ベンジャミンサムナーさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

ベンジャミンサムナー

ベンジャミンサムナー

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厳重に監視された列車(1966年製作の映画)

4.5

 戦時中だけど、そんなことより童貞を卒業したい青年駅員の話。

 『卒業』においてダスティン・ホフマンがプールを漂ってる描写でモラトリアムな時間を表現していたが、本作の主人公ミロシュも、駅員として一定
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沓掛時次郎 遊侠一匹(1966年製作の映画)

3.0

 「コイツは俺と違ってソロバンが弾けねえ野郎だった。弾けねえばっかりにお前達のソロバンに弾かれて死んじまった!」

 開始20分で渥美清退場させるの勿体無さすぎるだろ!

 正直、時次郎とおきぬとその
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激怒(2022年製作の映画)

2.5

 本作は前半と後半での富士見町の変貌ぶりがキモなのに、その落差が感じられない。

 警棒持って街を巡回してる自警団以外に「善良な一般市民」が出てこないことや、そもそも屋外のシーンがほとんどないのが要因
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.5

 ドキュメンタリーだけど、これほど生々しい「戦争映画」もない。

 戦地で起こった事を墓まで持っていこうとする元上官達と、意地でもそれを吐かせようとする奥崎謙三。

 この両者のぶつかり合いが、我々の
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親密さ(2012年製作の映画)

3.5

 夜明けの街を歩く長回しのショットは作為性と無作為性の間の空間を映し出してて良かったが、『ハッピーアワー』を観た後だとどうしてもパンチが弱く思えてしまう。

 後半の舞台劇は圧倒的に作為性が支配してい
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天使のたまご(1985年製作の映画)

3.0

 押井守作品の中で、恐らく"タルコフスキー濃度"が一番高い。

 水草が揺らいでるカットとかそのまんま。

 アニメのキャラデザは、動かしやすいように線の少ないシンプルな造形になりがちだが、本作はあの
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.5

 閉鎖的な村(島)でのいざこざ、暴力警官、放火。
 マクドナー監督の前作『スリー・ビルボード』とテーマやモチーフは同じだが、よりシュールな方向に振り切ってる。

 バイオリンで作曲すると言いながら「話
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妖刀物語 花の吉原百人斬り(1960年製作の映画)

3.0

 タイトルからして『子連れ狼』とか『忘八武士道』みたいな外連味たっぷりのチャンバラ活劇かと思ったら、遊女に入れあげる男の話かい!

 まあ、あのラストに至るまでじっくり怨みつらみを溜めてるのは分かるが
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いぬ(1963年製作の映画)

4.0

 ギャングと警察の内通者の友情を描いた『レザボアドッグス』の原型のような作品。

 同じメルヴィルの『サムライ』に比べると台詞が多くて展開が混乱するけど(でも、カメラをPANし続けながら10分長回しで
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肉屋(1969年製作の映画)

3.0

 これはロマンスなのかサスペンスなのか?

 終盤の、何の説明もなしにエレーヌが階段をダダダッと往復するくだりは他のサスペンス映画にない緊張感があった。

 しかし、最後までポポールの一人相撲で、エレ
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カビリアの夜(1957年製作の映画)

3.5

 まあ、カビリアがオスカーと出会った時点でオチが読めるよな。

 オスカーと出会って以降の展開は催眠術師に見せられてる夢オチかとも思ったけど。

 個人的にジュリエッタ・マシーナは『道』よりもこっちの
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わんぱく戦争(1961年製作の映画)

3.5

 「一番大切なのはチンチンじゃない。"誇り"だよ」

 敵対する村の子供を拉致ってきて、「ナイフで耳切り落とすのか!?」と思わせてボタンを全部むしり取る。
 からの、ボタンを取られないように全裸で対抗
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ゾンビ-日本初公開復元版-(1979年製作の映画)

3.0

 今まで観ることのできなかったレアなバージョンだが、冒頭に無理矢理ゾンビが増殖する理由付けがされたり、グロシーンに規制が入ってるから、観るなら普通にディレクターズカット版の方がいいかな。

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.0

 主人公、数年でそんなに老けんやろ!

 個人的には、ロバート・エガース監督作品としても、大衆向け映画としてもどっちつかずに感じた。

 この話って、主人公の復讐劇にカタルシスをもたらせるか、主人公側
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パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2020年製作の映画)

3.5

 『グロリア』みたいな、おねショタ(?)系の内容は好みだし、擦れた女ドライバー役はパク・ソダムにハマってる。

 でもできれば、『ベイビー・ドライバー』みたいに主人公は最後までカーアクションで貫いてほ
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

2.5

 長編のためのパイロット版らしく、話が尻切れトンボで終わる。

 濱口監督お得意の会話劇要素がなく、本作で描かれるワークショップは『ハッピーアワー』のそれよりも前衛的過ぎてついてけへん。

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

 濱口監督による5時間17分の超超大作。

 レンタルも配信もないから、BDを買おうかどうか迷い続け、Amazonの買い物カゴに突っ込んだまま半年以上経っていたが、まさかこの超超大作を劇場で観る機会が
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.0

 日韓合作なだけあって、韓国ノワールの雰囲気がある。

 『ドライブ・マイ・カー』の言語を越えたコミュニケーションはここが原点か。

 言葉が通じないからではなく、撮る者と撮られる者であることの断絶。

PASSION(2008年製作の映画)

4.5

 『永遠に君を愛す』の直後に観ると(製作順は逆だが)、やっぱ濱口監督自身による脚本の台詞回しのキレが段違い。

 教室での暴力論や本音ゲームの場面の掛け合いは、『マリッジ・ストーリー』のアダム・ドライ
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.5

 結局、花嫁が妊娠してる秘密を抱えたまま愛を誓う(嘘をつく=演技をする)ことで、結婚式自体が劇中劇になる構図…ってこと?

 脚本が別の人だからか、いまいちやりとりに"キレ"がない。

何食わぬ顔(2003年製作の映画)

3.0

 ロングバージョン(98分版)を鑑賞。

 本作の時点で「劇中劇で喪失を乗り越える」という濱口作品の基本形は出来上がっているが、8ミリフィルムのガサついた映像とボソボソした喋り声でいまいち流れを掴めな
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天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.0

 会話劇の中盤である事実が明らかになる構成は『偶然と想像』の短編群と同じ。

 さらに、登場人物がその場にいない人を演じるシチュエーションも『偶然と想像』の一編『もう一度』と同じだが、「目の前にいる男
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悪魔のような女(1955年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 『ひぐらしのなく頃に』の祟殺し編みたいに、死体が消える系の話の元祖ってコレなのかな?

 人は分からないものに恐怖を抱くと言うが、「心霊ホラー」なのか「ヒトコワ系」なのか、ジャンルが分からないまま話
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ザ・ディープ・ハウス(2021年製作の映画)

3.0

 心霊ホラー×水中という設定の斬新さに惹かれて観てみたけど、コレって『屋敷女』の監督だったのか!

 水中にセットを組んで撮られた誤魔化しの効かない映像によって、本来ならタルいはずの探索シークエンスが
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神々の山嶺(2021年製作の映画)

3.5

 メインキャラ二人のCVが大塚明夫と堀内賢雄という『メタルギア』のスネーク&雷電コンビ!

 フランス製作でありながら日本の描写に違和感がない。

 登る時は時間をかけてジリジリと進んで行くのに、一度
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 アダが頭だけじゃなくて右腕も羊の前脚なのが、生き物としての歪さがよりでていて良い。

 中盤から客観的な視点の第三者としてペートゥルを投入したのに、立ち位置が中途半端なのがなあ。
 アダに対して抱い
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続名探偵ホームズ2 ドーバーの白い崖/名探偵ホームズ ドーバー海峡の大空中戦!(1986年製作の映画)

4.0

 ハドソン夫人の魅力が爆発した神回。
 
 これを観て彼女に惚れない人はいない。

 切羽詰まった状況でも、発砲する前に装填確認するガチな銃描写に舌を巻く。

続名探偵ホームズ1 ミセス・ハドソン人質事件(1986年製作の映画)

3.5

 本シリーズはタイトルに「名探偵」と冠しておきながらメインはアクションシーンだが、人質にとられたハドソン夫人が逆にモリアーティ一味のお世話をしたり、モナリザ強奪の顛末など、このエピソードはツイストの効>>続きを読む

名探偵ホームズ2 海底の財宝の巻(1984年製作の映画)

3.5

 やたら描き込まれた戦艦や作画カロリーの高い群衆シーンなど、画面の密度がスゴイ。

名探偵ホームズ1 青い紅玉(ルビー)の巻(1984年製作の映画)

3.5

 YouTubeの公式チャンネルにて宮崎駿演出、『この世界の片隅に』の片渕須直脚本の4エピソードが期間限定配信されてるので鑑賞。

 田中真弓さんってパズーの前にこれで宮崎アニメに出演してたのね。
 
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セルビアン・フィルム(2010年製作の映画)

3.0

 U-NEXTのレンタル配信期限が明日までだったから駆け込み鑑賞したけど、絶対新年一発目に観る映画じゃねぇ!

 去年劇場でリバイバル上映されたやつは無修正だったらしいけど、だったら有料配信も無修正で
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.5

 今年の映画納め。
 
 毎日同じ日々を繰り返す社会人の生き方をタイムループとして描く着眼点は面白い。

 ラストはもうちょっと展開にツイストがほしかった。

 2022年の個人的映画ベスト10はプロ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 ケイコが夜の暗闇の中に佇むカットが印象的。

 ケイコが夕陽に照らされてシルエットになるラストカットからして、ボクシングがどうこうというより、それ以外の社会との接点を拡げていく話。

あのこと(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 中絶処理の痛々しさを長回しでじっくり描くのは良いとして、トイレで堕胎する場面まで直接見せる必要があったのか。

 人工中絶のおぞましさを印象付けて、逆に中絶反対の気運が高まりそうだけど。

ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.0

 コメディ映画でありながら、娯楽やメディアの一大叙事詩でもある。

 時代の変化とともに映画自体の形式が変わるメタ構造。
 画面が急にTVサイズになる演出はスクリーンで観てこそ効果を発揮する。 
 
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

-

 スコアによる採点不可能。

 この映画は人類に早すぎた。

 「面白いかつまらないか」で評価すべき作品じゃないと思う。



 正直、観てる間は眠気で何度か意識が飛んでた。
 
 それは年末の忙しさ
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