tdswordsworksさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

エゴイスト(2023年製作の映画)

3.6

愛という感情をどう扱えばよいのか、愛に出会うたびに戸惑い、悩み、苦しむ。その感情に意味を見出だしたくて、僕らは、愛の対象を愛撫したり、言葉をかけたり、物をあげたり、愛を示す形式をとったりして、愛に価値>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

3.8

「映画愛」は映画における定番のテーマである。映画監督に映画愛を撮らせたら(出来はどうであれ)最高に熱い映画になるに決まってるし、その熱量ゆえに観た者を満足させる作品が多く生まれる。本作は若くしてスター>>続きを読む

突破口!(1973年製作の映画)

4.6

キメッキメな娯楽作品とは一線を画す。主人公たちの銀行強盗は計画的な犯行であるはずだが綱渡りどころか綱渡れなかったし、追っ手のマフィアが生け簀かない奴なのになんか憎めなかったりする。しかしなぜだろう、最>>続きを読む

真昼の死闘(1970年製作の映画)

3.0

ウトウトしてるとすぐについていけなくなるほど自由な展開。

冬の旅(1985年製作の映画)

3.6

自分の中のアンコンシャス・バイアスに気づかされる映画だった。もしも主人公が男なら、その性根の悪さは映画の主人公に「よくあるもの」としてスルーしていただろうけど、女主人公にそれをやられてしまうと「なぜこ>>続きを読む

ステーキハウス(2021年製作の映画)

3.0

テーマ自体に新規性があるわけじゃないけど、アニメじゃなきゃ表現できないことを表現した意義がある。煙が充満している様子のタッチは思わず寒気がした。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.2

風刺の利いた寓話。ひと言にまとめてしまえばオッサン二人の「12歳の喧嘩」みたいな仲違いを終始描くのだが、中盤以降はなかなか呆気にとられる展開の連続で、どんどん引き込まれていく。相関図を描くのに骨が折れ>>続きを読む

第十一号監房の暴動(1954年製作の映画)

4.6

視聴前の予想に反して暴徒は大人しく社会派映画然としている。実際に立て籠りが起きれば、どちらの陣営もあたふたしながら、そして統率の綻びから予想外の問題が発生したりしながら、対処していく。そのあたりの展開>>続きを読む

ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956年製作の映画)

4.2

スリリングでおもしろい!
時系列では最終盤にあたる場面を冒頭に持ってくることで、愛の逃避行が始まってからずっと「ベッキーはどうなったのか?」という疑問が横渡り、緊張感が続く。この構造は巧い。

あの娘は知らない(2022年製作の映画)

3.0

画のキラキラした印象に包まれて居心地のよくなる映画。うだるような暑さも、孤独の夜も、ごみ捨て場さえも。これだけ世界を過剰に美しく見せようとて実際に何かがよくなるのだろうか。よくなったような気がするだけ>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

3.4

今泉脚本で城定監督、という組み合わせに期待どおりのおもしろさ。しかしさ、亮介みたいな男のどこがいいんだろう…と疑問に思ってしまうのである。
「気持ち悪いんですけどぉ!」のオバちゃんがとにかく気持ち悪か
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

4.0

説明を削ぎ落とすことの、危うさと豊かさ。僕も歌集をごくたまに読んだりもするけれど、一首の歌からある程度の広がりが見えると満足して、ふむふむと読み進めてしまう。一首の歌を2時間に引き延ばしたこの映画のな>>続きを読む

夜を走る(2021年製作の映画)

4.6

え、なにこれ、おもしろい!
序盤、僕たちが普段歯がゆい思いをしながら「そんなもんだよね」と割り切ってやり過ごしている不条理なことを、これでもかと繰り出して、圏央道沿いの町の閉塞感をリアルに成立させてい
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ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

3.6

序盤は脇役が脇役っぽいことしか言わない粗い展開にけっこう眠くなって、字幕ところどころ読み飛ばしてしまった。しかしジュリアが登場してから徐々にビルドアップしてゆくおもしろさ。創造的な設定が、今のどういう>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

3.8

2023年の映画始めにして初笑い。
デリー郊外の暴動鎮圧。男はなぜ支配者に忠誠心をみせて同胞を傷つけるのか。
その謎を呼ぶオープニングから一気に引き込まれ、最後までどんどんヒートアップしていく。官邸襲
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ディーバ デジタルリマスター版(1981年製作の映画)

4.0

おもしろかったなぁ。何が起こるか読みにくいのでずっとハラハラさせられた。

80年代後半~90年代前半のオシャレ系邦画とリズムが似ているなぁと思ったら、ソレ系の映画の走りだったようで。

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.6

光の明滅が印象的だった。耳がまったく聞こえない恵子の自宅には、玄関のチャイムが鳴ると部屋に置いたライトが点滅する仕掛けがある。なるほど聴者に対する最大の注意喚起がけたたましい警告音であるのに対し、聾者>>続きを読む

バビロン(1980年製作の映画)

3.6

音楽もファッションも、自由で、意思や叫びがあって、カッコよかった。時代のステレオタイプが見ていてツラかったけど、それはリアルにあったものだし、その中からパワーが生まれてきたのも確かなことだった。

夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)

3.6

佐藤泰志小説の映画化ムーブメントに新たな1本。城定監督お得意の濡れ場にはあっぱれとしか言えないが、それ以外のヒリヒリした緊張感もよかった。

リングワ・フランカ(2019年製作の映画)

4.0

お金で買う関係のほうが信じられるんかなぁ…。

物語の設定には社会的でクリティカルなイザベル監督の考えからくる要素が多く複雑になっているが、役者の表情、ライティング、カメラアングルなど言葉以外の演出に
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.4

俺たちのスラムダンク!忘れかけていたかもしれない、このマンガの真骨頂を観た。厳しい現実から這い上がる個人の強さと、友情とは異なる絆で結ばれるチーム。観たかったのはこれだ!

TVアニメシリーズがインタ
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ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

4.2

この映画のいいところは、脇役全員に見せ場があること。カーターがネックレスを返すとか、ダニエルの七変化とか、そういう細かいところが妙味になってる。ほんとによく練られた脚本。おもしろかった。

反逆児(1961年製作の映画)

2.8

クソババア…あんたのせいやで

セットや化粧や口調がことごとく昭和っぽいのが残念だった

十三人の刺客(1963年製作の映画)

4.4

全編、カットが美しい。時代劇にしては衝撃的な導入から始まり、死の香りを漂わせた物語であることを予感させる。前半のスパイ合戦みたいな展開から、攻めと守りの心理戦、そして長尺の殺陣へ。作中の移動距離もさる>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.2

日本全国に増え続ける廃墟や廃村、遺構を巡るロードムービーである。作中での草太曰く、人が去って「重し」を失った土地は霊界との境が不安定になる。(なるほど確かに、そういった場所に魑魅魍魎が跋扈するという伝>>続きを読む

わたしのお母さん(2022年製作の映画)

4.0

一点突破。ここまで役者に依存しちゃっていいのかな。こういうテーマだと普通なら、急に強く吹く風とか自然光の色味とか脇役との何気ない会話とかで主人公の心情を比喩的に表現するものだけど、この映画はそれを全然>>続きを読む

やまぶき(2022年製作の映画)

3.6

お金に人生を絡め取られないようにもがき抗おうとする人たちの物語。生きて暮らしているだけで知らぬうちに、誰かにちょっとずつ影響を及ぼしている。要素がかなりごちゃごちゃしていてリズムもあんまりよくないが、>>続きを読む

裸足で鳴らしてみせろ(2021年製作の映画)

4.6

A.T.フィールドを破る方法としての取っ組み合い。最初はほほぅとなるも、それが何度も何度も繰り返されるにつれ、そこから先には決して進めない、ヒリヒリとした焦りがスクリーンに見えてくる。
槙の素直でキラ
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窓辺にて(2022年製作の映画)

3.8

市川茂巳というキャラクターに対する観客の共感はもしかするとなかなか得られないのかもしれないけど、稲垣吾郎という誰でも知っているキャラクターを用いて、稲垣吾郎がそのまま自然体で市川茂巳を表現することで、>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.8

1970年にニューヨークの映画館1館で公開されたが1週間で打ち切られ、ヴェネツィアで最優秀外国映画賞を受賞するも幻の映画となっていた本作。時が流れ、2003年にフランスで一般上映されたときは、僕も大好>>続きを読む

断絶(1971年製作の映画)

3.0

クルマとオンナの話で盛り上がるオタクとオッサン。盛り上がる方向は徐々にズレていく。

囚われの女(2000年製作の映画)

2.0

この映画好きな人多いのだろうけど僕には無理だった…。ほぼずっと無表情なシモンやアリアーヌの思考や感情がまったくわからないまま長めの間を取ったり次の話題に進んだりするのでほんとにキツかった。視覚的には手>>続きを読む

鬼火(2022年製作の映画)

3.4

この映画で目にする無修正の男根の数は銭湯3回分にも上るので閲覧注意。つーか日本での一般公開ぜったいに無いやろ。映画祭だからこそ許される祝祭。
公式サイトではラブストーリーって紹介されてたし、アルフレッ
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