ベンジャミンサムナーさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ベンジャミンサムナー

ベンジャミンサムナー

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ラブ&ポップ(1998年製作の映画)

4.0

 『式日』の方はゆったりした語り口だったけど、本作は庵野監督おなじみの、いや他の作品以上に尖りまくったカメラアングルと細かいカット割りとおっさん達の癖の強さで退屈しなかった。

 そしてなによりエンド
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式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

3.0

 庵野監督が『シンエヴァ』のラストで復元した建物は本作に出てたビルだったのね。

 『シンエヴァ』の制作現場に密着した『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、庵野監督が「TVシリーズの『エヴァ』の後に線
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(1965年製作の映画)

3.5

 同じ岡本喜八監督の時代劇でも、本作の前に撮った『戦国野郎』とは色々と対照的。

 本作はラストの雪の中の大立ち回り(特に斬られた人が地面でのたうち回る描写)は圧巻だが、それまではずっと三船敏郎演じる
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風の武士(1964年製作の映画)

2.5

 ほとんどの登場人物が身分を偽ってる上、男たちは頭巾で顔を隠し、女たちの顔の見分けがつきづらいので、誰と誰が何を争ってるのかほとんど掴めなかった。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム THE MORE FUN STUFF VERSION(2022年製作の映画)

4.0

 通常版は試写会で字幕版を、一般公開されてから吹き替えで観てたが、今更ながら特別版を鑑賞。

 試写会で歓声や拍手が上がる瞬間に立ち会えたのは劇的な映画館体験だったが、本作はそういう風にお祭りムービー
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柳生武芸帳 片目の忍者(1963年製作の映画)

3.0

 忍者集団が全く忍ばずに正面から砦に攻め込んで、高台からの銃撃でバッタバッタと死んでいく様はもはや時代劇というよりも戦争映画。

 普通の斬り合いなら、映像の見栄えは佇まいや身のこなしといった役者自身
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

 冒頭、幼少期のサミー(スピルバーグ)が『地上最大のショウ』の列車が衝突するシーンを観て、列車のおもちゃをあらゆる物に衝突させる。

 私事だが、俺はまさに小学生の頃に『プライベート・ライアン』を観て
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

 主人公が人生の分岐点を遡って大切なものを再発見する話は『恋はデジャヴ』、『天使がくれた時間』、『アバウト・タイム』等いろいろあるが、個人的にこういう作品群は啓蒙性が強くてそこまでノれないでいた。>>続きを読む

グリーン・デスティニー(2000年製作の映画)

3.0

 ついでにミシェル・ヨー主演の過去作も『エブエブ』の予習として鑑賞。

 イェンとローの過去を回想で見せてくれるなら、ムーバイとその師匠とシューリンとジェイド・フォックスの因縁もちゃんと掘り下げてくれ
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

4.0

 『エブエブ』に向けて監督の長編デビュー作を予習鑑賞。

 陰キャのための『素晴らしき哉、人生!』といった内容。

 社会からドロップアウトして首を吊ろうとしてたハンク(ポール・ダノ)が、死体のメニー
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ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 設定はMCUのドラマ『ワンダビジョン』とほぼ同じなので新鮮味は感じなかったが、同じ女性でも男の思惑とは別に家庭を築きたがってる主婦を出したり、ラストで急に『マッドマックス』になる振り切れっぷりは良か>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

 時空を越えた家族の邂逅の物語は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『思い出のマーニー』、『未来のミライ』等、過去にも色々あるが、本作は双子の姉妹をキャスティングすることでシチュエーションの説得力がこ>>続きを読む

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

3.5

 笑顔で優雅にシンクロナイズドスイミングをする少女たちが水中で足をバタつかせてるカットは、登場人物たちの二面性を象徴してるのだろう。

 思春期の少女だったりレズだったり、本作では身体のラインがハッキ
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トムボーイ(2011年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 あらすじでは主人公が女の子であることがすでに明かされるが、本来ならお風呂のシーンが、観客もミカエルが女の子であることを初めて知ってハッとなる瞬間なのだろう。

 ミカエル(ロール)が服を脱いで男の子
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

3.0

 いつの世も人間には物語が必要なのは分かるが、終始ティルダ・スウィントンとイドリス・エルバの口伝で物語が展開するので、これを映画にする必然性が薄く感じる。

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.0

 mark数3000本突破!

 各役者陣の演技やロジャー・ディーキンスによる撮影は素晴らしいが、他の人たちも指摘してるように、「社会から抑圧された者同士の交流」の中に「映画愛」の要素もねじ込んでるか
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PIG ピッグ(2021年製作の映画)

3.5

 ニコラス・ケイジ版『ジョン・ウィック』かと思ったら、静謐でエモーショナルな内容だった。

 人間、大人になるほど行動は打算的になり、人間関係は利害や損得を優先するようになるが、そんな中でも"愛"を見
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マドモアゼル(1966年製作の映画)

3.5

 押切蓮介の『ミスミソウ』を連想させる。

 マドモアゼルにいびられるブルーノが、兎に八つ当たりする場面で憎悪の連鎖を描く。

 中々に胸糞悪いけど、この内容に102分も必要だったか?

バッドガイズ(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 『パルプ・フィクション』オマージュの長回しのファーストカットで「おっ、他のCGアニメと違うぞ!?」と惹き込まれる。

 だが、『ズートピア』的な世界観かと思ったら普通に人間もいるし、さらには動物でも
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.0

 本作を観た後に原作を4巻まで読んでみたが、上京するまでのくだりを映像で観たかった。

 大が本格的にジャズを始めるのは5巻以降だし、ジャズを良い音響で聴いてもらうために上京してからのくだりを2時間の
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.0

 これも観る前のチューニングミスった案件だな。

 ミステリー要素と背徳的な恋愛要素の掛け合わせは確かにパク・チャヌク監督的な内容だが、エログロ全開の過去作から、奥ゆかしい恋愛模様へとテイストをシフト
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親切なクムジャさん(2005年製作の映画)

3.0

 復習三部作の前作にあたる『オールド・ボーイ』がトリッキーな展開だったため、本作はさらにトリッキーさを狙った結果、散漫な内容になってしまった印象。

 序盤で時系列を何度も行き来しながら描かれるクムジ
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復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)

4.0

 パク・チャヌクの新作に向けて、復習三部作のうちまだ未見の2作を消化していく。

 その第一弾である本作は、まだ「復讐の連鎖」をストレートに描いた作品だが、「そこまでやる!?」というまでの直接的な暴力
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三月のライオン(1992年製作の映画)

3.5

 キービジュアルがあまりにも完成されすぎてるが故に、映画全体がそれに負けているという皮肉。
 デジタルリマスター版のキービジュはもっと明度が高いけど、より退廃的な空気のこっちの方が断然良い。
 
 そ
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

2.5

 『アントマン』シリーズはMCUがシリアスな方向に傾きつつある中でも、いい意味で軽いノリを貫いてるのが美点だったのに、ただの凡作になってしまった。

 無駄に登場人物増やしすぎなんだよ。

 ビル・マ
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ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV(2021年製作の映画)

3.0

 「かなり変わってる」とのことだが、元のバージョンを観たのが7年ぐらい前なので、どこがどう変わってるのかよく分からなかった。

 鑑賞後に変更点を調べて「ああ、言われてみればそうかも?」という感じ。
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バビロン(2021年製作の映画)

3.0

 本作のブラピの立ち位置って、「映画界の変化についていけずに消え行くスター」としてマーゴット・ロビーとカブってるから要らなくね?

 ジョヴァン・アデポ演じるジャズミュージシャンの扱いも中途半端。
 
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非常宣言(2020年製作の映画)

4.0

 「殺人ウイルスが蔓延する旅客機」というシチュエーション一つでもサスペンスフルなのに、『インセプション』の如く機内セットを360度回転させる韓国映画の贅沢さに改めて脱帽。

 機長が感染したことを仄め
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ごめん(2002年製作の映画)

3.5

 「初めて会って一目惚れやし、2回目に会ったら二目惚れです!」

 監督が相米慎二の助監督をやってた人なだけに、子供がいきいきしてる。

 久野雅弘演じる七尾が、電車に乗ってる時に自分からドアの隙間に
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県警対組織暴力(1975年製作の映画)

4.0

 「あん頃はのお、上は天皇陛下から下は赤ん坊まで、横流しのヤミ米食ろうて生きとったんで。アンタもその米で育ったんじゃろうが。お?キレイヅラして法の番人じゃなんじゃ言うんじゃったら、18年前ワレが犯した>>続きを読む

イルマ・ヴェップ(1996年製作の映画)

2.5

 あらすじを見て今敏の『パーフェクト・ブルー』みたいな話かと思ったら、トリュフォーの『映画に愛をこめて アメリカの夜』だった。

 「映画撮影で怪盗を演じているマギー・チャン(本人役)が、その衣装を着
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屋敷女 ノーカット 完全版(2007年製作の映画)

4.5

 本作はモザイク有りverをレンタルDVDで観てたけど、無修正完全版の有料配信がU-NEXTで今日までなので滑り込み鑑賞。

 本作の良さはそっちのレビューで書いたのでここでは割愛。

 元々観客の痛
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Ribbon(2021年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

 自らも絵を描いたりギターを弾いたりといった創作活動をしているのん(能年玲奈)が、コロナ禍で卒業制作展の中止を余儀なくされた美大生を監督、脚本、主演として描く。

 ラストは美大生役ののんと山下リオが
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本気のしるし 劇場版(2020年製作の映画)

4.5

 映画史上(と言っても本作はTVドラマを再編集したものだが)でもトップクラスに憎たらしいヒロインだけど、徐々に周りの人たちも皆不誠実な側面を持っているのが分かってくる。

 登場人物の中で観客が一番感
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肉体の冠(1951年製作の映画)

4.0

 本作の主役は、一見シモーヌ・シニョレ演じる娼婦のマリーに思えるが、彼女の周りの男たちが振りかざす「有害な男性性」こそがキモの作品だと思った。
 
 本作に登場するメインの男三人は、誰も彼女の意思を尊
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仕掛人・藤枝梅安(2023年製作の映画)

3.0

 冒頭の赤い月に照らされる外連味の効いたカットや、藤枝梅安が仕掛人という裏稼業をやってるだけに影が強調された画作りだったり、他の時代劇と映像のトーンが違うので最初こそ期待してたけど、その後は映像的にも>>続きを読む