TnTさんの映画レビュー・感想・評価

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ザ・キラー(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 カルマなんて無いはずの人生が一発のミスで色めき出すのは、人間、どこかでもがき苦心する方に生を感じるからか。The Smithのベストアルバムそのまま垂れ流すかのような風でいて、奇妙に楽曲とマッチした>>続きを読む

静かなる決闘(1949年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 「生きて必ず帰って下さい」的な戦争エモ消費映画は沢山あるし、なぜかそれも特攻という題材にタイムスリップが用いられフィクショナイズされている(「永遠の0」、「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を>>続きを読む

野良犬(1949年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 「暑い日だった」故に全ては起きたと言いたげな。
「太陽のせい」と言いたげな、そんな映画だった。暑い地域こそ生物がわんさか湧くという科学的な事実が、昔教科書で読んでは不思議で仕方なかったが、今作はそう
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酔いどれ天使(1948年製作の映画)

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 皆が皆説教垂れとる!しかも人物はフレームギチギチに詰められ、舞台はドブ沼のある闇市だけ。おまけに志村喬の親父臭がドアップで強調されてと、観ててまぁぐったりするような話である。戦後すぐに闇市のゴミゴミ>>続きを読む

一人息子(1936年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 大号泣してしまった。流石に一人っ子かつ母に女手一つで育てられた身としてはちょっと直球すぎた。息子が言う「自分が何になるのか全然見当がつかない」を今現在体現中なのもまた然り。

 ほんとでも、戦前小津
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ミュンヒハウゼン男爵の幻覚(1911年製作の映画)

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 悪夢にうなされて目が覚めるを実際に本日やったので、男爵に理解を寄せる。

 寝台の上に大きくかかげられた鏡に、男爵の荒唐無稽な夢が映し出されていく。しっかりと鏡像とするために鏡の世界にもう1人の演者
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 原爆開発というシンギュラリティーにおける前後の表現こそ、ノーランの好む時間のテーマが凝縮されていると言える。しかし、今作はそのシンギュラリティー以前にすでに時間は錯綜して複雑怪奇。それはオッペンハイ>>続きを読む

ノーカントリー(2007年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 厳格な映画表現、削ぎ落とし洗練された映像の手さばきに惚れる(それに倣って私も多くは語るまい)。最後には殺人鬼がブーツを見るという仕草だけで、我々は察しなければならないほどに。そして描かれるのはまさに>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

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 エルヴィスに纏わる光と闇の織りなす、目まぐるしく、虚飾に満ちた輝きを放つ映画だった。冒頭クレジットの煌びやかさが良い。ラストのエンドロールに至っては、その装飾はエルヴィスの皮を鞣しているようにさえ見>>続きを読む

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

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 今までは詩的かつ難解映画の評判を受け入れていたが、どうもそれは違うのではと思えた。まったきアジテーション映画だ。また4K修復は、あのタルコフスキーマジックともいうべき映像魔術の粗を見つけるでもなく、>>続きを読む

ヴェニスの子供自動車競走(1914年製作の映画)

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 誰の本か忘れたが、この映画でのチャップリンは監督ではないが、既にあの浮浪者的なルックスを確立しており、画面占有率を独占し、後に監督になるのも頷けると書いていたものがあったような(カメラとの葛藤が云々>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

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 あんたこれ爪先から頭までビートで埋め尽くしじゃない!

 逆宗教。宗教は神に基づき世の中が論理づけされて、目指す高みも決まっているが、今作は「意味づけ」を拒否した果てに、何かを標榜するでもなく一心同
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 ダークファンタジー!昨今、ランティモス、アリ・アスター(今度のランティモス監督作には製作指揮に!)、A24、また「オオカミの家」など何かカルティックな作風がウケ出していい時代だなぁと。今作もまたその>>続きを読む

エヴリン(2002年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 憲法の歪さ、政教分離のなされてない国家、家族とは一体どう定義するのか。たった一つの事例が、これらアイルランドにあった根強い保守的態度を変容させる。そのたった一つの事例っていうのは、父が娘を愛するとい>>続きを読む

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 だべる会話のシーン、何遍も観たからなのか長く感じてしまったな。そして、とんでもなく静寂を強いる作品であることを劇場にて体感。だからこそ音楽もバチっとキマるというか。銃撃後の静寂といったらたまらない。>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 商品の肉がムチムチと音をたてレジに積み上がる冒頭、工場の轟音、ラジオからはウクライナ侵攻のニュース。今まさに作られる高層ビルと、それに徹する人々の労働、酒は潤滑油的にホラッパを動かし、そして彼は摩耗>>続きを読む

マイ・レフトフット(1989年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 初手のカットで映し出されるタイプライターの上を左足が横切る。タイプライターにあるべき手の存在を裏切られたあと、主人公はそんな我々の"普通"を求める目を凝視する。障害を抱える者なんて大抵は感動ポルノ的>>続きを読む

(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 いんやぁ面白かったというか味わい深いというか。大傑作とは違うが、大作でクオリティも高い。エンタメ的でもあるが、今までの「アウトレイジ」的ノリとも違う。味わいとしか表現できない。「キラーズ・オブ・ザ〜>>続きを読む

Now and Then:ザ・ラスト・ビートルズ・ソング(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 ビートルズが今作るとしたらこうした曲調のこういった歌詞になるだろうなと思わされる最新曲。しかし元はジョンがポールに宛てた曲の一つだし、それをビートルズとして作るプロジェクトはジョージが生きてる頃にあ>>続きを読む

TAKESHIS’(2005年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 「マルホランド・ドライブ」は、他人の夢物語だったが今作は武自身の夢物語なので「8 1/2」的。ほぼ感覚的で時折雑味もあるが、こんな作品を作れてしまうのはやっぱり凄いと思うのだ。そして、こんな強迫観念>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 今ガザの攻撃に対してイスラエル内で、一部だがガザの負傷した人らの傷をメイクで真似してバカにする映像が流行っている。この後に及んでそのレベルの揶揄が存在するのかと呆れるが、これが実情なのだ。そしてその>>続きを読む

ザ・ビッグ・シェイブ(原題)(1968年製作の映画)

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 髭剃って、血が出過ぎる。単にそれだけだが、男の平然さと一定のBGMが流れる中、異常な行為のみが足されるだけで全て異化してしまう面白さ。スコセッシ映画にかかせない音楽と暴力のマリアージュを堪能できる。>>続きを読む

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 今作のディカプリオは支えず、しがみつく(「タイタニック」爆笑オマージュ!)。

 本当に、スコセッシは食わせ者だなと。いつも判断できない。早い話「で、肯定否定どっちなの?」となる。表層の生き生きぶり
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マン・オブ・ノー・インポータンス(1994年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 カウリスマキ映画のような、厳しい現実とささやかな優しさを持つ人らという題材で、ハートフルなのかと思いきや怒涛の苦難のたたみかけに、「ジョーカー」になってしまうんじゃないかという危惧さえ生まれた。>>続きを読む

ローズの秘密の頁(ページ)(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 アイルランド歴史勉強第二弾として鑑賞。前回観た「フールズ・オブ・フォーチュン」のその後、第二次世界大戦禍が時代背景となっている。アイルランドは中立を図り戦火を免れるも、国内での独立派(アイルランド共>>続きを読む

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 映画始まっての「RELOAD」の文字に、自分はまた”再鑑賞”してしまっているのだとハッとさせられて、嫌悪した。とはいえ観返して良かった、この中に没入していた自分がもういないことが確認できたので。>>続きを読む

フールズ・オブ・フォーチュン(1990年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 1920年、アイルランドによるイギリスからの独立戦争に苛まれる幸福なアイルランド一家。ハンス・ジマーの音楽がこれでもかと悲劇を強調せんとし、過去と現実のカットバックのしつこさが時折鼻についたが、アイ>>続きを読む

デコーダー(1984年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 危険、怪電波を発するヤバ映画であった。しかとその電波受け取った(洗脳済)。

 そもそもThrobbing Gristleの過激派担当ジェネシスPオルドリッジや、薬物中毒且つ若者文化の象徴クリスチー
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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 「プラン9・フロム・アウタースペース」というトンデモクソ映画を観て以降、映画を見る気が若干起きなかった笑。映画への考え方が一時的瓦解を起こしたので、脳内整理するために同じく映画の革新者であるゴダール>>続きを読む

プラン9・フロム・アウター・スペース(1959年製作の映画)

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 エド・ウッドは茶目っ気でなんとかなってるな。ティム・バートンが制作した伝記で描かれていたのもまさにお茶目さだ。酷いけど、やろうとしてることはわかるし、それができない時の理想と現実の差異が笑える。>>続きを読む

Seytan(原題)(1974年製作の映画)

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 Q.これは、別の世界線のエクソシストか?

 A.トルコ版「エクソシスト」です。
ほぼ丸パクリかつ全てチープに変換されている。フリードキンが本編でも撮影裏でも強いたあの緊張感をゼロにすることで、かな
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グレンとグレンダ(1953年製作の映画)

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「もし創造者が空を飛ぶようにするなら、生まれつき羽を与えたであろう」
 しかし、人は飛行機を作ったではないか。人は生まれたままではない!そういうエド・ウッドの情熱が炸裂してて、最低監督と言うにはなかな
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ヤクザと地底人間(2006年製作の映画)

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 以前観た「精霊のささやき」の監督、植岡喜晴の作品。なんだこの初期の鈴木清順とエド・ウッドを足したような作品は。映画がギリギリ映画であれるような作り物感が良いので、棒読みもチープ演出も"あり"である。>>続きを読む

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版(1973年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 水辺に行く口実は何も果たさず、車に乗り込んではなかなか発進せず。声をかけては別の人を愛し…を繰り返す、そんな220分(長い)。

 ゴダールについての本なんかを読んでいると、よく「et(〜と)」とい
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エクソシスト/ディレクターズ・カット版(2000年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 午前十時の映画祭にて。劇場で見ると凍てつく。「宇宙で死ぬわ」と言って失禁するリーガンを見て気まずくなる来客陣とスクリーンの外でこちら観客席も同様に居心地が悪くなる。久しぶりに見ると、こんなにじっとり>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 精神が終わっていたので、あんまりにも青春してて輝かしくて羨ましくて、既に一人で劇場に赴いてるわけで寂しさと孤独で死にそうだった。映画館という場所で一人であることの居心地の悪さを一番感じたし、そのせい>>続きを読む

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