オレオさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

オレオ

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パパが遺した物語(2015年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

親子愛を描いた作品というより、アダルト・チルドレンである娘ケイティを主人公に据えて観たほうが、作品の内容がしっくり理解できるかと思います。

最愛の両親を失い、利己の飛び交う汚い世界に振り回されたケイ
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アンコール!!(2012年製作の映画)

3.6

ロンドンいち頑固な男アーサーが、妻のマリオンのために歌う というストーリー。

展開はベタだし、派手な事件が起きたりするわけでもない。
取り立てて特筆すべき何かがある脚本かと言われれば、そうではないと
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

4.1

ミュージシャンの自伝映画のような暗い雰囲気はなくて、逆にブルースブラザーズとかスクールオブロックのように底抜けに明るいわけでも、音楽にまつわる壮大な何かがあるわけでもない。
この映画には、私たちが普段
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イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所(2014年製作の映画)

2.5

とてつもなくテンポ悪くて、「ゆっくりと丁寧に描く」というような印象よりも、「間延びさせて時間稼ぎ」みたいなふうに受け取ってしまった。
事故後の衝撃と何気ない日常とを対比させているのは分かるが、序盤から
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きっと、星のせいじゃない。(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

作中ではさまざまなメタファーが登場します。ガスがタバコを咥えるのも、本来死をもたらすものにその力を与えないというメタファーですが、このセリフから、この映画の重要な点は「メタファー」であると解釈し、レビ>>続きを読む

ウォッチメン(2009年製作の映画)

3.6

「ダークナイト」から(?)火がついたアンチ・ヒロイズム、つまりは既成の英雄譚を否定し、悪側にも悪側なりの正義があるとか、善側も目的遂行のために手段を選んでないとか、結局一体何が正しい行いなのか を問う>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

3.7

1人の男が、静かに狂っていく話。
クリント・イーストウッド監督の最大の興味は、戦争経験者のPSTDや心理状態にあります。これは彼の戦争映画に通底する理念でもあり、過去作品にも共通して言えること。

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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

4.2

ダメな父親が唯一、料理だけには常に本気の姿勢で取り組む姿が良い。
ラテン系のノリノリな映画だけど、こと料理に関しては決してノリでごまかしたり雑になったりすることがない。
包丁使いや焼き方などが物凄く丁
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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2013年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

設定が限定されすぎていて、何を書いてもネタバレになりそうなのでネタバレとして投稿します。

アイヴァン・ロックのセリフに注目すると分かるんですが、彼は作中で1度たりとも嘘をつきません。妻にも、仕事仲間
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her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

4.0

フランスには、エッフェル塔と結婚した女性がいる。日本には、ゲームキャラクターとグアムで挙式をあげた男性がいる。
彼女らは別に話題集めにエッフェル塔と結婚したのではないし、面白がってゲームキャラと恋愛し
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チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

4.2

マルコ役を演じたアイザック・レイヴァは実際のダウン症であり、アラン・カミングは自身が同性愛者であることを公表している。
先日マット・デイモンが「俳優の性に関する話題は彼らのミステリアスな一面であるから
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6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

5.0

12年間同じキャストを起用して作品を撮る というリンクレイター監督の試み自体、映画史において最も重く尊重されるべきであるが、そういった意味合い以上に本作は優れている。
この映画は、決してドキュメンタリ
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バベル(2006年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

「バベル」という題名のとおり、バベルの塔の神話をモティーフに据えてある。つまり、言語の不通や、コミュニケーションの不全といった問題。

誤解が誤解を生んで、言葉の争いがまた次の争いを引き起こすという連
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もしも昨日が選べたら(2006年製作の映画)

4.0

100分弱の長くも短くもない尺で、キッチリとストーリーがまとまっていて、大変見やすい作品。
コメディを基調としているので基本的には笑えるシーンが多く、特殊メイクを施されたおデブのアダム・サンドラーが大
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あん(2015年製作の映画)

4.1

「皮はいいんだけど、あんがイマイチ」だと言い放った徳江の言葉はまさしく、世間からの体裁はいいが、心に闇を抱える千太郎自身のことを表している。
そんな千太郎が徳江と出会って、心から人を信じられるようにな
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アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

4.0

「過去に戻って人生をやり直す」という大義名分を逆手にとって「今を大切に生きよう」という大事なメッセージを伝えてくれる作品。
「もし過去のある時点に戻れるとしたら、どこに戻るか?」と聞かれたら、多くの人
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ヒロイン失格(2015年製作の映画)

3.5

けっこう笑えるシーンが多い。基本は主人公の視点でお話が進んでいくんだけど、ところどころメタな展開があるのが少女漫画っぽいというか、原作読んだことないけど、漫画の世界観をきっと再現できているんだろうなあ>>続きを読む

アントマン(2015年製作の映画)

4.4

エドガーライトが原作・脚本を務めていることもあってか、かなりギャグの割合が高めです。

ダークナイトをはじめ、最近のヒーロー映画業界にはびこる陰鬱で暗い感じを見事に吹き飛ばしてくれました!
アクション
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

4.5

舞台はスウェーデン。ある一族で起きた少女失踪事件をめぐって、月刊誌「ミレニアム」の編集者であるミカエルと、天才ハッカー少女リスベットがタッグを組んで謎を解き明かしていきます。

主演のダニエル・クレイ
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フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

ジョンの犯した行為は人道的に許されざる行為だけど、なんとなく彼に同情してしまう部分があった。
人望の伴わない名声ばかり手にしてきたジョンが、唯一心の拠り所にしていたのがレスリング。ジョンはレスリングを
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セッション(2014年製作の映画)

4.5

劇場で観ました。

世界一のプロドラマーになりたい青年アンドリューと、世界一のプレイヤーを育て上げたい教師フレッチャーが出会うお話。
予告編でさんざん映されたあの「1,2,3……ペチン!」はまだ序の
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

3.9

アレハンドロ・ゴンザレス・イリャリトゥ監督の手腕は素晴らしいの一言。群像劇など難解なストーリーを扱うことで有名な彼が、初めてブラックユーモアを描いたこの作品によって、映画界にまた新たな風を吹き込んだと>>続きを読む

オール・イズ・ロスト 最後の手紙(2013年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

主人公の名前がエンドロール含め映画内では全く明かされないという点が重要。
作品内では「君らには見透かされていた」とか「私は努力した」とか、人名に関わる固有名詞すらも全く使用されていない。主人公に関する
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モンスター上司(2011年製作の映画)

3.0

モンスター上司 というタイトルから、勧善懲悪モノ、理不尽な上司をコテンパンにして気分爽快スカッとムービー!みたいなのを想像してましたが、正直あまり上司は関係ないです。むしろ主人公3人衆のハチャメチャな>>続きを読む

(500)日のサマー(2009年製作の映画)

5.0

脚本が優れているとか、映像や音楽がキレイとか、そんな細かい点から大きな点までこの映画の素晴らしいところを指摘しはじめたらキリがないです。恋愛の本質を逆説的に描いているとか、恋愛観の男女差を逆手にとった>>続きを読む

おみおくりの作法(2013年製作の映画)

3.5

公開当時劇場で鑑賞しました。

上映中、何人か寝ている人がいました。無理もないと思います。それほどにこの映画は、動きがなく、のどかで静かです。でも、そのひとつひとつの出来事の裏側に注目してみれば、主人
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ナイトクローラー(2014年製作の映画)

4.0

この映画の中では時間も、人材も、感動も、衝撃も、時には感情ですら、資本化されてしまうんだなぁと。そして資本化されたものたちはたちまちに社会に消費され、またもやそこで需要が高まり、次のものが資本化され…>>続きを読む

ショート・ターム(2013年製作の映画)

4.1

大人と子どもとの信頼関係が、上下関係ではなく人間としての対等な関係性で紡がれていく様が、すごく愛おしい。それは何となく恥ずかしくて、泥臭くて、まっすぐじゃない体当たりな接し方だけど、子どもたちはそこに>>続きを読む

君が生きた証(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

事件の真相に関する展開は、叙述トリックに近いものがあります。父を単なる被害者としてミスリードさせておいて、実は……というのがこの作品の肝です。その点はすごく見事でした。すっかりだまされた。
この映画の
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博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

伝記映画で重要なのは「視点」です。つまり、その人物や集団の何をどのように描くかによって、作品が何に重きを置いているかが変わってくるということです。
「視点」という観点から言えば、伝記映画には、真っ向か
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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

4.5

LAタイムズは本作を「これはアートハウス版ゴーン・ガールだ」と評価しています。
ゴーン・ガールがサイコとサスペンスでもって観客を突き放し、夫婦の有り様をこれでもかと客観視させるドラマであるなら、フレン
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ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015年製作の映画)

4.4

前作「ゴースト・プロトコル」がかなり楽しめただけに、今回も期待して鑑賞。

結果として、大満足でした。
ミッションインポッシブルシリーズの定番シーン(変装マスク、カーチェイス、潜入)など、ファンの期待
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