラマ、という時点でかなりリスキ>>続きを読む

ある少年の告白(2018年製作の映画)

3.8

同性愛を「治療」する矯正施設に入所させられたひとりの青年の目を通して、性の多様性を決して認めようとしない保守思想に凝り固まった人々の恐ろしさを、ジョエル・エドガートン監督が静かな怒りと共に映画化した実>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.3

70年代、ブラックパワーのムーブメントが盛り上がった時代に、白人至上主義者の組織KKKに潜入捜査を遂行した黒人刑事の実話…というキャッチーな「型」をベースに、巨匠スパイク・リーが久々に本腰で挑んだ「映>>続きを読む

アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

4.5

正直なところ、予告やフッテージの段階では、かつての3D映画ブーム時によく観かけた、長い鎖が遠くからビヨーン!と伸びてくるアクション映像などの古臭さに「おいおい大丈夫かよ…」と思っていたのだが…。
率直
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2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)

2.6

双子の精神科医、美女の性的抑圧、ドッペルゲンガーという、三大「どっかで見たよね、それ」的要素を、さもご自身が発明したかの様な素振りで堂々と盛り付ける、フランソワ・オゾン監督の「厚顔ぶり」に、まずは驚く>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

4.2

同じ「鹿の夢」を見た事で、心を通わせ始める男女の「発情」の過程を、繊細かつ「少し不思議」なタッチで綴った、愛すべき恋愛物語。まさに「子鹿」の心が人体に宿った様なヒロインを演じた、アレクサンドラ・ボアブ>>続きを読む

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.3

銃規制法案をめぐるロビイストの暗躍を、圧倒的な情報量と洗練された台詞の応酬で紡いだ、まさに「考える大人」のための政界チェスドラマ。

恐らく数年前ならジョージ・クルーニー辺りが最優先でキャスティングさ
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セールスマン(2016年製作の映画)

4.1

ある日、突然妻を「傷物」にされた夫の「屈辱」、そして事件の被害者である妻の「恥辱」は、果たして何によって「浄化」されるのか。『別離』のアスガー・ファルハディ監督が突き付ける、あまりにも重い宿題に、観終>>続きを読む

はじまりへの旅(2016年製作の映画)

4.5

ポスターや予告の印象から、それこそウェス・アンダーソン風『リトル・ミス・サンシャイン』的なコメディを想像したが、さにあらず。これは文明や宗教、教育といった「我々を形成する物」への深い問いを促す、人間ド>>続きを読む

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

5.0

ああ…いつ以来だろう。映画を観てここまで情け容赦なく心の中を掻き乱される感覚は。個人的な記憶をたどれば2014年、 熊切和嘉監督・二階堂ふみ主演の『私の男』と事故的に「出くわしてしまった」以来の衝撃か>>続きを読む

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)

4.0

日本の宣伝ではまるで「心臓の弱い人は要注意!」みたいなスリラー映画みたいに扱われてるが、本作の本質は全くそこにあらず。これは「美」と「時間」そして「自由」の不可逆な関係性を描いた、最高に爽やかな後味の>>続きを読む

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)

4.0

『トップガン』で描かれた、爽やか空軍パイロットが活躍する時代は遠くなりにけり。自宅近所の狭いプレハブ内で無人戦闘機を操り、黙々と「掃討」を行い続けるパイロット達の仕事ぶりに、背中が寒くなる。
これが今
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ピッチ・パーフェクト2(2015年製作の映画)

2.8

前作より派手に、ギャグもより濃くなった分、パーティー映画としてのバリューは高まったが、前作にあったジョン・ヒューズ映画風味の甘酸っぱさは薄まってしまったのは残念。ただクライマックスは何だかんだでアガる>>続きを読む

龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)

1.5

『ソナチネ』の後に『みんな~やってるか!』、『座頭市』の後に『監督・ばんざい!』と、これまでも自身の代表作と言える作品を手掛けた後に、決まってその成功を「ぶっ壊す」傾向のある北野武監督だが、今回も見事>>続きを読む

きっと、星のせいじゃない。(2014年製作の映画)

3.5

「凝縮」された人生を歩まざるを得ない自分たちの運命を受け入れ、それを精いっぱいの「強がり」と、ドライなユーモアで乗り切ろうとする、若い男女の瑞々しい恋の行方と切ない「別れ」を描いた感動作。まあ正直、こ>>続きを読む

ソロモンの偽証 前篇・事件(2015年製作の映画)

4.3

とにかく本作の何が惹きつけられるって、物語の鍵を握る中学生たちの「眼力」が凄まじい。
正直、話を聞いただけでは荒唐無稽にも聞こえる「中学校裁判」というプロットを、ここまで説得力のある、観客が「本気で見
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